排球   作:虚体無名

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「■■!」

高校からの付き合いである■■が、■■へトスを上げる。
高校ではライバル同士であったが、お互いがお互いを認めていた。
そんな彼と同じチームになり、今は世界と戦っている。

「ブロック三枚!」
「ぶち抜け!」

■■が、叫ぶ。
その声には、大きな信頼が乗っていた。
そして、■■は信頼に答え、三枚のブロックを吹き飛ばした。

「ナイスキー■■!」
「お前も、ナイストス!」

ハイタッチを交わし、彼等は相手を見据えた。



三話

 

しかし、どれだけ日向と日山が強かろうとも、バレーは六人でやる競技。

地力の差があるチームでは、点の差も開いていく。

24対19の北川第一のセットポイント。

むしろここまでの試合が、即席のチームで出来たことが可笑しいのだが、会場の空気は雪ヶ丘の応援へ向いていた。

 

「イケー一番!」

「二番決めろー!」

 

「ふー…」

「今まで通りだ。上げろ。繋げろ。それだけでいい」

 

日向が息を吐き、姿勢を低く構える。

その瞳には炎が宿っていた。

日山は努めて冷静に、そう伝える。

冷酷ささえ感じさせるが、それでもビリビリと圧が発されている。

 

「影山、サーブ」

「ああ」

 

ボールを受け取った影山は、ドリブルさせながら、前を見据える。

こちらを見据える日向と、背を向けながらも、横目でこちらを見つめる日山を視界に入れる。

獣の様な雰囲気の日向と、得体の知れない日山の圧は、ネットを挟んでも、直に伝わってくる。

 

(あぁ…なんだろうな。この不快感)

 

影山はこの試合で、ずっと居心地の悪さを感じていた。

まるで、自分を否定されてるような、拒絶されてるような感覚。

それも相まって、影山のイラつきは徐々に募っていた。

 

(ぶっ潰す)

 

相手コートを睨み付けた影山は、ボールを上へ投げる。

今日初めてのサーブに、日山以外の全員が動揺を顕にする。

しかし、日向は即座に頭を切り替え、影山のインパクトの瞬間、少しだけジャンプする。

力強いサーブが、放たれる。

サービスエースの手応えを感じた影山だが、一切の油断なく即座にポジションへ向かう。

 

ボールは泉の元へ向かった。

恐怖の表情を浮かべた泉の前へ、日向が割り込んだ。

腕で受け止め、体で衝撃を殺し、フワリと完璧なAパスを上げる。

そして既に、ボールの落下点には日山が居た。

緩やかな回転で向かってくるボールに笑みを浮かべながら、トスの構えをとる。

 

___日向が突っ込む。

 

(!?)

(クイック!?)

 

気迫を感じた前衛は、日向を止めるために、立ちはだかる。

そして日山がボールを触り…

 

床に落ちた。

 

「は!?」

「トスフェイント!?」

「ちっ!」

 

手首をクンッと曲げて、がら空きだった真ん中にボールを落とす。

予想していなかった事に、一瞬だけ全員の思考が止まる。

 

「ナイス当夜!」

「お前のお陰だよ。その調子で頼むぞ」

 

20点台に乗った雪ヶ丘は、歓声を上げながら、中心の二人に集まってくる。

そんな様子を、影山は不機嫌そうに睨んで居た。

 

「おい、次。きっかり取るぞ」

「ああ」

 

関向のサーブとなり、相手コートへ向かったボールは、北川第一のクイックによって返された。

日向が食いつこうとダイブするも、コートに突き刺さった。

 

「ゴメーン!」

「ドンマイドンマイ。俺もブロック出来んかったしな。しゃーない」

「1セット目落としちゃったな…」

「こっから取り戻すんだよ。下向くな」

 

チームを励ましながら、背中を押し、ベンチへ戻っていく。

 

「雪ヶ丘取られちゃったなぁ~」

「流石に二人だけじゃ厳しいか…」

 

どれだけ突き抜けた二人が居ようとも、チームの地力が違いすぎる。

バレーで、六人で強い方が強いのは、当然の摂理である。

 

「フゥ…切り替えろよ」

「分かってる。俺も当夜も、()()()以上のプレー出来てる。取り返すぞ」

 

日向の眼光が、日山を貫く。

それに気圧される事なく、日山は楽しそうに笑った。

そして、顔の汗を拭い、暫く目を詰むって、息を吐き、振り向く。

 

___ゾワリ

 

言いようのない感覚が、日向の体に走った。

日山は薄く笑い、コートを見据えるその瞳は、酷く()()()()()

それに影山は恐怖を覚える。

 

(っ!?経験豊富って言葉で片付けられる精神力じゃねぇぞ…)

 

実際は物凄く経験豊富なのだが、中学三年の日山がこれほどまでに冷静なのは、誰から見ても異様に見えた。

全く動揺を感じさせないその姿に、影山は顔をしかめる。

それを感じていたのは、影山だけでは無かった。

 

「なんだよあの二番。すげぇ冷静」

「どこで培って来たのかしら…」

 

菅原が呆然と呟き、清水が言う。

この試合中の間、熱く、されど冷静に。

その、言うは易しの言葉を常に体現し、強敵相手&崖っぷちの状況で、水面の様に静かだった。

 

「スポ小とかか?」

「それでああなるなら、今頃おっかねぇ奴もっといるべ」

「あれがコートに六人居る…おっかねぇ…」

 

ブルリと体を震わせた田中が、顔を青くして言った。

 

(んー?誰か失礼なこと言ってるな?)

「当夜、どうした?」

「んにゃ。なんでもねぇ」

 

直感で感じ取った当夜は、何かを探すように辺りを見渡す。

それを見た日向は、なにかあったのかと問いかける。

何もないと言った当夜は、コートの中へ向かう。

 

「うし、今まで通り。俺等に任せろ」

「「おう!」」「「「はい!」」」

 

日山がそう宣言し、他の5人が返事を返す。

笛が鳴り、日向のサーブとなる。

短く息を吐き、ボールを回しながら、先を見据える。

北川のチームが全員身構える。

ボールを投げ、走り出す。

 

___ドンッ!

 

回転…良い。

ジャンプ…最高。

イメージ…完璧!

 

「フッ!」

 

鋭いサーブが、進む。

 

「国見!」

「ぐっ…短い」

「カバー!」

 

アタックライン上に、短く上がったボールの下へ、影山が滑り込む。

日向は崩したと確信した。

 

___ボールが、日向の横を抜ける。

 

「んぇ!?」

「油断すんなよー翔陽。あれは___」

 

ただ単純に、Aクイックを使っただけだ。

あの位置から、鋭いセットアップをした影山に、日向は注目する。

日山はニヤリとしながら、とても楽しそうに___

 

「___王様だぜ?」

 

日向は、入り口で見た赤いマントと、王冠を、影山に視た。

 

 

 

 

_____________________________________________________________

 

 

 

 

 

7-3の北川第一優位。

サーブ権は日山に回ってきた。

ローテが回り、ボールを掴んだ日山は、後方へ向かっていく。

 

___影山に、悪寒が走る。

 

思わず振り返り、日山を注視する。

彼からは、覇気の様なモノが立ちのぼっていた。

その()に、会場が静まっていく。

もちろん、雪ヶ丘と北川の反対側は盛り上がっているが、どこか遠い場所の様に思える。

 

(なんだ?この迫力…)

「一本切るぞ」

「あ、ああ」

 

「…凄いな、当夜」

「スゲェんだよ当夜は」

 

日向は、振り向くこともなく、言い切った。

その言葉に、泉が振り向く。

そこには、前を見据えたまま、どこか誇らしげにしている日向が居た。

 

「当夜は、スゲェんだ」

 

(さて…やろうか)

 

ボールをドリブルさせる日山。

1セット目から、日向と同じようにジャンプサーブを放っていた。

そう、()()()()()

威力が、日向と同じくらいだったのだ。

あの威力のスパイクを放てるのに、小柄な日向と同じ程の威力でサーブを放っていた。

しかし、誰も不思議に思わない。

先程までのサーブも、強いのだから。

 

(体が暖まってきた。あんまり良いアップとは言えなかったからなぁ…しゃーないけど)

 

笛が鳴る。

フー…と息を吐いて、ボールを放る。

 

高さ…OK。

回転…OK。

ジャンプ…OK。

 

___轟音。

 

「…は?」

 

呆然と、影山が呟いた。

振り向けば、壁から跳ね返ってきたボールが、バウンドしている。

別に、ボールが瞬間移動したのではない。

ただ早く、隣を通っただけだ。

 

「…全く…反応出来なかったっ!」

 

ギリィッと歯を噛み締める影山。

全国に行ったことのある影山でも、あれほどのサーブを見たのは多くない。

油断なんてしていなかった。

 

___それでも、反応出来なかった。

 

北川第一の監督が慌てて立ち上がり、タイムを取る。

そして選手が戻ってくる間、日山を睨み付けていた。

しかめながら、吐き捨てるように呟いた。

 

___バケモノめ、と。

 





日山の家で、日向がテレビに食いついて居た。
彼の瞳には、ボールが行き交い、選手が入り乱れる光景が写っていた。

「おお!拾ったぁ!そこから繋げた!?撃ち抜いたぁ!」

スッゲー!と歓声を上げる日向を、日山は面白そうに眺めていた。
画面に夢中になっていた日向は突然日山に振り返るる。
結構な勢いで振り向かれた日山はビクッと肩を跳ね上げた。

「俺もバレーしたい!」

その言葉に日山は驚く。
()()よりも早くバレーを始めようとしているため。
しかし、すぐにニヤリと笑う。

(俺が居る時点で、原作なんかじゃ無い。六年で興味を持ってから鍛えようと思ったけど、今からやるか!)

そう考えた日山は、ボールを持ち、日向と共に外へ向かった。

ヒロイン誰にする?

  • オリヒロ
  • 清水清子
  • 田中冴子
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