「……ッ」
体に走る寒気で目を覚ます。なんだ、異常に寒い。ゆっくりと上体を起こした俺は、寝ぼけ眼を擦りながら辺りを見渡す。
「……うそ?」
直後、とあるものを見つけ眠気が吹き飛び、思考がクリアになっていく。
「え……使用済み?」
俺が見つけたのは、口が縛ってある
「え……ええ……?」
今更だけど、俺は服着てない。……そりゃ寒いわ。
そして周りには使用済みのゴム。それも結構数がある様な……? つまりこれはあれかな、俺事後なのかな? そう理解した瞬間、俺は大きくため息を吐く。
「やっちまった……」
俺はあれを捨てたってのに、どういう状況で捨てたのか憶えてない。1番やりたくなかったことだわ……。
ていうか待て、もしそうならば今隣には誰か眠っているはず。誰だ、俺のせいで
そう思うが早いか。俺は布団をそっとめくっていた。するとそこには、規則正しい呼吸をする燐子の姿があった。
「え……燐子?」
予想外の人物に驚く俺。燐子……なんで燐子?
あれ……というか昨晩……確かRoseliaの練習が終わった後……発表会のことで話したいって言われて……あ、じゃあここは燐子の家ですね。
「じゃあここは燐子の部屋……だよな。ピアノあるし」
自己解決に至った俺だが、現状が打破できていないことを思い出し頭を抱える。すると、俺の手に何かが触れる。
「……?」
「おはよう……ございます……」
振り向いた先には、布団の中から顔を出し優しく微笑む燐子が居た。
「ああ……おはよう」
「……どうか……しましたか?」
「いや……燐子に悪いことしたなと思って……」
俺は嘘偽りなく伝える。……まさか、こんな形で初めてを奪うなんて。そんな俺の傍ら、俺の言葉を聞いた燐子は首を横に振る。
「そんなこと……ないです」
「え……?」
「私が……洸夜君と……シたいって……」
そこまで行った燐子は、羞恥故か顔を赤らめ言葉が続かなくなってしまう。
俺はそんな燐子が愛おしくて、布団に横たわると燐子の可憐な体躯を抱き寄せる。
「ごめん……恥ずかしいのに言わせて……」
「ううん……」
首を横に振った燐子は、俺の胸に顔を埋める。
「洸夜君……良い匂い」
ボソッと呟かれたその一言で、俺はドキリとする。オイオイ……そんなの反則だろ……。
対する俺は、その気持ちを紛らわすため燐子の鮮やかな髪を撫でる。するとその意図に気づいたのか、顔を上げふふっと笑いながら燐子がこう尋ねてくる。
「シたく……なったんですか?」
「いや……それは……」
「隠さなくても良いんですよ……? 私もちょうど……そうでしたし」
はあ……どうやら今日は、朝から疲れるみたいだ。そう思いながらも、俺はそっと燐子と唇を重ねるのだった。
以上燐子編でした。