「イタ……」
何かに頭をぶつけ目が覚める。一体なんなんだ……? 重たい目蓋を開きながら、確認する俺。どうやらベッドの上部に頭をぶつけたらしい。というか、それ以外にも腕に違和感が。
なんて言うか……柔らかいものに締め付けられている、そんな感覚がある。と言うわけなので、恐る恐る布団をめくると……穏やかな顔で眠るあこの姿があった。
「……」
そんなあこを見て固まる俺。うーんと……俺とあこが同じ布団で眠ってる。で、部屋は……どこだここ。全く知らない部屋。しかも、パッと見ドアも窓も鍵しまってる。
つまりこれは……俺は多分やってしまいましたね。服は着てる。でもこの状況的にやることやったわ。
「さてと……」
音を立てずにベッドを抜け出す俺。その際、腕を抜いてしまったせいか、あこが目を覚ます。
「コウ兄……おはよ……って、コウ兄何やってんの?!」
「何って、タイムマシーン探しに行くんだよ」
「し、死んじゃうよ〜!」
窓から身を乗り出そうとする俺を引き止めるあこ。離せ! 俺は死に戻りしないといけないんだ!
え、じゃあまずは双子のメイド姉妹の近くに行け? ……さーせんでした。そんなこんなで自問自答し一度落ち着いた俺は、あこの前に正座する。
「コウ兄、なんであんなことしたの?」
「正直に申し上げると自害するためです」
「どうして?」
「そりゃ……あこに手を出したから……」
俯きながらそう告げる俺。すると、俺の言葉を聞いたあこがハッとした表情になる。
「コウ兄、もしかして昨日のこと覚えてない?」
「昨日のこと……?」
……はて? というかよくよく考えてみれば昨晩のこと何も覚えてないんだけど。あれ、待って。本当になんも覚えてないんだけど。
「……その反応だと覚えて無いんだね」
「みたいです……」
図星をつかれた俺は、ゆっくりと首を縦に振る。
「もう。じゃあ今からあこが昨日あったことを教えるね」
「お願いします」
「まず、練習が終わった後りんりんとあことコウ兄でネットカフェに行ったのは覚えてる?」
「そこは覚えてます」
昨日の練習後、あこに誘われて燐子を含めた3人でNFOをやりにネットカフェに行ったところは覚えてる。
「その後、あこのこと送ってくれるって言って一緒にあこの家まで来たことは?」
「全く記憶にございません」
何も覚えてない。俺そんなことしてたのってレベルなんだけど。
「それで送ってくれた後ね、あこの家に誰もいなくてね……」
「つまり……そのまま家に上がらせてもらってってことだよね……」
「うん」
「よく分かったわ。とりあえずタイムマシンを探しに……」
そう告げた俺はベッドの隙間に頭を突っ込む。タイムマシンってのは、案外こういうところにあるんだよな……え、無い? 因みにこういうの天丼って言うらしいっす。
再び自問自答した後、冷静になった俺はあこの前に正座する。
「……で、俺はやる前に何か言った?」
「『闇の魔力を底上げする為の道を示す』って言ってた」
「あ……はい」
マジで黒い過去がご一緒なさってましたか。なんで……なんで出てきたのさ。しかも、堂々と嘘ついてんじゃん。
「でも、コウ兄はちゃんとその約束守ってくれたよ?」
「はい?」
「コウ兄のおかげで……あこは強くなれた気がする」
すいません、何を言ってるのか俺わかんないんですけど。
「だからコウ兄、もっとあこのこと強くして!」
「……え?」
そう言ってあこは俺に飛びつく。対する俺は、準備ができておらずあこに押し倒されるかの如く床に倒れる。
「今度はあこが上ね」
「……ッ?!」
頭の処理が追いつかないまま、俺はあこと体を重ね合わせるのだった。
以上あこ編でした。