紅い眼の男   作:ウィリアムターナー

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もう何書いてるかわからない。


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「私は、、、アストレア様のもとには帰れない」

 

そう、リューが言い出したのはダンジョンから脱出してすぐのことだった。

 

「リオン・・・?貴方、急にどうしたの?」

 

「そうだぞ、リオン。苦しいけど、みんなの事はちゃんとアストレア様に報告しなきゃいけないだろ?」

 

アリーゼとライラがそうリューを諭そうとするが、リューは止まらない。

 

「私は、、、あいつらが憎い‼︎憎くて憎くてどうしようもない!みんなを殺した奴らを、関わってる者全てに復讐するまでは治まりそうにない!」

 

それは悲痛な叫びだった。

 

「今の私に正義は、ない....」

 

「だから今の姿をアストレア様に見られたくない...」と呟く少女の姿は弱々しかった。

 

イタチは幼少時に戦争というものを見た。仲間が殺されたから殺す。そして相手も仲間ぎ殺されたから殺し返す。そうやって憎しみの連鎖が始まる。

 

一族もそうだった。虐げられている現状に恨み、憎み、大きな力へと変わっていき誰にも止められなくなる。『平和』を夢見た自分の理想とどんどんかけ離れていき、一族皆殺しへと走った。そして、最愛の弟へ自身への復讐を強いることで、最悪の犯罪者を討ち取った英雄にする事で憎しみに終止符を打とうとした。

 

愛情があるから憎しみが生まれる。憎しみの先には何もない。例え復讐を成功させたとしても得るものは何もない。生き方全てが狂わされてしまう。弟がそうだったように自身を見失い更なる闇に沈んでしまう。正しい道を進んでいくことを願っていたのに。

 

「リオン、やはり貴様は青二才だ」

 

イタチが思考にふけっていると今まで黙っていた輝夜がそう口にする。

 

「仲間が死んだのは、あいつらが弱かったからだ。仲間を失ったのは、私たちが弱かったからだ。誰かのせいにするなら、それは私たちのせいだ。ジュラこそ生かしておいてはならないと思い殺したが、それ以外の者たちは牢にでも入れておけばいい」

 

「訂正しろ、輝夜!」

 

輝夜の言い分にリューは激昂する。

 

「みんなが死んだのはジュラたちが卑怯な手を使ったからだ。みんなは弱くない。それにあんな『怪物』が出てこなければ誰一人死ぬ事はなかった。貴方のそれは、侮辱だ」

 

「確かに、奴らが卑怯な手を使わなければ、あんな『怪物』が出てこなければ誰も死ななかったのだろうな」

 

「ならば・・・・・!」

 

「だが、みんな死の覚悟を持ってあの場所に立っていた。この時代に闇派閥(イヴィルス)を相手にするという事はそういう事だ。なにより、私たちは冒険者だ。命以上に大切なことを求めてダンジョンに挑んでいる。貴様こそ仲間たちの正義を侮辱している」

 

輝夜は反論しようとするリューの出鼻をおり、鋭い眼で、冷然とした口調で言い放った。

 

「私たち程度の実力で、全てを救えると思うな」

 

リューの顔が苦しそうに歪む。

 

「いつか言っただろう、リオン?貴様の語る正義など都合のいい理想に過ぎないと」

 

「リオン、輝夜は言い過ぎだけど間違ってはいないわ。復讐がしたいのならしてもいい。でも、貴方の正義はこれくらいで無くなったりしない」

 

「っ.....!少し頭を冷やしてきます...」

 

輝夜だけでなくアリーゼにまでそう言われてリューは街へと消えていった。

 

「お前は何も言わなくていいのか?」

 

「アタシは以前にもぜーんぶ話半分で聞いとけばいいと言ってある。どんな答えを出すかはリオン次第さ」

 

黙っていたライラに声を掛けたらそう答えが返ってきた。

 

「ごめんなさいね。色々巻き込んじゃって。改めてお礼を言わせて。助けてくれてありがとう。私たちの本拠(ホーム)に招待してもいいかな?」

 

アリーゼが改めてお礼といっしょにそんな事を言ってきたので他に行くあてもなかった俺は【アストレア・ファミリア】の本拠(ホーム)であるという『星屑の庭』に赴くことになった。

 

 

 

 

 

「そんな事があったのね....」

 

目の前でアリーゼたちの報告を聞いてるのが彼女たちの主神であるアストレア様だそうだ。

 

イタチからすれば神がいるなど到底信じられない話だが、成る程、確かに普通の人間ではない圧を感じる。ここオラリオでは神がたくさん天界というところから降りてきていて、人間たちとファミリアというものをつくるらしい。神が主神()で人間が眷属(子供)というそうだ。

 

忍びの世界で言うのならば神は大名で団長は影、ファミリアは里なのだろう。人も目的もそれぞれで異なって運営されているのだろう。

 

「あなた、イタチ君だったかしら?まずはあの子たちを助けてくれてありがとう。それで、あなたには何の利もないことだけど、少しお願いしてもいいかな?」

 

イタチがこの世界について思考を巡らせてると目の前の女神はそう切り出してきた。

 

「リューの側にいてあげて欲しいの」

 

予想外のことを言ってきたので訝しんでいると

 

「本当は私が行くべきなのでしょうけど、これだけ同時に子供たちが死んだのは初めてで.今はちょっと私自身も受け止めきれてないから...」

 

その様子から言いたい事が分かったのかそう続けてくる。

 

「アリーゼたちはどうしたんです?」

 

言外にそれは自分の役割ではないと示したが、

 

「アリーゼたちはあの子たちの遺体を回収しにダンジョンに向かったわ」

 

あれ程の重傷からもう動けるとはと、この世界の医療に感心していると「それに、」

 

「リューとあなたはどこか似ている気がするから」

 

と続けられた。どう断ろうかと考えて

 

「俺は犯罪者だ。自身の器を図るために同胞を皆殺しにした。今回貴女の子供たちを助けたのは俺の気まぐれだ。思想はどちらかというと闇派閥(イヴィルス)とやらに近い」

 

「嘘ね・・・」

 

一瞬で見抜かれた。正確には全てが嘘という訳ではないのだが。

 

「なぜ嘘だと分かる?」

 

嘘だと断定してくるのを不思議に思い訊ねると「神に嘘は通じないのよ」と返ってきた。

 

「神である私を騙そうとしたのをチャラにしてあげるからリューをお願いね」

 

無茶苦茶な話だ。そもそも助けた恩があるのならそれとチャラだとも思ったが、そのお願いくらいなら聞いてもいいかと何故だか思った。嘘をつけないことにどこか安心したのかもしれない。生粋の嘘つきである、俺がだ。

 

「分かった。だが、どうなるかは分からないぞ」

 

そう忠告だけして俺はリューを探しに街へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満月の明かりも届かない暗い路地裏の闇の中にリューはいた。

 

「イタチさん、ですか・・・?」

 

その質問に「そうだ」とだけ返して口にする。

 

「復讐など止めておけ」

 

「っ.....! 貴方に...貴方に、私の何が分かるというのですか・・・?助けて頂いたのは感謝しています。しかし、貴方に私のことをどうこう言われる筋合いは無い!」

 

それは強い拒絶の言葉だった。しかし、

 

「復讐はお前に何も生まない。復讐によって生まれるのは新たな憎しみだけだ。それが連鎖して新たな復讐を呼ぶ。そこにお前の求めるものはない」

 

言わなくてはならない。そこに待っているのは争いだけだと。

 

「そんな事は言われなくても分かっている・・・!頭では分かっているのに心がそれを許さない‼︎こんな事では、正義なき私では、アストレア様にもみんなにも向ける顔がない」

 

苦しいのだろう。自分ではどうしようもないのだろう。だから、少し後押しをしてやる。

 

「別に憎むなと言っている訳ではない。お前は今、自分の理想の正義と現実との間で揺れ動いている。だが、何でも1人で背負い込む必要はない。そのために仲間がいるんだ。仲間を忘れるな」

 

「それに、神なんてものは恐らくそんなに多くのことを求めてはいない。お前の中で何かゆるぎないものを1つ見つければいい」

 

「ゆるぎないものを1つ.....?」

 

そう呟いたリューに「そうだ」と告げる。

 

「それさえあれば人は生きていける」

 

「貴方にはそれがありますか・・・?」

 

その問いに言葉が詰まる。昔はあった。サスケという何よりも大切なものが。今はどうだろうか?俺にはもうないのかもしれない。

 

「昔は確かにあった。今はどうか分からないが・・・」

 

「そうですか....」

 

「でも、少し心が晴れた気がします」

 

そう答えるリューの瞳には少しだが、確かに力が戻っていた。これならばもう大丈夫だろう。そう思い俺はリューの側から姿を消す。

 

「ありがとうございました」

 

移動する俺の耳には確かにその言葉が届いていた。俺がここまで力を貸すなんて妙な気分だ。もしかしたら『悪』を取り締まるという彼女たちの在り方にかつてのうちは刑務部隊を重ねたのかもしれない。

 

月を見上げながら俺はそう思った。

 

 

 




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