はたらけ!ブラックロドス   作:通りすがりのたかし

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仕事、残業、仕事、残業、残業、仕事、仕事、仕事、残業……。



第一話 初めてのお仕事

 鉱石病(オリパシー)。一度罹患すれば原石(オリジニウム)に身体を蝕まれ、やがて死に至る。その治療薬はなく、感染すれば確実に命を落とす不治の病。その脅威に対抗すべく日々働く者達がいた。

 

 

鉱石病(オリパシー)の治療薬を開発したい!感染者の待遇を少しでも良くしたい!

ロドスアイランド製薬はそんな志を共に出来る方を、キャリア、感染の有無問わず随時募集しています。最先端の医療環境と研究環境、そして良好な生活環境があなたを待っています。

ご連絡は担当アーミヤ(xx-xxxx-xxxx)まで」

 

 

 街を歩けばこんな求人広告が目に付くだろう。これは、そんなアットホームでホワイトな製薬会社(ロドス)の物語である。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「えっと……アットホームな職場って聞いてたんだけど?」

「もちろん、とってもアットホームですよ。何せここが今からあなたの家になるわけですし」

 

 疑うのも無理はなく、すれ違う職員(オペレーター)はみな一様に死んだ目をしている。案内をしてくれているアーミヤも疲れ切っているようで、今にも倒れそうだ。

 

「ちょっと待ってよ、じゃあうちには帰れないってこと?」

「お休みの日はもちろん帰宅していただいて構いませんが、住み込みの人の方が多いですよ」

「ええ……知らなかった……」

「えーと、基地の案内はこんなところでしょうか。何か質問はありますか、エクシアさん?」

 

 エクシアと呼ばれた彼女は、今日からロドスと契約を結ぶことになったオペレーターの一人。他にも何人かいたはずだが、この場にはいないようだ。

 

「いや、特にないかな。あ、でもひとつだけ。食堂のメニューにアップルパイはある?」

「アップルパイですか……。見かけたような、見かけなかったような。でもキッチンはオペレーターも使えますし、グムさんあたりに頼めばきっと作ってくれると思いますよ」

「それはよかった!じゃ、さっそく仕事に取り掛かるよ」

 

自宅と別れを告げることになろうとも、好物のアップルパイにまで別れを告げる必要はなさそうだと知ると、エクシアは元気に自分の持ち場に向かっていった。エクシアの初仕事は貿易所で金属の注文を取ってくることだ。もともとペンギン急便に勤めていた彼女からすればなんてことはない仕事である。

 少し前にアーミヤから案内を受けたばかりの基地を、まるで馴染み深い場所かのように迷いなく進むエクシア。さすがの方向感覚と記憶力だ。向かう先はB101区画にある貿易所。ロドスが出来た頃からある古い施設で、配置されるオペレーターもそれなりに経験を積んだ者ばかりである。

 早めに今日の仕事に取り掛かりたかった彼女だったが、聞こえてきた喧騒に思わず足を止めた。

 

「ああ!?もう限界だっつってんだ!!これ以上何をやれって!?」

「私はただ給料分の仕事をしろと言っているだけだが」

「ふざけるな!給料と仕事量が見合ってねえんだよ!」

「ふむ、私は()()()()()()()()()()額を払っている。君の働きが足りないのではないかね?」

 

どうやら給料のことでオペレーターの誰かとドクターが揉めているらしい。

エクシアは特に関わる気もなかったが、好奇心で少し聞いていくことにした。

 

「ああそうかよ!!じゃあ俺は今日で辞めてやる!!」

「なるほど辞職というわけか。確か君は家族と離別し、ロドス宿舎で生活していたな」

「それがどうした!サルゴンに戻りゃいくらでも働き口くらい……!」

「ほう、自らサルゴンの軍をやめてロドスに来たような者を再び受け入れてもらえるとでも?感染者の君が暮らしていけるだけの住居と就職先が見つかるとも思えんし、さらに言えば君の鉱石病(オリパシー)感染状況も芳しくない。ロドスで治療を続けられなければ死期も随分と早まるだろうな」

「ぐ………」

「辞めるのは君の勝手だがね、A6の連中はなんと言うかな?盾役は君しかいない、君がいなくなれば彼らも相当な苦戦を強いられるだろうなぁ。当然基地での仕事も然りだ。抜けた人員分の仕事は誰がすると思っている」

「ち、ちくしょう……」

「何を言う、君の方がよっぽど畜生らしい見た目じゃないか。はっはっは!」

 

とんでもなく下衆な脅しと苦痛の声が聞こえてきたあたりでエクシアは気分が悪くなり、見なかったことにしてさっさと貿易所に向かった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 激務。そう評して差し支えないほどの作業量をこなし、日はとっくに暮れていた。仕事を終えたエクシアと、同じ貿易所に配属されていたオペレーターたちは一緒に宿舎へ戻った。

 

「はぁ、つっかれたぁ〜〜!」

「お疲れさまー!今日も大変だったね……グムへとへとだよ」

「ああ、ドクターは本当にたくさん仕事を持ってくるよね」

 

たった三人で片付けるような量ではなかったが、やらなければ永遠に仕事は終わらない。エクシアが貿易所に着く頃には二人とも目を回しそうな程に働いていた。そんなわけでエクシアは自己紹介をする暇もなく、慌てて手伝い始めたのであった。

 

「ところで、まだお互い名乗ってもないよね?私はさっきも言ったけど、グムっていうの!」

「僕はスチュワード。術師だ」

「あたしはエクシア。今日ロドスに来たばかりの新人だけど、よろしく!」

「一日一緒に働いてたのに自己紹介する暇もなかったのか、僕たち……」

 

スチュワードが沈鬱とした様子なのに対して、エクシアは少し嬉しそうだ。

 

「ねえグム、料理が得意って聞いたんだけど、アップルパイは作れる?」

「もちろん!でもどうして?」

「大好物なんだ!あれがなきゃ生きていけないよー!」

「相当好きなんだね。僕もお腹空いてきた」

 

どうやら最初にアーミヤから聞いていた「アップルパイを作ってくれそうな人物」に初日から出会えたのが嬉しかったようだ。三人とも疲れて空腹だったこともあり、食堂に向かうことになった。しかし食堂に向かう途中でエクシアだけ呼び出されてしまった。

 

『PL03、PL03、ドクターがお呼びです。直ちに執務室までお越しください』

「PL03って、あたしのことだ!なんだろう?」

「早く行ったほうがいいよ!遅れたらロクなことにならないもの!」

 

グムに急かされ、朝方見かけたドクターとオペレーターの言い合いを思い出したエクシアは慌てて執務室へ向かった。心配そうな顔のスチュワードとグムを残して。

 

「大丈夫だといいんだけど……」

「ま、まあドクターも初日からそんなに……ね?」

 

 

 二人の懸念は的中し、エクシアは日付が変わる頃に疲れ果てた顔で帰ってきた。話を聞くと、執務室に到着するなり作戦記録を大量に見せられ、そのまま二戦ほど実戦に駆り出されていたらしい。初日でこれかと憂鬱な気分になりながらも、グムが作っておいてくれたアップルパイを食べてすっかり元気になったようだ。

 明日もきっとひどく疲れるんだろうな、ペンギン急便の方が楽だったかもしれない、などと物思いにふけりながら床に着くエクシアであった——。




いつもお世話になってます。明日も明後日も仕事はあるから安心してねみんな。
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