僕と騎士と武器召喚~another~   作:ウェスト3世

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 『僕と騎士と武器召喚』の平行世界の話です。
 設定を少し変えたので雰囲気も少し異なるかもしれませんがよろしくお願いします。


騎士の国

 中世までは日本ではなくヨーロッパの諸国が騎士の力を発揮する地域だったが、近年になり、その考え方は変わった。

 2000年代に入り、騎士の力を最も誇る国は日本となった。それは日本の国王でもあるカヲール二世による政策が理由だった。―――『試験召喚システム』だ。

 この『試験召喚システム』は簡単に言うと武器の召喚システムだある。このシステムを扱う場合、武器を召喚できる領域が必要となる。この王都フミヅキはもちろん、日本との同盟国には武器を召喚出来る領域、『試験召喚フィールド』が与えられている。

 しかし、このフィールドがあるから簡単に召喚出来るかと問われると、そう言うわけではない。武器を召喚出来るとはいえ、それなりの代償というものはある。

 それは試験だ。もっと厳密に言うと試験の点数だ。

 このシステムは試験の点数が高得点であればあるほど優れた武器を召喚出来るシステムだ。

 このシステムは実際世界中から高く評価されている。理由は『吸血鬼』に対抗するためである。

 吸血鬼は人間とはまた別の人種で、普段は世界の裏側に住むと言われているが、その裏側の世界はこの人間界の二分の一にも満たない窮屈な世界であるため、異世界をも征服する必要があった。それがこの人間界であり、何千年も昔から人間とは争い続けた。

 しかし、力の差は圧倒的なもので吸血鬼は人間より数はやや少ないものの、身体能力は人間の四倍にも至る。人間界は一度は吸血鬼に征服されかかったものの、今は再び人間がこの世界を支配している。

 フミヅキはそんな吸血鬼に対抗する為に世界中から優秀な人材が集められている。優秀な騎士となるために剣術や武術などをカリキュラムに入れたエリート校がフミヅキには多数存在する。それらの学校は年は関係なく入学でき、一年生二年生と言ったものは存在しない。国に認められた生徒のみが卒業できるという訳である。

 また、この学校に通っている間は『下級騎士』という身分で、卒業すると『中級騎士』、さらに国の重要な任務に関わるとなると『上級騎士』、さらに王族直々に使えるたった七人しかいないと言われる『国家騎士』で成り立っている。

 しかし、国家騎士というのは構成人数がたった七人しかいないというのもそうだが、国と国を繋ぐ重要な立ち位置にあるため、昇格できる者というのは稀である。

 そんな中で今日もフミヅキはこの制度に従い、生活を送る。

 カヲール二世が住まう王宮では王族の者だけが参加できる会議、『王議』が開かれていた。

 その中央に座るカヲール二世は報告書を見て、

「う~ん?九州で吸血鬼によるテロ?何、吸血鬼にやられてんだ、コラ、ハゲ。」

 いきなり報告者を睨んで怒気をはらんだ声で言う。確かにフミヅキは『試験召喚システム』により吸血鬼の対抗策は生まれた。だが、それで全ての国、地域が吸血鬼に対抗できるようになったかといえば、そういう訳ではない。

「ああ、いや…。その、すみません。色々とありまして…。」

 それでも報告者は申し訳なさそうにペコペコと頭を下げた。そして腰を徐々に低くし、最終的に土下座の体制になる。しかし、カヲール二世はそんな彼をギロリと睨んで、

「すみません?すみませんで許される程甘ったれた世界じゃない…それも失敗したのが国の重要任務に関わる上級騎士なら尚更だ。」

「はい、まったくもってその通り。罰として私の頭を踏んでください。」

「嫌だよ。何で私がアンタのハゲた頭踏まなきゃならない?」

 と、言葉で言っておきながら容赦なく男の頭を踏みつけるカヲール二世。髪がない為か、カヲール二世の靴の踵部分が直に当たっていた。そのため、とても痛々しく感じる。

「んで、次の報告は何だい?」

 するとカヲール二世の背後に立っていた男が一歩前へと出る。カヲール二世の側近、竹原だ。

 彼はカヲール二世が若い頃からの側近で、実質この国で次に権力がある者が誰かと問われたら間違いなく彼を指さすだろう。

「え~。では私、竹原から報告をしま……ブルェッッックショォオオオオォン」

 話す途中でくしゃみをする竹原。それにより出た鼻水がカヲール二世の顔面に思いっきりかかる。

 他の会議に参加している騎士達は、ブルブルと肩を震わせた。

「おい、お前わざとやったろ?」

 カヲール二世はギロリと竹原を睨みつける。

「え~、あ。この時期は花粉がとんでます。」

「んで?私にくしゃみをぶっかけたのか?」

「あ?事故だよ、クソババア」

 急に言葉が崩れ始める。

「言動が綻びてんぞ、おい。てか、それよりも報告しやがれ」

 竹原の言動が綻んだことに対してイライラしながらも、「チッ」と舌打ちをしてカヲール二世は報告を続けさせる。

「え~、王都に住むとある少年Y君が校舎の窓ガラスを割ったという事件はご存知ですか?」

「…何だ、それ?」

 急に政治の話から外れたせいかキョトンとした表情を浮かべるカヲール二世。そして報告はそのまま続けられる。

「あと、とある店の18禁コーナーで残り一冊しかないエロ本の争奪戦、女性の下着が盗まれた件に、町のとある店を手榴弾をうっかり落としたことで爆破した事件に、エロ本欲しさに一万円を偽造、さらには女子更衣室の盗撮…。これらのどの事件も同じ人間が関わっていると思われます。」

 ある意味で大した者だとカヲール二世は思った。そこまでの大馬鹿者は恐らく吸血鬼よりも問題視するほどの者だろう。

「誰だ、私の手を煩わせるその馬鹿は…?」

 すると、竹原は深呼吸してその犯人の名を言う。この王都を騒がせる、史上最強の馬鹿の名前を……。

 

 




 
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