fate/銀時も行くオーダー   作:ひとりのリク

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牢城災建帝国セプテムⅣ

 

ローマ帝国から出発して程なくして、マシュはカルデアへの通信を試みた。

 

「ドクター!ダ・ヴィンチちゃん!聞こえますか!?」

 

『うぇ?マ、マシュ!?やっと繋がった!急に通信が切れたから心配したんだ!見たところバイタルは正常か!』

 

呼びかけて数度、やっとロマニが応答する。

通信が途絶えたのは連合帝国による弊害だが、技術不足のカルデアが把握するのは先になるだろう。

モニターの向こうで鳴り響く警報音。次いでモニターに現れたダ・ヴィンチが声を荒げた。

 

『ちょっ…!マシュ、なにに乗ってるんだ!?

すごい魔力反応……これ、宝具だね?』

 

「はい、ロムルス王の宝具です。なんでも、あらゆるローマだそうです……って、今は説明の時間も惜しいのでした。聞いてください、定々についての情報です!」

 

『アルテラもいる…!?てか立香君なにしてんの?』

 

「銃口オオオ!銃口こっち向いてるんでエエエエエ!

引き金からアアアアアア!ゆび離してエエエエエエ!」

 

モニターを横に向けると、スタンドの火縄銃を掴んで振り落とされまいとする立香がいた。

 

「絶対に打たないでねエエエエエエエエエエ!!!!」

「ブッ殺ス……床屋!」

 

スタンドの表情からは殺意が滲み出ている。

その顔はまさしく宣教師。

 

「ていうか誰ほんと!?」

「先輩、ザビエルです!その顔はザビエルさんで間違いありません!」

「ザビエル!?なんでザビエルがスタンドになってんのさ!?」

「あぁ、それね。彼は徳川政権に恨みを持ってんだ。なんでも、床屋改革を早く施行しなかったことを根に持ってるらしい」

「いや逆恨み!」

「床屋改革ブッ殺ス!!!」

 

『…おーけー、ひと先ず状況報告といこうか』

 

通信が途絶えて数十分、混沌としたローマ帝国組に腹を抱えて笑うダ・ヴィンチ。このままでは埒が明かなさそうなので、連合帝国で起きたことから話し始めるのだった。

 

 

 

───

 

──

 

 

 

 

ザビエルにお帰り願ったあと、現状確認を行った。

 

「…………酷い。歴代ローマ皇帝たちの霊気を、江戸城に作り変えていたなんて。こんなこと、許されません」

 

『あぁ、銀時君たちも怒髪天だ。

………それにしても、定々の変わり身ときたか』

 

ダ・ヴィンチの苦い声を聞いて立香たちは嫌な予感がして、恐る恐る聞き返す。

 

「なにか問題が?」

 

『定々が変容した姿、ブネを解析したら七十二柱全てに定々の霊気反応を確認したんだ』

 

「ぜ、全員から?…それは、まさか」

 

『………七十二柱、全部が影丸ということだろうね』

 

────前提が崩れてしまう。

全部を倒さなくてはいけない、と。気の遠くなる現実に立ち向かっていたのは、定々を倒せるからである。

本体がどこにも居ないのでは、ローマ帝国を守る手段が…。

 

「どうすりゃ倒せる?」

 

モニターを通して、銀時が問いただす。

 

『単純作業さ。地下100メートルから引きずりだして、一柱一柱倒せば……』

 

「違ぇよ。定々本体の話だ」

 

『………分からない。ここに居ないなら、倒せない』

『ローマ帝国、連合帝国の全域にスキャンをかけて定々を探してる。だけど、見つかりそうにはない。

恐らくだが、この特異点に居ないね』

 

意味を理解……どうやって事実を読み込めばいいのだろうか。

これだけローマ帝国を荒らした男は、千里眼でこちらを観戦している。なにも傷を受けず、他人の痛みを理解しないで、人理焼却を完了させようとは。

 

「────くそっ、どうすれば」

「場を整える」

 

悔しくて漏らした言葉を、ロムルスは拾った。

 

「えっ…?」

「ローマの全てで、迫る六十二柱を閉じ込める。あとは、その刀で本体を斬るのだ」

 

まだ手段は……定々を倒す方法があるということだろうか?

俺も、マシュも、いや…定々を知る者以外は分かっていない。

 

「難しいことは一任するぜ。

だから、俺らの国の後始末は任せろ」

 

銀時が笑う。ロムルスがモニター越しの声に頷く。

作戦を伝えてもらう暇はない。俺の目にも見えてきた、ブネ六十二柱の大進撃。悠長な時間はないから、2人を信じて、俺に出来ることを探すことに徹する。

 

「ここからは(ローマ)を示す時間だ」

 

荒野にて、ローマ帝国の存亡を賭けた、第二特異点最後の戦いが幕を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ローマ帝国へと向けて進撃するブネ、六十二柱。

 

その保有者、徳川 定々は実のところ、連合帝国に残した十柱と合わせた七十二柱全てを消されても本体にダメージは入らない。何故なら、ブネを提供した”首謀者”の玉座に、徳川 定々の本体は保管されているからだ。

 

「鴨太郎め……真選組を喚ぶなどと小癪な真似を。一度ならず二度までも、国家の父を国家の犬が噛み付くか」

 

苛立ちを込めて呟いた。

定々は当然のように千里眼を使い、無駄な抵抗を始めた真選組を蔑む。この調子では連合帝国に残したブネは残し損だ。

 

「まあいい。全てのブネが消滅したとしても、また量産するだけのこと」

 

そう、想定外の対処に不満を残しながら、斬られた右腕を再生させながら呟いた。

本来なら七十二柱に分裂する予定はなかった。江戸城を一柱のブネへと変容させて、地上を呪いで満たすだけで終わるつもりが……銀時の使う刀のせいで御破産だ。

 

”最後の王”。

徳川幕府を終わらせる”概念宝具”の名を思い浮かべる。征夷大将軍ならば、見ただけであの宝具の特性を理解する。()()()()()()()()()()()、斬られれば玉座て物見遊山を決め込んでいる本体すら容赦無く斬られることを知っている。

 

だから七十二柱に分割した。将軍家が代々抱えてきた将軍の身代わり、”影丸”を。

そうすれば、身体の一部が傷つくだねで済むから己の霊気までは届かない。霊気が無事なら再生が出来る。そうして何度でも別の特異点に乱入し、いつか”最後の王”を砕けば定々の勝ちは約束される。最悪の醜悪っぷりを買われた男、徳川 定々に許された暴挙だ。

 

「直ぐに目にものを見せてくれる。

()()()()()()。サーヴァントとして、貴様らを殺し尽くして我が世の春を楽しむのだ」

 

笑う定々は油断していた。

七十二柱に分ける作業に移ってから、ローマ帝国を視ることを止めていた。視えないなら視るまでもない、という理由で。

 

 

「────なんだ、あれは」

 

 

ローマ帝国を視た定々は異常事態に気づく。

ローマ帝国が視えた。しかも、大地が荒れに荒れている。アルテラの仕業かと思うが、すぐに違うと分かった。地面の抉れはローマ帝国の外、連合帝国へと伸びている。

 

大地が割れた痕を追う。

追って、追って、直ぐに見つけた。

 

進行方向から迫る壁……帝都ローマの(いかり)を。

 

「ロムルスか……!」

 

ロムルスの宝具が解放出来ているのは納得がいく。

きっとカルデアのマスターと契約したからだ。

そうじゃない。ロムルスは定々の死因を……()()()を知っている。地下100メートルを進む定々を閉じ込めようと、宝具(ローマ)を左右に展開している時点で牢城を作ろうとしているのを理解した。

 

「ロムルス、貴様がなぜ()のことを知っている!?」

 

ロムルスの意図に気付いたが、もう遅い。

 

サーヴァントである以上、逸話や生前の死が付き纏うのは当然のこと。一見、無敵に見えるサーヴァントも逸話は誤魔化せない。

アキレウスのアキレス腱、ガウェインの日輪のように生前の逸話が弱点となり強みとなる。

徳川 定々には暗殺だ。

銀時たちによって牢屋に投獄された定々は、高杉 晋助の手によって暗殺された。普通の聖杯戦争なら使い所の無い最期も、こと今回は絶大な威力を発揮する。

 

定々の影丸を牢に入れて、霊気を破壊する。

定々が死んだ牢ならば、()()()()()()()()()()()()

 

即ち、対徳川家概念宝具が無くとも定々を殺せるのだ。

 

「ふざけおって……そうか、辰五郎だな。あんの異物、隠れて入れ知恵しおったかァ!」

 

定々は理解した。

事実、瀕死の辰五郎が銀時に”最後の王”を渡した夜、その足でロムルスの元に出向いたのだが、定々に知る由はない。

 

それに、七十二に分割したブネ全ての消滅が必須。

 

「いざとなれば、ブネを────」

 

切り捨てればいい。

首謀者への説得には苦労するが、定々の宝具がある限り利用されるのだ。

隠し球がある。死にはしないと、悪辣な笑い声を噛み殺す。

 

自らの勝利は揺るがないと、いつまでも嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茂る草木、昇る大樹、栄える水の都。

世界の全てが過去を尊び、全ての現在(いま)を愛し、全ての人類の未来を望む国。

ローマのスタンドたちが協力して紡ぎ出し、ロムルスの宝具として実現したローマ帝国。

 

『ぶ、ぶつかる!衝撃に備えて!』

 

凄まじい轟音を大地に広げて、魔神柱ブネの大進撃に同じ速度で衝突した。

 

「………あれ、あんまり揺れない」

「ローマならば当然のことだ。大丈夫、目を開けなさい、破壊神を退けたローマたち。

今度は我らが、民に未来を示す時だ」

 

立香がゆっくりと目を開ける。

 

それは、ローマの全てだった。

過去のローマを地下に敷き、左右に現在と未来のローマを展開する。地下と地上、ロムルスの宝具は定々を閉じ込めるまでローマの繁栄を止めはしない。

いいや、閉じ込めて、定々を倒してもローマは終わらない。終わらせないのがロムルスというサーヴァントだ。

 

『こ、これがローマ帝国…!

地上30メートルの壁が出来上がって、地下に300メートル弱の国土が出現している!左右に1キロ広がったものなんか、そのままブネを囲んだぞ!!!

なに言ってるか分からない?僕もだ!!』

『これを生み出せる時点で神霊の域に達してるぜ?

なのに短距離だけでも国を自走させてブネにぶつけるとか……霊気を損失したなんて信じられないな!』

 

荒野のど真ん中、世界で最も贅沢な牢に閉じ込めた六十二柱のブネを見て興奮する。

 

「ま、魔神柱ブネの侵攻停止を確認!」

 

マシュの盾では到底防げるものじゃなかった。ロムルスがいてくれて心から安堵するほど、この牢は心強い。

だが、問題は残っている。

 

「あの中に行くのは自殺行為です!」

 

地上に顔を出した約三十柱。

 

目下、地面が弾け散る。

 

凝視した壁が爆ぜた。

 

敵味方なんて関係ない。

無作為に、激怒を見たものにぶつけているだけだ。法則なんてないから見切ろうだなんて無駄。マシュが自殺行為だと警告したのは正しい。一柱ずつ倒そうとするなら遠距離攻撃が必須。

 

「ドクター、銀さんたちは?

ジークのバルムンクじゃないと倒せないよ!」

 

『ジーク君がファヴニールに転身して向かってる!

あと30秒だ、それまでは退避してほしい!』

 

「了解!」と返事をしてマシュと後ろに退がる。

 

表に現れたのは三十柱だけ。残りは虎視眈々と脱出の機会を伺っているのだろうか。

 

「この牢とて永久ではない。タゴサク、スタンド(ローマ)はどこまで力を貸してくれる?」

「不味いな…あと1分保たない。地下で暴れてるブネのせいで、ローマの修復に魔力を割いてるせいだ」

 

ロムルスの言葉に考える思考が止まる。

…1分以内に、六十二柱を倒し切れってこと!?

 

「ど、どうしよう!?

1秒に一柱でも不可能に近いんだけど…」

「ロムルス王、攻撃手段はなにかないのでしょうか」

 

絶望的なんて話じゃない。

火力も、手数も、時間も、なにもかも足りない!!

不可能な事態に頭を抱えたとき、ロムルスは俺とマシュの頭を撫でて。

 

「ならば心配ない」

 

我々は勝利する、と言い切ってみせた。

建国王に二言はないと背中で語っているけれど、慈しみに満ちていた瞳にかげりが現れている。魔力が底を尽きかけているのも本当なんだ。

どうする?そんなの、俺に出来ることは1つしかない。

 

「ロムルス王、俺と契約を────」

 

サーヴァント契約を持ちかける言葉を遮って、ロムルスは高々と背後に呼びかけた。

 

「この程度ではローマ帝国には肉片1つ届きはしない。そうだろう、茂茂」

「その通りだ、友よ」

 

伊東たちの忠告を聞いて、仙望郷に潜んでいた茂茂が姿を表した。

 

俺は、いま自分がやるべきことをやっと分かった。

ロムルスたち…王様の道を見届けることなんだと。

 

「いまは貴方と過ごした時間も、貴方が犯した生前の罪も覚えてはいない。余が問う罪は友の国を貶めたこと」

 

幾つものローマを踏みにじってきた王へと、全てのローマを愛する王の友として茂茂は江戸の法を握り込んだ。

 

「徳川 定々、貴方には罪を償う義務がある。

隠れていては始まらない。どうかこの場に御足労願う」

 

ローマの壁際に立って、人間ではなくなった血縁者に呼びかける。茂茂はまだ願っていた。己に勝て、と。最後に1つでいいから、人間に歩み寄ってほしい。

茂茂の想いに対する返事は、ブネによる呪いの視線。

 

「させません!」

 

マシュの大盾が呪いを防ぐ。

 

「……残念だ」

 

江戸の法を振りかざすと決めたのは、茂茂の我が儘でしかない。ローマを荒らし、貶した者への処遇としては軽いのだ。

それでも、定々はなに1つとして茂茂の言葉に理解を示さなかった。

 

もう、温情はかけられない。

 

「茂茂の影丸を”置いてきた”。定々、貴方の霊気に」

「────は?」

 

突然の告白に定々の思考が止まる。

 

徳川家歴代将軍が有する宝具の1つ、”影丸”。

 

定々の影丸の位置、状態を定々が把握出来るように、茂茂もまた茂茂の影丸の位置、状態を把握している。

この特異点の外、どこかに存在する玉座で物見遊山を決め込む、定々(ほんたい)のことも。

 

「悪魔に魂を売ろうとも、貴方を江戸の法で裁く。

それが余に課せられた責務。茂茂の最後の償いだ」

「────視えているのか!?」

 

彼方のソラへと顔を上げて、定々の視線に合わせた。

 

「”影は番えぬぞ、友よ(かげまる)”。茂茂の友を助けてほしい」

 

真名解放と同時にブネへと降り注ぐ光。

茂茂の影丸の生涯、その想いを込めたソレが定々の影丸へと届く。

 

最期に、()()()()()()()()()()()()

ならば、()()()()()()()()()()()()

 

友の肩書きを、”ただの人に戻す”ために。

 

「こ、こは………なぜ貴様らが…?」

 

逡巡の決断は下った。

ひと時、定々の影丸は仕事を放棄する。

 

七十二に分割された霊気を残さず掻き集め、茂茂に最も近いブネに結合した。漸く自らの霊気を取り戻した影丸は自我を取り戻し、遠い神殿から嗤う男の意識を喜んで茂茂に差し出したのだ。

 

「う、嘘だ……ふざけるでないぞ!

私は今の今まで、玉座に居たではないか!!」

 

これは可能性を示す宝具。

相手が拒絶すれば通じない道理。

だが、定々の内側で待機している茂茂の影丸がそうはさせない。拒絶の意思を見せる定々を取り押さえ、茂茂の声に応じたのだ。

 

「そんな宝具を影武者如きが認可するなど…。

生前の恩を仇で返すか、御庭番どもがッ‼︎‼︎」

 

哀れな男だ。

元より、この特異点で定々の味方は1人もいなかった。

影丸を含めて、定々は全てが敵でしかなかった。

 

『定々の霊気が1つだけになった。これが本物だ!』

 

ローマの牢に現れた定々の霊気。

神殿にも存在する定々だが、茂茂の宝具によって強制的にパスを繋がれた状態となる。これではブネとの接続も解除できなくなった。

 

「し、茂茂風情が……!

もういい!地下に潜ませたブネを爆発して…」

 

地下100メートルで待機させていた三十二柱のブネ。

これを全て自爆させる。一柱一柱がA級サーヴァントの魔力を貯蔵する魔神柱なれば、その数の爆発だけで立香たちを殺すのは可能と踏んだ。

 

星の涙(ティアドロップ)────」

 

聞くに堪えない声を遮る、破壊神の怒り。

 

高く跳び、宙から地下を見下ろして、狙いを定める。

地下でたった今、三十二のブネの爆発を確認する。

 

「アルテラ!?」

 

地下の轟音に気付いても、立香はアルテラの名を呼ばずにはいられない。彼女が跳び立つ直前の声を聞いたから。

「辰五郎との約束を果たす」

そう告げたとき、彼女が自滅を厭わないことを知った。

 

もう止める隙間はない。

これまで好き勝手に暴れてきた破壊神は、遥かソラへと向けて真名を解放したからだ。

 

軍神の剣(フォトン・レイ)!」

 

これより天から降り注ぐのは神の権能。

アルテラの剣に向けて放たれる神の怒り。

然し、これを操作する力は残されていない。

否、万全の状態ならば辛うじて放つことが出来るだけ。

 

「────これでいい」

 

破壊を受け止めたバカの顔を思い出して、笑う。

 

ソラが開く。雲が裂ける。

怒りを束ねた光が一筋、地上へ向けて解き放たれる。

目視した時、既に光はアルテラへと降り注いでいた。

 

神の一撃を以て、三十二柱の災害級の爆発を相殺してみせた。

定々の宿るブネを敢えて遺して。

 

「バカな馬鹿なばかなアアア!?」

 

醜く悲鳴を上げて、地上に残った十柱ばかりのブネの統率も忘れて定々はローマ帝国に背を向けた。

 

その先に待ち受けるのが────

 

「テメェがいそいそと集めてた骨子はローマが良いんだとよ。生前(まえ)も、現在(いま)も、作ってたのは自分を裁く法らしい」

 

自らの天敵だとも知らずに。

 

「白夜叉!いつの間に…」

「周り見てみろよ。俺の仲間、全員で気持ち悪いバケモン相手にしてるぜ」

 

銀時に言われて、漸く周りを見た。

ローマ帝国の上にいた立香やマシュ。

振り払ったはずのファヴニールやネロ。

全員が残りのブネへと武器を取り、混乱するブネへと突撃していた。

 

「こうして、俺とサシにするためにな。

そろそろ閉廷にしようや。判決の刻だ」

 

助けは望めない。

殺す側から再び転落したことを理解する。

 

「そうだな、罪状は……皇帝侮辱罪。それと」

「────待て、頼む」

 

命乞いにも続かない喉。

ここで、”最後の王”で斬られてしまったが最後、2度と舞台に戻ることは叶わない。2度目の終わりを目前にして、声が掠れる。言葉を編み出せない。

 

「地獄からの脱獄罪で現行犯逮捕だ」

「あ、あ────」

 

銀時は駆ける。

刀を抜いて、人でなしの始末をつけるために、肉柱に刀を振り放つ。

 

「地獄へ戻りな、化け狸」

 

徳川 定々の肉体を容赦なく斬り裂いて、霊気から概念まで、伸ばしていた幹を全て断ち切った。

 

地獄へ落ちる?

それは生ぬるい。地獄へ行けばやり直しが効く。

徳川 定々は地獄ではない場所に連れていかれる。

 

復活という可能性すら断つのが”最後の王”の切れ味だ。

 

 

 

 

 

 

 

 








ザビエルに定々の脳天ブチ抜かせるか迷いました。

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