オルガマリーのあとを追った銀時が戻ってきて数分。
不安が拭えない面々のもとに、何事もなかったと態度で言うようにオルガマリーは戻ってきた。
「待たせたわね」
本当に大したことはない、と思わせてしまうほどに彼女はケロっとした表情で言う。数十分前の荒れ模様はどこへ行ったのか。事実を知る銀時にロマニが問いかけるが、「知らね」と鼻くそを飛ばして返事をされる。ロマニ、そしてマシュにとって、オルガマリーの不機嫌を宥めるのが容易ではないことを知るからこそ、銀時の手腕が桁外れでいることを理解した。
彼らの困惑を気にせず、カルデアの方針を問う。
ロマニの報告、対応を確認し終える。
「概ね異論はないから、この特異点を修復するために聖杯戦争を終わらせるわよ」
要点を掻い摘み、結論を出して指針を定めた。
ここまでで嫌味の1つあっても仕方ないと覚悟していたロマニは肩透かし。マシュ、立香はスムーズな方針に意気込み、銀時とキャスターは肩を回す。
「やーっと出番かよ。街ん中じゃ骨、寺に行きゃ変な骨。もう魑魅魍魎は飽きたぜ」
オルガマリーはマシュに寄り、なにか言葉を伝える。
キョトンとしたあと、マシュは慌ててなにかの準備を始めた。
右手を腰に当てて、左人差し指を銀時に向ける。
「そのためにも先ずは、坂田 銀時。
貴方はサーヴァントを召喚しなさい!」
「サーヴァントの召喚って、さっきロマンが言ってたやつか。なんだっけ、まどマギ召喚すんだっけ?」
『違うから!脚本的にも、絶望度的にも通じるものはあるけど僕が好きなのはマギ☆マリだから!!
僕は現実のアイドルにも、空想の魔法少女にも裏切られたくない!理想を追い続けていたいんだよ!』
「煩いわよドルオタ!!使えるもんならなんでも使うの!アンタのせいでマギ☆マリが召喚されたら絶望されてでも周回させてやるから!」
『周回させるってなに!?え、もしかして全体宝具で実装が決まってるのかな?…………ちょ、無視!?』
あのバカはほっときなさい。
オルガマリーは呆れ気味にロマニを無視し話を戻す。
「本来の聖杯戦争なら7騎以上は召喚できなかったでしょうね。けど、ここは既に聖杯が在るだけの別のモノになっている。なら私たちカルデアがシステム・フェイトを使ってのサーヴァント召喚は行えるはずよ」
肝心の銀時はオルガマリーの話を途中から聞いていない。
「それに、キャスターとマシュだけだと不安じゃない。サーヴァントから身を守ってもらうためにもう1騎は確保しておきたいわ」
事態の深刻さ、そして圧倒的な人員不足を考慮した提案。迅速な判断に周囲は拍手を送る。
最もな理由を述べるその裏腹には、ボッチだから新人を入れておこうという魂胆があったりする。
「所長、サークル設置が完了しました!いつでも英霊召喚行えます!」
「マシュが見つけた龍脈にサークルを設置させたから、アナタが召喚しなさい」
「おいおい、魔法だか魔術だか知らねえ素人にやれんのかよ?下手すりゃ召喚失敗して、痛い年頃が漫画のカッコいいセリフ言ってるだけにしか見えなくなるんじゃねえのか?」
「それはそれで良いじゃない。カルデアベースにしっかり保存してあげる。
けどそうね、失敗するかどうなるか分からない。召喚には本来、特定の英霊を呼び出すために英雄の聖遺物が必要なんだけど。そこは運よ、覚悟決めなさい」
手段が他にない故の開き直り。
少しは躊躇う判断も、いまのオルガマリーが即断即決する邪魔になりはしない。
「ったくよお、こーいうの柄じゃないんだよ。アレだろ、ガチャとかいうの。銀さん、ギャンブルでもやってるのパのつくやつだから」
「ちょっ、不安になること言わないでくださいよ……」
「おい坊主たち、サークルの右下になんか書かれてっぞ」
『サーヴァント:SSR0.1%、SR0.5%、R1%
礼装:SSR0.4%、SR1%、R97%』
※なお触媒により触媒対象英霊の排出確率2倍!
「いや確定じゃないんかいイイイイイイ!」
そこには型月廚も真っ青のサービス終了まっしぐらな数字が表示されていた。希望の光である召喚陣が地獄の門にしか見えなくなっていく。
「これは、いったい…」
「まあ、場所と状況がこんなんだからな。おおかた、ディ○イトワークスが不具合でメンテナンスを失敗したってところか」
「やはり元凶はディ○イトワークスでしたか…」
「いや、そんな規模じゃないと思う」
10連SR確定どころか、SSRの確率を下げる鬼畜仕様。
正義の味方もあったものじゃない。
「キイイイイイイイ!(猿声)」
ただでさえ瀬戸際でのギャンブルをしようというのに、運営の不具合によって戦力強化すらも怪しくなる始末。オルガマリーはこの世の理に堪らず頭を抱えて発狂した。
「まあ騒いでも仕方ねえ。少しでも確率が上がるってんなら、触媒を用意するしかねえよ」
『えぇ!?銀時くん、触媒があるっていうのかい!?』
銀時は自信満々にロマニへと向き直り、ポケットからあるものを取り出した。
「さっき拾った石」
ロマニ含めたカルデア職員が不安と絶望に打ちひしがれる。オルガマリーなど声も上げなくなった。
「その石よりこっちの方が良いと思う」
時代に不釣り合いな、鉛玉の無い弾を取り出す立香。
なにを思って拾ったのか理解できず、オルガマリーはついに足に強化の魔術をかけるや。
「お前ら触媒舐めんなッ!!!」
「しょうじ!?」「ソルトリバァ!?」
瞬時に渾身の蹴りを放った。
頭から落ちる2人をよそに、マシュが遠慮がちにオルガマリーに声をかける。
「あ、あの…!」
「マシュ、まさかアナタもおかしな物を持ってないでしょうね…?」
マシュもあちら側に行ってしまったら本当に終わると思いながら振り向く。
すると、マシュはいつの間にか両手に抱えていた光り輝くソレを差し出す。
「この『
そう、エクスカリバーである。
fateを知る者が見てきたあのエクスカリバーを手にしていた。
一同が押し黙るなか。
オルガマリーは震えながら退け反り、そして上半身を勢いよく起こして目を爛々とさせ叫んだ。
「それっ!!!ソレッ!!!絶対にそれよ!!!
これ以外あり得ないでしょ!?これアーサー王呼ぶやつじゃない!だってfateの顔だもの!」
勝利は目前にありき、と言わんばかりのテンション。
エクスカリバーがなぜあるのか。
そもそも、なぜそれをエクスカリバーと言えるのかはどうでも良い。
なぜなら、ここにエクスカリバーがあるのだから。
「いやいやマシュ、流石にエクスカリバーはないって。こんなところにエクスカリバー落ちてたら勇者が拾って事態収束させるから」
「うーん、邪神とかその類を呼びそうな気がする」
起き上がってきた2人が意見を言う。
しかし、マシュの頭上には、地面に突き立つエクスカリバーを目を輝かせながら抜く姿が浮かんでいる。サークル設置のときに見つけたらしいソレをオルガマリーが無視するはずがない。
「いや勇者でしょ!?マシュ拾ってるじゃない、見なさいよ回想シーン!軽々と抜いてるわよ、これおもっくそ選ばれてるじゃない!伝説始まってるわよ!!!」
「馬鹿野郎、俺が召喚すんのにマシュが選ばれてんじゃ意味ねえだろうが」
「少なくとも石ころや弾もどきよりマシよ!!!」
ぎゃいのぎゃいの、触媒の言い合いで収拾がつかなくなっていく。
マシュとロマニ、キャスターがそれを見守っていると。
ころり。
ころころ。
まあたいへん。
銀時が手に持っていた石がサークルへと転がり落ちたではないか。
「「「「あ……」」」」
サークルはそれを触媒と見做し、ようやくその役目を果たすために回転を始める。希望のはずが、オルガマリーにとっては死刑宣告を言い渡された気分となる。
「ちょ、まって……!!」
手を出して止めようとするが、ときすでに遅し。
サークルの輪は見る見るうちに収束した。
光が弾け、魔力が記録を形作る。
記憶を構築し、心を灯し、召喚は奇跡を紡ぐ。
「なにやら不都合があったみたいだが、もし望まない形での召喚なら……本当にすまない」
礼装などという扱えるか分からないものではない。
言葉が聞こえ、足音が鳴ったとき。オルガマリーの不安は払拭され、へなへなと尻餅をついた。
そこには確かに、英霊が立っていた。
アーサー王ではなくとも、間違いなく英雄のような冒険譚を知る、1人の青年が凛とした瞳で一同を見渡す。
最後に、周囲の燃え盛る街を確認し、人類の危機に立ち向かうことをマスターである銀時を見て宣言する。
「ジーク、召喚に応じ参上した。
いまの俺がどこまで役に立てるかは分からないが、自分に出来ることは任せてほしい。
どうかよろしくお願いする、マスター」
・分岐イベント
1.銀時の拾った石→ジーク
2.立香の拾った弾→エミヤ
3.マシュの拾った
※アルトリアの召喚はランダム仕様となります。サイコロ振って、出た目のアルトリアを輩出。召喚されるアルトリア次第では特異点のボスが変更されます。
え、それじゃあ触媒の意味がない?
アルトリアが増えすぎなんだよ(暴論)
特異点冬木の後半は今年度中に仕上げます。
気長にお待ちください!
感想いつもお待ちしてます!
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(両方)かまわん、やれ