皆城椿は虚無の申し子である   作:仙儒

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皆城椿ちゃんを先にやると言ったな…あれは嘘だ。

書いてたら筆が載ってシマウマ。


苦痛

 ―――これが、最も希望に満ちた最良の未来。

 

 ()()()()()愛しい人は、力なく樹海の根に体を預けている。

 

 

 ―――存在が消える恐怖。痛みの後継、か。ボクは父さんではないんだけどな。……怖いか、ニヒト? ()()もだ。

 

 

 その光景に啞然としていると、綺麗な結晶が生え始める。その結晶が愛しい人を飲み込んでいく。

 

 

 ―――ハハッ、わかっていたさ。ボクの一人相撲だってことは。………まぁ、無理もない。人でない者が人間の真似事をしたんだ。嚙み合う訳が無かったのさ。でも、それなりにちゃんとできてただろ?

 

 

 ゆっくりと、だけど確実に体を覆っていく綺麗な若葉色の結晶。

 

 私は彼の頬に触れる。

 

 

 ―――罰が、当たったな。

 

 

 目の前がぼやけて彼の顔が良く見えない。それでも、必死に何かを伝えようと胸の中の言葉を叫ぶ。

 

『そんなことない! 貴方は何も、悪いことも罰される事も……!』

 

 私の声とは違ったような気がするけど、今はそれを気にしてる余裕はない。

 

 

 ―――あるんだ。彼女たちこそ、この世界の誰よりも幸せになる資格……いや、義務がある。その幸福を嚙み締める、()()()()()()()()()()

 

 

『っ!』

 

 出て来た言葉に思わず返す言葉を無くす。

 

 自分はヒトでは無いと自傷気味に口にした愛しい人は、人間として当たり前のこと(感情)をあってはならない事と否定する。

 天の神の祟りを受けて、人に言えずに苦しみ、皆の為ならと追い詰められて悲壮な覚悟を決めた()()の顔と重なる。

 

 だから、友奈に言ったように伝えようとする。”それは、仕方がないことだ”と。むしろ、”世界の方が間違っている”のだと。

 

 なのに、なのに! どうして口が動いてくれないの!

 

 嫌! 見たくない! 椿先輩(愛しい人)の絶望と恐怖、そして、諦めが閉ざすその顔を。

 

 ―――ずっと、謝りたかった。でも、それを問いかける勇気を持てなくて。何でオレを責めなかったんだ! 何でオレが憎いって言ってくれなかった! 問いかける勇気を持てなかったからかっ! ……怖かったんだ。母さん達に敵意を向けた自分自身が怖かった。だから逃げ出したんだ! 母さん達はオレを怒ってるんだろう? オレが憎いんだろう? だから、苦しんで。……せめて、利用価値が無くなってから死ねって、そう言いたかったんだろう!

 

 私には彼が何を言っているのか聞き取れなかった。ちゃんと大声で、今までに一度も見たこともない魂の叫びが、助けを求める肝心な言葉が、私には聞き取れない。

 

『違っ、違うの! ……ごめんなさい。全部、全部私達が。いいえ、私が悪いことなの』

 

 

 ―――……父さん、迎えに来てくれたのか? ()()、頑張って生きた。人間として、最後まで。今、そっちに逝くよ。

 

 

『待って! 椿ちゃん! お母さんが全部悪かったから! だから! だから……逝かないで!! もう、閉じ込めないから! もっと優しくするから! もう、怖い思いをさせないから! もっと、ハンバーグカレー作ってあげるから! だから、だから!』

 

『『『『椿(先輩)(さん)!!』』』』

 

 防人達に、西暦の勇者達と、神世紀の勇者達が駆け寄ってくる。その中には()()()()()()()。じゃぁ、この光景を見ているこの私は()

 

 そんな疑問に構う余地を与えてくれない現実。

 

 

 ―――その声は……皆の声か。そこに、居るのか? 心配するな。先に逝くだけだ、少しだけ。

 

 

 少しだけ顔を皆の方に向けて言う椿先輩。

 

 結晶が首まで迫っている。

 

 

 ―――100年先で、とびっきり長い幸福な土産話、待ってる。

 

 

 そう言うと、目をゆっくりと瞑る椿先輩。

 

 何か声をかける時間すら与えてくれず、一気に残っていた顔全体が結晶に覆われる。

 

 パリンッ、ガラスの割れるような音だけを残し、結晶が砕け散る。

 

 それは、宛ら小さな線香花火のようで。儚く、とても幻想的だった。

 

 

 ……椿先輩の着ていた衣類と靴、若葉色の結晶以外何も残らなかった最後。

 

 私達は遅すぎたのだ。

 

 皆のむせび泣く声、行き場のない慟哭が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!!!」

 

 荒い呼吸、バクバクと暴れる心臓。そして、見慣れない……いい思い出のない景色。

 

 周りを見渡す。

 

 薬品と消毒の臭いがする。

 

「ここは………病室?」

 

 汗で肌に張り付く患者服を見ながら、何故、こんな所に居るのか思い出す。

 

 確か―――、

 

「目が覚めた? ()()()()()。こう聞くのも可笑しな話だけど、大丈夫?」

 

 かけられた声の方に向くと、そこにはそのっちが心配を孕んだ複雑な顔をしている。

 

「そのっち?」

 

 一度は忘れてしまったけど、大切な親友の顔を見間違うはずはない。

 

 だけど、目の前の人物はその大切な親友と断言することが出来なかった。

 

 言葉にできないけど、決定的に何かが違うと感じる。

 

「………どうしたの。想いは口にしないと伝わらないよ? クロッシングしててもね」

 

 ()()()()()な瞳が私を見つめている。

 

 心なしか、窓から差し込む日の光によって淡く輝いているようにも見える。

 

「貴方は誰? そのっちをどうしたの」

 

 口に出た攻撃的な言葉。

 

「それには、皆が来てから話すね」

 

 苦笑いしながら彼女は「行くね」と言って病室から一旦出ていく。

 

 混乱する頭で、状況を整理s…。

 

「東郷さん! 大丈夫!?」

 

「友奈ちゃん! ええ、大丈夫よ」

 

「良かったよ、本当に…」

 

 すぐに友奈ちゃんが入って来て、整理する時間が無かった。

 

「………東郷は、大丈夫みたいね」

 

「ええ、風先輩。心配をお掛けしました」

 

 続いて入って来る風先輩にも挨拶をする。取り繕えていない暗さが表に出ている。

 

「そう、よかったわ。一応、サプリ。持ってきたわ」

 

「飲み物買ってきましたよ。長い話になるそうですから」

 

「ようやく起きたか、須美」

 

 そう言って、風先輩の後から夏凛ちゃんが煮干しとサプリの入ったビニール袋を渡してきて、樹ちゃんと銀が全員にジュースを配る。

 

 その光景を、いつの間にか閉まった扉に背を預けたそのっち? が微笑ましそうに見ている。

 

 ひとしきり挨拶を終えて、そのっち? に問いかける。

 

「それで? 園子。話って何なのよ?」

 

 私が問いかける前に風先輩が疑問を口にする。如何やら彼女が皆を集めたらしい。

 

「その前に、()()()()()の症状について説明するね」

 

「急にのた打ち回ったって奴?」

 

「のた打ち回ったって、お姉ちゃん…」

 

 風先輩は後衛の私からは離れた位置にいて、私のことを知らなかったらしい。

 

 流石にその言い方に、樹ちゃんが苦言を呈しているが。

 

「……それ以外にもだよ。日常からソワソワして落ち着かない事が多くなかった?」

 

「ん? 確かに。普段から少しおかしくはあったけど、最近は輪をかけておかしかったわね」

 

 夏凛ちゃんがそう口にする。

 

「それ、クロッシングのせいだなんだよ」

 

「くろっしんぐ?」

 

 聞きなれない単語に皆が首を傾げ、代表して友奈ちゃんが言葉を口にする。

 

「…園子。それって」

 

 銀だけは何かを知っているのか、聞き返す。

 

「うん。本来であれば特殊なシステムを使わないとできないことなの。詳しく説明しても分からないだろうから省くけど、脳を直接繋ぐ事で意思疎通ができる………一種のテレパシーのような状態になってるって思って」

 

 誰かが疑問を口にする前に彼女は右手を挙げ首を振り、話の腰を折らせないように制する。

 

()()()()()は限定的なクロッシング状態にあるの。これを見て」

 

 そう言うと、目の前に非現実的な空中ディスプレイが現れる。そこには、折れ線グラフで示された波が上下に二つ映っている。

 

「上があの子で、下が()()()()()の。数値の上がり方は全然違うけど、タイミング的にはほぼ同じでしょう?」

 

「あ、本当(ですね)だ」

 

 樹ちゃんと友奈ちゃんの声が重なる。

 

「………すまん。あんまよくわからんが、須美があの時パニック状態になったのは、椿さんの痛みをそのクロッシングとやらで直に感じたからってことか?」

 

 銀は取り敢えず、私がここに居る原因の大半を占める理由の確認をする。

 

「うん、合ってる」

 

「…で? それはわかったわ。色々疑問は有るけど今は置いときましょう。東郷が椿さんとクロッシングとかって奴でおかしくなったのは何が原因なの」

 

 夏凛ちゃんが先を急かす。

 

「…あの子が感じた恐怖を()()()()()がクロッシングを通じて感じてしまったの」

 

「恐怖…?」

 

「一応、言うけど死に対する恐怖ではないよ? まぁ、それも無くは無いんだろうけど、あの子が感じてた恐怖は別物。あなたなら、わかるよね?」

 

 銀が疑問を口にして、それに彼女が頷き私に問いかけてくる。

 

 皆の顔が私に向く。

 

「……捨てられるって、憎まれてるって、思ってる。確証はないけれど、多分そう」

 

 何時も感じていた焦燥感への中には、そんな感情があった気がする。

 

 私はその恐怖を友奈ちゃんに甘え、また、友奈ちゃんと椿先輩に尽くすことで誤魔化してきた。

 

「ちょっと待ちなさい! 何で椿はそんな恐怖を感じていたのよ!」

 

 風先輩の言う通りだ。

 

 思い返す限り、それに対する原因らしい物も、そもそもその感情を抱いたそぶりすら表には出さなかったのだ。

 

「家庭環境の問題、かな?」

 

「家庭、環境?」

 

 思わぬ単語が出てきたことに啞然とする。そう言えば椿先輩に関することは殆ど知らない。

 

「うん、あの子の母親が、この世界の中に居るの。そのことについて知っているのは、私を除いてこの世界に3人だけ。っと言っても、一人はもしかしてって感じで確証が持ててないんだろうけど」

 

 今度は言葉を失う。

 

 椿先輩のお母様が、この世界の中に居る?

 

「……誰なのよ」

 

 死んだ空気の中で一番最初に口を開いたのは風先輩だった。

 

 その問いかけに言い辛そうに目を泳がせるそのっち? 私を含めて全員が彼女を見つめる。

 

 当たり前だ、将来の義理の母親になる相手の事が気にならないはずがない。

 

 私以外が地味に無言でじりじりとそのっち? との距離を詰めていく。

 

 

 しかし、それを邪魔するかのように敵襲を知らせる警報が鳴り響く。 

 

 

「ちっ、こんな時にぃ!」

 

 風先輩が今まに見たことのない鬼の形相をする。

 

 世界が極彩色に染まる。

 

 

 樹海には星屑はいなかった。

 

 

 敵の先兵である赤嶺さん。友奈ちゃんと同じ顔で同じ声。

 

 前髪で目が隠れて表情が伺えないけど、泣いているのはわかった。

 

 幽鬼のようにのっそのそとこちらにゆっくりと近づいてくる敵に恐怖と威圧を感じる。

 

「お前ら……許せない。あの人を、あのお方を。椿様の目を奪ったのは誰だ!」

 

 敵意と憎しみ、怒りに染まる顔を涙で濡らしながら私達を睨む。

 

「赤嶺………あんたが、あんたが椿を操らなければそもそもあんなこt「違う!!!」なっ!?」

 

「お姉ちゃん!」

 

 声を上げて自分の武器である大剣で斬りかかる風先輩。それを簡単にいなし、逆に一発反撃を貰い吹き飛ばされる。

 

「私は何もしていない! 椿様に精霊の力は通用しない! 椿様はあなたたちの敵になるように仕向けられたから私の所に来たんだ!」

 

 泣き叫びながら吐き捨てるように言う赤嶺さん。

 

「え? ちょっと待ってよ! じゃぁ、誰がそんなことを」

 

 防人のリーダーである楠さんが困惑し、疑問を問いかける。

 

「居るだろう! この世界に誰よりも早く来て、貴方たちを導いた人が。西暦の勇者達の頭脳、上里ひなた様が!!」

 

 私達に動揺が走る。

 

 目の前の彼女が噓をついているようには思えない。

 

「……それが、本当だっていう保証があるの?」

 

 西暦勇者達の一人の秋原雪花さんが勤めて冷静に、搾り出すように問いかける。

 

「椿様が言った。皆城椿としての御役目の終わりと、()()椿としての役割の終わりが来たって! ………私、嬉しかったんだ。椿様、毎晩魘されて恐怖で震えていたし、食べたものも殆ど吐いちゃってたから。これで、ようやく椿様が重荷を降ろせるんだって、勘違いしてた! 椿様の言ってた終わりって、椿様の死を指していたんだ! そんな悲しいことがあってたまるか! 誰よりも命を削って! 怖くて怖くて、それでも皆のためにって戦い続けた果てにあるのが! ()()()()がなくなったから死ね、何て!!」

 

 お腹の底まで響く増悪の叫び。

 

「さ、流石にそれは………」

 

「私もそう思ってた。いくら何でもそれは無いって。でも、下手したら命を落としかねない傷まで負わされた! さぁ、椿様の目を奪ったのは誰だ!」

 

 加賀城さんが呟くもっともな言葉に、同意しつつ否定する赤嶺さん。そして、それを荒唐無稽だと否定するだけの材料(交流)は、少なくとも神世紀の勇者達は持ち合わせていない。

 

「わ、私は…」

 

 カランと元々持つだけだった、その刀身を振るうことすらままならなかった飾りだけのそれを。終には持つことすら儘ならなくなった乃木若葉(そいつ)

 

「ちょ、乃木さん! しっかりなさい。踊らされてるわよ!」

 

「で、でも。それに、乃木って…!」

 

「そうやって私達を混乱させるのが彼女の狙いよ!」

 

 膝をつきそうになる乃木若葉(そいつ)を郡さんが腕で支えて叱渇する。勇者の変身すらも解けている。

 

 そんなことよりも、赤嶺さんが口にした()()の家名が気になる。

 

 乃木の名は四国では余りにも有名すぎる。おいそれと名乗れる家名ではないのだ。

 

 そして、椿先輩は出自不明。本家の次期当主であるそのっちでさえ椿先輩が乃木家の卒だと知らないのだ。余り想像したくないけれど、妾とか愛人の子…なのだろうか?

 

 世間体としては宜しくないが実際にやろうと思えばできるだけの財力も権力も、影響力も乃木家は持ち合わせている。

 でも、だとしたら大赦の上層部からの待遇は理解できるけども、乃木家()含めた銘家側にも異様に気にかけられてるのは何故かしら? 謎が謎を呼んでいる状況では答えが出ない。

 

 園子ちゃんが明らかに動揺してる。色々ありすぎて感情の処理が追い付かないのか今にも泣きそうな顔でオロオロしてる。

 

「そっちがどう思おうが、どうでもいいよ。さぁ、椿様の目を潰したのは誰だ!」

 

「「乃木若葉よ」」

 

「ちょ! メブゥ!」

 

 防人のリーダーである楠さんと夏凛ちゃんが迷うことなく告げ、それを加賀城さんが咎めるような悲鳴に似た声を上げる。

 

 私達からしてみれば、大切な人を物理的に傷つけた人を庇う必要性を感じないし、そもそも西暦の人達とは交流もそこまで深いわけではない。友達の友達程度なのだ。私達神世紀の勇者達(小学生組を除く)と、気に食わないけど防人達の精神的主柱を傷付けたことは許容できないことだし、元々椿先輩ありきの仲間(繋がり)だったのだ。その確執は簡単に取り除けるものではない。

 

「今、何て言ったかな?」

 

 空気が死ぬ。

 

 先程よりも濃密になる殺気。

 

「ふざけないでよ………、本当に。ふざけんな!」

 

 いきなり乃木若葉(そいつ)に飛び掛かり、支えている郡さんが持ってる大鎌で弾き飛ばして古波蔵さんと秋原さんが二人係で組み伏せる。

 

「ちょ、なにこの子。馬鹿力過ぎでしょ!」

 

「大人しく……しろっ」

 

 組み伏せてる二人の口から言葉が漏れる。

 

 それでも、激しく動いて拘束から抜け出そうと藻掻く赤嶺さん。

 

「何で、何で貴女なんだ! 他の誰かならまだ良かったっ。なんで、なんでなんだよ! なんで椿様の目を奪ったのが

 

 

     ―――実の母親である若葉様なんだ!!!」

 

 

 今度こそ、その言葉に西暦勇者達も含めて固まる。

 

 取り押さえている古波蔵さんだけが、動揺しながらも何処か納得したような顔でいる。

 

 が、元々二人がかりでやっと抑え込めていたその片方が力を弱めてしまったのだ。

 

 当然の帰結として抑え込んでいた二人は吹き飛ばされ、赤嶺さんは乃木若葉(そいつ)に向けて一直線に進む。

 

 激情を多分に孕んだ雄叫びと共に拳を振り上げ、咄嗟にそれを庇おうとする郡さん。

 

「ストップだ、赤嶺」

 

 しかし、構えた拳は振るわれる事は無かった。

 

 どこからともなく、急に現れた椿先輩の手によって。

 

「椿様っ、でも!」

 

 後ろから肘部分を手で掴まれている為、握った拳を目の前の敵に振えない赤嶺さん。それでも、握った拳で目の前の人物だけは殴ろうとしてる。

 

 その掴んでる椿先輩は顔の大半を包帯で巻かれている痛々しい姿だ。

 

「……ありがとう」

 

「っ!」

 

 椿先輩がお礼の言葉を口にすると赤嶺さんは今度こそ構えていた拳を下げ、力なくへたり込むと只々、感情のままに大きな声を上げて泣きじゃくる。

 

 椿先輩は乃木若葉(そいつ)に向けて言葉を口にする。

 

「西暦と神世紀の勇者を代表して乃木若葉に対して、ボクら造反神側が占領している土地をかけての一騎打ち(決闘)を申し込む。この一騎打ち(決闘)について、ボクか彼女のどちらかが死ぬまで一騎打ち(決闘)は終わらないものとする」

 

「ちょ、そんなの飲めるわけ「少なくとも!」っ!」

 

「すくなくとも()()()()()()はそれを望んでいる。母さん(乃木若葉)が西暦と神世紀の勇者達を束ねて(ボク)殺す(倒す)ことを」

 

 途轍もない爆弾発言をして、それを飲めるわけが無いと声を荒げる秋原さんの言葉に被せるように声を張る椿先輩。

 

 多少言葉に感情が乗っていたのを隠し切れなかったけど、努めて淡々と告げる言葉に交渉の余地が無いことが伺えた。

 

 もうここにようはもう無いと言わんばかりに赤嶺さんを抱えて立ち去ろうとする椿先輩。

 

「あ、あの! その……ぅぅ」

 

 そんな椿先輩に樹ちゃんが何とか声をかけるけど、言葉が続かづに泣き出してしまう。

 

 その光景に、何とか我慢できて居た小学生組が触発されて泣き始める。

 

「ボクには精霊バリアが無いが、ボクの力の一つに精霊バリアを無効化するものがある。十分フェアな条件だと思うが?」

 

 振り返ることはせずに、立ち止まってそう告げた椿先輩は、最初からそこにいなかったかのように赤嶺さんと一緒に消えた。

 

 それが夢で見た光景に繋がるようで、比喩ではなく身震いしてしまう。

 

 友奈ちゃんが抱きしめて体を擦ってくれるけど震えは止まらなくて。歯がカツカツと鳴る。

 

 心に巣食う恐怖と寂しさを友奈ちゃんだけでは誤魔化すことができなくなってしまった。

 

 そのっち? だけが何かを決意した顔をしていたけど、それに気を向けるだけの余裕は私には無かった。




千景と若葉の役割が逆な件について。

まるで、千景が西暦勇者達のリーダーのようだ……。まぁ、そこまで細かく描写してないんですけどね、読者さん。

ファフナーと勇者であるシリーズの相性が良すぎるんだよな~。

どちらも「ほら、胃、ズ~ンな展開ばかりだし。(尚、愉悦部は笑顔の模様)」

良く考えなくてもまだ皆、中学生の子供なんだよな~。性格聖人過ぎて忘れがちだけど。
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