大赦愛媛支部記録 記録
神世紀270年3月、一度目の勇者の派遣が行われた。
私個人としては早すぎる初陣だったとは思う。しかし別の支部の神官がバーテックスに喰われたのだ。これ以上神官に犠牲を出さないために本庁は調査を決行させた。これで神官からの犠牲者はいなくなるだろう。
勇者の結界外派遣はおおむね成功だった。
次世代型勇者システムは正常に作動。バーテックスの攻撃を受けながらも軽傷に押さえることもできていた。武器5種のバーテックスに対する効力も確認できた。
ひとまず次世代型勇者システムの初期段階は達成している。しかし予想外のデータが現れた。
1つ目は耐熱性能の不足である。大気温度は神官が装着していた羽衣を参考に設定されていたが地面と擦れたときなどに許容熱範囲を超えおり、帰還した勇者3名に火傷が見られた。
2つ目は汎用システムの限界である。初期の想定では基礎としての複製を前提として設計されていたために個々の戦闘のやり方に大きな差があり、各種許容範囲を超えていた。
これらは改善点であり早急に耐熱性の向上と使用者にあわせた最適化を行う必要があるとされ、現在技術班が対応に当たっている。
また同時に試験を行った結界外物質保管用装備「羅摩」の試験結果はさんざんであった。こちらの耐熱性も結界すぐ外の気温を基準に作られたために実際に土壌を採取すると羅摩が融解する自体に陥った。しかし今回の調査で来島大橋から少し離れた地表温度を計測できたためこの問題は解決するものと思われる。
また今回の改良に当たって装束にレーダーを実装する。西暦の時代にも端末に樹海内の図を表示し、互いの位置を確認できる機能が勇者システムに組み込まれていた。しかし次世代型では実践投入時期が先に述べた事件の影響で前倒しされたことから実装が間に合わなかったのだ。今回の調査が結界からあまり離れる物ではなかったために一大事にはならなかったが本庁には支部の現場を思いやるという気持ちはないのだろうか。
しかし上記に記した改善点や調査記録などは確かに貴重な物であり、一概に本庁の決断を批判をすることはできない。
現在これらのデータによって次回の派遣先が検討されている。
西暦の時代、結界の外にあったとされる大社、大赦ではない。そこには神樹様の一部となった神様が祀られていたものがあったという。本庁からの通達では最終的にはこの大社に勇者を派遣し、この状況を打開する何かを見出す方針であるという。
しかしこの愛媛から一番近い大社と言っても島根県の出雲大社か福岡県の高良大社である。いきなり長距離の派遣はいくら勇者であっても困難を極めるだろう。やはり段階を踏み、積み重ねていくしかないのだろう。