大赦愛媛支部記録 記録
比婆山の調査が終わった。大赦支部の‘‘想定通り‘‘完成体バーテックスの出現が確認された。先に想定通りと述べたのは巫女様が提示された神託に基づく想定が的中したということである。過去の尾道への調査はその後の調査の布石とするために神官内の会議によって決定されたものであり、陥没地が観測されたのは偶然であった。しかし、比婆山については完成体が出現するという神託と西暦時代に残されていた伝説を基に決定されたものである。もし西暦の時代の人間がこの文章に目を通すことになれば「伝説をあてにするなど気でも狂っているのではないか」と思われるかもしれない。しかし、神樹様が実在する現在においては伝説であっても通常の記録となんら信頼性は変わらないのである。現に記録では比婆山地点において完成体は誕生した。
ここまではこの愛媛支部が出雲調査を急ぐ本庁の命令を無視した独自の調査であったが、さすがに完成体が観測されたとなれば本支部としての見解も出雲への調査となる。また、本庁からつい先ほど送られてきた資料に気になるものが混じっていた。
「バーテックス封印についての計画」
かみ砕いて説明するならば神樹様の御力をバーテックス内部にある核へと干渉させ、その活動を低減ないし停止させるという計画である。それに関連しての干渉させるための装置を内部に打ち込むための武器の三面図と来島海峡大橋の防衛ラインとしての改修案が同封されていた。しかしなんだ、これじゃまるで攻め込まれることが前提じゃないか。確かに完成体が確認された以上西暦と同じように襲来が行われる可能性は高いが…。
--以下は勇者3名に接触した後の記録である。
特別な用事はなかった。出雲への遠征指示も青野神官を通して行ってもよかった。しかしこう書くのはどうかとは思うが、私の興味であったのだ。もちろん建前としては責任者であるからと立ててはいたものの、実際それほど支障をきたすはずはない。
そうとは言ったが、記録だけではわからなかった物が少しわかった気はする。数分の接触ではあったが身分不明の神官が現れたときの3人の動きから互いを信頼しているようであった。これは私の主観ではあるが、彼女らならば出雲への調査も無事成功させてくれることだろう。ただし完成体バーテックスとの接触がないとは言い切れない。そこで完成体と遭遇した際には全力で逃げること。という条件を明確に付けよう。あとで本庁から叱られるのは私だけでいい。私の立場のためだけのために3人の少女を屠るわけにはいかない。一つ気にかかることは本庁から出雲以降の指示がないことである。まさか…本庁はこの支部が持ってない情報をすでにつかんでいるというのだろうか。