IS 灰色の向こうに   作:ズーキー

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『皆、確認は終わったか?』

 

コアネットワークを通じて、千冬の声が皆に届く。

今はオープン・チャネルにより一夏、箒、ラウラ、流星に語り掛けている状態だ。

海岸でISを展開し、海の上で待機している一夏達は顔を見合わせる。

武装や装備の最終確認は大まかだが終えている。

 

「はい、全員問題ありません」

 

応答するのはラウラ。

最近の歳相応の彼女とは違い、今は1人の軍人としての顔。

千冬と通信を一旦閉じ、開始の準備を待つ。

初めて臨む任務を前に一夏の表情は険しいものであった。

 

「ふふ、怖いのか?」

「そういうのじゃねえよ」

「怖いのならば私に任せて下がっていても良いのだぞ?」

 

弾む声。

幼馴染の様子から一夏は少し不満そうに答える。

 

「そんな事してられるか。──それに箒、これは訓練じゃない。気を付けて掛からないと大変なことになるからな」

「分かっているさ。安心しろ、お前はきっちり私が送り届ける」

「───あぁ」

 

その様子を見ながら、一夏はどうしたものかと考える。

明らかに箒は浮かれていた。

彼女がISに対しどういう感情を持っていたか、一夏では分からない。

ただ今は欲しかった玩具を手に入れてはしゃぐ子供の姿と重ねて見えてしまう。

そこまでISを良く思っていないと感じていたが、と一夏は心の内で疑問を呟く。

問題はこれから任務である以上、あまり宜しくない状態なのは一夏でも分かった。

彼はかける言葉を見つけられなかった。

下手に士気を下げる言葉は躊躇われる。

 

「……──」

 

冷静にその様子を見ていた流星は数秒どうするか考え──

 

「一夏、退いてくれ」

「え───?」

 

一夏が横にズレた瞬間にナイフを展開。

紅椿に対し、流星は必要としない照準をわざと合わせた。

 

「なっ───!?」

 

鳴るアラート。

間髪入れず箒に───躊躇う事無くナイフを投げ付ける。

狙いは首筋。

動いた一夏の体を利用した死角からの投擲。

ISを付けているとはいえ、呆気に取られた彼女は腕で庇うよう防御の姿勢を咄嗟に取る。

 

「───」

 

それを見て即座にサブマシンガンを取り出す。

同時に射出していたフックショット。

鮮やかなまでの一連の流れ。

それが彼女の手首を捉える。

 

その直前に、一夏が割ってはいるようにフックショットを受け止めた。

サブマシンガンを構えている腕は横からラウラに掴まれていた。

ラウラのレールカノンの銃口は既に流星を捉えている。

 

不意の攻撃に対し、狙われた対象を直接守りに行く一夏と出処を抑え効率的に対象を守ったラウラ。

正解がどちらかと言われると、不意打ちに対してはどちらも正解足り得る。

不正解があるとすれば、即ち動けなかった者の事だろう。

 

「どうしていきなり箒を…!」

「答えてもらおうか」

 

一夏とラウラの問いに流星は武装を量子化させながら両手を上げる。

彼は軽く溜息をつきながら箒に視線を向けた。

彼に苛立ちや怒りといった感情は見られない。

分からない、と言った表情の箒に流星は頭に手をやる。

ラウラは理由を察していた。

 

「流石に無防備だな、箒」

「…それは…っ!」

 

反論しようとする箒だが、自分を観察するような流星の瞳を見て言葉が途切れる。

隙を探しているようにすら思えて彼の出方を警戒してしまう。

警戒する箒を見てラウラは呆れたように肩を落とす。

 

「意図は分かるが…新兵にすることでは無いな。もし萎縮してしまえば逆に危険だ」

「そうだな。…やり過ぎた、悪い。けど危機意識位は持ってくれただろ?」

「あ、ああ」

 

あっさりと反省した様子の流星に箒は静かに頷く。

完全に気分や認識、意識を万全にする事など不可能だ。

彼女の一夏の隣に立ちたいという強い思いが根底にあったからこそ、どうしても心のどこかで浮ついてしまうのは無理もない事だった。

誘拐にあったり、ISによる襲撃にあったりの経験もない。

そんな部分について掘り下げるには時間もない。

故に危機意識だけは刷り込んだ。

 

彼女の表情は先より緊張感がある。

一夏は複雑そうな表情で考え込んでいた。

流星は展開していた武装を再度チェックする為、ほんの少し3人から離れ背を向ける。

 

『すまない、今宮。貧乏くじを引かせたな…』

 

プライベート・チャネルで千冬の声が流星にのみ届く。

申し訳なさそうな声に流星は淡々と気にしていませんよ、と返す。

すると回線は閉じられ、流星は自然に皆の元へ戻る。

微かに一夏の表情に変化があった。

何からしら通信が入ったのだろう。

 

今度は皆を含めたオープン・チャネルへと再度切り替わる。

一夏と箒が更に上空へ。

流星とラウラは水面付近まで下降した。

一夏は箒の方に手をかけしゃがむ様にその背中に身体を預けた。

箒も前傾姿勢となる。

 

 

作戦開始の合図がなされた。

一気に水平線に向かうように飛び出す紅椿。

その推進力と加速はとてつもないものだった。

 

 

 

 

流星とラウラも別ルートで行動を開始する。

水面に影だけを落としながら、彼らは低空を飛行する。

姿が随分と小さくなった箒を見て、ラウラはポツリと言葉を漏らす。

 

「…速いな。あれでは各国の開発者達も真っ青だ」

「だろうな。卒倒する奴まで出てもおかしくない。──と、座標は問題無しだ」

「向こう側の進路も問題無い。ただ、予想より少し接敵が早くなりそうだ。スピードを上げるぞ」

「ああ」

 

2人して速度を上げる。

高速で迫り一撃必殺という作戦の都合、向こうからの報せは当然ない。

流星達は速度を上げ、すぐに視界に映った光景で状況を把握した。

 

───初撃は外れた。

そのまま戦闘に入っており、福音の弾幕に近寄れずにいるようだ。

コチラが合流するまで間もなく。

ある程度近付いた所で流星とラウラは一夏の避け方の違和感に気がついた。

ただ、遠巻きで見ていた事もあり理由を即座に理解する。

 

「この周囲は封鎖されている筈…密猟船か。人命優先だ。ひとまず私が弾幕を防いで避難させる。2人は任せる」

 

「…」

 

「流星?」

 

「──ああ、分かったよ」

 

ラウラは少し軌道を変え、流星から離れる。

口に出すべきでない、密猟船とラウラ達を見て感じた事は胸に秘めたまま。

彼は即座にスナイパーライフルを展開。

海上で動きつつも引き金を引いた。

 

『────』

 

(反応からの回避…成程、この距離で既に警戒されていたのか)

 

銀のIS───福音は弾丸に対し難なく回避行動を取る。

まるで水中を泳いでいるかのような軌道を取りながらも、移動と同時に攻撃を行っている。

 

「流星!」

 

一夏が声をあげる。

勿論、流星も回避行動に移っていた。

横に進路を取りつつサブマシンガンに持ち替え牽制をしようとする。

エネルギー弾の弾幕により福音には届かない。

福音の狙いはそこまで精密ではなく、弾幕の感覚も空いていた。

海面に弾が着弾し、水面に柱が何本も建つ。

ただ、それでも避けきれないのか少し被弾してしまう。

 

「ちっ」

 

思わず舌打ちが出る。

敵とは認識されている。

ただ、本格的な攻撃(・・・・・・)はまだ始まっていない。

それでこれ+あの機動性ならば、果たして全力はどうなるのか。

周囲を旋回しつつ、徐々に高度を上げ福音へ向かう。

牽制は欠かさない、さほど意味があるとは思えないが───。

 

 

「くそっ!?」

 

「一夏!私が───くっ!?」

 

近付けずにいる一夏と見かねて助けようとした箒が攻撃される。

白式のエネルギーは恐らくある程度減っているだろう。

密猟船を助けようとしていた事もかなり響いている。

ただ一夏の双眼に諦めの色は見えない。

 

焦っているのは箒の方だ。

危機意識も刷り込まれている、元々武人気質な彼女が戦闘行為そのものへ抵抗を感じる事はないだろう。

ただこの時点の箒は一夏しか見れていない。

 

──────流星達が合流するまでの間に何かあったのか。

 

強力な武装、性能があっても福音にはあっさり受け流されている。

 

流星はこの時点で無理だとあっさり判断した。

盾を展開し、弾を防ぎつつ更に高度を上げた。

両手にサブマシンガンとアサルトライフルを展開し、撃ちながら福音に距離を詰める。

 

「そこだ!」

 

その隙に箒がエネルギー刃で福音を攻撃した。

福音は自身のエネルギー弾で相殺───流石に第四世代の威力は想定外だったのか爆風でよろけた。

手応えを感じる箒。

追撃しようと2人は距離を詰める。

 

流星は一夏や箒に対し、コア・ネットワークを通し話しかけた。

2人が詰めていくのを見て流星はグレネードランチャーと盾に切り替える。

 

「撤退だ」

「えっ!?」

「!」

 

驚いた表情の2人。

敵機の体勢が崩れこれからという時に。

言葉は出ずとも考えはすぐ分かった。

当然だ。

数的に有利もこちらにあり、ラウラは恐らくすぐ戻る。

だというのに、大したダメージを与える事もなく福音を放置する事を良しとした。

もし、もし福音がこのままどこかの市街地に向かえば?

何も無い海の上、予想はつかない。

先程流星達が合流する前に密猟船を見捨てかけた手前、箒の顔色は悪い。

 

「───」

 

福音がよろけた瞬間に当然流星もグレネードランチャーを撃っていた。

回避に専念しているのか、福音からの攻撃は来ていない。

流星の言葉はラウラにも届いている。

彼女が応答するよりも早く、微かだが均衡は傾く。

 

──好機と思い、箒は一気に距離を詰めて切りかかろうとする。

 

『──』

 

「な──」

 

突如身を翻しながら放たれる弾幕。

密度は先と変わらない。

ただ今度は先よりも範囲が広かった。

扇状に拡がりつつ、箒を襲う。

 

「そんなものっ!」

 

弾幕に出来た隙間を抜け、箒は一歩踏み込む。

彼女は2振りの刀型ブレードを両手に福音へ切り掛かった。

 

それに福音は反応する。

近距離の迎撃による自爆を避けた動き。

大振りを急降下する事で回避し、距離をとる。

間髪入れず箒を小さなエネルギー弾で仰け反らせると、右の翼側に付いている銃口を箒へ向ける。

刹那、幾つもの銃口に光が集まる。

箒はよろけていて対応出来ない。

 

「!」

 

流星が放った攻撃は最小の動きでかわされる。

照準を箒に向けたままであった。

 

放たれるエネルギー弾。

 

 

「──っ!」

 

「箒!」

 

福音と箒の間に割り込むよう影。

強引に身体をねじ込むように接近した一夏は、雪片弐型を振るう。

奇跡的な反応速度。

無我夢中で振るわれた雪片により数発は凌ぐ。

──当然、防ぎ切れなかった。

 

「ぐっ!?」

 

「一夏っ!?」

 

『───』

 

「ッ、うおおおおおっっっ!」

 

「い、ちか…?」

 

畳み掛けるよう福音が照準を一夏に合わせ直しつつ、掃射を続ける。

小爆発が何度も一夏の身体に叩き付けられ、──ただそれでも彼は雪片を振るう。

歯を食いしばり前方を睨む。

仲間を守る、彼の頭にあるのはそれだけだった。

 

箒は動けない。

目の前で一夏が数瞬でボロボロになっていく様を見せ付けられ、飲み込めないでいる。

どうするかよりもどうしてこうなったかに思考がいってしまう。

 

 

「下がれ!箒!」

 

ラウラの声。

それで何とか我に返った。

 

同時に正面からレールカノン、後方からグレネードランチャーが福音を襲う。

回避は間に合わず、完全な直撃ではないが攻撃は双方とも当たった。

福音が怯む隙を見逃さず、流星は先に箒を掴み離脱する。

 

 

「──あ、ぁ、一夏、一夏がっ!!…どうして、どうして先に私を助ける!?」

 

「アイツはもう意識がない。非武装に攻撃しない保証こそないけど、福音にも優先順位があるのは確かだ」

 

白式を纏った一夏の体がぐらりと傾く。

流星はそれを見ながら片手でアサルトライフルを福音へ向けた。

──今の段階なら(・・・・・・)安易に誘導できる。

箒を自身の後ろへ離し、福音をロックオン。

 

「離れてろ」

 

それだけで福音は狙いを流星に変えた。

現在攻撃を仕掛けようとしているのは彼だけだった。

彼は迷わず引き金を引く。

 

────刹那、高速で回り込んでいたラウラが一夏を受け止めた。

 

「──っ!やはり意識がないか。白式も待機形態…不味いな」

 

楽観視出来る状況では無い。

ラウラは眉を顰めつつ、高度を下げる。

箒はラウラに抱き抱えられている一夏の姿を見て、慌てて近付く。

 

「いち、か……私の、私のせいでっ…!」

 

指先を震わせながら、後悔の言葉を口にする箒。

無理もない、とラウラはそれを見て先よりも思考がクリアになる。

元よりこの状況も想定してはいた。

福音の攻撃を盾で受けながら少しずつラウラ達から離れていく流星。

余裕とはいかない。

箒にラウラは一夏を引き渡す。

 

「私と流星は奴の注意を引く。その間に奴の補足範囲から離脱しろ」

 

「…それなら、私が…!」

 

「この中で一番速いのは箒、お前だ。嫁の身体を気遣ってる飛ぶ前提でもそれは変わらない」

 

「それ、は…」

 

ラウラの視線に箒はたじろぐ。

いつもなら簡単に受け止める視線も、今は受け止められない。

箒の様子を見ながらラウラは背を向ける。

 

 

「今は負傷者を連れて帰る事だけを考えろ。任せたぞ!」

 

 

それだけ告げると、ラウラは流星のいる方へ飛翔する。

箒も深く考える余裕などなく、ラウラの言葉と共に一夏を連れ空を翔けた。

 

「どうして…」

 

意識を失っている一夏に視線を落とす。

どうしてこうなったのか。

危機意識もあり、密猟船を見捨てかけた後も辛うじて反応は出来ていた。

だが、結局は認識が甘さがこの状況を生み出したと箒は1人考える。

 

一夏の隣に立ちたい。

役に立たなければそばに居る資格は無い。

緊急時に何も出来ない無能な篠ノ之箒は、居なくなったとばかり思い歓喜していた。

そんなもの無かった。

力を得れば何も見えなくなってしまう。

不満を埋め合わせるように剣を振るっていた頃から、何一つ変わっていなかった。

相変わらずだと自嘲気味に笑う。

 

「一夏…」

 

ボロボロと何かが落ちる。

視界はボヤけていた。

直ぐに拭き取るも一向に視界は良くならない。

 

「私が、…私が全部悪かったから…一夏……………」

 

独り言への返答は当然ない。

実戦など知る由もない1人の少女。

 

初戦であらゆるものを折られながら、紅い機体は海上を飛び去っていく。

 

 

 

 

「やはり分が悪い、か」

 

飛び交うエネルギー弾。

先よりも少しずつ弾の間隔は短くなっており、掃射を簡単には凌ぎきれない。

弾速はもとより早く、相手の武装の都合銃口からの射線予想も上手くいかなかった。

躱しきれない分盾で凌ぎつつ、注意を引くために攻撃を続けていた。

 

そんな真っ只中、福音が背後からの攻撃に回避行動を取る。

 

「すまない、待たせた」

 

「助かる」

 

ラウラの背後からのワイヤーブレードによる攻撃だ。

その隙を利用し、少し距離を取る。

福音の攻撃を回避しつつ、合流する。

 

「直進ではスペック的に追い付かれる。どう逃げる?」

 

「一度怯ませるしかない。怯ませたら箒と逆方面に一気に離脱。相手の直進は───」

 

「逃げる際に俺が手榴弾を投げて妨害しよう」

 

そこまで話したところでエネルギー弾の掃射が2人を襲った。

左右に躱しながらそれぞれの武器で福音へ撃ち返す。

 

福音の複数の銃口が流星とラウラを狙い直す。

総動員という訳ではない、まだまだ本調子では無さそうだが十分脅威だ。

 

先手を打ったのはラウラ。

レールカノンを放ち、福音を動かす。

 

「───」

 

間髪入れずスナイパーライフルから薬莢が排出される。

頭部を狙った狙撃。

弾丸は額を捉えるところで福音は身体を逸らす。

圧倒的俊敏性。

フルフェイスとなっている装甲の一部を掠めるだけに留まった。

 

ただ、そこにワイヤーブレードが迫る。

福音の挙動を抑え込むよう2本のワイヤーブレードは上下から来ていた。

 

互いに細かい打ち合わせはない。

流星はそれを見てグレネードを展開。

攻撃の隙間を縫って瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰める。

 

ワイヤーブレードは福音の回避先を流星側に取るように攻撃を仕掛ける。

福音はそれに誘導されつつも、ラウラに対し更に攻撃を放つ。

 

「!」

 

ラウラは咄嗟にAICを使い被弾を免れる。

代償としてワイヤーブレードの制御は一瞬疎かになった。

 

『───』

 

福音は鮮やかな動きで振り返り、迫る流星を補足し直す。

ラウラへの攻撃は続けながら流星にもエネルギー弾を放たんとした。

 

想定済みと驚く事もなく、流星は盾を投げ付ける。

射線から一瞬身を隠しつつ、空いた片手に槍を展開し死角から突いた。

 

 

「────くっ!?」

 

思わず、流星も目を見開いて驚く。

福音が唐突にギアを跳ね上げたような俊敏さを見せた事にではない。

見切られたように槍が躱された事にでもない。

 

反応出来ない速度で何かを放たれている────福音の掌が光っていた───。

 

────流星の左肩を何かが掠めている。

 

「──ぁがっ!?」

 

「流星!?くっ───!?」

 

焼ける感覚が遅れてくる。

盾を投げつけていた事もあり、直撃は何とか免れた。

 

未知の武装に疑問を持つ暇はない。

シールドエネルギーは減らされはしたが、稼働に問題は無い。

フックショットを何とか放ち、盾を掴む。

左腕を動かすのではなく、身体を捻るようにして動かし、それを振り下ろす。

 

福音のスラスター部の砲門が光を放つ。

瞬間、ワイヤーブレードが流星の胴体部に巻き付く。

引き寄せられ流星は後方へ。

福音の攻撃は外れ、振り下ろされた盾が直撃────。

 

「ラウラ!」

「ああ!」

 

間髪入れず、レールカノンとグレネードが福音へ叩き込まれた。

ラウラは直ぐに身を翻し、流星を連れて離脱する。

流星もグレネードを仕舞い、ダメ押しに背後に手榴弾だけ投げ付ける。

 

ラウラはワイヤーブレードを引き寄せ、斜め前方に流星を解放した。

背後への警戒はしつつ、流星へ視線を向ける。

 

「無事か?」

 

「左腕も手も動く。痛みはあるけど問題ない」

 

左手を握ったり閉じたりして流星は確認する。

問題ないと判断すると背後に視線を向ける。

追ってくる様子はない。

 

ラウラも大丈夫と告げる流星の様子を見ながら移動を続ける。

 

 

──そのまま大きく回り込むようにして、2人は花月荘へと帰還した。

 

 

 

 




結局は箒さんは一般人な枠組みでしかなく、危機意識を持っていてもあまり意味は無い。

あの流星の行動によって、描写外の密猟船のやり取り直後にすぐ落ちなかった(ギリギリ建て直せた)程度に受け取って下さい。

出撃前のあの行動で分かることは、あくまで一夏やラウラの積み重ねた物や在り方。


全員の動きを試させる千冬の指示ではありましたが、あの一連の動きや方法自体は流星の独断です。




未知の高火力の武装を持った福音。
さて、犯人は一体……



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