IS 灰色の向こうに   作:ズーキー

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「──という訳で今度のクラスの代表戦に出るクラス代表を決めることにする。クラスの代表は言うなればクラスの委員長と思え。一度なれば一年間そのままだ。自薦他薦は問わない、誰かいないか」

 

今はHRの時間。

1年1組の教室に織斑千冬の声が響き渡る。

クラスの代表、簡単に言うと委員長を決めようという話だが、相変わらず今宮流星は一人こっそりとISの参考書を黙々と読みふけっていた。

 

クラス代表戦、というワードにだけ惹かれそうになった流星だが生徒会に所属しており、ISについて学ぶことが多い今、その暇は無さそうだと判断する。

楯無との練習時間も考慮してのことだった。

 

そう一人結論を出すと視線ももう一度参考書へ戻そうとする。

 

──瞬間、流星の頭上から音もなく出席簿が振り下ろされた。

 

「ッ!?」

 

凄まじい音を炸裂させた出席簿を振るったのは言うまでもなく千冬だ。

 

「今宮、今はHRだ。勉強熱心なのはいい事だがここは集団生活を学ぶ場所でもあるということを忘れるな」

 

流星は片手で頭をさすりつつ、参考書をカバンの中にしまう。

とりあえずクラス代表が誰になるかなど微塵も興味がない流星は、頬杖をついた状態であたりを見回した。

 

 

「織斑君がいいと思います!」

「私も!」

「わたしもー!」

 

予想通り、という感じで他薦されるのは二人しかいない男性操縦者の一人目、織斑一夏だ。

 

「なっ!?嘘だろ!?」

 

「自薦他薦は問わないと言ったはずだ。推薦された以上候補から降りることは認めん」

 

畳み掛けるように言う千冬に一夏は完全に退路を絶たれた。

当の本人は困惑している様子であり、流星も少し同情してしまう。

 

一方、流星の名前が出ないのは当然だった。

世界最強の織斑千冬、その弟とぽっと出の一般人では期待のされ方、興味の持たれ方がまるで違う。

当の流星は逆に今はこの方が都合がいいか、などとどこか他人事だ。

 

 

──だが、そうは問屋がおろさない。

一人手を挙げ、いつも通りの笑みを浮かべるのは布仏本音。

 

「いまみーを推薦します」

 

よくわからず固まる流星の前で、少しだけ楽しそうに千冬は事実を告げた。

 

「だ、そうだ。よかったな今宮」

 

──何故か楽しんでるぞ、この鬼教師。

 

「・・・本音、あとで覚えてろよ・・・」

 

こうなってしまえば、後はもう既に推薦され候補になっている一夏に全て押し付ける他ない。

流星は素早く手をあげ、席を立ち行動に移る。

 

「一夏を推薦します!」

 

「そうくるなら、俺は流星を推薦するぞ!!」

 

「悪足掻きはよせ一夏」

 

「流星のそれも同じだろ!?」

 

対抗して席を立ち、流星を推薦する一夏。

傍から見れば醜い争いではあるが、本人達は至って真面目であった。

 

「他に推薦や立候補者はいないか?いないのならば推薦された二人から投票で決めるぞ」

 

千冬がそう言いつつクラスを見渡し、最終確認をする。

流星は投票で一夏が勝つことを確信しつつ、ISの参考書を取り出そうとしたその時だった。

 

 

「───納得がいきませんわ!」

 

バン!と机を叩いて立ち上がると、セシリア・オルコットは一夏と流星の方へ視線を向ける。

 

「男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!クラス代表はISの実力がトップの人間がなるべきですわ!イギリスの代表候補生である(わたくし)、セシリア・オルコットを差し置いて、ただ珍しいというだけで男なんかが代表になるなんて認められませんわ!」

 

ほんの一部は正論だな、と流星は思いつつセシリアを見る。

男なんかという言葉には棘を感じるが、実力主義かつあそこまで言い張れる自信──それを裏付ける実力があるのだろうなどとも考える。

 

一方一夏は棘のある言い方に少し思うところはあったが、別の立候補者?が現れたことに少し安堵していた。

これでクラス代表にならなくてすむ、などと気楽に考えていた。

 

セシリアの演説は終わっていない。

 

 

「大体、文化としても後進的な国で過ごさなくてはいけないこと自体(わたくし)には耐え難い苦痛で──」

 

と、そのあたりで一夏も不快に思ったのか口を開いた。

明らかに不快そうなムッとした表情で。

 

「そう言うイギリスだってたいしたお国自慢ないじゃないか。世界で一番不味い料理、何年覇者だよ?」

 

一夏の反論にセシリアは怒りを露わにして一夏と向かい合う。

まさか反論してくるとは思わなかったのだろう。

 

「貴方(わたくし)の祖国を馬鹿にしますのね!?」

 

「先に馬鹿にしてきたのはそっちだろ」

 

 

───そして、二人の言い合いをクラスメイト達が見守る中、流星はさり気なく着席してISの参考書を読んでいた。

 

セシリアと一夏のやり取りを様子見していた千冬ではあるが、流星のその行動に気付かないわけがなく、気配を殺して流星の席の前まで移動するとそのまま脳天に出席簿を叩き込んだ。

 

「がッ!?」

 

「この状況で気にせずそう出来るところには感心するが、先ほど注意したところだぞ今宮」

 

「そ、そうでしたね。でもあれ止めないんですか織斑先生」

 

「なに、そう変なことにはならんさ。収まるべきところに収まる」

 

「…他人事ですね」

 

「お前にだけは言われたくないな」

 

流星は千冬の放任っぷりに戸惑いつつ渦中の二人に視線を戻す。

その二人はしばらく睨み合ってはいたが、セシリアが痺れを切らしたらしく手を大きく振りかぶると振り下ろしそのまま一夏を指さした。

 

「決闘ですわ!」

 

「おう、いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」

 

 

セシリアの決闘をすぐに了承する一夏。

国家代表候補生相手に一歩も下がらないのは男としての意地か、はたまた考えなしか。

 

「負けたら奴隷としてこき使ってあげますわ!」

 

趣旨が変わってないか?と突っ込みたくなる流星だが、首を突っ込まないのが正解だなと口を閉じている。

一夏はその台詞に対し、臆する様子もなく告げた。

 

「それで、ハンデはどれくらいつける?」

 

「あら?戦う前からお願いかしら?」

 

「いや違う、俺がどのくらいハンデをつけるかなんだが……」

 

瞬間、クラス中に笑い声が響き渡った。

当然だ。

クラスメイトは一夏の意図を理解して言う。

「男が女より強かったのはずっと昔のことだよ」

「今は男と女が戦争すれば男は三日と持たない」

「今からでもハンデをつけてもらいなよ」と。

 

あぁ、当然の話だ。

だが、一夏にあったのは今は多くの男から奪われた意地。

 

一夏が事実を認識しつつも、クラスメイトの忠告を無視しているとどこか他人事の様子で流星は呟いた。

 

「まあでもそれで、男なんかって発言は笑っちゃうかもな」

 

その言葉に一夏だけでなくセシリア、そしてクラスメイト全員が流星の方を見た。

セシリアは自身の発言を否定する流星に不満げだ。

 

「なんですの?さっきまで他人事と静観を決め込んでいた貴方に言われたくは───」

 

「そう言うなよ。オルコットはともかく、専用機も持ってない人間がIS前提で男女での力関係の話をするのが不思議なんだ。コアの数には限りがあり500未満なのに、だ」

 

不満と言うより疑問。

 

流星の言うそれに、あるものは不快感を持ち、あるものは同じように首を傾げ、あるものを唖然としていた。

そして、と流星は一夏の方に向かって言う。

 

 

「国家代表候補生にハンデやろうとするとか、男女関係なくお前バカだろ」

 

「なっ!?べ、別にいいだろ!?」

 

「別にいいけど、──いやなんか逆に安心してきた。お前なら何とか出来そうだわ。頑張れ」

 

 

途中から面倒臭くなったのか、テキトーに片付ける流星。

流星としては代表候補生というものを説明しておきたかったが、セシリアが調子に乗りそうなのもあり切り上げることにした。

 

──が、そんなテキトーに片付けた流星がどうその目に写ったのか、セシリアはため息をつきつつ呆れて見せた。

 

「やはり極東の国の人間は色々足りてませんわね。(わたくし)以外の代表候補生にも期待しておりましたが、自身の専用機を自分で作ろうとしている身の程知らずとは思いませんでしたし、やはり極東の後進国ですわね」

 

「おい!」

 

その発言に一夏は怒りを隠しきれずにセシリアに再度向き合う。

だが、今度は一夏だけではなかった。

流星は日本の代表候補生、という言葉に微かに眉をひそめる。

 

まだ少ししか話した事のない少女。

だが、その作業中の後ろ姿を見て奢ることない努力を流星は確かに見た。

確かに、無茶かもしれない。

無謀かもしれない。

だが、あの悩みつつも何とかしようとする簪の後ろ姿を見た以上、流星のとるべき行動は決まっていた。

 

一夏のように会ったこともない人間のために怒るわけでもなく、

また会ったばかりの人間のために怒れる人間とも流星は違う。

 

身の程知らず、とその一言でアレを片付けられた、その事に不快感を覚えた。

それだけだった。

 

 

 

「身の程知らずと言ったな?オルコット」

 

「それが何か…?」

 

「撤回させてやる。その決闘、俺も参加させてもらおう」

 

静かに告げる流星にクラスの全員が驚いた。

他人事だとほぼ一貫して流していた少年が、渦中に飛び込んできたからだ。

そして、様子を見ていた千冬は手を叩き生徒全員の注目を集めた。

決闘になることを予期していたのだろう。

 

 

「では、クラス代表決定戦をこの三名で行うこととする。試合は一週間後、わかったな」

 

千冬の言葉に三人とも頷くと静かに席に座る。

静まり返るクラスの中、本音ひとりだけがどこか嬉しそうな様子でいた。

 

 

 

 

朝のHRから一気に時間が過ぎ、放課後。

生徒会室で書類の山を捌いている流星を見ながら、楯無は頷いた。

 

「なるほどなるほど、クラス代表の座をかけてセシリアちゃんや一夏君と試合することになったということね」

 

バッ!と開いた扇子には挑戦と書かれている。

相変わらずどうやってるんだ、と仕組みが気になって仕方ない流星だが聞いてもはぐらかされるだけなので触れようとはしない。

 

「そういうわけだ。とりあえず今日から本格的に鍛えて欲しい」

 

「でも珍しいわね。流星くんがそういうことに熱くなるタイプだと思わなかったけど?」

 

「お嬢様ーそれはねー」

 

小首を傾げる楯無に耳打ちするようにして理由を教える本音。

流星はその行動を不思議に思ったが、すぐにその意味を知ることになる。

 

「流星くん、簪ちゃんの為に怒ってくれたのね?」

 

「それは一夏だ。俺はアレを身の程知らずと片付けられることが嫌だっただけだ」

 

「でもそれって結果的にかんちゃんの為だよねいまみー?」

 

本音の言葉にどう言い繕っても無駄だろうなと諦める流星。

この少女は好意的に捉えすぎだと結論付け、黙々と書類の山の処理に務める。

そして、このきっかけを伝えたことがある意味流星の不幸を招くことになった。

 

 

「━━勝つわよ!」

 

「え?」

 

勢いよく椅子から立ち上がる楯無の眼はいつになく真剣なものだった。

 

━━不思議と瞳の奥に炎が見えた気がした。

 

「簪ちゃんの為にもこれは負けられないわ!いや、負けることは許さないわよ!」

 

さらに流星は楯無の背にメラメラと燃え上がる炎を幻視した。

 

「おいなんでこんなに楯無が燃えてんだよ」

 

「お嬢様は妹のことになるとこうなるのよ…」

 

呆れたとため息をついて、本音の姉━━布仏虚は真実を告げた。

同情の視線を流星に向けている。

 

「とりあえず今日の訓練は生徒会長権限でギリギリまで使用時間延ばすわよ」

 

「あー、本音。これ俺死ぬかもしれない」

 

「かんちゃんの為に勝たないとね〜いまみー」

 

「なるほど、今更だけどお前簪と友達なのね……」

 

変に笑顔で圧力をかけてくる本音を前に納得する。

 

「私も、是非流星君には勝ってほしいですね」

 

と、さらなる圧力をかけるのはその姉の虚だ。

これは負けたら生徒会室に顔を出せないな、と流星は負けられないことをさらに自覚していた。

とりあえず訓練に移るにはまずこの書類の山を何とかしないと、と向かい合ったところであることに流星は気付いた。

 

 

「ところで思ったんだが、おい楯無」

 

「どうしたの?流星くん」

 

「何で淡々と作業進めている俺と、ゆっくりやってるお前と書類の山の高さが同じなんだ?」

 

「ほんとだー。結構減ってる!いまみーすごいねー!」

 

横で感心している本音をよそに流星は眉をひくつかせながら、楯無に問いかけた。

 

「楯無お前、自分の分減らして俺の分多くしただろ?」

 

「……まさか!」

 

「その間はなんだコラ。ほんとに生徒会長かお前」

 

「いやーだって流星くんの方がそういうの得意そうだし?適材適所って言葉あるでしょ?」

 

「楯無お前…」

 

青筋をたてながら立ち上がる流星。

それを見つつ楯無は怪しげな笑みを浮かべた。

 

 

「━━さて、じゃあ今日の分自体は片付いてるようだし、特訓しに行きましょう」

 

「は?はぁ?今日の分……だと!?これの残りは今日やらないといけないわけじゃねえのかよ」

 

「その残りは今週末までならいいのよ」

 

絶句する流星を前に手を口の前に当てながらも楯無は補足を入れる。

 

「とは言ってもどのみち今週中にはしないといけないし、疲れきってからさせるのは気が引けるし、今日にあの量をするのが一番なのは本当よ?」

 

「……それで今日はどこまでが目標なんだ?」

 

「今日の目標?それはね━━」

 

楯無が手持ちの扇子を開く。

そこには飛行と達筆な文字で書かれていた。

 

 

「━━飛行、跳躍、機動周りの初級編クリアよ」

 

 

 

 

━━そう、それが既に無茶苦茶な事は理解していた。

 

だが、試合相手のセシリアは代表候補生。

これぐらいの努力は必要だろう、それも流星は理解していた。

 

 

━━だが、それは想像以上に無茶苦茶なことだった。

場所は学園のアリーナ。

使用し始めてから既に三時間経過していた為、周囲にいた学生ももう居ない。

 

 

「ぐっ!?」

 

傾く機体、絶え間無く行わなければならない機体のPIC制御、ハイパーセンサーにより入ってくる周囲の視覚的、聴覚的な情報。

 

空をフラフラと飛んでいる、ISを纏った流星は必死に体勢を立て直そうと試みる。

 

 

「それじゃあ駄目よ流星くん。脚の方の制御に集中!それと逆さになっても落ちないようスラスターを調整すればいい訳だから今は向きより浮く事を優先して!」

 

楯無の助言を聞き、流星は脚部に意識を少し割く。

 

「!」

 

一瞬は持ち直した。

 

「くそっ!?」

 

そう、一瞬こそ持ち直したがそのまま制御を失い流星はアリーナの地面に墜落する。

灰色の機体は無様にも地面に叩きつけられる形となった。

 

 

「大分惜しいところまで来たわね。もうちょっとで普通の移動くらいなら出来るようになるわよ。さっきの一瞬安定した感じを忘れないようにね?」

 

「あぁ、わかった。次だ、次こそやってやる」

 

無論、ここまで苦戦していたのには訳がある。

流星の専用機たるISには、ISには普通存在するオートによる補助がなくマニュアル制御で飛ぶしかない。

 

そのため、飛ぶことなどの機動自体がまず難関であった。

 

 

「━━くそっ!こ、れ、なら!」

 

墜落を恐れては練習にならないと、ついには躊躇いを捨て制御に必死になる流星。

その躊躇いの無さ故に繰り返したのもありコツ自体はおそらく掴みかけている。

そして楯無もその躊躇いの無さには感心していた。

しかし悲しいかな、流星には恐らく才能はない。

代表候補生ならばあそこまですればもうかなり安定しているはず、と楯無は冷徹な評価を下す。

 

「ここからは浮いているイメージよりその場に立っているイメージをしたほうが良いわ。また墜落する」

 

「立っている?くっ──!?」

 

ふらつく機体。

一転して青に変化する目の前の景色。

身体全体で風を感じる瞬間には落下を始めている。

どうせ立とうとイメージしても浮こうとイメージしても、無理だ。

このままではまた落ちる。

 

「━━それならっ」

 

スラスターなどの機構を全て全開にしてやる。

バランスなど知ったことか──そもそも全開すら完全に出来ないはずだ。

幸い、今のアリーナには専用機持ちの楯無以外誰も居ない。

ヤケクソ気味に流星はその行動を起こした。

 

「う──おッ」

 

「━━ッ!無茶苦茶するわね」

 

通常の乗り物や兵器と違い、ISは三次元的に自由に動き回れるものだ。

故に、スラスターを全て全開に出来たとしてもそれは制御出来ないなどと言うレベルではなく──

 

「完全に振り回されてるわ!出力を緩めないと降りることすらままならないわよ」

 

蛇行という範疇でなく、流星は空中でひたすら不規則な軌道で振り回されていた。

地面や壁にぶつかるスレスレの所にいったりとおそらく何処かに叩きつけられるのも時間の問題。

目まぐるしく変わる景色にもはや自分がどこにいるかも把握しきれない流星。

だが、と冷や汗をかきながらも冷静に目を瞑る。

 

(──墜落しなければいい!スラスターの出力を手当り次第緩めて──)

 

「!」

 

そこで楯無も意図を理解した。

振り回されている機動が一瞬変わり、流星の体が大きく横に飛んでいく。

 

このままでは観客席の手前にあるシールドにぶつかる──だがそうはならない。

何故か、それは各種スラスターの調整を無理やり体感しながら行っているからだ。

 

各種スラスターなどの影響、差異を感覚で中々掴めなかったが故の行動。

規模を大きくしてしまえば影響も理解しやすい。

もちろん、絶対防御があるとはいえケガをする可能性も高いためリスクが大きい上、操作の猶予も振り回されるためほぼないという無謀な考えである。

 

しかし、流星は少しずつそれを活かし制御の感覚を掴み始めていた。

振り回される範囲も少しずつだが狭まって来ている。

ならば楯無もそれを手伝うだけだ。

的確に助言を加える。

 

「右方向へのブレが大きいわ!左下の出力を下げなさい!」

 

「左下だな!くっ!」

 

「今度は前後のバランスが取れてないわ!出力している角度を常に意識する!」

 

「──墜落する──ッ」

 

「地面には常に一定の出力は維持しなさい!無意識でも出来るように」

 

「無茶苦茶だなオイ!」

 

「出来なければ堕ちるだけよ」

 

 

──それから程なくして、ISを制御し空中に静止している流星の姿がそこにはあった。

 

 

「──やっとか」

 

「そうね、ゆっくりでいいから空中を移動、そこから静止は出来る?」

 

「何とか」

 

疲れた様子ではあるが、言われた事をやってみせる流星。

無茶苦茶した甲斐あってか、空中での行動は安定するようになった。

まだ完全とも自然に出来る訳でもないが、ほっと一息つく流星。

 

楯無は先程までの真剣な表情から一転して満面の笑みで言い放った。

 

「じゃあ次は高速で移動からの急停止ね。私の攻撃を避けながら」

 

「──えっ」

 

ISを展開する楯無を前に流星の顔が強張る。

勿論手加減するから!などと彼女が言い張るが流星はまだやっと制御出来るようになったところでしかなく──

 

「いや、流石にそれは──オイ!楯無!馬鹿ッ!撃つな!オイオイオイ!」

 

「避けないと撃墜するわよ?」

 

「楯無ぃぃいいい!」

 

しばらくの間アリーナに流星の悲鳴が響いたのは言うまでもない。

 

 

 

 




今後、基本描写していない部分はアニメや原作通りです。



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