───太平洋北のある海上。
青紫の閃光は突如として弧を描いた。
少年は目視よりも先に
「「─────」」
揺れる視界───交差する鋭い視線。
火花と共に薬莢が排出され、蝶は銃弾を軽やかに後方へと避ける。
『
正面からのレーザーを受けるべく構えられたそれを見るや、エムは笑みを浮かべている。
待っていたとばかりに『エネルギー・アンブレラ』───シールド・ビットが彼の背後を取った。
六基のビットが同時に光を放つ。
照らされる灰の機体。
「────っ」
「!」
少年はすんでのところで下へ軌道をとった。
正面のエムに対しては盾を投げ付けて射線を遮る────ビットから放たれていた閃光は再び弧を描いた。
気に留めず、盾を死角とし流星はエムの方へスナイパーライフルを向ける。
死角から見える一瞬で、スナイパーライフルは上空を翔けるエムの腹部を掠めた。
灰の機体の装甲もまた閃光が掠め、小爆発が身体を揺らす。
互いに動じる事は無かった。
手の内の知れた状態故に、この程度はやってのけるだろうという認識がある。
戦闘が始まって数分が経過しようとしていた。
(盾にフックショットを引っ掛けていたか───)
流星は投げた盾を即座に回収しつつ、飛翔する。
この何も無い空間において止まることは、蜂の巣にしてくれとアピールするようなものだ。
常に一挙一動に神経を張り巡らさなければ即撃墜される。
(──以前より更に精度が上がっている────厄介だな)
ビットの包囲網を抜けるべく、少年は右に進路をとった。
どう立ち回るにしろこのままでは消耗するだけ。
常に高速で動き、包囲せんとするビットに彼は視線を向けた。
前回と違い、相手の武装は凡そ把握出来ている。
銃剣にナイフ、レーザーガトリングにシールド・ビット。
彼女の主武装はそれら──どれも第三世代兵器の高水準な武装だ。
特にシールド・ビットはセシリアのものと違い、盾としての機能や自爆機能まで搭載されている。
そして、今回は屋外での戦闘。
十全に性能を発揮するビットは全方位から曲線も織り交ぜて襲ってくる。
屋内より追いやすくはなったが、それ以上に回避が困難である。
「っ!」
辛うじて盾でレーザーを受け止めた。
『同調』は既に行われている。
拡張された五感が更に研ぎ澄まされ、ISの情報まで少年の内へと流れ込んでいる。
とはいえ根幹の機体性能は変わらない。
あくまでエムと対等に渡り合っているのは、彼自身の元々の視野の広さや経験則から来る戦闘スキルあってのもの。
縦に回転しつつ、青紫の閃光を彼は躱す。
回避の際に背後へと榴弾を放っていた。狙いは追ってくるビットに対してだ。
カウンター気味のソレに対し、ビットは回避を余儀なくされる。
───刹那放たれるエムの狙撃。
彼はそのタイミングで前進を選んだ。
「!」
回避する動きを潰すように攻撃しているエムを前に、彼は黒い槍を手に取る。
踏み込むような
「っ」
「ちっ──」
反応して狙いを修正したエムの一撃が、腕部の装甲を掠める。
エムの舌打ち──間を置かず、上空へと駆け上がる灰の機体。
────微かに加速前にディレイを挟み、タイミングをズラした。
金属音が周囲に響き渡った。
繰り出された高速の突きをエムは銃剣で受け流すように防いでいる。
追撃の槍。
加速した勢いを利用し、灰の機体はエムの頭上を反転する。
ビットからの攻撃は虚空に消えた。
銃剣は少年へと、しかして少年は既に槍を振るい直している────。
「!」
「ッ──」
対処し切れず、槍の柄をエムは左腕で受け止めた。
ビリビリとした衝撃が彼女の腕を伝う。
少年はそのまま武器を量子化し、遠心力を利用してエムの頭上を横切り、銃剣の切先をすんでのところで回避した。
「逃がさん」
「─────!」
曲がる二本の閃光。
エムの身体を死角として利用したビットからのレーザーが突如として少年の眼前に現れる。
(避けきれない────)
知覚はそれなりに早かった。
しかし、避けきれるかは別問題───。
爆発が起きた。
知覚が早かった為、直撃こそは免れたもののダメージは確実に入っている。
装甲が砕ける。
「っ─────」
怯むことなく彼はグレネードランチャーによる攻撃に移った。
お返しとばかりに近距離で榴弾が見舞われる。
先の着弾により、エムと流星の距離は若干開いている。
爆風に巻き込まれるのは当然エムのみだ。
「小賢しいな…」
とはいえ、先に撃ち落としに動いた為、エムもまた直撃はしていない。
黒煙を即座に貫く閃光を彼は上空へと飛翔して躱す。
────銃剣による狙撃を躱した流星をビットが再び取り囲まんとする。
技術的観点を除けば一見無敵に思えるビット兵器。
当然の話ではあるが、それらにも弱点はある。
前回のエムとの戦闘後に、それとなくセシリアに聞いた話だ。
ISと同じく
つまりは、ISとビットでは確実にISの方が速い。
「───」
スローモーションに移る光景の中、彼は狙いを変える。
状況的には完璧。
狙って作り出した訳では無いが、ここしか無いと彼は
次弾の狙撃よりも早く、速く───二基を落とさんとする。
(狙いはそちらか────)
彼の動き出す直前にエムも狙いを察する。
彼女もビットを操作しつつ、流星の方へと一気に踏み出した。
「!」
間合いに入った一基のビットに彼は青白い光弾を叩き込む。
回避しようと動くビットだが、枝分かれするエネルギー弾を前には無駄である。
一基のビットは瞬く間に砕け散る────そこへエムの凶刃が振るわれた。
近接ブレードで彼はそれに応じる。
すぐにエムを振り払うべく、流星は斬り合いながら拳銃の銃口をエムへと向ける。
「甘い」
「か───」
引き金を引く瞬間に少年の腹部へ閃光が炸裂した。
苦痛に歪む流星の顔。
エムは銃剣で斬り合っている中、銃口を彼に向ける。
「……!」
無論追撃はそれだけではない。
側面から迫る閃光に気付いていた流星は、エムへと咄嗟に蹴りを入れる。
「ッ!」
少年の元いた場所を閃光が通過する。
一瞬での離脱、距離の変化。
────その隙を二人が見落とす筈もない。
「「っ────!」」
直撃。
スナイパーライフルの銃弾が──レーザーライフルの閃光が互いの胴体を捉えた。
先までは余裕の態度を取っていたエムも、苦痛に顔を歪める。
(そう上手くはいかないか……)
彼の狙ったもう一基のビットはその隙に距離をとっている。
仕掛けて破壊出来たのは一基。
依然としてエムの優位は揺るがない。
せめてあと一基は破壊出来なければ、勝機はない。
ここで全てを出し切るつもりで戦わなければ、敗北は必至だ。
「─────」
ビットからの攻撃を避けながら、流星はアサルトライフルを展開する。
狙いをエムへと向け、引き金を引いていた。
既に全力は出している。
───ならば全力よりも先を模索する他ない。
「無駄だ」
アサルトライフルの銃弾はアッサリと虚空へ消える。
青の蝶はその翼を軽やかに羽ばたかせ、横へと旋回。
「!」
直線、そして弧を描く閃光が入り乱れる。
回避は不可と判断し盾で凌ぐ少年。
衝撃で機体は揺れ、爆煙が彼を包み込んだ。
───煙の中から盾が投げ出された─────。
(視線の誘導─────グレネードランチャーか)
爆煙の中から飛び出す弾頭にエムは即座に反応する。
下手に撃ち落とす事はしない。
視界を奪い、少しでも奇襲の確率を上げる目論みとエムも理解している。
正面から叩き潰す選択肢もあったが、彼女もそれに付き合う気は無かった。
───距離を取り確実に嬲り殺す。
爆煙の中から飛び出す灰の機体へ向け、エムは引き金を引く。
シールド・ビットも同時に少年へと閃光を叩き込まんとする。
「!?」
──瞬間、一基のビットが爆ぜた。
「────っ、」
腕部を閃光が掠め、少年は顔を歪める。
その手にあったのはスナイパーライフル───狙いはビットからは外れていた───。
(盾からの跳弾か……!だが────!)
(無理な動きをし過ぎたか──くそ、体が───)
ビットを減らされたエム。
しかし消耗が激しいのは明らかに流星の方だ。
連戦に加え度重なるビットからの回避、無茶な機動と疲労。
全身が悲鳴を上げていた。
────それを見抜いたエムは猛攻を仕掛けるべく、ナイフも展開。
銃剣とナイフで仕掛けるべく
上空から迫る脅威は獲物を狩らんと笑みを浮かべていた。
「ちっ──」
彼もまたナイフと近接ブレードを展開し、迎え撃つ。
四方向からくる閃光を後退して躱し──エムのナイフを自身のナイフで受け流す。
「「─────」」
互いのナイフが赤い線を作ったところで、近接ブレードと銃剣がぶつかり合った。
彼は
その直前に、彼の右腕部を閃光が直撃した。
「がっ───」
咄嗟に拳銃を量子化する。
押されるのは灰の機体。
配置を変える周囲のビット。
刃は滑り火花を散らす。
それを皮切りに光を放つ金属の浮遊物─────。
「死ね」
退路はない。
四方向からの攻撃は的確に灰の機体を撃ち抜いた。
「っ、──ぁ───……っ」
傾く少年の身体。散る灰の装甲。
紛うことなき直撃───エムも勝利を確信する。
──そんな中、ぞわりと悪寒がエムの背筋を走り抜けた。
エムは直感に従い距離を取ろうとする。
「っ」
──────突如現れた青白い光は分裂し、彼女を捉えた。
「ぐっ────!?」
分裂したエネルギー弾により『サイレント・ゼフィルス』の装甲も一部砕け散る。
貫通弾より威力は低いものの、射程は短く威力はそれなり──しかもそれを複数発受けたのだ───ISで防ぎ切れないダメージが彼女を襲う。
割れるバイザー。
腕部の損傷。
奇しくも彼女のダメージは前回の焼き直しとなる。
「ッ……!!」
離脱したエムは空中で持ち直した灰の機体へと視線を向ける。
視線の先にいる流星は、首筋から左肩にかけて生々しい火傷を負っている状態であった。
全身の装甲もボロボロである。
『時雨』の
彼の損傷度合いからしても、答えは明白だ。
彼は咄嗟にISを部分展開へと切り替え───
更にはISの絶対防御をギリギリに設定し、消耗を抑えたのだ────。
「貴様────ッ!!」
忌々しげな声が聞こえる。
エムから見ても狂人の行動。
しくじればISは無事であっても流星自身が死んでいた可能性もあったからだ。
そんな行動で出し抜かれた。
事実と身体に刻まれた傷が彼女の怒りを駆り立てる。
放たれるレーザーガトリングを少年は冷静に躱す。
かなりのダメージだが、まだ体が動く事に彼は安堵していた。
(流石に無茶だったか───)
身体を動かす度に激痛が駆け巡る。
エムも猛攻を止めず、流星を仕留めるべく動いている──息を整える間もない。
次に攻撃が止むのは決着がついてから。
当たり前だが先のは一回限りの不意打ちだ。
次はない。仮に目論んだとしても次は確実に流星が死に至る。
拡張された五感は痛みすらも彼へと鋭敏に伝える。
「っ…………!」
それだけで意識が飛びそうな中、脳内の情報を何とか処理して戦闘を続行する。
息も絶え絶えといった様子。
必死にレーザーガトリングと閃光から上空へ逃れる。
装甲を攻撃が掠めていった───。
「っ」
先ので決められなかった以上───どう行動しようと見てから対処される。
特にエムの武装は飛び道具でも最速クラスの弾速。
発射までの間隔もほぼ無い。
であれば、どうすればそれよりも速く攻撃を叩き込めるか。
狙撃────?
───威力が足りない。
近接武器───?
────それでも遅い。
(いや、ひとつだけある)
らしくはない賭け。
少年の脳裏にひとつだけ候補が浮かび上がる。
武装の『
読みを外しても終わり。展開が遅れても終わり。
(やるしかない、か)
これ以上模索する時間もない。
少年は腹を括った。
□
場所はかわり、ある無人島上空。
『
「───」
超高圧水弾ガトリングガン『バイタル・スパイラル』の引き金が引かれる。
降り注ぐ
十二のドローンの内一機は銀色の光を球状に纏った。
攻撃が直撃するも、ドローンは無傷。
球状の光に防がれ攻撃は届いていない。
(やっぱり───)
楯無は攻撃を躱しながらそれらを観察する───。
銀色の雷にて焼き払われる眼下の木々。
威力を物語るように地面へと着弾した雷は、土砂を巻き込んで爆発を起こす。
まるで災害のような規模の戦闘。
福音と同様に広域殲滅用のISの威力は計り知れない。
────楯無の視線の先には幾つものドローン。
彼女が注目したのは威力や速度ではなく、その動き方である。
基本的にタイミングをズラしながら波状攻撃を仕掛けてくる『目』──ことドローン。
それらに対し楯無が攻撃を行う、または回避する───すると素早く畳み掛けてくる訳だが────一度も全機では対応してこなかった。
それからも攻撃しつつ観察していた彼女だったが、先の攻撃でついに確信を得た。
(──来玖留が同時に扱えるのは、恐らく八機───)
同時に扱えるのは八機───驚異的な数ではあるが、今は十二機でないだけマシだ。
しかし、別に残り四機が止まっている様子もない。
恐らくその瞬間にマニュアルから切り替えられ、IS側のプログラムで操作されている。
特定の行動、達人にはわかるある種の癖と言うべき部分。
それらが来玖留のものから外れる瞬間がそこにはあった。
勿論、それらがブラフの可能性も楯無は考え───手にしたガトリングガンを来玖留へ向けた。
(何か企んでる───)
来玖留もまた楯無が無策で動くはずが無いと確信している。
向けられる銃口。主導権は既にこちらが握っている。
彼女の目に映る水色の機体には、既に装甲のいたるところに傷が付いていた。
(確実に押してるのは
──ここで油断すれば足下を掬われる。
レールカノンによる攻撃を続けながら、来玖留は静かに考える。
(気を付けるべきは『
相手の武装を把握しつつ、来玖留はガトリングガンの弾を上昇して躱す。
そこへ左右から迫る水流。
振るわれる掌。
銀色の光が炸裂し、水流をひとつ吹き飛ばす。
「!」
瞬間、もう片方が爆ぜた。
それも来玖留へ向かう最中突然だ。
まるで水滴を空中に撒き散らすよう───来玖留は即座に攻撃させているドローンを離脱させんとする。
(流石に警戒されてるわよね)
楯無は胸中で呟きつつ水滴を意図的に起爆する。
それは『目』が完全に離脱するよりも早く行われた。
だが、爆発は『目』には届いていない。
「!」
爆風と共に蒸気が噴出──それは白い煙となって一気に周囲に広がった。
(目くらまし───更識の位置は捕捉できてる。───となると狙いは───)
来玖留の読み通り煙の中に水流の反応が現れる。
どのドローンを攻撃するかを直前まで悟らせない為だろう。
来玖留は即座にレールカノンの引き金を引く。
狙いは煙の中にいる楯無。ドローンにも離脱しながらの攻撃をさせようと動かす。
「────」
楯無はアクア・ヴェールを正面に展開して砲弾を受け止める。
続く雷を前に砲弾を逸らし、横へと高速で旋回して躱してのける。
避けると並行して彼女は水流を近くのドローンへと向けていた。
逆巻く水は高速で回転しドローンへと迫る。
「!」
ドローンは水流を前に球状に光を展開──水流では突破出来ない防御だ。
楯無は
来玖留は見えないながらもハイパーセンサーで彼女の位置は捉えている。
楯無の狙いを阻止すべくドローンからの電撃───連続してレールカノンを放った。
「────っ!」
電撃を敢えてアクア・ヴェールで受け止め、レールカノンの砲弾を楯無は紙一重で躱す。
威力は高く、アクア・ナノマシンを犠牲にして威力を軽減させるのがやっと───被弾した事実は変わらない。
構わず彼女は前進する。
砲弾が彼女の頭の真横を通過した。
晴れる視界。来玖留が次の行動に移る。
それを待たずして、楯無は手に握る
「っ──」
ピシリ、と切断と同時に砕ける音。
脚部へと電撃が直撃し、装甲が砕けていた。
楯無は苦痛に顔を歪める。
纏わせていた水により斬れ味を格段に上げた剣は、防御ごとドローンを両断している。
ナノマシンの消耗は計算の内、撃ち抜かれて損失したシールドエネルギーの方が痛手だ。
ドローンの特性は粗方理解出来た。
先の攻防で気を付けていた他のドローンの挙動からしても、楯無の仮説は大体当たっている。
更に一機落としたことで多少攻撃は避けやすくなったが────。
来玖留もそれを理解している。
隠し通す必要も無いと切り捨て、楯無へと攻撃を当てることを優先したのだ。
楯無が身を削るように戦闘し、初めて来玖留へと攻撃出来る状況。
加えて神速の一太刀にカウンターで攻撃を当てる
傾く水色の機体──そこへ続く雷の連撃。
楯無は防戦を余儀なくされ、上空から離脱した。
「森に隠れる気?────なら森ごと吹き飛びな─────!」
雷がまたも大地を砕く。
木々は裂け、爆発の衝撃が森の中を低空で駆け抜けようとしている楯無へと襲いかかった。
「────」
楯無はそれでも突き進む。
彼女が駆け抜けた後から二本の水流──遅れて水刃が上空へと放たれる。
来玖留は気にも留めずを攻撃を続ける。
楯無の放った攻撃は幾つかのドローンに向けられたもの、狙いも甘く攻撃の手を緩めるのも悪手と判断───ドローンに回避行動を取らせつつ彼女は攻撃を続行した。
局所的な『
「これならどう──?」
「!」
楯無の呟きをハイパーセンサーが拾う。
通過した水流と水刃は来玖留の後方でひとつになる。
それは一際大きな水流へと変わり、生き物のように上空から来玖留へと向かう。
先よりも肥大化している。
移動する際に、空気中の水分を取り込みながら動いていたのだ。
このサイズになれば、ドローンからの電撃では一撃で消し飛ばせない。
物量による暴力は来玖留だけの専売特許では無かった。
「ハ────」
来玖留は余裕を崩さない。
ここに来て大量のナノマシンの使用───それこそ更識楯無が追い詰められている証拠だ。
一気に仕掛けてきた。
そうなれば彼女がこんな技で決めに来るわけが無い。
────来玖留の手に銀色の光が灯る。
彼女は振り向きざまに右手を振るった。
「──で」
瞬時に彼女は振り向き、右手に再度光を灯した。
左手にあったレールカノンを量子化し、大鎌へと持ち替えている。
「そりゃ──来るよね!」
「!」
視線の先にあるのは蒼流旋を手にした楯無の姿。
急激な直角軌道からの
それにより両者の距離は一瞬にして縮まっていた。
手を翳し、来玖留が銀色の閃光を放つ。
読んでいたと放たれた閃光は回避など許さない。
水色の機体は為す術なく光に飲まれていった─────。
「!」
───その影から再度水色の機体が姿を現す。
先の楯無は水で作られた分身────騙された。
そう、来玖留は口角を吊り上げながら嗤った。
「────なんてね。無駄だよ」
「っ────!?」
声と共に水色の機体に対し、幾つかの電撃が叩き込まれた。
肩部、背部、腹部への被弾。楯無の苦悶の声が漏れる。
何とか踏みとどまる機体に対し、ドローンは完全に彼女を包囲し直していた。
踏み込んだ楯無を今度こそ仕留めるべく動きを読み───誘導したのだ。
「はい、詰み。『ミストルテインの槍』は
────と、話したところで来玖留は違和感を覚える。
目の前の少女の今の被弾に対する怪我が──少ないのだ。
『ミストルテインの槍』は身に纏うアクア・ヴェールすら攻撃に回す諸刃の剣だ、カウンターなどされればこんなものでは済まない。
「──ふふ、そうね。確かに、もう余裕は無いわね」
「ッ!」
楯無は笑う。
傷を負いながらも不敵に笑うその表情は妖艶さすら感じ取れた。
危機感を覚えた来玖留がレールカノンを展開するも、腕が
「な──────!?」
「けど貴方が私の動きを読めるなら、逆も然り──じゃない?」
──────直後、『
彼女の身に纏うアクア・ヴェールもまた
「空間に沈む────ッ!?これは───────ッ!!」
周囲のドローンごと空間に飲まれるかと錯覚する来玖留。
自由がきかない──動揺を初めて見せる彼女に楯無は静かに向き合った。
「さあ決着をつけましょう、来玖留」
──
【
よく考えたらロシア軍から地味に連戦してる…。
もっと楯無さんの強さ盛ルペコ(囁き)