クソ雑魚メンタルなTS娘はマッマの所為でVTuberデビュー   作:totto

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26話 閑話4 世闇イズモ語り

「はぁ……シロネちゃんが居ない……」

 

 当たり前の事なのに呟かずにはいられない。

 この間の大イベント、シロネちゃんこと湍ちゃんのお家に3期生全員でお泊り。

 初めはシロネちゃんと長く一緒に居たいという気持ちと、記念枠を盛り上げたいという気持ちが合わさっていたけど、気が付けば、一番の理由がシロネちゃんと一緒に居ることになっていた。

 

「次のコラボはいつできるかなぁ……」

 

 もはやコラボは会うための口実とか言われても仕方がないよね。

 

 

 

 某配信サイトで実況者をしていた当時の私は、自分が思い描いていた活動と現状の齟齬に悩んでいた。

 

「はぁ……つらっ……なんで嫉妬されて有ること無いこと噂されるの……」

 

 生放送と動画投稿のどちらも伸びており、多くの実況者が活動して、私もその中の片隅で活動していた1人だった。

 楽しく実況者同士でワイワイとやることを思い描いていた私は多くの人と交流を持とうとしたが、実況者同士は表面上仲良く見えても視聴者と言う数字を取り合うライバル関係が多く、妬み嫉み荒らしは日常茶飯事。

 

「もう無理だーーーッ!私は活動を休止するぞぉおおおジョ〇ョーーー!」

 

 だから疲れ果てた私は休止を決意した。

 

 そんな私の前に現れたのがVTuber。

 当初は認知度も低く業界自体が小さいこともあり、ライバルであるはずのVTuber同士がお互いを重んじ業界自体を盛り上げていく姿に心打たれた。まさに青天の霹靂。

 

「こっここここれだ!」

 

 いつしかリスナーやVTuberが増え、企業の参加も当たり前になって活発になるけど、最初の頃のお互いに尊敬しあう姿勢は変わらないどころか、企業を超えて尊い(てぇてぇ)関係を築いたりしている。

 

 あぁ……これが私が求めていたモノだ!

 気が付けばVTuberにドップリとハマり、自分で配信活動をすることも忘れてとある企業に所属するライバー全てが好きになったりしていた。所謂箱推しというヤツ。

 そこはVワールドと呼ばれるグループで、2期生が出てきた辺りで一気に人気を伸ばした。かくいう私もその波に乗って好きになった者の1人。

 

「かかあきてぇてぇよ……クールで天邪鬼なきりこちゃんの偶にデレるのもカワイイし、フェンちゃんはクソガキムーブからの即落ち可愛すぎるし、従順な優しいメイドさんかと思いきやさり気ない毒を混ぜてくるベルさんマジすこなんだがぁ、えちえちお姉さんのミルマールちゃんなんて、普段の言動がえちちなのにドジっ子属性のポンコツムーブとか卑怯だよ、チロちゃんもちょっと人見知りな所があって同期と上手くできるか不安だって言ってたのが、今ではみんな大好きムーブがてぇてぇ過ぎてコラボ見るのが辛いよ!あと、たろうは燃やそう」

 

 いいなぁ、この中に混ざってみたいなぁ。その思いは日に日に増していき、神の思し召しかのように新ライバー募集が始まった。

 私は当たり前の様に応募して、無事に合格を勝ち取ったのだ!

 

「やったーーー!神様ありがとぅーーーーー!」

 

 そんな私に出来た初めての同期(なかま)

 基本的にライバーになる人は一癖も二癖もある人が多く、シロネちゃんは1、2を争う程癖の強い子で、初めの頃は、内気で面倒を見てあげないといけない妹的存在だった。

 私はすぐさま、これからお世話になる先輩方にディスコードのチャットで挨拶をしながら、それとなくシロネちゃんがコミュ障で挨拶が難しいことを伝えた。

 先輩とのコミュニケーションは強制ではないけど、やっぱり同じ企業に属する仲間だし、今後コラボに誘い易い様にするためにつながりを持ちたいし、何より推しだからね!

 

 初回配信が終わった辺りのやり取りで、もっぱら話題に上がるのは大半がシロネちゃん。

 

「執仕先輩聞いてくださいよ!シロネちゃんが私とのコラボの為にイラストを描いてくれたんですよ!」

 

ベル『シロネさんは、初回配信で流していたオープニングも自作だそうで、とても多才な方なのですね』

 

「えへへ、そうなんです。シロネちゃんは凄いんですよ!」

 

ベル『なんで本人でもないあなたが、そんなに嬉しそうなんですか……』

 

「なんだか妹みたいで、自分の事の様に嬉しいんですよね。苦手なことに一生懸命向き合おうとしている所とか応援したくなっちゃうんですよね。話してみると分かるのですけど、結構相手の事を気遣える優しさもあって素直でいい子なんですよ」

 

ベル『ベタ褒めですね……コミュ障クソザコメンタルですが』

 

「そっそうですね……とてもクソザコですね……でもシロネ(推し)がとっても可愛いからオーケーです!」

 

ベル『あなたも生粋のVワールド好きですね』

 

「そういう執仕先輩だって大好きですよね」

 

ベル『フフッ、そうですね、その通りです。あっそうだ、私の事はベルさん、もしくはベル先輩とお呼びください』

 

「良いんですか!?じゃあ、ベル先輩って呼ばせてもらいますね!」

 

 という風に、Vワールドという箱が大好きという話題から仲良くさせて貰っているベル先輩を始め、シロネちゃんが気になる1期生のかかえ先輩などと通話する輪を広げ、その度にシロネちゃん(推し)の布教をしていた。

 推し布教がやめられないぜ!

 

 そしたら、今回の新人は何やら面白いやつが入って来たぞと2期生の中で話題になり、コラボをしたいと問い合わせがマネ子さんに殺到したとかなんとか。

 

 それが今では、会って頭ナデナデしたいとか、ギュッて抱きしめたいとか、髪の毛梳いてあげたいとか、ご飯作ってあげて美味しかったよ那月(イズモ)って言われながらご飯を食ベているところ眺めていたいとか、邪な気持ちが溢れてくるうううう!

 ダメだダメだダメだ、気をしっかり持つんだ渡瀬那月。私は魔界からやって来たコラボ大好き悪魔娘、世闇イズモだ……よし!

 配信前に溢れ出る邪心を振り払うため、自分に暗示を掛けるように言い聞かせて配信開始ボタンを押す。

 

『《世闇イズモ/Vワールド3期生》世闇の刻ラジオ《雑談枠》

 

「良い子は寝る時間、魔界からやって来た世闇イズモ。世夜民のみんなーーーーこんズモーーーー!」

 

コメント:こんズモ!

コメント:こんズモ!

コメント:こんズモ!

コメント:こんズモ!!!

コメント:世夜民として放送待ってたぞ!

 

 私のファンである世夜民の人たち。

 オフコラボリレーからチャンネル登録者も増え、あともう少しで6万になりそうで嬉しい。

 私1人の力だけでなく、3期生全員の力で勝ち得た物の様で誇らしく思える。

 

 ついつい突っ走り気味になってしまうアリアちゃんに、マイペースなメメちゃん。極度なコミュ障なシロネちゃんに、人と関わるのが大好きな私。

 結構この4人組はバランスが良いのかもしれない。

 まあ、アリアちゃんはシロネちゃんに対して特に行き過ぎちゃうことがあってよく反省して、シロネちゃんも愛情故の過ちだと分かっているようでトラブルにはなっていない。

 自分が1番大変なのに、相手を思いやれるとか天使かぁ?

 

「オフコラボリレーが一昨日で、昨日は魔界で休暇を頂きました。みんな寂しくなかったかな?」

 

コメント:ツイッターには現れてたからまだ大丈夫!

コメント:あともう少しで寂しさで死ぬところだったゾ

【世夜民の民¥2,000 おかえりなさい!】

 

「世夜民の民さんスパチャありがとう!ちょっとお休み頂いたから元気一杯だよ。あと名前が(みん)(たみ)で重言になってないかな?」

 

コメント:世夜民は民だからあってる

コメント:イズモちゃん帝国

コメント:女王様かな?

コメント:別の意味に見えるw

 

「確かに!世夜民の女王様って、そういう感じの人っぽいよね」

 

コメント:ちょwww

コメント:イズモちゃんwww

コメント:それ拾うんかい!w

コメント:イズモちゃんは清楚のままでいて

コメント:むしろあり

 

「べっ別に清楚枠って訳ではないけど、これぐらいは一般常識だからね?ほら、いやらしい訳じゃないからね?」

 

コメント:夜の女王様が一般常識

コメント:一体どんな常識の元で育ったんだ

コメント:イズモちゃんの女王様ハァハァ

 

「違うから違うから!そうじゃないからね!?」

 

コメント:シロネちゃんを調教するのか

コメント:新しいイズシロの可能性

コメント:シロネちゃんとのコラボまだ?

 

 おっと、ナイスな話題!

 

「シロネちゃんとのコラボ予定は今の所ないけど、一杯やりたいね!最初のうちは伝えたら逃げられそうだったから無理やりコラボを組んじゃったけど、今なら慣れてきて平気そうだから積極的に声を掛けたいよね」

 

コメント:むりやりw

コメント:確かに突発コラボ多かったね

コメント:良くシロネちゃんに嫌われなかった

 

「イヤというよりも、推しと会話するのは緊張するっていうのが一番の理由じゃないかな。なんだかんだで、私たち結構チャットはしているから仲いいんだよね。羨ましいだろー」

 

 本人無許可コラボは、ある程度気を許してくれていると分かっているから出来た所業なのは言うまでもない。

 

コメント:急にマウント取ってきて草

コメント:羨ましい!

コメント:一体どんな会話しているんだろう

コメント:シロネちゃんはチャットだとイキってたり?

 

「むしろ変わらないよー。でも、あの悲鳴が聞けないのが難点なんだよねぇ」

 

コメント:シロネニウム摂取不可能は草

コメント:当たり前だよなぁ

コメント:この同期たちシロネニウムキメすぎじゃない?

 

「むしろキメなきゃ同期じゃないよね!」

 

コメント:草

コメント:草

コメント:草

コメント:lol

コメント:オフコラボリレーあとのお泊り会について詳しく

 

「おっ、良い話題振ってくれるねぇ!と言っても、あのあと疲れてすぐに寝ちゃったんだよねぇータハハハ。シロネちゃんが先に寝落ちして、それに続く様に私も隣でグッスリ」

 

コメント:となりで・・・!?

コメント:まさか!?

コメント:エッッッッッ!

コメント:キマシタワー!

コメント:おいおいおい

コメント:これは百合の香り

 

「いや、本当にそのまま寝ちゃったから何もないからね!?変な気を起こす間もなく意識がなくなったから!」

 

コメント:でも、変な気を起こす気はあったと

コメント:シロネちゃん貞操の危機

コメント:お巡りさんこの人です

 

「そんなことないから!ちょっと、起きた時に寝ぼけてシロネちゃんに抱き着いたぐらいだし!」

 

【キマシタワー建設事務所¥1,000 キマシタワー!】

コメント:名前w

コメント:言い訳が言い訳になってない件について

コメント:これはセウト

 

「私は悪くねー!くぁいすぎるシロネちゃんがわるいんだーーーー!」

 

コメント:などと犯人は供述しており

コメント:余罪を追及する必要性がありそう

コメント:弁護不可能

 

「世夜民のみんなひどくない!?」

 

 世夜民のみんなと戯れながら、今の私が最高の環境で活動できていることを噛み締めながら1時間を過ごした。

 あれ、シロネちゃんの話題しかしてなくない?

 

 その後『シロネ語りがやめられないあくーま』という題名の切抜き動画がバズったのは別のお話。

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