その瞬間、私は産まれなおしてからこれまでで、最大最高の速度と精度を発揮したように思う。
一足飛びに島風の眼前まで駆け、翻ったそのスカートの端を指先で捉え、中身が見えないように抑えつける。私の出した風圧で島風の髪が放射状に散らばり、オウッという鳴き声が眼前の喉から漏れ聞こえた。目と目が合い、数秒の硬直。島風は怪訝そうに眉を寄せると口を開いた。
「何してるの吹雪?」
「こっちのセリフだよ!?」
出来る限りの最短最速でエグい角度のそれを隠しはしたものの、明らかに電波に乗っかって、島風のZ旗パンツは全国に生でお届けされた。なのにこいつ全然動じてない。たぶん、ここ何か月か周りにまともに男が居ないから服装に関して自覚が全く無いのと、今現在居るのがカメラマンさんまで含めて全員女性なのが悪い方向へ合わさった結果か。ともかく本人はえらく呑気だった。
さて、とりあえず隠すべきものは隠したけど、ここからどうしたらいいんだ。とりあえず島風はフェードアウトさせた方がいいのかな、引っ張ってくか、でも急にそんな事して大丈夫だろうか、まずマイク切らなきゃ、なんて、混乱していた私よりも、先に動いた人物が居た。龍驤さんである。
――後からアルコールの入った龍驤さんに聞いた話であるが、この時の龍驤さんの脳内では、放送事故だわぁとかこんな阿呆みたいな事させたらそら事故るわとか出撃してた方が楽やったなとか色々ぐるぐるしてたらしいのだけど、廻して遠心分離した結果、最終的に残ったのは島風自身の事だったらしい。やるかどうかは一瞬だけ迷って、すぐさま、後で全部多聞丸に責任押し付けようと決めたんだとか。
龍驤さんは私達の方へと歩み寄り、私をアイコンタクトで制すると、苦笑いしながら島風に話しかけた。
「制服でとは言いましたが、制服だけでなくても良かったんですよ?」
言ってる意味が分からなかったのか少し首を傾げる島風の横に龍驤さんが並ぶ。私もよく分かんなかったので龍驤さんをまじまじ見つめてしまった。出演予定は無かったはずだけど。言った龍驤さんは島風をしっかりカメラに映る位置に誘導すると、続けて喋り始める。
「こちらは駆逐艦の島風。連装砲ちゃんの使用適性を持った、戦闘部隊の一人です。露出の多い服装なので驚かれた方も多いと思いますが、これは島風の制服です」
オイオイオイ死ぬわ提督の胃。
え、なんでばらしたの? ばらして大丈夫な情報なの? 自害なの? ランサーの親戚なの? 絶句する私をよそに、龍驤さんは話し続けた。
「艦娘は艦娘として活動するに当たり、制服の着用は絶対になります。これは制服が艤装の一部であり、生命を守るための機能を有しているからです。着ていない場合、艤装損壊時の生存率が大幅に下がります」
ここまで説明されて、ようやく私も龍驤さんの意図が読めた。たぶん、龍驤さんは島風がこの格好を強制されている事を強調して、風評被害が及ばない様にしようとしてくれているのだろう。でも、当事者である島風は全然理解していないのか、龍驤さんを訝し気に見つめていた。
「とはいえ、制服の上に何かを着たり、追加で穿いたりする分には問題ありません。ですので、島風の場合でしたら、スパッツやジャージの上にスカートを付ける事は可能です。必要なら外套を羽織ってもいいですし、極端な話、ウェットスーツを着てしまっても構いません。申請すればある程度の物は支給される場合もあります」
龍驤さんによる島風と制服両方に対するフォロー。普段からこんな格好じゃないですよと激しくアピールするそれは、島風が普段からこの制服一揃えのみで活動していると知らなければ説得力があるだろう。島風が余計な事を言わなければ問題ない、そう思ったが、龍驤さんをおかしなものを見る目で眺めていた島風は口を開き、独り言のように呟いた。なかなか通る声をしているため、龍驤さんの言葉が止まった瞬間に発されたそれは、見事にマイクに突き刺さった。
「関西弁じゃない……!」
「キミらは打ち合わせかなんかしたの!?」
:なんだこいつ
:やべぇの写った
:なんだその服wwwwwwwwwwwww
:痴女だああああああああああああああああああああああああああああ
:私服がヤベー奴
:これはひどい
:ふぅ……
:連装砲ちゃんウッキウキじゃん
:スカート短くない?
:パンツかと思ったら浮輪か
:ぜ か ま し
:右からでしまかぜかな
:可愛いのに服のセンスが
:制服じゃないよねこれ
:浮輪届けに来たのかこの子
:あ
:見えた!
:放送事故
:!?
:えっはや
:うわ早
:なんだ今の
:ラグった?
:吹雪いつの間に移動したし
:スカート抑えに行ったのかwwwwwww
:足速いっつーか足付いてなかったろ今
:飛んでってワロタwwwwwwwwwwwwwwww
:パンツ見てから縮地余裕でした
:素が出て草
:ほんとだよ
:お前の服装が何やってんのだよ
:まぁいきなり飛び掛かられたら混乱するのは分かる
:パンツエグ過ぎてヤバいスカートの上から出てるのパンツの紐じゃん
:女所帯ってこうなるのか……
:↑なるか馬鹿!
:提督になりたくなってきた
:制服?
:連装砲ちゃんこの子のなのか
:は?
:制服かよ!
:制服wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
:ないわ
:え流石に酷くね
:かわいそうな子だった
:これは許されませんね
:日本オワタ\(^o^)/
:ふざけてるんですか?
:島風って速い奴だっけ
:誰の趣味だよwwwwwwwww
:嬉しそうだったのは飼い主が来たからか
:これで守れるとかうせやろ?
:生存率に直結する服装がこちらになります
:嘘だと思いたいけど嘘つく理由が無いんだよなぁ……
:ああ下に何か着ていいのね
:流石にこれで出撃はしないか
:それをはくなんてとんでもない!
:嘘つけ絶対このままだゾ
:そもそもこんな服を着せようとしない方がいいと思います
:艤装とセットってこれ自体は変えられないのかね
:説明のための生贄にされたのか
:ウェットスーツの上にこれ着るのはシュールだなw
:連装砲ちゃんが吹雪と一緒に出撃するって言ってたしこの子吹雪の僚艦ですかね
:こいつwwwwwwwww
:ひでぇ
:龍驤さん関西弁の印象強すぎない?
:漫才してんじゃねーんだぞ
:これは吹雪の同僚ですわ
「制服は艤装ごとに固定で、変えられません。私のこのセーラー服も決められた服装ですが、このように下にスパッツなどを穿くのは全然問題ないです」
本当はズボンが良いんですけどねーと言いながら、私は軽く自分のスカートを摘まみ上げスパッツを少しだけ見えるようにした。インパクトで勝てる気はしないけど、ちょっとでも印象が分散してくれることを願って。
「あー……まぁ、はい。そんなわけで、デザイン等に不満があっても何かしらで補うようにして、絶対に着用せずに出撃するような事は無いようにと徹底しています」
起動自体は制服無くても出来るんだけど、物理無効化能力が機能不全を起こす可能性があるらしいからね、仕方ないね。
:長門もへそ出てるしなぁ
:金剛とか霧島も大概
:金剛と霧島は同じような制服だから同型艦で共通っぽい?
:エッッッ
:何故見せたし
:あーだめだめ
:なんでたまにビッチムーブするの?
:怪文書が笑えなくなってきた
:三次に興味ありませんとか公言するオタらしいからなこいつ
:あの怪文どこまでほんとなんだ
島風と連装砲ちゃんを工廠に預けて、私達は次の建物に向かう事になった。島風も映るつもりはなかったため、じゃあねーと手を振りこちらを見送って、連装砲ちゃんも一緒になってぴょんぴょんはねる。残りの二体も近くにいたらしく、合流してミューキューキャーと手をふりふりしていた。かわいい。
島風の混乱の裏でひっそりと川内さんが大破したりしていたが、変色海域へは行ってないのでたぶん大丈夫だろう。と思っていたら筑波さんがコメントを選ぶ振りをしながら予定通りの進行を始めた。
「では、また質問コーナーになりまーす! 今度は私が選んでいきますねー……はい、『学校へ行っていないと思うのですが、勉学や進学についてはどうなっているのでしょう。娘が艦娘になったら勉強しなくていいじゃんなどと言っていて心配です』……との事ですが、どうなんでしょう?」
「少なくとも、私はやってないですね……」
なんせ教科書とか持ち込んでないからね、やりようがない。個人的には平和になってからやりたいだけやればいいじゃんくらいの考えなので、別に今できなくてもいいと思うのだけど。いやそれで私の適性値が目減りして無くなる前に平和にならなかったとかってなると困るけど。
「鎮守府での学習活動は、基本的に自主勉強になります。各鎮守府ともある程度以上に出来る人間は居ますので、分からない所を聞く事は可能だと思いますが……」
龍驤さんも歯切れが悪い。宮里艦隊では、少なくとも私の知る限り勉強とかは誰もしていない。っていうかね、はっきり言えばそんな事してる暇がないんだよねこの艦隊。交代交代で待機の日があるとはいえ、それ以外はほぼ毎日出撃してるから、勉強でストレス溜めるくらいなら遊ぶなり寝るなりしてリフレッシュしてた方が建設的なレベルなのだ。そんな中でも日記漫画をしっかり描いてるから秋雲先生は色々凄い。
「復学に関しましては、元の学校に戻ってもいいですし、それが難しいようなら転校する事も可能です。進学については特別推薦制度がありますので、素行に重大な問題が無ければ高校にも大学にも進む事が出来ます。学費は全額免除で、ある程度学校も選べます。専門学校なども選択肢にありますよ」
「ちゃんと考えられているんですねー」
「ただ、付いて行けるかどうかは本人次第になってしまいますね……一応、入学を遅らせるという事も出来ますので、準備してからというのは可能です」
艦娘を辞めて暫くしてから学校へ行くのは有りであるらしい。結構色々保障がされているので安心なんだかそうでないんだか。
:勉強するより命懸けで戦いたい娘
:二階級特進しそう
:勉強するより訓練とかするよね
:勉強の時間くらいは確保してあげて欲しい
:↑あっても絶対しないぞソースは俺
:受験しなくていいの羨ましい
:入るのはともかく進級と卒業が人より苦労するでこれ
:一年くらい予備校通いしてからの方が良さそう
:そもそも学校行くような年の間に戦い終わるんですかね
:↑適性値は減るから戦えなくなったら退役って自衛隊の方で言ってた
:就学より婚期の方が問題起きそう
工廠から入り口側に少し戻った所にある四階建ての建物、殆どの窓にはカーテンが引かれ、中は見えないようになっている。明かりも一部を除いて消えていて、殆ど人が残っていないため物音もあまりしない。いや、私には残った人が動く音が聞こえてたりしてるんだけども。
「ここは私達の暮らしている寮になります。裏手には広場があって、そこで運動したり出来るようになってるんですよ。私もよく走っています」
でも私達は寮の入り口を素通りし、まずはこっちですと寮と繋がった隣の建物の入り口をくぐり抜けた。
「ここが食堂です。私達はほぼ毎日ここで食事をとっています。一日三回までならいつ来ても食事を出してもらえまして、二十四時間営業なので深夜まで任務の日でも大丈夫です。艦娘専用という訳ではないので、守衛の方や搬入に来られた方々も食事して行かれますね」
木のテーブルに木の椅子、ちょっとした観葉植物なんかも置かれていて、無機質な感じではなく、大衆食堂と言われたら納得してしまいそうな装いである。中に入った私達が厨房の方へ声をかけると、はーいと返事があり、中から割烹着のような制服を着て艤装を背負った女性が二人現れた。
「給糧艦の間宮です」
「給糧艦の伊良湖です。こちらの食堂では、私達給糧艦の艦娘が食材の生成から実際の調理までを、艤装を使用して行っております」
配膳はしてないので実はあんまり顔合わせしないんだよね。受け取り口に妖精さんがそっと乗せてってくれるのだ。私と宮里提督以外の人には怪奇現象に見えてると思う。
:結構デカいな
:寮母とか居るんだろうか
:走る(100m十秒
:走ってるとこ見たいな
:入らないんかーい!
:食堂別の建物なのか
:食生活は気になってた
:毎食食えてる?
:普通の食堂ですね
:給糧艦ktkr
:割烹着はもしかして制服なんだろうか
:生成? 精製?
:食材の生成って何
:髪長いけど入らない?
:艤装背負って料理するのか……
「私達の背負った艤装に何の意味があるのか、視聴者の皆様は疑問に思われるかと思います。ですので、今日はこの艤装の使い方の一部を実演させていただきます」
伊良湖さんはニッコリと笑うと、陰に置いてあった小さいドラム缶――収集部隊の集めた霊的資源が入ったそれを間宮さんの艤装へと開けずにそのまま投入した。
間宮さんの艤装が起動し、小さく音を立てて中の機械が仕事を始める。そして十秒もしないうちに音は止み、中から妖精さんがひょっこりと顔を出して、経木の包みを間宮さんに手渡した。
「これが、この給糧艦の一番大事な仕事、そして今回広く募集する理由です」
そう言って開けられた包みから出て来たのは、色つやの良い、明らかに新鮮な牛肉だ。質も良さそうで、赤身に程よく脂が混じっている。高級品の類はどれもこれも高騰している今の世間じゃあ、並大抵ではお目にかかれないだろう逸品。この鎮守府だと結構普通に食べれます。なお原料。
「給糧艦の艦娘は、特定の資源から食料を生産する能力を持ちます。野菜、穀物、肉、魚……概ね何でも作れますが、質と速度はそれぞれの適性によって変わってきます。例えば間宮さんはこの通り、お肉が得意です。私は何故かサツマイモだけ極端に上手く作れて、それ以外は彼女に及びません。個人差がかなり大きいんですね。ですので、たくさんの人達に協力いただいて、資源を効率よく使って行こうというのが今の方針になっています」
私達と同期で現在給糧艦で最高の適性値を誇る間宮さんは、高品質なものを安定供給できる最高の人材なのである。回復効果が高いのも嬉しい。
:気になってた
:邪魔にしか見えない
:燃料?
:ちゃんと動くんだなぁ
:まともに動いてるの見るの初めてだけど何してるか分からん
:肉屋みたいな包みだなw
:うまそう
:マジで肉じゃん
:いい肉使ってる
:生産……?
:合成肉かこれ?
:作れるの!?
:マジかよ
:人類進歩しすぎだろ
:味はどうなのだ
:SFの時代始まってた
:入れたの燃料じゃなくて材料か
:食べて大丈夫なのかそれは
:何故薩摩芋
:サツマイモは……普通にどこでも育つからあんま需要無さそう
:今いろんなとこで見るよなサツマイモ
:庭でも育つからなぁ
:なんで給糧艦募集してんのかと思ったらこれ俺らにも食わせる気だな
:栄養バランスを考えていきたいと
「安全性に関しましては、調査で通常の食品との差異は見受けられないという結果が出ています。実際に、私達自衛隊員はこの半年以上艤装で生み出された食料で生活していますが、健康被害等は出ていません」
「味は凄く美味しいですよ」
私の端的な褒め言葉にありがとうございますと笑って返すと、伊良湖さんは長方形のトレーに乗った料理を脇から取り出した。テーブルの上にそれが置かれると、カメラはそれらがしっかりと映るように焦点を合わせに行く。
「実際に艤装で作られた食材を調理したものがこちらです。今日の献立はあさりの炊き込みご飯と鶏肉とネギのソテー、ほうれん草とエビのサラダにだし巻き卵、大根のお味噌汁……それと漬物ですね」
貝の出汁でふっくらと炊き上げたお米と焼いたネギの添えられた鶏肉、エビの赤とほうれん草の緑が見事な一皿に、野菜たっぷりの出汁巻き、湯気を立てる作り立ての味噌汁。漬物は好みが分かれるが、嫌なら言えば除いておいてくれる。夕食でも満足できそうだが、これお昼ご飯である。夕飯だとさらにデザートも付く。
ちょっと頂いてみましょうと筑波さんが試食して、絶賛する。さもありなん。ガチで美味いのだここの食事は。食材も良いけど料理の腕もかなり良い。宮里艦隊は戦闘部隊以外も鎮守府にて最強。
:艤装が出来た頃から実食してるのか
:自分達で人体実験したのか……
:被害出てたらヤバかったのでは?
:遺伝子組み換えよりヤバそうなんですが
:大人と子供で違う可能性があるのでは
:吹雪「美味しいからヨシ!」
:美味しいものには勝てなかったよ……
:普通に美味そう
:食べ物が良いと士気上がるからなぁ
:筑波ちゃん美味しそうだけど語彙が消失してる
:絶対美味しい
:そんなエサで俺が釣られどうやったら艦娘になれますかね?
:戦闘部隊以外も食べてんのずるくね?
:危険地帯に出張してんだから許してあげて
「アレルギーなどのある方には、事前の申告があれば専用の食事を用意する事が可能です。戦闘部隊にお渡しする糧食……お弁当みたいなものですね、それもここで作っています。それと、お料理が趣味だという方には厨房の設備をお貸しする事も出来ます。ただ材料費は自費になってしまいますが……」
等々、様々な食生活の説明を私達は受けた。私も知らなかった事もあったりしたが、無事に間宮さんと伊良湖さんとは別れを告げ、私達は次の場所へと歩を進める事になった。
入ってきた側とは逆の出入り口を通り、建物の奥へと進む。目的地は食堂のすぐ隣、雑多な品物が立ち並ぶ空間だ。
「こちらは酒保です。色々な物を売っていて、色々な手続きも出来ます……なんかコンビニみたいですね」
商品も急に足りなくなって買いに走るような物とかが多いので、間違ってないと思う。お菓子やお酒も売ってるし。ああでも、肉まんとかおでんは置いてないか。
カメラさんが中に入り、商品を映していく。特に問題のある物は無いので事故は起きない。良い事だわ。レジのお姉さんが映されると一礼して、でも特にその人でないと説明出来ない事は無かったのでこちらにカメラは戻って来た。
私と龍驤さんで置いてない商品の事やお金の移動に書面での申請が必要な事などを説明して、ここは終わりだ。ちゃんと必要な物は揃えられると理解してもらえればいい訳だからね。
:ほんとにコンビニで草
:ポテチやっす
:生理用品を映すな
:全体的に安いな……儲け考えてない感じか
:酒の種類多くて笑う
:天引きじゃないんだなぁ
:一日外出権とか売ってないの?
:地下帝国ではない
:家族に送金するだけで書類書かされるのか……
:つーか仕送りしてる娘居るのね
:PC買えます(実体験)
:吹雪絶対ネットの監視してるよね?
:間違いなく動画とかはチェックしてますねぇ
:誹謗中傷したらオールマイトに襲撃されそう
酒保を抜けて、二階では自衛隊の公式放送をやっているはずなのでそちらには行かず、中通路を通って隣の建物――我々の暮らす寮へと進む。一階は共用スペースがあり、みんなで集まったり出来る部屋が幾つかある。誰かが置いて行ったトランプや将棋盤なんかがあったりするが、基本的にはイスとテーブルだけだったり、畳部屋に座布団が積まれてたりするだけで特に説明する事は無い。
というか、私は碌に使ってないから説明できることが無いわ。割と大人で集まって飲んでたり、第一とか第三艦隊で自主反省会してたりしたらしいんだけど、どっちも私は関わりないしね。うん関わりないからなんだよ。呼ばれてないだけとかじゃないからほんと。島風たまに出てたみたいだけど。
ささっと流して次へ向かう。続くのは一階の半分ほどを占め、我々艦娘にとって無いと物凄く困る施設、お風呂である。
風呂場は更衣室があり、複数のシャワーがあり、大きな浴槽がある。まぁなんというか、普通の共用風呂である。TS転生者たる私は、二次専ゆえにあまり興味は無いのだが、見てしまうのは失礼にあたるだろうと勝手に思っているので大体一人か、付いてくる島風と一緒に入っている。私達は航行速度が速いのでそういう事が可能なのだ。
基本的に私達や偵察に出ている自衛隊の艦娘達の帰艦に合わせてお湯を入れるため、清掃の人か誰かがそういった作業をしているはずなのだが、私はそれをやっている人物を見たことが無い。私達の素敵な友人とはまた別のようせいさんなのかもしれない。
:風呂だああああああああああああああ
:ゴクゴクゴク
:入らないんですか?
:入ろう
:ゆっくりしていってね!!
:お湯が入ってないやん!
:急に気持ち悪くなったな
:連装砲ちゃんも入るの?
:オールマイトの入浴シーン映して?
:↑筋肉凄そう
:時間とか決まってるわけじゃないのか
:海から帰ってきてそのまま布団とか飛び込めないわな
:潮でべたべたした雪ちゃんとべたべたしたい
風呂場を出て私達は二階へ上がる。ここからは私達の生活スペースである。とはいえ、個人個人の使ってる部屋に入る訳にも行かないので空き部屋と龍驤さんwith鳳翔さんの部屋を軽く見せるくらいの予定。私の部屋を見せても良かったのだけど、本来なら島風が待機してるはずだったからね。
そう思いながら階段を上りきると、直前まで静かだった廊下の向こうから、急に、ちょっっっとだけ汚い音が溢れ出してきた。まるで何かに打ち震える魂から無理矢理引き摺り出されたようなそいつは、結構な音量で全国の茶の間に響いた。
「ん゛あ゛あ゛ああ……き゛た゛か゛み゛さ゛あ゛あ゛ああああん゛ん゛ん゛ん……!!」
大井さんである。
流石に予想外で完全に硬直した私の代わりに、最早無表情と化した龍驤さんがものすごい勢いで駆けて行った。大井さんの部屋の前で一度立ち止まり、冷静にマイクをオフにすると、全く冷静でない力加減で扉を開け放ち、勢いで戻ってくるドアと一緒に部屋へと飛び込んだ。
「大井ィ!! お前、お前あれほど静かに見ィ言うたろうが――――!!」
「りゅ、龍驤さん!? 違、違うんです、私の昂る北上さん愛が勝手に……!」
「言い訳にもなっとらんやないかい!?」
丸聞こえである。でもとりあえず、まぁ、島風に比べたらそれほど重大な事でもないだろう。アイドルのファンとか実物見て奇声あげて気絶とかほんとにあるらしいし、多少はね? ちょっと球磨型の評判はアレな事になると思うけど。うん。階段に近い部屋だったのが敗因だな。
「えー……このように、壁があまり厚くありませんので、大きな声を出すと周囲に丸聞こえです。はい」
「みたいですねー……」
筑波さんもこれには苦笑い。狙いすましたようなタイミングだったように感じるけど、たぶん、定期的に奇声を放ってただけじゃねーかなこれ……
最終的に無慈悲な龍驤さんの手で放送を切られた大井さんは無言で涙の海に沈んだらしい。ご冥福をお祈りします。
:何?
:怖い
:えっ何?
:北上?
:亡霊かな?
:心霊現象かよ
:放送事故
:北上さんって言ってたな
:あっ
:龍驤さん?
:これは相当キてますね
:ト、トビラダイーン!!
:マジギレじゃねーかwwwwwww
:素が出ちゃったねぇ
:これは関西弁のイメージが強くなる
:大井だから北上の妹艦か
:どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
:↑北上の放送でコメント読まれちゃったからっぽい
:北上「大井っちじゃん宮里艦隊どう?すごい頑張ってるねー」→北上さあああああん
:タイミング悪すぎて草
:姉妹仲かなり良さそうなのに裏目に出てるのほんとひで
:島風より同情の余地が無いですね……
大井さんの事を居なかった事にして、龍驤さんは粛々と寮の紹介をこなしていった。笑顔が怖い。龍驤さんの部屋はしっかり整頓されていて、家具なんかは私達の部屋よりも充実していた。どちらかというと鳳翔さんの趣味らしいけど。
屋上へ出て、これで概ね生活に関係する施設の紹介は終わりだ。通信室とかは見せてないけど、あそこは私達は全く入らないからいいだろう。
なのでアレを話さなくてはいけない。話していいのかなぁこれ、いやでも割とモチベーションに繋がる話でもありうーん。
「屋上は開放されているので、好きに出入りできるようになっています。と言っても特に何もないんですけどね」
ではここで質問コーナーです、と屋上から見える海を背景に私はカメラと向き合った。
「『艦娘として招集されてから三カ月ほど経ちますが、何か悩み事はありますか』との事ですが、はい、あります。実はそろそろ友人の誕生日が近いのですが、プレゼントをどうするかで迷っています。何故かというと、その友人も艦娘で、私とほぼ同額の給金を今月支給されるからですね」
というわけで、お給料の話です。と言った私に、筑波さんが前振りだったんですかと小さく突っ込んだ。そうだよ。
:龍驤さんニッコニコやぞ
:大井どうなったんだ……
:割と部屋は普通だったな
:掃除は自分達でだと酷い事になってる部屋もありそうだな
:それほど小物とか無いのは引っ越す前提だからか
:屋上本当にアンテナとかくらいしか無いのな
:海綺麗だなー
:その質問はそういう話をしたかったわけじゃないと思うの
:悩み事だけども
:艦娘としての悩みじゃねーのかよw
:ヒャッハー金だ金だー!
:高い高いとは散々言われてるけど
:少なくとも酒は買えるレベル
「私達の給料は、基本給と技能給、まずこれが固定で支払われます。これに加えて、旗艦――隊のリーダーですね、これを務めた日数に応じて手当てが発生します。代わりに報告書を書く仕事なんかが増えたりしますが」
艦隊の人数に関わらないため、少数艦隊の旗艦だと仕事量に対して結構な額が貰えるから実は美味しかったりする。流石に言わないけど。
「そこまでが普通の、所謂給料になります。金額は……具体的な数字は控えさせていただきますが、結構高給です」
っていうか、正確な数字忘れちゃった☆ 私の給料、別の部分が肥大化してるから基本給の印象薄いんだよ……
「それで、もう一つ大事な要素として、報奨金があります。これは上位種とされる深海棲艦を討伐した場合や、特殊な作戦に参加した場合に支払われるものです。額は上位種の種類によって一千万から八百万。作戦に関しては内容によって様々ですが、前回宮里艦隊で行った特殊個体の討伐作戦だと、一億になりました。これを作戦の参加人数で頭割りした金額が実際に支払われます」
税金でかなり取られるから実際にはもっと減りますけどね、と付け足したが、筑波さんは驚いていた。
ちなみに前回の作戦というのはもちろん例のクジラの事で、囮役も含めた全員で割るため一人当たりは500万を割る。本来はそんなもんなんだよね。私が一人で何十体も姫や鬼を殺して回ってたのがおかしいだけで、普通の艦隊は少なくても五人は居るから姫級倒しても200万くらい。いやくらいじゃねぇわ十分多いわ。やっぱ感覚がおかしくなってる。
:技能給ってなんか出来るの?
:長門が旗艦やってそうだけど部隊ごとに居るのかね
:戦いから帰って来てから報告書書くのか……
:結構とは
:そこぼかすのか……
:覚えてないんじゃね?
:上位種に賞金掛かってるんだ
:一千万はすごいな
:どれくらい居るのかによるけど結構貰える?
:オールマイトさんは何体くらい倒したんですか?
:一億
:一億!?
:1億円とかマジかよ遊んで暮らせるじゃん
:↑ちゃんと計算してみた方がいい
:人数で割るのか
:頭割りじゃ大した事ないかな?
:10人で1000万ずつとかならかなり多いけど100人とかだと微妙?
:元が大きいからそこそこの人数でも結構貰えそうだな
:そもそも何人くらい参加したんだろ
:税別か
:税金かなり取られそう
:額によっちゃ半分くらい取られるからなぁ
:そもそも今の日本で貨幣価値が安定するかって問題もあるしな
:っていうか特殊な作戦って何やったの?
:金剛が吹雪のとこが一番姫級倒してるって言ってたけどマ?
「あ、技能というのは、艤装を扱う技能の事です。訓練所で一か月訓練する事で取得できます。艤装はこれ、扱うための資格が存在していまして、私達戦闘部隊は全員それを持っている事になりますね。作戦の参加人数は前回だと二十人くらいです」
実は、結構受け取り拒否したがる人が出たんだよねぇ、なんもやってないからって。もちろんそんな訳ないのできっちり受け取ってもらう事になったようだけども。
「姫級の討伐数は、まぁ、宮里艦隊が一位です。出現数が一番多かったみたいですねー」
作戦内容に関しては機密事項なので流石に内緒ですと言って話を締めくくる。これでもう大体終わった訳なんだが、時間くんが大分お余りになられている。この場合……艤装を稼働させてどういうものなのか見て貰おうって話だったな。じゃあ工廠で艤装取って来ないと……島風まだ居るよなぁ。
あ、いや、その前にもう一個やる事あったわ。と、足元でできたよーとぴょんこぴょんこしている妖精さんを見て思い出す。軽くその子に頷くと、筑波さんと龍驤さんにそろそろ適性検査の結果が出たのではと申し上げて、医務室に行く事にした。
「さて、それじゃあ道中はまた質問に答えていきますね。『訓練所ではどんな事をさせられるんですか?』」
「あ、それは私も気になります! 体力作りとかやったんですか?」
「あーいえ、主に技術と戦闘経験を積み重ねる感じでしたね。筋トレとか走り込みとか、そういう感じのは無かったです。むしろ明日もあるから疲れを残さないように、さっさと寝てよく休みなさいと言われました」
体力は艤装産の食事を食べてれば勝手に付くからだろうけどね。初雪とか最初と最後で結構持久力が違ってたし。
「訓練所でやったのは……最初はそうですね、艤装の起動でした。その後にプールで水の上に立つ練習をして、上手く立てるようになってからは武装の扱いを習いましたね。それが一通り終わったら、後は演習でした。あ、合間合間に講義の時間もあった。そう考えると訓練所では勉強しましたね、学校のとは違いますけど」
「演習というのはどんな事をするんですか? ちょっと予想がつかないんですけど……」
「駆逐艦は駆逐艦専門の訓練所だったので他の艦種の事は分からないんですが、私達は相手や人数を変えながらの対人戦……訓練生同士の模擬戦を繰り返しました。対空、対潜なんかは自衛隊の人に手伝って貰って、実際にレーダーやソナーで捜索してみたりして扱いを学びましたね」
私以外の訓練生同士の対戦も多かったから、割とみんなが全員の実力を把握してるのよね。
「あと、訓練生も艤装で作られた料理を食べるので食事はかなり良かったです。それと基本給だけですけど、給料も出ました。それでも結構多かったですけどね」
:一か月だっけスパルタしてそう
:体力無いと死にそう
:ねないこだれだ
:最初から海には行かないか
:投げ捨てられた教官長に習ったのかね
:演習ばっかなのか、一月じゃしょうがないのかね
:結局勉強するのか
:そりゃ兵器扱うのに知識無しは怖いしな
:延々戦わされるの?
:蟲毒かよ
:教官とも戦ったのかね戦闘部隊じゃないんだろうけど強いんだろうか
:↑適性値低いなら弱いのでは
:あの料理訓練所からなのか裏山
:給料はそりゃブラックじゃなきゃ研修でも出るしな
:報奨金が百万単位だし訓練生でもかなり貰ってそう
「教官の皆さんはそうですね、凄かったですよ。適性値が戦闘部隊標準まで届かない自衛隊の艦娘ですが、ほとんどの訓練生は一度はやられてました」
例外は糞みたいな回避率を誇り連装砲ちゃんが援護射撃までする島風と、なんかもう最初から普通に強かった夕立くらいだろう。
「ちなみに吹雪さんは?」
「私もやられましたよ……その、教官長に。訓練生からは有効打受けなかったんですけど、教官長には何度かやられましたね。威力が伴わないので模擬戦だけの実力だとは仰ってましたけど、適性値が高ければ私なんかよりよほど強かったんじゃないかと思います」
あと同じチート能力持ってたらね。
:技術はあっても力が無い感じか
:オールマイト倒す教官長って何者だよ
:グラントリノかな?
:滅茶苦茶評価高いな
:尊敬してるんやなって
:でも投げる
:飛鷹さん助けるためだから……
:わざわざ演習抜けて助けに行ったのかねあれ
:あれ近くで襲われてたって下手したら訓練場に敵行ってたよね
「ああ……例の動画で、飛鷹さんを助けられたのはたまたまですね、たまたま。タイミング的にギリギリだったので、教官長は投げるしかなかったんです! 抱えたままイ級の前に飛び出たら危ないと思ったんですよ!」
実際、ちょっと遅かったら間に合わない程度には余裕が無かったので、教官長はどうあっても投げ捨てられる運命だったと言わざるを得ない。無効化能力で怪我とかはしないから大丈夫だろって思ったのは事実だけれど。
:そうだねたまたまだね!
:公式発表で『ぐうぜんとおりかかっただけ』だからね!
:まぁ近くに居たのは本当に偶然だろうしなぁ
:でもオールマイトする余裕はあった
:オールマイトするために投げ捨てた訳じゃないのか
:イキューっていうのかアレ
:っていうかそもそもなんで抱えてたの?
「あ、いろはにほへとの『い』にドレッドノート級とかの級を合わせて、イ級です。現状最弱と言われてる深海棲艦の駆逐艦ですね。教官長を抱えてたのは、救助の訓練のためです。私達は僚艦が自力航行不能になった場合、曳航……つまり引っ張るなりして連れ帰らないといけませんので、どう運ぶのが一番楽か試してたんです」
この辺りはどう答えるか相談済みである。連れてかなきゃいけなかったけど追いつけないから抱きかかえましたとか正直に答えたら教官長の立場が無い。ただでさえドジっ子とか言われてるのに。
「で! ですね。私がーその、オールマイト氏みたいな言動をした理由ですけど、招集の直前くらいにヒロアカの原作を読んでたのと、印象に残ってるゲームのセリフで、自分以外の誰かを救いたいならせめて笑いながら救いに行け、苦しみを伴って助けに来られても迷惑だ、望むのは問答無用のハッピーエンド――みたいなセリフがありまして。その二つが混ざった結果がアレです。原作者様、並びに関係各所には多大なご迷惑をお掛けしまして、大変申し訳なく思っております……」
実際、変な手紙とか行ったと思うんだよなぁ、いつかちゃんと謝りたい。いやそれも迷惑なだけかな。
:い級か
:一番弱いからいなら次のはろなんだろうか
:あれで最弱なのか……
:抱えた方が楽だったのかw
:引っ張る方が水の抵抗あるもんね
:ええー?ほんとにござるかぁ?
:分かってたけどオタクじゃんw
:いいセリフだな
:あれそれエロゲ……
:Fateじゃん
:アヴェンジャーの奴?
:エロg……いや、もう少し様子を見よう。俺の予感だけでみんなを混乱させたくない
:エロゲーマーかよwwwwwwwwwwwwwwwwww
:しかもファンディスクだろそれw
:雪ちゃん幾つだっけ?
:おい中学生
:いや待て全年齢版もあるぞ
:あっちも対象年齢15歳以上ですね
:似たようなセリフのある全年齢対象ゲーかもしれないだろ!
:そういうのに興味ある年頃だから
:多感な時期だからね
「あっ…………」
やらかした。
そうだよエロゲだよあれ、つーかやったのそもそも今世じゃねぇよ前世だよ。今持ってもいねぇわどうしよう、いや待てよ父なら持ってそうだがどうだろう。少なくとも叔母は持ってたような、貸してくれるって言ってた覚えがいやそんな問題じゃねぇわ。このまんまじゃ雪ちゃん全国的にむっつりスケベとして名を馳せちゃうじゃん。馬鹿なの? 私は馬鹿なの? 死ぬの? 原作読んだだけで良かったじゃんなんでhollowの話までしたんだ私は。動画で見た……? いや駄目だ、なんか公言したら叩かれるタイプの奴だそれは。推奨できない。ちゃんと買ってやろうね。通販で買いました……? いや買えねーよ阿呆か。絶対親にバレるわ。ああいやvita版が……畜生! そっちも駄目か!! よし、もう言及しなくていいな! 傷が広がるだけだもんな! いいよエロゲーマーで、いやよくないけどなんかこう……中学生のお茶目で済まされるだろ。許して。
「…………はい、次の質問です」
:草
:判り易い反応をありがとう
:マジかよwwwwwww
:これは原作やってますねぇ
:親は知ってるんだろうか
:無かった事にしようとしてんぞ
:こいつwwwwwwwwwwwww
:何事もなかったかのようにwww
:※艦娘全一の姿です
:なんでこんな可愛い娘がオタクやってんだ……
:Hなのはいけないと思います!
:あれ、吹雪と北上って知り合い?
:コメント確認した龍驤さんが完全に諦観の表情してる
:流石に草
「えーと、『吹雪さんはとても強いと聞きました。それならどうかお一人で何とかできませんか、一人暮らしをしていた娘が招集され、残されたもう一人の娘まで招集されないか心配で夜も眠れません』との事ですが……」
さっさと話題変えたくて適当に選んだけど何それ可哀想。でも私にそれ言っても仕方ないんですよね残念ながら。笑ってるコメントの連中は無視だ無視。
「申し訳ありませんが、誰か一人、異常に強い艦娘が一人居たとして、その一人で現状をどうにか出来るかと言うと、出来ません」
私が言うと説得力無いかもなんだけど、一応私は本当にそう思っている。
「私は強いです。それは間違いありません。思い上がっているように聞こえるかもしれませんが、これはもう事実として、現状私は、少なくとも宮里艦隊では直接戦闘すれば最強です」
どれだけ謙遜した所で無意味なくらいの戦果を挙げてるからね。隠す気もなく強いんだからいっぱい使っていただきたい。
「でも、私じゃ海底に潜る事は出来ません。駆逐艦ですから。航空機を飛ばして偵察したり、爆撃したりも出来ません。私はソナーは得意ですけど、レーダーは普通くらいです。だから僚艦にレーダーはほとんど任せています。艤装の仕様ですけど、戦闘用の装備をしている私は資源収集が出来ません。収集する人が居ないと燃料が手に入らないので、一人になったら最後には艤装が動かせなくなります。私は被弾はほとんどしませんけど、それはダメージが全く無いという事ではありません。修理やメンテナンスをして貰えないとそのうち艤装は壊れます。あと私、料理もあんまりできないですし、作戦の立案とかなんかはもう不可能です」
普通に戦うという一分野においては私の右に出る艦娘は居ない。チート転生者だから。でも私ってマジでそれだけなんだよね。そこがぶっ飛んでてヤバいって事には今は目を瞑ろう。
「私は目の前の敵は倒せます。でも、敵は私の目の前に居ない奴の方が多いんです。私達が一か所に集まらずに複数の鎮守府に分かれているのも、出来るだけ広い範囲をカバーして、戦えない人たちを守るためです。だから、どうしても数は必要になります」
何卒ご了承ください、と足を止めてカメラに向かい頭を下げる。龍驤さんも一緒に頭を下げた。
:エロゲと質問の温度差で風邪引きそう
:住所で検査範囲決めてるからそういう事もあるわな
:そりゃ無理だろ
:おーおー好き勝手言いなさる
:なんかすごい自信だ
:戦果出してるらしいからな
:自衛隊の方で宮里艦隊かなり戦果上げてる感じ臭わせてたし
:長門さんより強いの?
:吹雪は宮里艦隊にて最強
:日向が航空機に反応してて草
:島風以外の僚艦何が居るんだろ
:燃料とか自転車操業ってマジなのかw
:オールマイトの手料理食べてみたい
:※良い事言ってる風ですがエロゲーマーです
:野球でも強い打者には敬遠するしそらそいつ一人じゃ勝てないわ
:これ全部エロゲの事誤魔化すために言ってると思うと草生える
:内容自体は本音だろw
:第四って主に何やってる艦隊なんだろ戦ってるのは分かるけど
:とっ散らかってるけど要するに一人で戦術的勝利は出来るけど戦略的勝利は無理って事だな
:↑それもなんか違わないか
:一人で戦術勝利の時点でヤベー奴
顔を上げると丁度ぴったり医務室のある建物の前で、入り口では検査結果を持った医師の方が私達を待ってくれていた。筑波さんがありがとうございますとそれを受け取り、目を通す。まぁ、当然ながら打ち合わせで一回検査しているから結果は知ってるんだけども。
筑波さんはおおーと驚いたふりをしながら結果の印字されたレシートのような紙……たぶん感熱紙かなんかだろうそれの一番上、本名の書かれた部分を折り曲げて見えないようにすると、両手で構えてカメラにしっかり見せつけた。
軽巡洋艦 那珂 2189
軽巡洋艦 神通 197
軽巡洋艦 川内 113
100未満は表示しないようになってるらしく、設定を変えればもっと色々出てくるとの事だったが、ともかく川内型は三つとも動かせるという結果となった。召集が150からなので2000を超えてるのは凄いんじゃないだろうか。他の対照になる例を知らないからよく分かんないけど。
ちなみに筑波さん、筑波 藍というのは芸名で、本名を那珂川 藍瑠というらしい。アイ(ド)ルの那珂ちゃんじゃんふざけてんのかってちょっと思った。
那珂川さんが筑波さんになった理由は私に知識が無いからです。
wikiって凄いですよね。