転生チート吹雪さん   作:煮琶瓜

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初めての○○

 昏い水底に脈動する薄桃色の有機的な、生きたまま皮を剥いだ何かの肉のように見える塊がいくつも見える。それらは時折、層の薄い部分から邪な光を漏らしている。一つ一つが常に軽い振幅を繰り返し、互いにぶつかり合い、水面を波立たせる。だが、不気味にその空間は静まり返っていた。

 その場に足を踏み入れた研究者が感嘆の声を上げながら地底湖に大きな波を立てる。水の跳ねる大きな音が地下空洞に響き、飲み込まれた。そして返答するかのように、暗澹たる静謐を湛えていた空間がぐわん、ぐわん、と歪むかのような低い音を立て始めた。

 ぐわん、ぐわん、ぐわん、ぐわん、ぐわん。

 何か巨大なものが呻るような調子で響くそれに気圧された研究員が、一歩後ろに下がる。土で汚れた白衣から携帯電話が落ち、水面に落下した。先ほどよりもさらに大きな音が空間を走る。ぴたりと呻りが止み、辺りを静寂が包み込んだ。絶えず続いていた湖面の揺らぎも静止した。

 研究者が慌て、携帯電話を拾い上げようと手を伸ばす。その腕に、いつの間にか漂って来たのか、先ほどまで水中にあった肉塊が触れる。何かが千切れるような音がして肉塊が裂け、次の瞬間には研究者の肩から先は消失した。一瞬だけ、呆けたように己の腕を食いちぎったナニカを見つめ、研究者は痛みに絶叫を上げた。

 叫びに返答するように、ぐわん、ぐわん、と反響が返ってくる。ぐわん、ぐわん、ぐわん、ぐわ、ぐわ、ぐわ、ぐわぐわぐわ。次第に高くなるそれが、自ら餌になりに来た欲深い愚者を嘲笑う声だと、本能的に、ようやく研究者は気が付いた。

 研究者が最期に見たのは、周囲を囲む肉塊と、その中からこちらを見つめる昏い光を放つ異形の眼だった。

 

 

 

 

 

「これらの光景を目にした探索者はSANチェック、失敗で1D6、成功で1のSAN消失です」

「あ、意外と低い」

「この後神話生物見たことによるチェックも入るからね」

「待って発狂しちゃう……」

「ここで発狂した時はシナリオ側で発狂内容決まってるみたいだから安心して振ってね!」

「マーシャルアーツが仇になる予感がしますなあ」

「全体的にSAN値削られがちなシナリオにしたからねぇ~」

 タブレットに日課であるらしい日記風漫画を描きながら、シナリオ製作者の秋雲先生がコメントした。現在私たちは自室でSAN値直葬されるTRPGをプレイしている。ルールブックとシナリオ集の提供は島風と同室の秋雲先生だが、彼女はセッションに参加していない。先日、レ級コスプレセットが大きく破損する前にしっかりスケッチしておきたい、と言って部屋に訪れ手土産に寄こしたのがこれら一式で、部屋の主である私と初雪、大体いつも居る島風、たまたまその時に居た漣の四人でプレイする事になったのである。私がGMで。

 なんで秋雲先生がこんなもん持ってたのかと言えば、彼女が最初に参加した同人誌がこのシナリオ集だったかららしい。シナリオ一本と各所のイラストの一部を担当したもので、お守り代わりに持ってきたのだとか。私がオタク趣味だと島風から聞いてそれならばと持ってきたのだそうだ。

 見せてもらった秋雲先生の日記は、訓練所で印象深かった事をほぼ誇張無しで書いていくノンフィクション形式、と一話目に書いてあったのだが、その内容は何も知らない人には誇張されてると思いこまれるだろうなと感じるような内容だった。主に私関連。

 客観的に見られるとなんだ、気持ち悪いな私。初日はともかく二日目以降は全体的に悪目立ちしていて、急停止急加速を試してたところとか、ぶっ飛んできた島風を受け止めるとことかも描かれていた。武装の訓練時はよそ見撃ちで当ててたり雷撃で的が消滅するとかなんだこいつ。極めつけがレ級コスして訓練生相手に無双だよ。なんで一部ホラー調なんですかね。ちなみに秋雲先生的にはチート転生者かなんかかなって感想だったらしい。正解。

 私の事以外にも訓練生たちの雑多なあれこれが描かれていて、例えば秋月と照月は実姉妹で初日は泣きながら食事を摂っていたとか、深雪と叢雲が殴り合いの末仲良くなってたらしいとか、すっころんだ五月雨が朝潮の下着ひっかけて脱がせたとか、実家が神職な初春が交霊術やって本物の駆逐艦初春の中の人を降ろしたらしいけど口調とか一緒でよく分からなかったとか、実は電教官が結構なオタだとか。いやこれ私関係無いところも誇張されてるように見え……あ、されてないんですか、そうですか。

 なお一番描写が多かったのは私ではなく、夕雲型のあれこれである。初日の夜、髪が伸びたり色が変わったりそもそも戦うなんて出来るのか、とかの不安で泣きそうになっている清霜を夕雲さんが色々お話して立ち直らせ、そこからなんやかんやの不安を皆が夕雲さんに打ち明けていって、夕雲型は結束を深めたらしい。道理で彼女たちの仲が良さそうだった訳である。吹雪型なんて同室の人たちはそれぞれ仲いいけど姉妹艦でどうこうって特にないからね。私もネームシップだけど包容力的な安心感は無理だわ。戦力的な頼もしさの方なら行けると思うけど。秋雲先生も夕雲さんは自慢の姉だと胸を張っていた。あれ、でも秋雲って陽炎型……いや、よそう、私の勝手な推測でみんなを混乱させたくない。

 ちなみに今セッションは前半の山場くらいだがそろそろ寝る時間である。探索者がここを逃げきれたら続きは明日だなうん。出目をチートの超感覚で調整してささっと逃がそう。GM初めてやったけどなんとかなりそうで良かった。

 

 

 

 

 

 その日、飛鷹は訓練所から離れ通常の哨戒任務に就いていた。現在訓練所では1vs26とかどうしてそうなったのかちょっと理解できない訓練が行われているはずである。前日にその条件かつ飛鷹有りで行われた演習は吹雪の完勝――少々外套が裂けた程度のダメージで終わったため、今日は飛鷹無しでという事らしい。

 レ級の衣装は傷つくたびに吹雪が補修しているが、そろそろ修復痕が目立ってきている。とはいえ、今日までの訓練において吹雪がダメージらしいダメージを負った事は一度も無かった。しかも飛鷹の見立てが正しければ、吹雪は今現在も成長過程であり、相手が増えているにもかかわらず衣装への被弾回数は変わっていないように見えた。一見すると吹雪が教導しているように見えるのだが、飛鷹はこの訓練はむしろ、吹雪を育てるために行われているのではないか、と感じていた。他の訓練生が育っていない訳ではない、どころか夕立始め一部の娘達は成長が著しい。だが、飛鷹は違和感が拭えなかった。どうしても吹雪に一人で多数を相手させる訓練を積ませているように思えてならなかったのだ。

「でも、それは……制度的に難しい、と思う」

 そもそも原則として一人で出撃する事は許されていない、と僚艦として同伴している霰は言う。起動可能な最低限の適性値しか持たない飛鷹であっても一人で海に出る事は禁止されているくらいには艦娘は貴重である。まして現在最大の適性値を誇る人間を一人で海に出すというのは有り得ない話だろう。艦娘達は視界の確保や何かあった時に曳航するために最低でも二人組で運用されている。普通に考えれば吹雪だけが例外とはならないはずである。

「普通が通じるのかどうかよね」

「通じないなら、心配しなくても大丈夫……じゃない?」

 まぁ、そうよね、と飛鷹も同意する。哨戒中の友人同士の雑談に深い意味など無いのでそんなもんである。心配なのは本当だが、まぁ流石に単騎突撃は無いだろうと笑い合った。

 

 そうして暫く哨戒を続けていると、哨戒機内の妖精さんとリンクした飛鷹の視界がぼんやりと海に浮かぶ何かを捉えた。

「あれは……船?」

「船? ……見間違い、じゃない?」

 適性値の低い飛鷹の場合、哨戒機から得られる視力はあまりよろしくない。だがそれでも、普通に海に浮かび人の乗っているような船を見間違えたりはしない。特に日の出ているうちは。

「うん、やっぱり船だわ。フィッシングボートって奴かしら」

 さほど大きくはない船上に複数の男女がひしめき合っていた。何をやっているのかまではわからないが、どうにも呑気そうに見える。陸地の見える程度の位置で船を止め、何かの機材を弄ったり、瓶のようなものに口を付け中身を煽ったりしているようだった。

「……はい、はい……了解…………この辺り、航行許可の出てる船舶は無いって」

 飛鷹が船を見ている間に、霰は本部に確認を取っていた。精鋭部隊の活躍でこの一帯の海は青かったが危険区域である事に変わりはなく、現在でも立ち入り禁止であり船を出すには特別な許可が必要である。無断で侵入すれば場合によっては拘置所送りである。

「はぁ……なんでまたこんな危険な所にわざわざ。自殺志願者かしら」

 ため息をつく飛鷹に、霰もやれやれと首を振った。こういう事例は今までにも例があったが、彼女たちが遭遇するのは初めてだった。

 

 海に浮かぶボートの上で五人の男女が盛り上がっていた。一人は持ったカメラをノートPCに繋ぎ、周囲を映している。他の四人はカメラに向かって大声で喋り散らしており、中にはまだ日も高いというのに酒を口にする者までいた。

「いやまさかね、我々もエンジンが止まるとは思わんかったですけどね! まぁ動画的には美味しいかなーってね!」

「エンジンどうですかー? 動きそう?」

 女性が少し離れて機関部を見ている男性に話しかける。一人だけかなり年の離れた男性はちょっとまだわからないですと返答した。

「まぁまぁ、帰りたくなったらね、最悪手漕ぎでも、手漕ぎでもほら、陸地近いから!」

「一応ゴムボートも乗っけてきてますもんねー」

「やー言われた通りにしといてよかったっすね!」

 カメラに向かって口々に捲し立てる。カメラを持った男性は声を上げている四人を映しながらPCの画面を覗き込んだ。

「あーやっぱ米どんどん荒れてますねぇ」

「マジかーだろうなー、見せて見せて」

「もう5000超えてんすね、みんなありがとーう」

 危険区域に出てまで彼らが何をしているのかと言えば、動画の配信である。未だ死滅していない動画投稿サイトで生放送を行っているのである。元々彼らはさほど人気のない生主達で、不人気同士で寄り集まり色々と相談し検討した結果が敵性体の存在する海へ繰り出すという行為であった。当然のようにコメント欄は荒れ、『今すぐ止めろ』や『カエレ!』といったコメントはかなり優しい方であり、ストレートに『死ね』や『くたばれ』というコメントも散見された。

「いやめっちゃ辛辣ですけどね! ほら平和なもんですよほら、なんもいないからね!」

 カメラを持つ男性に指示して周囲を撮影させる。周辺には軽い波が立っている程度で特に何も映らなかった。暫く四人が海に向かって叫んだり、水面に釣り糸を垂らしてみたりするが、特に何の反応も帰ってこない。

 しばらくそうしていると、カメラを持った男が急にあっと短く声を上げた。

「あれ! 皆さん! あれ、何かこっち来てます!」

 指さされた方を全員が注視する。その先には遠く、小さく見えるが確かに何かの影があった。もしや深海棲艦か、とざわつくが、どうもそれは人影のようであった。

「ん、んん! あれまさか人?」

「人……っぽいね、二人? こっち来てんねぇ!」

「まさか? まさかまさかの?」

「艦娘だ! 艦娘様が来て下さったぞー!」

 盛り上がり所がきた、と五人は大騒ぎする。機材の向こうに居る視聴者に向けて盛んに声を張るが、コメントは冷ややかなもので、『自衛隊に迷惑をかけるな』だとか『チョウシニノルナ!』だとかが大半であった。相変わらずストレートなコメントも多かった。

 見え始めてから数分後、それなりに時間がたってからようやく二人の艦娘は船の下へ到着し、接舷して声をかけた。

「こんにちは……自衛隊のもの、ですが」

「ちわー! 艦娘の人ですよね! お名前は!?」

「霰です。……お話いいですか」

「アラレ! アラレちゃんだって!」

「んちゃ!」

「んちゃ」

「やらなくていいのよ霰……」

 わざわざ反応を返す同僚に呆れながら、もう一人は自分たちに向けられたカメラを睨みつけた。

「艦娘の飛鷹です、とりあえずカメラは置いてください、あなた達は今危険区域に居ます。今すぐ陸へ引き返してください!」

「いやー、それがエンジンの方がね、故障しちゃいましてー……ほら、整備とかもあれだったので」

 素直にカメラを置き――ただし電源は入っていたし完全に艦娘二人をレンズに収めていたが――状況を説明すると、飛鷹は険しい顔になった。

「それは……困りましたね」

「曳いていける……?」

「厳しいと思う」

 高適性であるかそうでなくても戦艦や重巡洋艦の艦娘であるなら曳航するという手段も使えたのだろうが、残念ながらここに居る艦娘は極低適性の軽空母と駆逐艦である。それなりの大きさがあり複数の人間が乗りこんでいるような船というのは手に余る案件だった。

「ちなみに艦娘さんは修理とか……」

「出来ないですよ、工作艦じゃないですし」

「ですよねー」

「あ、こっちのゴムボートなら行けます?」

 船の上の女性が指したのはオレンジ色をしたオール付きのゴムボートだった。エンジンを見ている人間を入れて六人、少し多いがそれなら引いていけなくはない。

「それなら……行けます」

 霰の言葉に飛鷹は頷くと、てきぱきと船上の人間に指示を出し始めた。

「ではそれに空気を入れてください、準備が出来次第陸まで送ります。荷物は大事なものだけまとめておいてください。あとロープがあればお願いします。霰は本部に連絡をお願い」

 その間自分は周囲の警戒だ、と巻物状の甲板を広げ、紙人形の依代で格納した偵察機を追加で呼び出すと発艦させた。船の上からは歓声が上がった。

「かぁっこいー!」

「何今の! お札!?」

「もう一回! もう一回お願いします!!」

 一度置いたカメラをまた構え、カメラマンが叫ぶ。その男を飛鷹はねめつけた。

「撮影禁止です! それにそんな事をしている場合ではないのよ! ここは本当に危険……地帯……」

 途中で飛鷹の語気は弱まった。そのまま口を閉じ、目も閉じる。訝しがる周囲をよそに飛鷹は集中した。

 民間人との接触前から警戒に飛んでいた妖精さんの目を借り、海を注視する。青い海上に立つ三つの航跡波。それは真っ黒い新手の魚のように見えた。

「嘘でしょ……!?」

 本部と通信していた霰も、騒がしかった船上の人間達にも、嫌な予感が伝播する。そいつらは完全に狙いをすまし、こちらに向けて進攻していた。

 

 

 

 

 

 演習で26人蹴散らしたけど質問ある? 特定されない範囲で。

 時間は昼前、午前の最後という事で全員大破させたんだけど、午後の訓練に修理間に合うんだろうかとちょっと不安である。午前最後と午後最後の二回に分けてやるから戦力均等にするのかと思ったら上位26人とやらされたのは笑うしかなかったわ。昨日はそうだったのになんでやろなぁ。もう訓練期間一週間切ってるけど、最後は全員vs私一人とかもやらされるんだろうか。いやたぶん弾さえ足りれば普通に勝てるけども。

 連携とか学んだ駆逐艦の皆は以前よりも結構手ごわくなっている。全体的に隙が減ってきてるし回避能力も向上している。近接攻撃を積極的に使わないようにと釘を刺されてるから基本砲雷撃戦なんだけど、撃った時には外れてる娘が何人かいる。緩急付けて来るから単純な偏差撃ちじゃもう当たらないんだよなぁ。

 ちなみに私とばかり模擬戦してるわけじゃなく、他訓練生同士で複数vs複数とか教官を旗艦にして護衛する訓練とかもやっている。でも私はそっちにあんまり参加していない。一回教官に良いのかと聞いてみたら参加させてはもらえた。護衛される側で。なんでさ。

 

 コスプレ衣装を脱いでさて反省会だな、と化け物を見るような目の娘と頼れる仲間を見る目の娘に二極化してきた訓練生達と教官を待っていると、慌てた様子の電教官がこちらへ走ってやってきた。

「皆さん海岸から離れてくださーい! 近海に深海棲艦が出現したそうなのです!」

 その知らせに訓練生たちがざわついた。ここで艤装が無事なら倒しに行こうぜ! と言いだす者が現れたかもしれないが、残念ながら上位の成績を持つ娘は私以外全滅している。曙などは恨めしそうに水平線を睨みつけたが残念、彼女も魚雷を叩きこまれて大破状態だ。無論やったのは私である。

 私と戦っていた26人以外も演習を終え合流し、点呼を取って全員居るかを確認をする。艤装の妖精さんたちも一部一緒になって返事しているためかなり騒がしい。島風なんて呼ばれたら連装砲ちゃん達も鳴くし。

 不安なのか妙にそわそわしている娘や額に眉を寄せる娘、その娘達の不安を除くように大丈夫よと声をかける夕雲さんや教官達を見つめていると、不意に、私の脳内艦これ編成画面が開かれた。

 なんだ私の脳が不具合でも起こしたかと編成画面をチェックするが、ぱっと見た感じでは普段と変わらず、吹雪と飛鷹が隣同士に編成されているだけである。なんで開いたんだ? と思い注視――脳内なので注視というのはおかしいかもしれないがともかく画面に集中すると、その瞬間、飛鷹の編成されている枠が何かの衝撃を受けたかのように揺れた。なんだと思い飛鷹の状態を確認すると、いつの間にか飛鷹のアイコンの横に文字が浮かび上がっていた。

 

 小破

 

 うぇ? と変な声が出た。

 本日飛鷹さんは訓練に参加していないが、私は彼女を編成から外していなかった。それは単に解除するのを忘れていたというだけなのだが、なんだこれ、提督って自分の指揮下の艦娘の状態分かるもんなの? っていうか、え、何、飛鷹さん小破したの? 何してんの? 戦ってんの? 戦ってるの? 戦ってるよなぁこれ? あの人適性値私の知る中で最低って聞いてるんだけど、戦って大丈夫なの? ジャスト100って言ってたぞ、訓練手伝わされてたのも無効化貫通調整ミスっても訓練生殺しようがないってのが主な理由だって自己申告してたんだぞあの人。

 いや大丈夫じゃないわこれ。飛鷹さんの枠がまた振動するのを確認して私は我に返った。ゲームじゃないからか数値もゲージも見えないけど装甲削られてるって事だよなこれ、見回りして深海棲艦と遭遇して逃げられなかったって事だろうか。状況が分からん。つーか場所も分からないから助けにも行けないぞこれ、本当に編成画面だけで別機能とか付いてないのは確認済みだ。ピンチ知らせてくれるのは今知ったけど、実際何が起きてるのかの詳細も欲しかった。

「教官長! 飛鷹さんが戦ってるんですか!?」

「えっ……!? どうしてそれを、あ、いや誤解しないで、発見者は飛鷹みたいだけど退避命令が出てるはずよ」

 近くに居た暁教官長に駆け寄り確認を取るが、戦っているとは知らないらしかった。そんな状態で当然居場所なんて知っているはずもない。とりあえず提督の能力で艤装の状態がある程度分かるとだけ説明しておく。教官長はそんな力あるの!? と驚いていたが、本部に確認を取ってくれることになった。

 訓練生たちの列から離れながら、教官長が艤装に付けた妖精さん特製であるらしい通信機を取り上げ本部に繋ごうと操作を始める。途端に、聞き覚えのある声が通信機から流れ出てきた。

「――暁くんかね」

「へっ、あっ、はい。暁です!」

 暁教官長が突然繋がった事と、通信に出た相手の声の両方に驚き焦ったようにわたわたとしながら通信機とこっちを交互に見た。

「――楠木だ。近くに吹雪くんは居るかね」

「居ます!」

 楠木提督の低い声に慌てて返事をすると、提督はふむと一拍だけ間を開けた。

「――確認したい事があったのだが、どうやら必要は無さそうかな」

 私が存在を主張しようと焦った声を上げただけで、楠木提督は状況を理解したらしい。前も思ったけど洞察力どうなってんですかあなた。

「――飛鷹くんと霰くんが民間人保護の最中に深海棲艦に襲撃された。確認された数は3、軽母ヌ級と駆逐イ級二体と思われるとの事だ」

 教官長が息を呑む。私もやっぱりそうかと拳を握りしめた。

「――行くかね」

「行きます!」

 楠木提督とは数時間程度の付き合いだが、どうも私の性格というか、どういう行動に出るかは読み切られているようである。有難い。その言葉に焦ったのは暁教官長である。

「提督!? それは……」

 法的な障害とか、突然の実戦だとか、いろいろと問題はあるのだろう。だが楠木提督は暁教官長の言葉を遮った。

「――なに、演習中に偶然通りかかったとでもすればなんとでもなる……暁くん、羅針盤は持っているね」

「……はい」

「――では吹雪くんにそれを。吹雪くん、羅針盤に飛鷹くんの居場所を指すよう念じたまえ。それで妖精さんがやってくれる」

 了解、と私と暁教官長の声が重なる。教官長が複雑そうな表情で妖精さんから羅針盤を受け取り、私に差し出した。受け取った羅針盤に脳内編成画面の飛鷹を投影しながら念じると、ぽんっと音を立てて魔女を思わせる帽子を被った妖精さんが現れ私の肩に着地すると、まわしていくよーと気合の入った声を上げた。回さないで飛鷹さんの方指して?

「――ああ、そうだ吹雪くん、流石に一人で行かせると言い訳が利かなくてね。誰か一人だけでいい、連れて行ってくれ」

 えっ、と私は硬直した。今現在、戦闘に耐えうる艦娘は半分くらい大破している。そして説明無しですぐ連れ出せそうな、私とある程度仲良くしてくれている連中は全員その中に入っているのである。島さんが無事なら速度的に一択だったんだけど。

「私が行きます」

 立候補したのは暁教官長だった。こちらを真っ直ぐに見つめ、手を広げた。

「私の速度だときっと間に合わないから、背負って行って。目標が見えたら投げ捨てて構わないから」

 分かりました、と返事をして暁教官長の足元を掬い、艤装ごと抱きかかえる。

「え、ちょっと、なんで!?」

「すいません、背負うと多分振り落とします。速度を出すならこっちの方が安定するので――」

 多分これが一番早いと思います。

 

 

 

 

 

「――では他の教官達には私から説明しておこう」

 楠木提督はそう言うと暁との通信を終了した。それを確認した吹雪は舌を噛まないように気を付けてくださいと勧告すると、羅針盤の指す方へ向けて地面を蹴りつけた。

 次の瞬間、今までに体感した事のない圧力が暁の体を襲った。艤装の物理無効化能力で痛みこそないが、まともに身動きする事すら困難なそれが加速によって掛かったGであると理解した時、暁は恐怖した。

 凄まじい速度で陸地が流れていく。海岸線に沿って移動している事は理解できるが自分達がどれくらいの速度で移動しているのかが理解できない。暁が生きて来て経験した、人間の目線で体感したどの速度よりもそれは速かったのだ。暁は自分が一つ、勘違いをしていた事に気が付いた。

 吹雪は全力で力を込めれば一瞬だけなら瞬間移動のような超高速を出せる。暁はそう思っていた。緊急回避のために力ずくで、無理矢理に自身を吹き飛ばしている。暁だけではない、訓練所の誰もがそう思っていたはずだ。だが違った。

 おそらくは、あれこそが吹雪にとっての通常の戦闘機動だ。

 海上を行く吹雪の足は数秒に一回しか水面に接していない。片足で水平方向への跳躍を繰り返しているのだ。着水の瞬間に水を蹴り急加速して、空気抵抗で次第に減速し、逆の足で再度加速する。歩幅こそ異様に長いが、それは明らかに滑走ではなく走行だった。抱きかかえられている暁には正確にどれくらいの速度なのかまるで分らなかったが、最高速の一瞬はあの演習での動きと同じ速度なのではないかと感じた。

 つまるところ吹雪の場合、艤装の滑走能力を使うよりも走った方が速いという訳である。滑って移動する事自体が彼女にとっては手加減だったのだろう。

 別に悪い事ではない、というか、想定以上の速さなのだから良い事なのだろう。問題なのはその動きを今、暁を抱えた状態でやった事である。急加速、減速、急加速、減速、それは延々と繰り返されるGの連鎖であった。

(え、目的地までこれ続くの?)

 吹雪が一歩跳ぶ度に暁の全身が揺さぶられる。飛鷹が訓練所からどれくらい離れた位置に居るのか分からなかったが、暁の胃からは既にレディにあるまじきものが溢れ出そうになっていた。

 

 

 

 

 

 吹雪たちが訓練所を出る少し前、深海棲艦が迫っていると飛鷹に告げられた船上は大騒ぎになっていた。

「ええ! マジですか?」

「本当に来るとは……」

「あーでもほら! 艦娘さん居るし、倒せます……よね?」

 その言葉に飛鷹は厳しい表情で答えた。

「私たちは戦闘部隊ではありません、説明は省きますが戦っても勝つ事は無いと思ってください。だから避難の準備を急いで!」

 飛鷹の強い口調に、船上は思い出したかのように動き始める。それを見守りながら一方で深海棲艦を見張る飛鷹に、霰が声をかけた。

「本部から……連れられるだけ連れて、避難するようにって……」

「……ボートの用意が出来るまであと数分、私たちの速度で逃げられるかしら」

 今から陸まで退避すれば確実に逃げられる。いっそ何人かだけ抱えて逃げた方が期待値的には良いのかもしれない、と脳裏に過る。本部もそういうつもりで言ったのだろうと思われるが、選べと言われてもそう簡単に選べる話ではなかった。そこに話が聞こえていたのだろう、船上から声が掛かった。

「あの、艦娘の姉さん、戦えないんすよね、だったらあー……俺ら置いて先逃げてください」

「はぁ!?」

 何言ってんだこいつ。飛鷹と霰の心情は一致した。

「えーとですね、僕らぶっちゃけ、死にに来たんす。もう、いろいろあって、最期に一花上げて、それで運悪きゃ死ぬだろって……」

「それでねぇ! 巻き込んで死なれるのは流石に俺らも嫌なんでね! いやこんな事やっといて今更何言ってんだって話なんですけどね! 正直艦娘が来てくれるとも、戦えない艦娘ってのが居るとも思ってなかったんですわ!」

 飛鷹や霰のような戦えない艦娘の存在は報道されていない、だから彼らが知らないのは当然なのだが、そもそも深海棲艦に遭遇したとしても助けが来る可能性すら考えていなかったという。

 霰は思う、ああこれはアカン奴だ、飛鷹に直撃してる。隣の飛鷹を見れば、無表情で懐から紙人形を取り出していた。

「飛鷹……」

「ごめん、霰、時間稼ぐ」

「言うと思った……けど、私達じゃ貫通出来ないから……落ち着いて」

 提督にも一度に力を供給出来る数に限界がある。現状で働いている楠木提督と宮里提督は適性値の高めな艦娘達で手一杯であり、二人のような適性値の低めな艦娘達は提督の力を受用出来ていない。本来は。

「それが最悪な事に、私は今、提督の指揮下なのよ」

 言って爆撃機を発艦させる。幸か不幸か、飛鷹は吹雪の、伊吹提督の力を受けたままであった。

「ちょ、いいんですって、本当に! 逃げてくださいよ!」

「五月蝿い!!」

 焦る男の声に飛鷹は鋭く叫んだ。

「私は、あなた達みたいなのを減らすために艦娘になったのよ……!」

 続き、絞り出された飛鷹の声に、誰も何も言えなかった。

 

 飛鷹の艦載機は弱い。正確には飛鷹の適性値が低すぎるだけでまともに戦える空母が運用すればそれなりの性能を発揮するのだが、ともかく今この場においては非常に弱かった。

 敵空母に発見され、発艦した敵戦闘機に大半が撃ち落され、敵艦への爆撃へ成功した者もまともな損害を与える事は出来ない。それでも回避行動を取らせ前進を遅らせてはいたのだが、最初こそまともに応戦していた深海棲艦も脅威足り得ないと見切りをつけると、避けるそぶりすら見せなくなった。パラシュートで脱出する妖精さんだけが悔し気に頬を膨らませていた。

 

「飛鷹、準備完了したよ……行こう」

 集中していた飛鷹が声に振り向くと、海に浮かんだゴムボートにぎっちりと民間人六人を乗せ、牽引用のロープを艤装に結び付けた霰が手振りで合図を送っていた。飛鷹は安堵の息を漏らした。

「間に合った、かしらね」

「荷物も、ほとんど置いてきてもらったから……」

「まぁ元々大したもん持ってきてなかったっすけどねー」

「カメラとノートはね、ちょっともったいないですけどもね」

 この期に及んで余計な荷物を持ってったり出来ないです、と男は苦笑いした。飛鷹も同じ苦笑いを返すと、行きましょうと一声かけ、滑り出した。

 

 瞬間、直掩機が爆散した。なに、と声を上げる間もなく飛鷹に銃弾が降り注ぐ。緑色の光を放つ一機の敵艦載機が空から機銃を掃射していた。

 運良くほとんどの弾丸は狙いを外し、飛鷹の装甲をそこそこに削る程度に終わる。飛鷹が空を見上げると、敵機は一度離れ、反転しようとしていた。

「霰、行って!」

 あれの狙いは自分だと理解し叫ぶ。そのまま手元に数機だけ残った戦闘機を展開するが、再度狙いを定めた機銃が飛鷹に牙をむいた。甲板に穴が開き、体に衝撃が走る。だが発艦は間に合った。

 撃ち出された戦闘機が敵機を狙う。飛鷹の艦載機は弱い。一対一なら勝ち目は無かったが、今現在は多対一、時間を稼ぐくらいならどうにかなる。後ろを見れば、霰は無事に出発したらしく、陸へとゴムボートを曳航し始めていた。

 後に続くか一瞬考えるが、敵機の攻撃が一撃でも掠ればゴムボートはひとたまりもない。別方向に逃げるかとも思ったが、上空の邪魔者が確実にこちらを追ってくれる保証がない。飛鷹はその場に留まった。

 空中戦はこちらが多数であるにもかかわらず優位には進まず、妖精さん達は時間をかけ一機また一機と撃墜されて行った。それでも最後の一機が敵機に突撃し、諸共に爆散する。無事に脱出した妖精さんが飛鷹に手を振りながらゆっくりと落ちていく。飛鷹、初めての敵機撃墜であった。

 とはいえ、もう遅い。遅いのだ。一機相手をするのに時間をかけ過ぎた。倒せるなんて思っていなかったから残ったけど、逃げておけばよかったかしら。そう少し後悔しながら飛鷹は前方を見やる。黄色い暗光を纏う深海棲艦が、もはや逃れ得ない距離まで迫っていた。

 結局自分に出来る事は時間稼ぎだけか、飛鷹は覚悟を決め、迫るイ級を正眼に置き全集中力を目に込める。こちらに向かい一直線へと進む敵艦を、挑んで来いとばかりに睨みつける。数秒の対峙、高速で航行する黒い船体の口内から砲塔が覗いた瞬間、飛鷹は全力で横へと跳んだ。

 一瞬前まで飛鷹の居た空間を砲弾が裂いた。一撃躱してやったぞ、と続く砲撃に晒されながら飛鷹は笑う。二射を海面に転がりながらさらに避け、三射目を髪に掠らせ、だが四射目はついに避け切れなかった。肩口から衝撃が走り、艤装が崩壊し服が弾け飛ぶ。ダメージを肩代わりされ飛鷹自身に怪我は無かったが、衝撃で倒れこみ、艤装もほとんどの機能を停止した。

 最早撃つ必要もないとばかりに砲塔を飲み込んだ敵艦が飛鷹を喰らわんと猛進する。よろめきながら起き上がり、どうにか避ける方法を模索するが、迫る巨体を前に、飛鷹は前後左右どこにも逃げようがないと悟った。もはやこれまで。だが、絶対に目は背けない。飲み込まれるなら、腹の中で暴れてやろうと歯を食いしばる。イ級が大口を開け水面を跳ね、飛鷹へ飛び掛かった。

 

 衝撃はやって来なかった。飛鷹の目前の空中で、それは完全に停止してしまっていた。いや、停止しているのではない。それはたった一本の腕で押し留められていた。

 数瞬の後、物理法則という名の常識を盾に、脳が理解を拒否していた光景を、飛鷹はようやく認識した。飛鷹よりも小さな体躯、細い手足、その大きくもない五指にイ級は掴み取られ、宙に固定されていた。

 

「もう大丈夫」

 

 声の主が振り返る。頼もしげな笑みを浮かべ、安心していいとその態度で示す。頂点に近い太陽がその娘を照らした。見覚えのあり過ぎる顔、全ての疑問を置き去りにして彼女は宣言する。

 

「私が来た!!」

 

 一層笑みを深くして、敵に向き直り、少女は腕を引くと逆の拳を叩きつける。イ級は轟音と共に四散した。

 

 降り注ぐ深海棲艦の破片の雨の中、飛鷹は茫然としながら援軍……だと思われる艦娘の名を呼んだ。

「吹雪……?」

「はい。助けに来ました、飛鷹さん」

 笑顔で発せられたその言葉に返事をする前に、前方から砲音がした。

「おっと」

 軽い声を上げ、吹雪が腕を振るう。へぇーと声を上げ手元を見る吹雪につられ、飛鷹も覗き込めば、その手には発射されたものであろう、砲弾が握られていた。

「深海棲艦の砲弾ってこんなのなんですね。なんか光ってますよっと」

 言いながら受け止めたらしい砲弾を投げ返す。雑なフォームで繰り出されたそれは撃ち出された砲塔へと突き刺さり、無事に爆発。特にオーラも無かったイ級は轟沈した。

「あと一体……でしたよね?」

「えっ、ああ、そうね、後は空母が一隻ね」

 もはや何が起きているんだか理解が追いつかない飛鷹に吹雪は確認を取ると、水平線に目を凝らす。ぎりぎり見える位置に、軽母ヌ級は進んでしまっていた。ああ、あれか、と吹雪は呟いた。

「ちょっと行ってきますね」

 ヌ級が船体を割られるのに、何十秒も掛からなかった。

 

 

 

 

 

 ヌ級はチョップしたらモルスァとも言わずに沈む。吹雪、覚えた!

 すでに発艦されていた深海棲艦の飛行機達を踏み壊しながら飛鷹さんと合流すると、顔色が悪い割にどこかスッキリとした表情の暁教官長も追いついてきた。本当に途中で放り投げて来ちゃったので謝ったが、笑顔で気にしなくていいわよと言ってくれた。良い人だなぁ、ちょっと顔が強張ってたけど。

 飛鷹さんは大破状態で、教官長曰く後一撃でも受けていたら轟沈していたらしい。それでも体にはほとんど傷もない辺り艤装と制服の高性能さは大したものだと思う。服は剥けるけど。

 飛鷹さんは助けに来た事にお礼を言うと、でもどうしてここに? という疑問を投げかけてきた。暁教官長がそれに対して説明をしている間に、私は倒し忘れが居ないか周囲を警戒する事にした。

 周囲の音や気配を感じながら先ほどの戦い……戦いかあれ? ともかくさっきの出来事を思い返す。いや、イ級ならぶっつけ本番でも何とかなるだろうと思いながら走ってたんだが、まさか深海棲艦をぶん殴る羽目になるとは思わなかった。幼稚園入る前くらいに近所のそれなりの岩を全力で殴ったら粉微塵に吹き飛んだから今なら深海棲艦も行けるだろうとは踏んでたんだけど、ちゃんと通じて良かった良かった。

 しかし今日、出撃できて良かった。飛鷹さんをちゃんと助けられたのもそうだが、私自身の致命的な弱点がおかげで露呈した。これが強敵との戦いの直前に発生してたら死んでたかもしれん。そう思いながら艤装の中の、完全にノックアウトされた妖精さん達を見やると、すまぬ……と苦し気な呻りが聞こえてきた。こちらこそ申し訳ない。

 

 特に周囲に敵影は無さそうなので二人に一声かけ、念のため残されたフィッシングボートに上がり、内部を検める。中には人が残ったりはしておらず、点けっぱなしのノートパソコンとそれに接続された何かの機材から伸びるカメラやマイク、それに酒瓶や化粧品などが雑多に放置されていた。

 ノートを覗き込むと、そこには私的に見慣れたサイトの、生放送枠が表示されていた。コメント欄がとんでもない勢いで流れている。どんな人気配信見てたんだと思ったが、配信映像を見て私は硬直した。海が映っている。というか、私が助けた時から経緯の説明を受けている今に至るまで大きく動いていない飛鷹さんと暁教官長らしき人物が画面に映っている。

 おいまさか、と思い放置されたカメラの角度をよく見ると、それは飛鷹さん達の方を向いている。カメラの前に手を翳してみる。画面の映像が何かに遮られ、コメントはさらに加速した。

「あ、ああ、あああああああああああああああああああああ!?」

「吹雪!?」

「どうしたの!?」

 急に大声を上げた私に二人が驚き、こちらへやってくるのが見える。私はあわてて機材のコードを引き抜いた。

 映ってないよね、流石にそんな偶然無いよね、頼む映ってないでくれ! よりによってオールマイトだよ、あれだよ、夕雲さんみたいなのは無理だからって安心させる方法考えた結果が、ヒーローは笑顔で安心させるってあれだったんだよ! しかも結構大声で言ってたぞ私! 頼む、あんなのネット上に流れたとか言わないでくれ!! ネット上に流れちゃったら一生ものだよ! ネットのおもちゃだよ!! 私は頭を抱えて神に祈った。例の幼女の飛び切りの笑顔とサムズアップが私の脳裏に閃いた。畜生、絶対駄目な奴だこれ!

 

 

 




色々一段落したので更新速度を上げたいところです。
タグの要素すらまだまだまともに回収出来てないですからねぇ……



追記
長10cm砲ちゃんに関しては完全にやらかしていますので修正せずに晒し上げておこうと思います。
大変ご迷惑をおかけしました。
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