魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
ズバリ言えば『相棒役』がいなかったことである。初の女オリ主ということで気負いすぎていたせいで、何とも展開があれ過ぎた。まぁそれ以前の問題でもあったのかなとも思える。
ただ、相棒を設定していなかったことは盲点であり、設定も『魔宝使い』に比べれば、もう少し練りこんでおくべきだったと思う。
というより今更ながら魔宝使いに関しては少し前に別のネームでやっていたものを流用している面もありましたので――――と長々と失礼しました。
とりあえず短いですが、第一話をお送りいたします。
時代は動く。世界は白紙化を乗り越えて再びのページェントを刻み始めた。
破局を乗り越え、新たなる航路図を、世界を取り戻した末の人理保証。
だが、世界はそんなことは露知らず、ただ単にあるがままだと思われていた。『思っていた』だけだ。
疑似地球モデルの影響、それとも多くの神秘魔道の災厄の残滓、本当は『世界』など取り戻せていなかったのではないか。
様々な疑惑が疑惑を呼びながらも、2つの『キョウカイ』を巻き込んだ
それは群発戦争の裏側にて行われていたとも言われる。
はたまたもっと早い段階からそれは行われていたとも言われる。
どちらとも言える―――ただ一つ言えることは―――。
その中で『違う人類』は、圧倒的に『負ける側』ではあったことは事実だ。
積み重ねた歴史の重さ。上澄みだけを掬ったがゆえの陥穽。
心臓を穿ったとしても再生を果たす『歴史ある臓器』。
全てが、彼らの脅威であった。
だが、『違う人類』も負け続けるだけではなかった。
積み重ねた歴史の重さ。
それに抗するために、ある種の『簡易術式発動機』も作られた。
一回の致命傷程度では意味がないならば、何度でも穿つ。百発の銃弾を食らっても復活を果たすならば、一千発。一万発もの銃弾を食らわせるだけ―――棒立ちで食らうということもないだろうが。
それでも――――。
やがて群発戦争の終結と時を同じくして2つの『キョウカイ』との『手打ち』が成立。
それから30年余りが経った頃―――時代は新たなる世代に移り変わる。
第三次世界大戦あとに生まれた世代―――戦後世代と呼ばれる人間たちが、世界の担い手になりつつある時代。
極東の地に降り立つ「魔術師2家」より話は始まるのだった……。
・
・
・
・
・
「てっきり『フユキ』に帰ると思ったのになー。残念だわ」
「仕方ないですよ。お祖母様より託された
コミューターから降りて入学する予定の学校の試験会場に赴く2人の少女。
どちらも美が着くに相応しいその顔には、何となく疲れが見えていた。
ともあれどうしたものかと思う。
「アーシュラは徹底的に目立ってくださいね。私は優等生的に振る舞いますので」
「いいのリッカ?」
「ターゲットが『どちら』にいるかは分かりませんので、成績優秀だからと『接触』が出来るとは限りませんからね」
「そりゃそうよね。んじゃバシッと! 魔法師たちに私たちの力を見せますか」
勢いを着けて言う金色の少女に微笑ましく思いながら、『リッカ』は声を掛ける。
「頑張ってくださいよ『姫騎士』」
「アナタもよ『ソラの姫様』」
目立つに目立つ美少女2人は、グータッチの変形として手の甲をぶつけ合って再会の合図としたのだ。
―――お互いの健闘を祈る―――
その様子を偶然にも見ていた何人かは、その2人の手の甲にタトゥーのような赤い刻印が刻まれているのを見るのだった。
Fateの兆しを持つ少女2人は、一世紀は前に『第5の魔法』が現れた土地にて新たなるグランドオーダーを刻む。
それは『選択肢を間違えてしまった未来』。
しかし『編纂された事象』として、『定着』してしまった『枝葉』に生きる人間たちには決して分からぬことであり、ともあれ―――。
「衛宮アーシュラ」「藤丸立華」
『魔法師』たちには分からないだろうが、『カルデアス派』から派遣された魔術師2人は無事に魔法大学附属第一高校に合格するのだった。
・
・
・
唐突だが、『私』の父と母はフツーではない。
詳しい説明は省くが、父は『行方不明』になった母を探して、『白竜の遺骸』の奥の奥。地の地。獄の獄―――。
そんな風にしか言えない場所に赴き、そこにて母との再会を果たして―――にゃんついている内に『ワタシ』が出来て、そして『花の魔術師』の薦めもあって、何度かそこと『地上』を行き来している内に―――。
『うん。ここから先はアルトリア、君の子と
シロウ君、私の『王』を頼んだよ。彼女に血塗られた夢はもう見せたくないね』(父・談)
そうして、母の眠りは完全に覚めるのだった。
『あっ。ついでにこの厄介な白い毛玉も連れて行ってやってくれ。『彼と彼女』が死んでからこっちにとんぼ返りだったんだが、そろそろ取り戻した未来の『美しいもの』に触れさせたいんだ。
あるいは―――『第■の獣』になってしまうかもしれないがね。まぁその場合はマギクスとかいう『もどき』どもが主な犠牲かもしれないが、頼んだよアルトリア』(母・談)
そうして衛宮家には『馬2頭』『犬1頭』『ネコ(?)1匹』が家族に加わるのだった。
そんな家族のヒストリーはいいとして、今は私のことだ。
妖精郷に眠りあった永遠の王と、数奇な運命から錬鉄の御業を身に宿せし英雄との間に生まれしもの。
父のように『正義の味方』を目指さないけど。
母のように『救国の騎士王』になるわけでもないけど。
ただ持って生まれた力が、どこに向かうかを知りたいのだ。
私の名は衛宮アーシュラ、またの名をアーシュラ・エミヤ・ペンドラゴン。
これは―――
目指すはプリンセスブレイブ唯一つ!
「などと勢い込んで言っているところ悪いのですが。アーシュラ、そろそろ出なくていいのですか?」
『フォウ』
後ろから聞こえてくる声に反応して振り返ると、部屋の入口に仁王立ちならぬ『王様立ち』をしている母の姿。そしてその母の肩に乗る白い毛玉。
ちなみに王様立ちの際に床に突き立てる剣は、現在は箒となっている。
父と母の新しい『勤め先』は未だに知らないが、今日まではまだ新居の掃除などが残っているのだろう。
ちなみに言えばアーシュラは今日が初登校日である。
「やばっ! というほどではないけど立華は―――」
「既に準備完了しているよ。おはようございますアルトリアさん」
「はい。おはようございますリッカ。いつも娘のことでご足労掛けてしまいます」
この関係は、最近まで居たUSNAでも変わっては居なかった。
気軽に母に挨拶する、オレンジに銀髪が混ざる人種を完全に安定させない幼なじみに、『ごめーん!!』と謝りながら早速も準備を開始。
「ご飯は食べた? 盛大なお腹の音とかレディとしてどうかと思うからね?」
「それは邪推がすぎるわよ!! それと今日は入学式じゃん!! そこまで時間はかからないわよ!!」
「だってー♪ やったねフォウくん。アーシュラと今日はいっぱい遊べるよ」
『フォォォウ♪♪」
立華につんつん頬を突かれて喜んでいるらしきフォウの声を聞きながらも、準備は完了する。
いつ見てもとんでもない制服である。こんな豪奢で動きづらそうなものじゃなくて、『ブレザータイプ』でいいだろうに。
そう思いながらも―――それは『焼却された未来だ』という声が聞こえたような気がしたのだった。
どうでもいいけど―――。
「準備完了!! それじゃ行ってきます!! フォウもカヴァスたちと一緒にお留守番していてね♪」
「それでは行ってまいります」
元気ハツラツな娘と『親戚』の楚々とした娘を見送るアルトリア。
玄関先にいた父にも行ってきますと言っておくのを忘れない2人の女の子たち。
―――その姿を両親は眼に焼き付けておくのだった。
どうせ数日後にはある意味、家だけでなく学校でも見ることになるのだとしても―――。