魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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やっぱりイメージの世界で売ってる人だからスタッフにも厳守だったのかな。
いや妻子を持ちながら関係を続けていた有限会社チェリーベルの『部長』が悪いと思いますよ。
世間に公表していないからと悪さをしていたのか、はたまた公表できないことをいいことにそうしていたのか。

色々と推測出来ることは多いですが……何とも言い切れぬスキャンダルですね。
鈴村さんと真綾さん。愛河さんと岩田さんみたいに声優どうしじゃないと公表出来ないわけじゃないと思うんですけどねぇ。
いや、そうとも言い切れないか――――――青春時代にまだインターネットも一般普及していない時代にエアチェックして声優さんがパーソナリティをやるアニラジを聴いていた世代としては色々と複雑な話です。

長々と失礼しました。新話どうぞ。


第101話『デート・ア・ライブⅠ』

「私は納得していませんからね!!」

 

「お前の気持ちは分かるが、だが俺とて少しは護衛役と親交を深めないと、どんなことになるか分からない」

 

アーシュラのことを理解しないと、どうしても当日までに不安が残ってしまう―――という表向きの理由を述べながらも……心としては違うものがあるのだった。結局の所…アーシュラとのデートを楽しみに想う気持ちだけだった。

 

「それにだ……コウマ=クドウ=シールズの件もある。アーシュラは俺とお前が四葉の関係者だと分かっていた。アルトリア先生の言動からわかっていたことだがな」

 

今さらながら、自分たちの実家にここまで深く関わっているなど、正直予想外過ぎたのだ。そして何より……コウマという男の素性も少しだけ気になる。

 

いや、もはや理解している。彼は……叔母……四葉真夜と七草弘一の……。

 

「けれどお兄様。叔母様は生殖機能をその……」

 

そんな達也の話題転換もとい話のごまかしに対して、流石の深雪も話題が話題だけに、それに対して怒ることだけは出来ない。

 

「ああ、だが今の遺伝子工学の技術を用いれば、それぐらいは―――だが……」

 

真正面から聞くのは色々とアレではある。そもそも、この推測が事実であれば、形はどうあれ叔母は、他所の家の父親と『不倫』をした上で『子』を為したということである。

 

(師族会議での論調から、七草家も衛宮家に対する手出しを控えている。それはまさしくこういうことなのだろうが)

 

だが、それでも何故……他家に養子として出す必要がある。形はどうあれ、自分たちにとって『正しい意味』での従兄弟が出来ることは喜ばしい。

 

(叔母がアーシュラとコウマの関係を聞きたがっていたのは、その恋仲を応援したいだけでなく、色々とあったのかもしれない)

 

衛宮家と姻戚関係を結ぶことで、四葉の当主として『堂々』と喧伝出来るとか、まるで貴種流離譚の主人公のごとく出してくるとか―――

 

「全てが不透明過ぎる。だがアーシュラが教えてくれると信じて、おれはアーシュラとデートすることでそれらを探ってみよう」

 

「別にデートじゃなくても、どっか適当な場所で聞き出せばよいではないですか……」

 

そもそも教えてくれるかどうかすら不透明だとする、不機嫌な深雪の言はもっともであるが……。

こういう場でならば教えてくれるのではないかという、淡い期待を持たざるを得ない。

 

ソレ以外であれば、やはり……結局は司波達也も男であるということだ。

 

了承してくれた以上は、色々と楽しいデートにしたいと思う―――そんな達也の気持ちは、深雪にとって不快な限りであり、そもそも何でアーシュラは兄とのデートを了承したのか……その気まぐれさに腹立たしさを覚えて、当日は絶対に監視してやろうと決めたのであった。

 

 

そんな一高の学生恋愛の模様は四葉という十師族の家をも混乱に陥れており、当主は急遽のオンラインでの対話を知り合いの女の子に行っていたのだ―――……。

 

「―――弘真にはもう新しい恋人がいますよ。ワタシみたいなノーテンキで太平楽な女よりも、ちゃんと弘真のことを愛してくれている女の子がね」

 

『そ、それは喜ばしいことかもしれないけど……悩ましいわ……キライになったの?』

 

「そのことに関しては、今度のアナタの甥とのデートで話そうかと思いますので、聞き出してください」

 

あんまり親世代に対して少女の恋愛模様を話したくない。そういう心での言い方は、やはり真夜にとってあまり受け入れづらいものではあるのだが……。

 

それでも、最終的にはアーシュラの心と、自分の息子を恋人としていた騎士王の娘への感謝を優先するのだった。

 

そんな会話を終えて、お互いに『おやすみなさい』と言った―――もしかしたらば、義理の母娘になれたかもしれない少女に対して、四葉真夜は考えを巡らす。

 

「フラれたのは確実なのだけど、どうにも……要領を得ないわ」

 

「傍から聞かされていましたが、考えるに……リトル・アーサーは、弘真様のことを考えて、そして弘真様を想う女性のことを考えて、身を引いたというところなのではないでしょうか?」

 

「……そういうことなのかしら?」

 

それは想像でしかなかったが、ありえなくはないはなしであった。ただそれを考えると、少しだけ真夜は悲しくなるのであった。

 

だがそれでも彼女がそう決めたならば……そうするに足るだけの何かがあったのだろう。

 

ただそれでも……真夜としてはやはり、アーシュラと息子に一緒になってほしかったのだ。それは打算だけではなく、息子がアーシュラを好きでいたということを確信していたからだ。

 

その心だけで一緒になれたならば、嬉しいことであったというのに。

 

「とりあえず、後で達也さんに説明してもらうしかないわね。出来ることならばフラれた原因を探ってもらいましょう」

 

そんなことを果たして、達也がやるのか……葉山としてはそれが少しだけ気がかりではあるが、それでも……当主である女性としても、それを知らない限りは仕事に手が付かないだろう。

 

集中出来ない状況だけは避けたい。執事として、昔から知っている親のような気持ちでそう思いつつ……あとは達也が上手くやってくれるかどうかだけであった。

 

 

 

迎えた土曜の休日……。

 

家を出るのですらひと悶着あったとはいえ、達也はアーシュラとの待ち合わせ場所まで赴くことが出来た。

 

出来たのだが……この待ち合わせ場所の至る所に既知の人物、有り体に言えば知り合い、友人たちが隠れていたのである。

 

(こいつらは……)

 

るーみっくわーるど的なこういう出歯亀根性なことをされるのは、非常に腹立たしい。

 

だが、それでも……。その監視するようなやり方を少しだけ嬉しく想う。余計なことを考えることで、アーシュラに対する雑念を―――。

 

「ちわー♪ 待たせたかな?」

 

「―――――――」

 

―――振り払うまでもなく、一挙に持っていかれるのであった。

 

季節の上では秋……冬というほど寒くはないが、それでも世界的な寒冷化が、秋服の装いを少しだけ変えた。

 

21世紀前半では冬用の装いが、秋服に適用される時代なのである。

 

ゆえにアーシュラの服装は、まさしく秋の装い。

 

白のハイネックを着込み、その上から白のトレンチコート風ミニワンピース(長袖)を着込み、黒のミニスカートがちらちら見える。

 

そんな脚線美を強調するように、黒のロングブーツともニーハイブーツとも言えるものを履いている……。

九校戦から2ヶ月以上経った。ゆえにその髪が伸びているのは、理解している。

 

だが……あえてそのヘアスタイルをショートにした辺りに、アーシュラの女粋を感じた。

そして何より……いつもはしないはずの化粧まで施している。

 

唇に引かれたルージュやアイメイクが輝くも下品さはなく、むしろ健康美を感じさせる。

 

もはやはっきり言うべきだ。

 

かわいすぎる。なんだこのいきもの。

 

「ずいぶんとめかしこんだな」

「そう? ノーマルコーデだと思うけど」

 

くるんと一回転して全体を見せることで、普通であると示すアーシュラだが、不可能な話だ。

 

「深雪は、こんな風じゃないから」

 

深雪の外出用の服装は、どちらかといえばおとなしめだ。カジュアルコーデとでも言えばいいのかもしれない。

 

そこまでガーリーコーデに走るわけではないのだが……つまり、まぁ……。

 

「かわいいよ。アーシュラ」

 

「ありがと♪ けど、なんだか今にもホテルで休もうとか言われそうな視線を感じるわ」

 

そこまで欲情に走れるわけではないが、活発さと女子らしさを両立させたその服装を着ているアーシュラに、どうしても眼を奪われてしまうのだ。

 

「さてと、デートということだけど、どうするの?」

 

デートプランは考えてきたのだが、いきなり街中に繰り出すのはすごくもったいない気がして、このまま散歩をしたくなったりもした。

 

「とりあえず紅葉狩りでもしないか? 皇居外苑まで行かなくても、近くの公園でいいところがあるんだ」

 

「分かったわ。しかし……意外ね……」

 

「何がだ、とは言わん―――俺とて、風流や風雅を理解しようとする心は持ちたいんだよ」

 

芸術性よりも実用性や有用性ばかりを求めたがる達也のパーソナリティを理解されていることに苦笑しつつも、それに笑みをこぼしながらも大きな黒リボンで前を留める白いふわもこ(ファー)ケープを羽織るアーシュラ。

 

たった一つのアイテム。それを着けるだけで―――完全に活発さを失わせ、女子らしさをアップさせたアーシュラ。

 

こんなとんでもない女の子とこれからの時間を過ごすことに、達也は―――どうしても目眩がしそうなほどに、幸せな気分になるのであった。

 

そうして歩き出す2人を見ている影がいくつもあり、その中でも目立つものは、その様子に『不機嫌』を覚えてしまう。

 

「そりゃアーシュラは海外生活が長くて、日本のフォーマルなファッションに通じていないんでしょうけど、あんなミニ丈スカートなんて日本の流行りじゃないんですよ! 士郎先生かアルトリア先生が止めたりしないなんて、どうかしていますね!」

 

半世紀以上前に流行ったピー○やドン○西のファッションチェックよろしく、アーシュラのデートコーデに多弁にケチを着ける。

 

だが、ここで一つ傍にいる立華は問いかける。

 

「では似合っていないと思いますか?」

「ちょー似合ってますよ!!!」

 

涙目になりながらも、服飾デザイナー志望としての目だけは裏切れなかった深雪に、ブッキーだなぁと立華は感想を出す。

 

「まぁ傍目には長身のモデル体型で、出るとこ出て引っ込むところは引っ込んでいるものね」

 

「あれだけの食事を取っておきながら、何であの体型を維持できるの……?」

 

これはエリカとほのかの感想であるが、特に答える必要は覚えない。

 

純粋な竜種ではないが、アーシュラの身体は常に最適の状態に持っていけるように、自動調整が為されているのだ。

言うなれば環境適応化(リージョンフォーミング)である。

 

紅葉狩りに赴く2人。追いかける面子は……完全にバレているだろうが、それでも興味津々で付かず離れずの距離を保ちながら尾行を続けるのであった。

 

 

 

赤、黄、茶……様々な色に染まっていく公園の中を見上げたり見下ろしたり、遠くを眺めたり……それだけで心が高揚する。

 

何故だろうか。達也(じぶん)が、ここまでこんな風に景色を愛でるなんてことは、今までに無かった。

 

母親による改造を受けたから、美しいもの、愛しきものを全て実妹に置き換えられたからなのか、それともはじめから、そういう人間であったからなのか。

 

だが、そんな自分が……。ここまで情感を覚えるのは、隣を歩く少女の影響なのかも知れない。

 

「いやーいいわねー。やっぱりこういう景色を見ておかないと、季節を感じないわ」

 

「一高では、落ち葉の類は魔法で集められて燃やされているからな……春に比べれば風情がないか」

 

「まぁそれはしゃーないんじゃない。魔法の使用に影響が出るかもしれないんだから」

 

桜の花弁に比べれば、落ち葉の類はマズイというのが魔法科高校の共通認識のようだ。

 

さらに言えば、論文コンペにおいて大規模な実験設備を作るとなれば、それらはあっていいものではない。そういうことらしい。

 

「アソビの中にマナビがあるってことを、徹底排除するガッコーよね」

 

「エジソンやニュートンのような『超天才』を生み出すところじゃないからな」

 

「白い獅子は好きなんだけどね」

 

「ありゃ衝撃的だったぞ。まさかエジソンがホワイトライオンのフェイスで、レオみたいな声でしゃべるとか」

 

「英霊ってのものは、人々の『思い』がカタチとなった存在だからね。まぁ大統王閣下にも色々と事情があるのよ」

 

その色々の事情はあえて聞かなかった。

聞けば色々と、首を捻る事態になりそうだったからだ―――が。

そんな大統王閣下の母国にて発生した災厄が、後に同じようなことを成すのはなんたる皮肉だろうかと、達也は思うことになる。

 

「アーシュラ、写真でも撮らないか?」

 

「さっきから撮っていると思うけど? 送るよ」

 

レトロな魔術系統の割には使っている器具は最新機器という、アンバランスな少女の端末を持っての発言にそうではなく―――。

 

「一緒に写真を撮らないか。要するにツーショットで写りたいんだよ」

 

「ああ、そういうことね。はいはい」

 

「―――――――」

 

言った瞬間には並んで歩く以上に距離を詰めて、達也の頬に一瞬だけ触れるアーシュラの頬。

 

端末のカメラ機能を使っての『自撮り』。液晶画面に映し出される自分たちの姿に、少しだけドキリとしつつも。

 

「撮るわよー。無理だと思うけどスマイル・スマイル♪」

 

「笑顔ぐらい出来る」

 

どんだけフェイスが鉄面だと思われているんだと反感を覚えつつも、触れているアーシュラの身体の柔らかさとか匂いとかが、自然と達也に笑顔を作らせるのであった。

シャッター音が何回か響き、そして名残惜しくも離れてしまう身体……達也の方の端末に送られてきた写真……。

 

何故だろうか、それがただの画像ではないように思えるのは……。

 

紅葉舞い散る中で撮られたツーショット写真に、どうしても鼓動が高鳴る。

 

「けど、遠景でセルフシャッターで撮るぐらいしてもいいんじゃないか?」

 

「アナタと密着した写真じゃないと『背後霊』が写り込んだ写真ばかりになっちゃうわ。 ワタシとのデートでの写真なんだから、余計なものは入らない方がいいでしょ?」

 

「―――……成程」

 

今も付かず離れずの距離で、一人、二人ほど、今にも飛びかかろうかとしている『背後霊』を認識しつつも―――アーシュラからの独占されたいという想いに嬉しさが出てくる。

 

そうしてデートは第二幕へと入る……。

 

そんな中……。

 

 

「先乗りしてここまでやってきましたけど、リーレイ。大丈夫なのでしょうか?」

 

無問題(モーマンタイ)! この国で事を起こす以上―――現地のことを知らなきゃ。敵を知り己を知れば百戦殆うからずって爺ちゃんも言っていたし」

 

「ですかね……」

 

「カッコよくて超絶かわいいアサシンにも期待しているよ」

 

「もっちろんですよ!!! おまかせをマスター!! あなたの敵を全て打ち払いましょう!!」

 

保護すべき少女からあからさまなヨイショを受けて、テンションが持ち上がる美麗の女性は、この上なく目立っていたが―――、一方でメンドウそうな女の匂いを漂わせて、男を一人も寄せ付けなかったりした。

 

休日は、色んな人にとって等しく流れていく―――。

 

 

 

 

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