魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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fakeのポスター寄せ書きにハルトモ先生はお呼ばれしなかったか。はたまた手書きの文章を送ったら解読不能だったか(爆)
まぁ信長さんもタスクオーナ先生もいないし、今回は――――――たまたまですね!(え)

そんなわけで新話お送りします


第102話『デート・ア・ライブⅡ』

 

 

紅葉狩りを楽しんだあとに、達也が案内したのは映画館であった。ナウでヤングな(爆死語)デート・カップルには定番ではあるが……何を見たものか……少しだけ迷う。

 

「アーシュラは何を見たい?」

「ううむ。そんな風にボールを投げ渡されると悩むわ。宇宙征服戦車男(イスカンダル)2090(ニーマルキューマル)とか見る?」

 

かつて一世を風靡したSF超大作にして恋愛映画のリメイク作。巷でも結構話題を巻き起こしているもので……達也としても一度は見たかった作品ではある。戦車男の率いる一大軍団の戦いは、最新の映像技術を用いたものであると聞く。

 

やはり戦い好きなアーシュラだけに、そういう風なものを見たがるのだろうか……恋愛映画とかは確かに彼女のキャラ―――じゃないように見えて、実は彼氏持ちだったとか、色々と複雑玄妙な女の子なのだと気付かされる。

 

座席の埋まり具合を見る限り、まだ余裕がある。とはいえ、いい席であり『背後霊』というストーカーたちを避けられる場所を取らなければならない。

 

そんなわけで―――アーシュラと共に席を確保するのだった。

 

上映中……塩味とキャラメル味のポップコーンを互いに食ったりしている間、ポップコーンの中で手が触れること多いわけで、別にアーシュラに触れることが無かったわけではない。

 

寧ろ九校戦の期間中は、その左手の薬指に嵌められている―――現在も付けているそれを触っていたというのに……。

 

暗闇の中で時折見る横顔が達也の心を揺さぶるのであった。画面上では、エルメロイの女ことウェイバー子を、戦術長たるアレクセイ男が抱き上げて帰還してきた地球を見ながらエンドロールへと向かおうとしていた―――。

 

ちなみに、そんなものをポケットから出て見ていたアッドは唸るような調子であったのだが、達也は全く気付かず、そして映画鑑賞は終わり、昼食へと移る……。

 

 

「なんと普通のデートだな……」

「普通じゃイヤなの?」

「何かハプニングの一つでも起きてくれればなぁとは想うよ」

 

他の人間たちと同じく後輩のデート風景を見張っていた克人と真由美は、休日に自分たちは何をやっているんだろうという気分に陥る。

 

「横浜論文コンペ……何かは起こるのだろう」

「何かって?」

「騒動、いや戦いとしか言えないものが……」

 

明確なものではないが、『空気』とでも言えばいいものが張り詰めているのが分かる。外国の産業スパイや魔法を何かしらの産業に利用しようとしている人間たち以外に……硝煙棚引く戦火の中を生き抜いてきた士郎先生のような『匂い』をした人間の気を、克人は敏感に感じていた。

 

「となると……アーシュラと司波がそれとなく交流することで、防衛体制の構築をすることはいいと想うのだが……」

 

上級生及び魔法師全体の責任をこの歳で負わされた十文字克人としては、それでいいとしても……十代男子―――ハイティーンの男としては、複雑な気持ちになる。

 

「司波はやはり四葉の直系だ。少々調べたが―――やはり四葉深夜どのが、司波という―――やはり分家筋と結婚したことで、彼ら兄妹が産まれたんだな」

「……当主争いに負けたのかしら?」

「そこの詳細は分からないが……そもそも現在の当主は……生殖機能が、と聞くからな。ゆえに不透明だ」

 

年頃の女子に聞かせる話題じゃないゆえに、言葉を濁して克人は説明したわけだが、そうなると……あの九島弘真なる存在がネックになる。

何故彼は……北米大陸、USNAにいるのか、その誕生と育ちに関して一番知っているだろう人間は多いが、どいつも口を固くしているだろうと、予測している。

 

「お前は親父さんに聞いたのか?」

「いいえ、聞けてないわ……もしも―――予想通りだとしたらば、私達の予想が現実のものになったりしたならば……」

 

どうなるのか? しかし、そう考えると全てが……不透明になる。

 

「まぁこの手の話は止めておこう。それにしても―――美味そうなもの食っているなぁ」

 

シュラスコを主体とした野外レストランで昼食を取っているカップル2人。こういうところだけは女子力皆無というか、食欲を全開にするアーシュラを見ていると、昔懐かしの刑事の張り込みよろしく、惣菜パンとコーヒー牛乳だけで済ませている自分たちが情けなくなってくるのだ。

 

そんな中、2人の食事風景に……男女の組、カップルだろうかと思われるのがやってきて話しかけていた。

 

克人や真由美も全員の顔を知っているわけではないが、その組は魔法科高校の生徒ではないだろう。主に話しかけられているのは司波達也だけなこともあり、何となく中学時代の同級生だろうか?と予測する。

 

と思っていると、真由美が『ようやく』のことで、話しかけている男の方に理解が走った。

 

「あっ!片方の男子って、芸能人というか最近売出し中のモデル『AOI』(アオイ)かもしれない!」

「あおい? 知らない人ですねぇ」

「そんな返しはいらないわよ!!」

 

克人としても、男子である自分が、ゴリマッチョな自分が、そんな細面の少年のことに詳しければ、女子からはどうだろうと思われる―――が、腹違いの妹『和美』が、そんな風な人間にお熱というか、彼が映る番組があると、リビングのキャビネットの映像は、それに固定されてしまうのだ。(慶子も同時鑑賞)

 

だから本当の所は、真由美よりも先にその人相を理解していたのだが―――。

 

ようやくの事で、アーシュラに話を向ける2人の男女。その様子から、どうやら中学時代からあの男は相当な人気者だったようだ。

 

好悪どちらでも人気だったというところか。

そんな人気者と一緒にいた女子に、ようやく興味が向いたようで……。

距離が離れているので、会話の内容を聞くべく『こっそり』少しだけ集音的な魔法を向けると……。

 

女子『まさか鉄壁の司波君が、妹である深雪さん以外とデートするだなんてね』

 

アーシュラ『そんな昔からインモラルアニマルだったの?』

 

達也『誤解を招く表現をするな。俺は妹に欲情するような変態じゃないぞ』

 

AOI『で―――衛宮さんだったよね? 君は……司波君とどういう関係なのかな?』

 

そんな会話内容を聞いて、そして―――人気モデルの質問に対して……。

 

アーシュラ『カノジョでーす』

 

そんな戯けたような発言が飛び出てきて―――とんでもない光圧と冷気が局所的に発生しそうになったのだが、即時に抑え込まれた。

 

そしてそんなアーシュラの発言に対して……。

 

達也『実を言うとそうなんだ。松山、麻野さん』

 

それを態々肯定する達也の言葉に、再びのサイオンの暴走が発生しそうになったが、その言葉に自分たち以上にびっくりしたのは、AOIだろう松山なる男と麻野という女子であった……。

 

そんな風な爆弾発言が飛び出る前に、場面を戻す……。

 

―――映画を見終わった後に、少しだけ歩くとちょうどよく昼時となるのであった。

 

昼……ランチタイムである。ここで達也としては自分の財力を見せつけて、一番美味しい店を紹介することで。

 

「それじゃお昼はワタシが奢ってあげる。この辺で一番美味しいお店紹介しちゃうよ」

「ああ、まさか……そうなるとはな」

「どこかの店でも予約していた?」

「お前がコース料理で満足できる手合いでないことは、分かっているからな……」

 

一応、食べ放題の店でもとピックアップしていたのだが、見事に梯子を外された気分だ。だが、 アーシュラ贔屓の店とやらならば……旨いことは間違いない。

 

「ところで『肉』で大丈夫?」

「お任せするさ。ドラゴンプリンセスに」

 

まさか『カニアマゾン』みたいなのが経営しているレストランではあるまいとして、腕を引っ張られながら連れてこられた店は―――それなりに人は入っているが、それでもごみごみとした猥雑さではなかった。

 

屋内、屋外どちらでもいける店だ。この時期ならば屋内がいいはずだが……意外と屋外で食べている人もいる。というかそっちの方が多いぐらいだ。

 

そんなわけでアーシュラの案内に従い、店員さんに促されてテーブルに着席。

 

寒くはない。どうやら最新の暖房器具―――暖流を循環させるもので、屋外でも寒気を感じさせないようにしているようだ。

 

メニューが渡されるも、アーシュラは一応見つつ―――常連らしく淀みなく注文を行ったりする。

 

「Bセットと、あとは黒白の腸詰めセットをお願いします」

「畏まりました。ドリンクの方は?」

「ワタシは烏龍茶を、達也は?」

「俺も同じので―――」

 

言葉を受けて店員さんは奥に一度引っ込む。そうしてから他の客が食べているものを見ると、少しだけどういう店であるのかが分かる。

 

「食べ放題のBBQ―――シュラスコか?」

「そういうこと。ケバブ、シシカバブみたいなのもあるんだけどね」

 

その中でもBセットというのを頼んだのだ。井之頭五郎並みの嗅覚と直感を持つアーシュラが頼んだものは―――。

 

「お待たせしました。Bセットの牛豚羊のバラエティ盛りと、ブラックソーセージと、ホワイトソーセージの盛り合わせです」

 

五分もしない内にやってきたわけで、長めのテーブルに肉らしい肉の香りが充満する。

 

「プレートの方はもう着けておきますか?」

「あっ、ワタシの方でやっておきます。コレですよね」

「畏まりました。ではごゆっくり」

 

既に火が通っているとはいえ、焼き加減ないし冷めた場合用の電熱プレートは備え付けてあるらしく、アーシュラの『手慣れた』やり方を見て、店員さんもとりあえずは去っていく……。

 

「何か作法とかあるのか?」

「無いよ。パンは追加で貰えるし、肉は単体で食べてもオッケー、野菜は焼く?」

 

そう言われて、とりあえずシュラスコらしく肉だけで食ってみることにした。

 

皿に取り分けた厚切りのロースだろう部分をフォークで食べる。

 

 

―――――旨い。

 

「……ど、どういうことだ?」

「達也が食わないならばワタシは次から次へと食べるのみ! このナンかピタパンに包んで食べるのが通好み!!」

「俺も食うぞ。余計な香辛料とか使わず『塩』だけで味付けしているのか?」

 

腹ペコ姫騎士に全て食われる前に達也も手を着ける。塩だけで味付けされたBBQ。大航海時代に争うように、というか実際に争いまくった胡椒やマサラの類など使わず、大概のところでは取れる塩だけでここまで肉の味を引き出すとは……。

 

巨人が徘徊するパラディ島(?)では無理だろうけど、などと内心でのみ付け加えておきながら、ピタパンに豚肉(カルビ)を巻いて、野菜―――ネギ。いつの間にか灼いたものを加えて食べる。

 

「流石にネギとかは焼いたほうが甘みが出るわよ」

「そうだな。ありがとう」

「安心して、ワタシも食べるだけだから♪」

 

(ピカーニャ)(ネック)の神をも恐れぬ合わせ技(ピタパンサンド)をするアーシュラを見て、そういうのもあるのかと感心してから、俺もそうしたいと食事のスピードが加速する。

 

プレートが点火をしており、どうやらこれを使って野菜を焼いたり、少しだけ焼き加減や塩味の変更をしていたようだ。

生でもいけるが、焼いたほうが美味しいだろうソーセージも焼いていく。

 

「パン追加お願いします!!あと Aセット追加で!」

「俺はこの牛の部位盛り合わせを」

 

十代の食欲全開で肉を食いまくる男女。肉食系肉。肉を肉で巻いて食べると言わんばかりのその様子に、何で私達は、こんな侘しい食事なんだろうと思わざるを得ない。

 

そうストーキングしている深雪withフレンズたちは、大なり小なり想うのだった。

 

「しかし、達也にしては随分と食事にがっついているよな」

「家では満足に食事を与えられていない―――なわけがないわよね!!!」

 

レオとエリカの言葉に深雪の視線が飛ぶ。ビビったエリカが、戯けたような言葉を修正するのだった。

 

だがレオの言葉はもっともだった。自分たちが知っている司波達也というのは、食事を心底楽しむというタイプではなく、『こんなもんだろ』的なエネルギー補給のためだけに摂取しているとしか言えないイメージだった。

嗜好飲料がコーヒーという時点で、なんて渋い高校生なんだ(褒めに非ず)と思っていたのだから……。

 

「やっぱり愛しい女子と取る食事だからじゃないですかね? などと言うと、司波さん怒るからネタバレしますが、あの店は原塩や色んな塩を使って肉を調理しているんですよ」

 

「それが関係あるんですか?」

 

「恐らくですが、今日あたり激しい運動をしたりして―――ミネラル不足に陥っていることに気付いたんでしょう。思考をするとブドウ糖だけが不足すると思われがちですが、あらゆるものが身体から消費される。特に水分と共に塩分も不足する」

 

こじつけくさいが、未だに勉強中の学生の定番としてポテチを勉強机に持っていくのは、死神ノートに名前を書くためだけでなく、脳がそれを欲しているからなのかもしれない。

 

「だからか……多分だけど朝は九重寺の住職と大立ち回り、ソレ以前の夜には色々と論文コンペで考えていたんだね」

 

そんな幹比古の推測は大当たりであり、そしてそんな達也の状態をどうして分かったのかと言いたくなるのだ。

 

「公園での散策の際に触れた頬で『この頬は!……シオ()を欠いている『頬』だぜ……ブローノ・ブチャラティ(司波達也)!』とか勘付いたのかも知れませんね」

「お兄様の身体を何だと思っているんですか! だいたいそうだとしても―――って、あれは!?」

「おや美男美女のカップル、深雪の知り合い?」

「ええ……私とお兄様の通っていた中学の同窓生で……」

 

深雪がそこまで驚愕するような相手なのだろうかという疑問を持ちながらも、ともあれ懐かしい顔との再会が達也の口を軽くして、そして―――。

 

驚愕の会話とアーシュラの宣言とが深雪を絶望させるのであった。

 

 

「まさか鉄壁の司波君が深雪さん以外とデートするだなんて、やるね〜このこのっ!!」

 

「実妹とだけデートするだなんて『非生産的』なことばかり出来るかよ」

 

軽い肘打ちでからかってくる麻野理恵子に少しだけ辟易しつつも、今まで自分がその様に同級生たちに見られていたことに恥を覚える。

 

だが女子からのデートの誘いは、どこからともなく、それとなく……断りを入れてくるという結果に繋がっており、どれだけ手を回したんだか分かったものではない。

 

「達也ってそんな昔からインモラルアニマルだったの? ひくわー」

「誤解を招く表現をするな。俺は妹に欲情するような変態じゃないぞ」

 

麻野のせいで、妙な誤解をアーシュラにさせてしまっている。抗議しても無駄な気がするが。ともあれ―――ようやくこちらの会話に入り込んだことを機に松山は達也に紹介されたアーシュラに話を向けるようだ。

 

「―――衛宮さんだったよね? 君は……司波君とどういう関係なのかな?」

 

イケメンモデルの何気ない質問、だが探るような疑問に対してアーシュラの回答は……。

 

「(レンタル)カノジョでーす」

「実を言うとそうなんだ。松山、麻野さん」

 

烏龍茶を含んでからの言葉。同時に達也としても、同級生に自慢したい心で同調しての肯定。

 

背後霊の異常サイオンを感知しつつも達也は……冗談だと分かっていても嬉しさのほうが勝っていたのだから……。

 

 

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