魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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当初の予定では、川中島の影響で

シンでは唯一(ガチャで)ハブられた鯖としての恨みとかも含めて『超大将軍韓信』『韓信将軍ビッグボディ』とか考えていたのだが。(返しは沖田さんと同じ)

あまりにもギャグが過ぎると思いボツに。

というわけで久々の新話です


第121話『すれちがう戦場』

 

「ルクスリア! インウィディア! この人達を向こうに!!」

『『心得ました。ルーシャナ様』』

 

森崎家の会社の従業員たちを横浜の『奥座敷』とでも言うべき場所へと運んでいったドラゴン型モンスターとでもいうべき存在たちを見送ると同時に、ここでの活動が一段落する。

 

「感謝しておく筋合いかな?」

「どっちでもいいです。私はアーシュラお姉ちゃんに言われたことを実行したので」

 

君が鎖剣を突き刺した男子の家の従業員だったんだが。という窘めも意味をなさないだろう。

ルーシャナ・クラウディウスという少女は襲いかかる虎戦車を縦断、横断、一刀両断していき全ての障害を排除したのだ。

 

それを現代魔法ではなく、その身1つと身の丈を超える剣だけで行ったのだからつくづくとんでもない。

全てのことを成し遂げて、防衛任務及び後方への救護を終えた独立魔装は、『アーシュラお姉ちゃんを助けなきゃ』と言って国際会議場の跡地(更地)からいなくなるルーシャナを追うことすら出来なかった。

 

「柳さん、俺たちはどうすれば―――」

 

「とりあえず大亜の兵隊共を捕縛する。不服か?」

 

「……我々の任務ではないと思います」

 

「そうだな。危険困難極まる特級の軍事的かつ魔法絡みの問題に機動的に対処するのが独立魔装の存在意義ではある」

 

隊の先輩であり階級でも上である男の言葉に、だったらと続けようとしたが……。

 

「だが、俺たちの魔法で対処出来ることではない。民間人の避難誘導。そして『死んでいない兵隊』を捕虜として捕らえること、それぐらいだ」

 

「消極的すぎる。俺は何のために軍隊に入れさせられたんですか?」

 

四葉(実家)に膝を折ってまで風間など上層部が自分を求めたのは、こういう時に率先して事態に当たらせるためだったのではないか?

 

そう言外に含めた達也に対して、柳としても苦しい。本来的には達也の言うとおりだ。

 

自国への侵略者に対して銃口向けるだけが軍人の役目だなどとは言わないが、それでも独立魔装大隊という軍部隊の本義とはそちらに対して専門化している。

 

だからここで積極果敢に出なければ『税金泥棒』という汚名が着いてしまうのだが……などと少しだけ逡巡していた所に隊の最上位の責任者である風間から激が飛ぶ。

 

前に出ろ。戦え。戦え。戦えと……。

 

「家康から問い鉄砲を射掛けられた小早川秀秋の気持ちが分かるな」

 

「戦える相手とだけ戦っていればいいんです。あとは―――」

 

どこからか駆けつけたのか三高の連中……一色とか一条が戦い出した。とはいえ国士無双軍は円卓ライオンズ(アーシュラ命名)の勇戦で押し込まれ気味だ。だが、流石は国士無双ゆえか圧倒的な兵力を広く展開して相手を左右前後から包もうとする。

 

包囲殲滅陣というものだ。さらに言えば兵力を市内へと浸透させようとする辺りに厭らしさを感じるのだ。

 

「アーシュラ達は前へと突き進もうとする。その歩みを遅らせるようなことをさせなければいいんです」

 

「やるしかない、か」

 

そうして独立魔装大隊の面子は奇態な黒仮面の姿を飛翔させて円卓軍と魔法科高校愚連隊を空から支援することに決めるのであった。

 

そして―――もう1つの軍がこの横浜の戦いに入り込もうとしていた。

 

 

 

日本時間 午後4時30分

 

 

ハワイ基地より発進した原子力潜水艦ニューメキシコの艦内。そこにて発艦準備を整えていた軍人に命令が下る。

 

「本艦は日本領海へと侵入をしました。同時に日本政府及び国連機関からの進発要請を受諾。USNAスターズ、出撃願います」 

 

オペレーターの緊張混じりの声を、若い戦隊長はほほえみ混じりに聞き流した。自分も当初はこんな感じだったなと思い出したからだ。

 

「FS1、了解(ラジャー)!」 

 

サムズアップして搭載火器とエンジンに異常がないことを確認。

 

そうしてから隊長としての言葉を掛ける。自分の既知に『王様』が多かったことを考えれば、あまりにも俗なものだがこういうことが指導者に求められることでもあるのだから。

 

音声回線をオンにして進発のために戦闘『騎』に乗り込んでいる隊員たちに激励と自分たちが居る意味を再確認させる。

 

「わかってるな! 軍は我々に特別な金を注ぎ込んできた。バトルスーツ、特殊兵器、特殊訓練だけではない。食料から宿泊施設まで、マギクスであるという理由だけでなく、並の兵隊とは異なった特別な金がかかっているんだ。

いいか、功を焦って勝手なマネをし、ムダに死んだら許しはしない。勲章はおろか、涙ひとつくれてはやらん! USNAスターズの名に恥じぬ働きをするんだ!」 

 

『『『『サー! イエッサー!!』』』』

 

その返事に満足しながらも果たしてどれだけの人間を無事に家に帰せるかと、冷たい計算が働いてしまうのであった。

 

だが、全員の帰還(それ)を成すのが指揮官としての当然の努めなのだから。

 

何より……。

 

(待っていろアーシュラ。君を助ける。俺は……助けたいんだ)

 

自分の力など微力であってたとえ彼女の戦いで然程の手助けになれなくても、惚れていた女の為に戦えずに男を張れるほど腐っていないのだ。

 

USNAスターズ 所属 スターファースト

 

コウマ・クドウ・シールズ

 

またの名をK2・シリウスと登録されている少年魔法師は、オペレーターのリフト操作に従いながら打ち出されるように発艦をする。

 

目指す場所はJAPANのBIGCITY その港湾部。

 

倒すべき敵はCHINESE ARMY、それと協力しているマギクスとメイガスサーヴァント。

 

そうして……USNAの魔法師部隊は日付変更線を跨ぎながら飛び立つ。

 

日本のアンタッチャブル(触れざる忌み名)と呼ばれた家の『直系』の男子を先頭にして……星条旗の軍人たち(スターソルジャーズ)は日本へと向かうのだった。

 

 

† † † † †

 

仮面ライダー京極なる戦闘者の斬撃は激しく、そしてどこからか踏み込まれる馬蹄が凄まじい。

 

もはやルゥ・ガンフーは防戦一方だ。

 

(あれだけ私達が苦労した相手も、この人……いや……この『女の子』には最早、容易い相手なんだな)

 

「ぬぅう!!! ずがっ!!!」

 

「―――――」

 

馬蹄と同時にはなった斬撃で重い……その体格にふさわしいウェイトと鎧分の重量物を跳ね上げた神域の剣士。

まるでボールでも打ち上げたような様子。

 

それでも追撃を恐れて虚空でバランスを取って身を躱そうとした瞬間。遠くの虚空(そら)から飛来した一本の『黒い錐』が、ルゥ・ガンフーの腹を深々と刺し貫いた。

 

「―――嗚呼唖々亜呼ッッッッ!!!!」 

 

人食い虎と称される『人間』の絶叫が横浜の空に、こだまする。 

 

ぞんぶっ! 悲鳴を上げるガンフーの胸ぐらに、港方向からの放たれた朱い光……竜を模したチカラの塊が灼き貫いた。

 

やったのはアーシュラ。どうやらこちらの状況を見ながら介入する瞬間を狙っていたようだ。 

 

さらに虚空で身をのけぞらせるガンフーに対して再度、飛来したもう一本の黒い錐……今ならば、よく分かるよく見える。

……それは『槍』だった…がまともに『鎧』をぶち砕く! 地上に盛大に落ちた様子と動かないのを感じる。

 

それが──大亜の道士軍人 呂剛虎の最期だった。 

 

「お見事です。士郎先生」

 

仮面ライダー京極の言葉。やはりやったのは士郎先生だったようだが、そんな自分たちの戦った跡に、件の教師は降り立った。

 

―――銀髪の美女を姫抱きしての登場に、アルトリア先生がここに居なくてよかったと思いつつもその美女は……明らかに人間離れした容姿をしている。

 

正しく魔性の美女としか言えないのだ。

 

「―――既に3つの魂が焚べられました。もう1つが私の中に入ったとき……私は消え去ります」

 

「……分かった。誰かが韓信を倒した時が刻限だな」

 

「ええ……それまでの護衛を頼みます。私は『天衣』を着込むので」

 

その傍から聞いていただけでは余人には分からぬ会話。

だが、銀髪の女性が最重要の人物……この乱痴気騒ぎのVIPであることは理解できたので問おうとした時には、呂剛虎がやられた仇討ちなのか多くの敵が、こちら側にやって来る。

 

考える間もなく、再び戦闘に入らざるをえない。

 

そして既に日も落ちているはずの横浜が昼のように日中になっている中……空を飛ぶ巨大な竜を思わせる少女が、エモノを狙っている。

 

そして、誰かの剣が韓信将軍の真芯を貫いた。

 

 

「もはや無茶苦茶の滅茶苦茶ね」

 

当初、真由美が想定していた戦場というのは、本当ならばもう少し静謐を伴ったものだった。

 

いや、そんなことはあり得ないはずなのだが、どうしてもこの横浜という巨大都市の構造上……全面においてドンパチが繰り広げられるとは思っていなかった。

 

しかし、それは大甘な考えだった。

 

戦いとはどれだけ武器が進化しようとも泥臭いものであり、屍山血河をいくら作ろうとも構わぬ修羅場なのだ。

 

そんな中でも未だに戦場の徒ではなく、魔法を使えるだけの女子である真由美やその他大勢……男子も含めて命を拾えていることは奇跡に近かった。

 

あちこちで怒号が響き、銃声と砲声が混じり合いビリビリと鼓膜を打ち鳴らす。そこには何か信じるものの為に戦う厳かで神聖な戦いなど無かった。

 

ヒトという『動物』の持っている獣性と暴力性をむき出しにしてのただの殺し合いだった。

 

これと同じものを深雪は見ていたはずだが、あの時とは違うものが多すぎる。

 

この戦場において兄のような絶対の殺人者は居ない。相手にもこちらを殺傷できるだけの手段がある。対称戦争のそれなので、必然的に戦いは苛烈なものへとなっていく。

 

そして……考えながらも、一高愚連隊も戦闘に参加しているのだ。

 

イエローフェイスとでも呼ぶべきものを被った戦闘員たちの攻撃は苛烈だ。

 

銃弾は受け止めたり魔法で干渉しようものならば即座にダメージを食らう特殊なものであり、中々に苦慮するものだ。

 

さらに言えば森崎家の綜合警備保障の従業員たちをさんざっぱら痛めつけた手投げ爆弾が、この上なく響く。

 

「だからといって!!!」

 

負けられない。大亜の軍人にではなく。

アーシュラに負けることだけは認められないのだ。

 

そんな意識の散漫さを見抜いたかのように、横合いから何かがやって来る。

全身が土塊と岩塊で構成された巨人が拳を振り上げながら高速で深雪に接近していた。

 

魔術師の命名でストーンゴーレムという存在なのだが、そんなことはどうでも良くて危機的状況。

 

マズイと思った瞬間には、拳が深雪の矮躯を打ち砕かんと迫ってきた。

 

「司波さん!!!」

 

声と同時に魔法の照射。ストーンゴーレムの腕が吹き飛ぶ。

『消失』ではなく『爆破』の類に、ひどい失望感を覚えるのであった。

 

三高の精鋭部隊がやって来たのだった。

 

 

空中で獅子奮迅をしていたアーシュラは、空気の変化を感じ取る。

 

韓信大将軍の『策』とは、こんなものなのだろうか? 確かにカルデアが異聞帯で対峙した際とは比較にならないだろう戦力の充実。

 

あちらとて、それなりに用意していただろうに……。

ランスロットの剣が、国士無双を敗北させた。

 

(国士無双と呼ばれた韓信将軍は知だけでなく武も優れた……大将軍……おそらく殆どのマスターは横浜には来ていない。大亜本国にいるんだろう)

 

遠隔によるサーヴァントの使役は特に問題はない。

 

だが、どうしても拭えぬ不安はある。呼延灼を使役していた少女も今は見えない。

 

「アーシュラ、どうする?」

 

聞いてきたのはアスラウグ。ある種、自分と同じような存在である彼女は直線的かつ己の役目を理解している。

 

ゆえに始皇帝の聖躯を模した巨大な卵とでもいうべきものを遂に攻略―――しようとした時……変化が起こる。

 

『模造阿房宮、移動を開始―――大亜の狙いがなんであろうとも、あれを破壊して!!!』

 

言われるまでもない。未だに仕留めきれていないサーヴァント、フォーリナー楊貴妃。アサシン呼延灼のことは気がかりだが、今はアレを仕留める。

 

その巨大な構造物の上部に人の姿を見る。

 

何か巨大な式が構築されていくのを見る。

 

放たれるは巨大な電磁パルスの波。

 

そこにいたのは魔法師の認定で13使徒の1人。

魔術協会側では『彷徨海の脱落者』と呼ばれている老人だった。

 

劉 雲徳

 

その男が戦略級魔法『霹靂塔』を放ったのである。

 

 

 

 

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