魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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昔はシロウって凄く『器用貧乏』で、『剣』以外はそんなに達者に投影できねーよとか結構、杓子定規な意見が多かったんだよな。

別作品とのクロスだけど『速い動きを「剣製」した』とか、いや普通に強化とかで出来るがなとか思っていたが……まぁそんなこんなでチャイナドレスの美女(歳が一回り違う)すら落とすフェロモン男が父親やっている作品をどうぞ。


第125話『剣製の父娘』

 

「―――」

「たくさん出てきた」

 

予想通りではあるが、それにしてもルーシャナの言う通り随分と大盤振る舞いだ。彷徨海の魔術師が『自分』と同じく神代の 術に精通していることは分かっていたが……。

 

(あまり時間も掛けてられない)

 

既にカルデア所属の多くのサーヴァントが脱落した。

別に聖杯に回収されたわけではない。一時離脱だ。

そして横浜でアーシュラが展開していたサーヴァントも『数』を絞っている。

 

ある意味、独立した存在である妖精騎士と最後の戦乙女は……。

 

(ブリトマートは『すみません! 一時離脱です!!』と言ってアスラウグも『『娘は出せません!!』』とご両親に保護されちゃったし)

 

現在、戦力として有効なのはアーシュラとルーシャナだけだ。

 

「ルーシャナ援護して」

「な、なにをするの?」

 

ルーシャナはこのままあまり接近しないで戦うつもりだったようで目を丸くしたようだが、構わずにアーシュラは接近戦を挑む。

 

(ワタシの予想が正しければあの要塞こそが『身体』。ならば結界の一つぐらい切り裂けば!!)

 

ただでさえ母の「槍」であり「砲」を食らって欠けた身体だ。ダメージ覚悟で接近すれば防御に固まるだろう。

 

全身に魔力強化を施した上で魔力放出の勢いを上げる。全身が全力駆動する。

自分が一匹の巨大な竜になった感覚を覚えながら―――アーシュラは灼熱の戦場に突撃するのだった。

 

 

その様子を見ていた立華は、少しだけ目を背ける。あのような無茶をさせてしまっているのは自分が采配をミスしたからだ。だからこそ今は進むことしか出来ない。

 

「これ、もう少し早く動けないのか?」

 

同じような焦燥感は達也も抱いていた。

士郎先生がよこした『ブラックウイングボーダー』という飛行機械としてはかなりの『魔力』が込められたそれは確かに『いい速度』で阿房宮へと向かっているのだが……

 

「これでも最大速度よ! 第一、戦闘機動なんかしたらばあなた達を振り落としてしまう!!」

 

何かの文字盤を操作して鳥のような飛行機のようなこの巨大飛行物体を操る立華の苦労は自分たちには計り知れない。

 

「それならば……」

 

アーシュラが入り込んだエネミー集団を凍りつかせようと深雪が術式を展開しようとする。しかし難儀するのか苦しそうな顔をする。

 

「深雪、あそこにお前が改変すべき情報次元は―――」

 

「分かっています!! けれど!!」

 

こんな悔しいことはない。アーシュラだけが何かが出来て自分は観客以下の状況になるしか無い。あれだけ厳しい訓練を受けてきたというのに現実は厳しい。

 

逃げ出したい。

投げ出したい。

出ていきたい。

 

そういう想いで魔法師として生きてきた自分の自信を粉微塵にする存在。

 

だから―――。

 

「凍ってしまぇええええええ!!!!」

 

アーシュラだろうが何だろうが凍てついてしまえという『気迫』が迸る。

現代魔法師としては無駄事すぎる口頭言語による意思の発露。言葉を発したところで無駄と断じられてきたそれが、効果を発揮する。

 

―――わけではない。どちらかといえば、その前に後ろから飛来した『矢玉』が魔法師が改変すべき情報次元を『整理』したのだ。

 

(士郎先生か)

 

深雪のサポートをした存在はエハングウェンの甲板上から『狙撃』している衛宮士郎であった。

 

結果として深雪のニヴルヘイムが効果を発揮して、あらゆるエネミーを氷漬けにしていくのだった。

 

氷漬けにしたエネミーの集団は自由落下の機動に乗る前に、ルーシャナ・クラウディウスの剣戟で砕かれていく。

その上で、その消滅する魔獣の魔力を吸い取っているようだ。

 

『こちらで何とかお前たちの魔力が通るように整地してやるからお前たちは振り向かずに前を向いていろ!!』

 

その言葉と同時に、陰陽、太極図を刻んだ短剣が幾つも飛んでくる。

 

自分たちを追い越していくその剣の飛ぶ姿は前にどこかで見た水面を飛び跳ねていくトビウオの一斉飛翔を思い起こさせた。

 

直刀、直刃の類の武器ではない流線型をしたものだからかもしれないが、ともあれその陰陽の剣がもたらした結果は自分たちを助けるものだ。

 

「簡単に言えば士郎さんがやったのは、この周辺の情報次元を縫い付けて清掃したということ。一般的に強い神秘の前では、弱い神秘は負ける。

特にこの周辺は阿房宮の領域だったわけだけど、そこに『干将莫耶』という夫婦剣を打ち込むことで、人智の楔を『現代魔法の理』をこの天空(そら)に縛り付けた」

 

「そんな高度なことを士郎先生はやっていたの?」

 

別に士郎先生を侮っているわけではない。

むしろ、そんな単純なことでそれだけのことが出来る士郎先生に驚愕しているのだ。

 

「一見すれば、ただ剣を放っただけにしか見えないでしょうけどね。そうじゃないんですよ」

 

立華の耳には衛宮士郎が『祝詞』のような言葉を唱えているのが分かる。そして、それは娘であるアーシュラが同じく唱えることで、盤石を整えているのだ。

 

『心技無欠にして盤石 力、山を抜き 剣、水を分かつ 唯名 離宮にとどき 我ら 倶に天を戴ず』

『心技無欠にして盤石 力、山を抜き 剣、水を割かつ、尚堕ちることなき其の両翼 天を奔る』

 

前者が士郎先生の祝詞、後者がアーシュラの祝詞である。

 

その効果が出てきたのか、アーシュラへの援護が入っていく。

 

更にーーー音速の戦闘機がやってきたのだ。

 

『やはり金色のカラーでなければ戦闘機はいかんな。ガメッシュ殿のヴィマーナほどではないが、砂漠の虎が乗るならばやはり金色でなければ』

 

『まだそのネタを引っ張りますか……』

 

『劇場版に出れるかどうかの瀬戸際なのだ! エターナルが出ればワンチャンあるだろうが、いまのところ影も形もない!! 仰木殿!! あなたの機体を最大限使わせてもらいますぞ!』

 

嘆く父親に構わず音の壁を超えて飛翔する『ウェポンゴーレム』……人類史でいうところの戦闘機であり厳密に言えば、対艦・対要塞ともいえる用途を持つ『攻撃機』といえるものを操り、阿房宮へと攻撃を開始する。

 

「改めて思うが、あのサー・ギャラハッドとサー・ランスロットは……何であんなに近代兵器の扱いに達者なんだ?」

 

髪を押さえながら、魔法を打ち込みながら『対艦攻撃』ならぬ『対城攻撃』を行って阿房宮を削っていく攻撃機へと疑問を覚えた。

 

かの騎士2人は、ゲリラ兵士が装備していたサブマシンガンをかっぱらった上で、それを銃器として使えていた。しかも同装備を持っていたゲリラを圧倒したのだから疑問もあるのだ。

 

「あの二騎に関わらずサーヴァントの中には『武器』を簒奪、あるいは『その辺の木枝(ブランチ)』を槍剣に見立てて相手を打倒した逸話からある種の『弘法筆を選ばず』な宝具があるんですよ」

 

「つまり現代火器、もっと言ってしまえば火薬兵器がない時代の人間でも、『武器』というカテゴリーにあるものあらば、それを自分の得物として十全に使えるということなのか……?」

 

「ええ、アーシュラが獅子心王の逸話で言って、さらに言えば彼女自信も木枝・模造刀を用いて光の斬撃を放っていましたしね。ブリテンの騎士には『ナイト・オブ・オーナー』というものが多少に違いはあれど、習得しているんですよ」

 

克人の驚愕した言葉に返した立華の説明。

つくづく英霊とは驚愕の存在である……。

 

「まぁある程度の『強化』ならば出来るでしょうが……ナイト・オブ・オーナーは、自身の手にしたものを自分の『宝具』として使うものですからね」

 

桜の枝、木枝、模造刀、銃器、……最後には戦闘機までも自分の必殺武器として使うことが出来るという事実。

 

実際、円卓最強の呼び声も高い2騎士の攻撃は苛烈だ。集るエネミーの群れを機関銃で掃討しながら、腹に溜め込んだ多くのミサイルを阿房宮に解き放つ。

 

電磁バリアの如き霹靂塔による防御が全てをシャットアウトするように見えてそのミサイルの発破が及ぼす影響は大きい。

 

さらに言えば、速いエネミーに後ろを取られたとしても音速の魔鳥にはさしたる問題ではない。

まさしく人体が耐えられるGではないはずの空戦機動で逆に相手の後ろを取る。

 

「プガチョフ・コブラ……!」

 

歴戦のイーグルドライバー(戦闘機乗り)であれば思わず見とれてしまいそうな見事な航空機動(マニューバ)が古代の騎士たちによって再現される。

 

容赦なく機銃の掃射、ギャラハッドの聖なる魔力に浸された弾丸。

すなわち英霊が使えば音速の通常の弾丸すらもソーサルエネミーに対する殺戮の礫となる。

 

そして、それらによってアーシュラが自由に動ける隙が出来上がった。ここぞとばかりに魔力放出を吹かして最大接近ーーー。

 

溜め込まれる最大魔力。

最上段に構えたアーシュラ。

 

阿房宮が震える。まるで怯えているかのようだ。

意思を持っているかのような其れを前にしながらも。

 

その時は来た。

 

「―――毘天八相!!! 京極の太刀!!!」

 

黄金の輝きを纏ったアーシュラの『全力斬り』が、霹靂塔という戦略級魔法の防御を切り裂き、阿房宮そのものを切り裂いていた。

 

重い斬撃が与えたダメージは極めて深い。そして苦痛に身をよじるかのように阿房宮そのものが鳴動している。

 

暴走したかのように雷が周囲に飛び回るも、それでも戦いはまだ続くのであった。

 

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