魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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タケルちゃんはとりあえず最終日一日前に一枚ゲット。

サムレムコラボ、むっちゃんさんも遂にサーヴァントデビューか。

少年役ばかりの印象の田村さんだが、こういう可愛い系の女の子もやるんだよな

クールな印象の女性キャラはとりあえず除いて……というわけで新話お送りします


第127話『突撃!グレン隊!!』

 

やって来た相手がアーシュラの元カレであることは分かっている。

そして、名乗った所属が正しいかどうかを確認する術はいまはない。

 

しかし―――。

 

「協力してくれるんですか?」

 

―――いま必要なのは、この事態を解決してくれるかどうかである。

 

「そうでなければ太平洋を横断してまで此処には来ませんよ」

 

流暢な日本語を話す『アメリカ人』。当たり前なのだが、人種は確実に日本人である。

問うた真由美は、その声音を改めて聞くと気付かされる……。

 

(お父さんに似ている……)

 

その事実に、何でなんだ!? という見当違いの怒りを覚えつつも、事態は動く。

 

「とりあえず『館』を展開して。防御を高めて。このまま特攻を掛けるようだから」

 

「ああ、俺とお前の『愛の巣』をか。恋のカワナカジマ(川中島)を展開する時だな?」

 

「ちっげーだろ!! アンジェリーナが嫌がっているのはそういうところだぞ弘真ァ!! 」

 

十文字と一色の治療をしていたアーシュラだが、そう言うやり取りをする辺り、まだ余裕なのかと思ってしまう。

 

ちなみにアーシュラの返しの際に見せた怒りのギザ歯見せ表情はレアであった。

 

「ひ、否定できねぇ。ともあれリッカ、構わないんだな?」

「どうぞ。たかがタマゴ一つ押し返せないわけではないことを証明してください」

 

ボーダーの制御をしていた立華に確認を取るあたり、何かを重ねがけをするようだ。

 

「アーシュラおねえちゃん。これ後ろの船から飛んできた」

「ありがとう。ルーシャナ」

 

ルーシャナから渡されたものは武器が2振りであった。

 

正統派ともいえる長大剣(クレイモア)。かなり華美な装飾を施されながらも、それが強烈な魔力の源であるならば、それには意味がある。

 

方や奇態な得物もある。

槍、剣、弓が組み合わさった何とも言えぬ武器だ。

銃剣やソードピストルなどのような現実にもあるような奇想兵器というよりもSFなどで見受ける人型兵器が持つ複合武装に見える。

 

「ちょいアーシュラ! あんた1人でその武器全部使うつもりなの!?」

 

「んじゃどうぞ」

 

いきなり食って掛かったエリカであったが、呆気なくクレイモアを投げ寄越すアーシュラ。

 

渡されたエリカは面食らい、そしてその軽く投げたようにしか見えないクレイモアの重さに難儀したのであった。

 

「アーシュラさん……千葉さんにお渡しした剣、アレは?」

「ワタシの友達である妖精騎士の剣。戦略級魔法でリタイアしちゃったから『せめて武器だけでも』ってことなんでしょうね」

 

回復した一色が聞いてきたが、答えるべきことなどそんなところだ。

既に弘真の疑似宝具でボーダーは飛ぶ館城となっている。

もっとも甲府から遠く離れているからなのか館の輪郭はぼやけているのだが、それでも吶喊するまで保てばいいだけだ。

 

―――決戦は近い。

 

わけで、このまま近づくタマゴ型要塞に突っ込むまでに、準備を済ませたい面子は多い。

 

「アーシュラ……俺にも何かの武器をくれ。今のままでは何も出来そうにない……」

 

「っても克人さん。お父さんにもらったものを一回も使っていないじゃないですか?」

 

「―――すっかり忘れていた」

 

十文字克人、一生の不覚。しかしながら『鎧』はサービスとして纏わせてくれるようだ。

 

次に要求してきたのは同じく先輩だった。

 

「アーシュラ! もはやこのままじゃダメだ!! 私にバーゲスト肉襦袢を着させてくれ!! 今、戦えなければ私は……壬生に何一つ申し開きが出来ない!!」

 

「―――その言葉を待っていました渡辺先輩」

 

やけに『イイ顔』をするアーシュラ。考えるにせっかく用意したベストドレスを無碍にされたのだから、そういう気持ちなのかも知れない。

 

そして、あの時と同じく渡辺先輩をドレスアップするアーシュラ。その姿に―――肉襦袢の類はなかった。

 

「これは!?」

 

「黒犬公バーゲストは、かつてとある時空で『妖精騎士ガウェイン』という着名(ギフト)を授かった気高き騎士。その最後が『厄災』と成り果てたとしても、自分と同じ『乙女』にチカラを貸すことに何の遠慮もしていないのです」

 

(その結果が、この舞踏会のドレスに見える衣装に片方のみの肩当てとガントレットが組み合わさったものを着けた姿なのか)

 

黒と紫の中々に扇情的な衣装に禍々しい部分鎧は、コントラストも相まって、すごいものだ。

 

そしてアーシュラが渡した武器は、達也が見た限りでは拵えこそ西洋剣に見えるが、反りはあり直刃でも両刃でもなく『刀』の類であることが分かる。

 

「サヤカさんの女粋に答えるための準備はさせてもらいました」

 

あとはあなた次第だ―――。

そうアーシュラが言うと、摩利は無言で礼をするのだった。

そんなアーシュラの早すぎる神業に少々物申したい人間がいるのであった。

 

「いつも思うんだけど、アーシュラさんってどうしてそんなスゴイことが出来るの? 私達には無理すぎて……正直、羨ましすぎる……」

 

自分のチカラの源すらも変更したり、他者に違うチカラを与えたり……現代魔法師の頭では理解が追いつかない以上に、自由自在なのだ。

 

「才能が違うということで納得してください」

 

真由美の内心を理解したのか何なのか返答は無情なものであった。

 

「傷つくわー……」

 

「機会があれば一応は説明しますよ。出来るかどうかは知りませんけどね」

 

そんな言葉で追求は終わり、そうしている内にも阿房宮というタマゴ型要塞は近づく。

当然、近寄らせまいとあちらも迎撃の手は緩めていない。

 

「弘真、もうちょっと気合い入れて館を展開して」

「超スパルタ! 俺もがんばっているんだけど!?」

 

巨大な軍配を振るう赤武者に対して、むちゃぶりをするアーシュラ。実際、軍配はある種の魔術道具らしく振るうたびに強烈な颶風が敵を切り刻み、火炎を風に乗せて敵を焼き払ったりしている。

 

日輪と月輪を組み合わせたその軍配、赤い武者鎧。そして、九島弘真という男の出自……というより達也の母親の『実家の本籍地』から察するに纏っている霊基はーーー。

 

(武田信玄か)

 

武田勝頼ということも考えられたが、やはりそちらだろうと思えた。

 

武田信玄と上杉謙信。

 

立華が示したとおりならばカルデアが召喚・契約した越後の軍神はどちらも女性の身体。そして、武田信玄はーーーもやつく達也であるが。

 

今はその感情を抑えて戦う。

ボーダーはかなりギリギリであり、こちらも迎撃を仕掛けなければいけない。

 

だが肝心要の防御役を立て直すべく立華は指示を出す。

 

「こうなれば、アーシュラ。弘真にバフを掛けて!! あと少しなんだから!! 効果的なものを!! 彼のテンションをアゲるものを!!」

「マスターからの無茶振り!! とはいえ……」

 

立華の言葉に何が出来る?―――かと思った時にUSNA時代に、彼氏である弘真にやったことを思い出したアーシュラは―――。

 

手のひらふたつを唇に重ねて、『コウマ、がんばって』と言葉を紡ぎ。

 

手を開きながらアヒル口をして『ちゅばっ♡』という擬音が聞こえそうな投げキッスをしたのだった。

 

腰を少しだけ落としながらウインクを加えてのそれを『真正面』から見た九島弘真、コウマ・クドウ・シールズは―――。

 

攻撃力アップ()防御力アップ( ️)が20個ぐらいは重ねがけされた状態になったのだ。

 

カルデア式の観測器を通して見た限りではあるが……それはともかくとして。

 

「ちょっと―――!! あからさますぎるでしょ!!」

 

「騎士王の姫から激励の投げ接吻を貰えたんだ!! 燃える一方だぜ!!!」

 

「霊基的には、デバフになってもおかしくないんですけどね」

 

ケンカップル(一方的)な『お虎』と『晴ノッブ』を知っているカルデアのマスターである立華としてはそう言いながらも、『やれやれ』と思うのであった。

 

しかしながら周囲の面子は黙っちゃあいない。

 

「アーシュラ。 投げキッスだとしても片手でいいだろ。なんで両手重ねなんだよ。『ちゅばっ♡』は濃厚すぎる。片手で『ちゅっ☆』ぐらいにしとけ、どっかのBBAエルフのように」

 

そのBBAエルフとて☆ではなく♡だったはずだが、達也的に『それ以上はいけない』のラインであった。

 

「片手だと十七夜さんと芸風(?)が被っちゃうわ。ヒンメル(万人が認めた勇者)(?)を殺す魔法はワタシには使えない」

 

「芸風ってどういうこと……そ、そもそもそういうエッチすぎるの私はやらないし……」

 

「「やらないの?」」

 

「やりません!!」

 

どうやら本家(?)は思ったよりお嬢ちゃんであり早すぎたようだ。

 

そして、アーシュラの投げキッスのおかげで朱い館城……戦国初期の平城、おそらく信玄及び武田家の居城として有名な『躑躅ヶ崎館』であろうもので覆われた事実に、多くの人間が驚く。

 

「もうちょっと修練すれば皆さんに腰を落ち着かせて茶を飲ませるぐらいの『城』を用意出来るんですが、未熟者で申し訳ない」

 

「い、いえそんな。ここまでやってくれただけで十分ですよ。ミスターコウマ……」

 

弘真の言葉に反応して赤い顔をしたのは、意外にも一色愛梨であった。何だか面倒くさい人間関係が出来つつあることを悟って若干引いてしまうアーシュラである。

 

「俺は思うんだよアーシュラ。こんな面倒くさい元カノ未練マンが来訪してくるぐらいだったらば、もう(俺と)付き合っちゃえよ」

 

ジョッキでも机に叩きつけながら言いかねない台詞を吐く達也。

 

「克人さんと?」

「行間を読めならぬ、字間を読んでくれ」

 

どさくさ紛れに妙な告白をした達也を躱したところで今まで抑えていた大氷山が噴火をするという意味不明な表現しか出来ない相手が憤慨した。

 

「こんな不安定な船の上で恋愛劇をやるんじゃないですよ!!! タイタニック号と同じ運命を辿りかねませんよ!! 特にアーシュラとお兄様!!」

 

やり玉に挙げられたことに納得がいかないアーシュラだが、深雪の言うことも一理あった。そして阿房宮は近づいている。

 

そろそろ、だ。

 

「そろそろ終着点です。突っ込んだ際の衝撃には各自で備えてください! というか落着なんて出来ないんだから弘真頼みますよ!!」

 

「心配するな。俺の中の信玄公が言っている!! 相手は三方ヶ原におびき寄せた『脱糞大名』も同然だとな!!」

 

「それならば問題なさそうですね!」

 

盤石の状態でのちの天下人及び勇猛な三河武士を恐怖させた時と同じであるというならば。

 

遂に乗り込まれると思った阿房宮からの抵抗がいっそう激しくなる。

 

「ギャラハッド! ランスロット!」

 

『火炎のカーテンの中で申し訳ありませんが、それでも行ってくださいよ!!』

 

『ご武運を祈ります!!』

 

呼びかけたことで音速の魔鳥が使い魔よろしくボーダーの横に着いてから一気に特攻を仕掛ける。

 

現代最高峰の兵器が英霊の宝具も同然と化していたのだ。その火薬も燃料も、飛び散る電子機器も全て恐るべき刃と化して阿房宮を蹂躙する。

 

「突っ込め!!」

「オーライ! マイサーヴァント!!」

 

ギャラハッドが言う火炎のカーテンは確かに猛烈な火勢で自分たちを舐め尽くそうとしているが、熱も酸欠もなくそのままに飛び込んだ。こちらの城は自分達を守ってくれたのだ。

 

遂に城攻めがなり、そしてそのままに雪崩込む魔法使いたち……。

 

阿房宮のど真ん中に突っ込んだボーダーは大当たりを引いていた。

 

 

 

大きめの闘技場が広がっている空間。そこに今回の仕儀における元凶であろう全員が立っていた。

 

四人の大亜の道士にサーヴァントが1,2騎……。

 

明らかに罠であることは間違いない。だが虎穴に入らずんば虎子を得ずということで、ボーダーの方から援護をする組と前で刃を噛み合わせる組とで自然と別れつつ闘技場に降り立つ。

 

真っ先に降りたアーシュラが口を開く。

 

「いまさらな話だけど、なんでこんなことをしたのかしら? 粗雑すぎない?」

 

流暢に『広東語』あるいは『北京語』で話すアーシュラ。言葉を受けてこの中では一番の年上たる……老道士 『劉 雲徳』は口を開く。

 

「さてな。聖杯を手にするために横浜いや日本(リーベン)全てを平らげるという誇大妄想に、突き動かされただけだ」

 

「突き動かされた?」

 

「老人にはよくあることだ。老害と言ってくれてもいいぞ。かつて貴国の最高権力者とて老いさばらえた身で、大中華を平らげんと朝鮮半島を足がかりに制服戦争をしたこともあるのだからな」

 

剽げた調子で言う老人。若い娘と話できることに喜んでいるのかもしれないが、農民出身の太閤殿下を例に出されるとは思わなかった。

 

「それと同じことを私がやってもいいだろう?幸いにも異聞帯において『仙人に至った』始皇陛下の阿房宮は素晴らしい。欠けたとはいえ、全盛期以上のチカラを持った今の私は豊臣秀吉と同じだ」

 

「そう。ならば遠慮なく老人虐待出来るわね」

 

「何かウチの祖父(グランパ)に言うことはありますか?」

 

酷薄に鞘から抜き放った白刃の太刀を晒すアーシュラとは対称的に弘真は何かを言うことがあるようだ。そして、その言葉に対して……。

 

「キミがニホンに帰っていれば、ニホンにいてくれていれば、こんなことしなかった。そう伝えてくれ」

 

なめらかな英語で答えたそれが達也の耳で分かった時点で―――最後の闘争は始まるのだった。

 

 

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