魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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NTR注意。いや別になにもおきなかったわけですが(笑)


第134話『僕らの衛宮邸』

 

 

 

とある場所で待ち合わせをしていた一高の生徒衆。

 

遂にやってきた衛宮家での鍋パーティーという名の説明会……。唯一、家の場所を知っている達也の先導、道案内のもと衛宮邸へと向かう。

 

コミューターで最寄りの場所へと降り立った後には軽く徒歩となるのだが、道すがら話は色々とあるのが学生というものだ。

 

「私達以外の来客はどんな人間がいるのかしら?」

 

「七草先輩の親父さん―――七草弘一氏は来るだろうな。都内はなんやかんやと七と十の縄張り(シマ)だからな」

 

その手の連絡は既に入っていた風を装いながらエリカの質問に答える。

因みに言えばこの集団に七草真由美と十文字克人はいない。ハーメルンの笛吹き男よろしく集団を引き連れながら思うに。

 

「先乗りしているか、俺達よりも遅れてやって来るんだろう」

 

先乗りしている人間の中に自分の叔母がいるかいないか。エレメンタル・サイトで叔母の動向でも見ようか考えるぐらいには―――。

 

(もういいや。気に病むのはやめとこう)

 

そもそもよく考えてみればコウマ・クドウ・シールズなる男がどこまで自分の出生を存じているかは不透明だ。

『スネツグ』みたいに物心付いている時に養子に出された風ではない。幼少期に出されたと考えるのが筋だ。

でなければ流石に自分や深雪が彼に気付かないわけがないのだ。

 

色々と気に病みすぎて思考がどうにも変になったいたことを自覚しておく。

 

「そんなセレブたちが持ってくるだろう手土産に対して俺達の手土産はこれでいいのかな? 豊洲で買ってきたわけだが……今日の鍋が海鮮なのか肉を合わせた寄せ鍋系統なのか分からないのによ」

 

思案を切り裂くようにレオの言葉が達也の耳に入る。

大きめのクーラーボックス。鮮度を一日以上は完全に保てる(アシが速くない)ものを持っているレオの疑問はまぁ当然ではあろう。

 

「活け締め……最近は神経締めというのが一般的だが、それもしといたし、まぁ問題ないだろ。士郎先生やアーシュラならば刺し身にすることも出来るだろうし」

 

食べるのが専門に思えて、実を言えばアーシュラは結構料理上手だ。他人が出す料理にも妥協しなければ、自分が作る料理にも妥協しない。

 

そういうタイプなのだろう。

鍋だけでなく刺し身も供するぐらいの諧謔はあるはず。

 

「お兄様はズイブンとアーシュラに対する理解が深いですねっ」

「そりゃ……なんやかんやと一緒にいる女の子だしな」

「今は風紀委員じゃないでしょ?」

 

深雪に返した達也の言葉に、エリカの指摘はその通りであった。しかし風のうわさ程度ではあるが、横浜の一件で流石になにか役職に就いてもらいたいという声が高まっている。

 

一高側の公的な役職に就いていたからと、あの事件で生徒の守護に近いところにいたかどうかはわからない。

 

ただ風紀委員でも、学生警備隊にもいなかったアーシュラに責めを、というよりもアーシュラを追い出した『役員』に嫌疑が向くのが現状だ。

 

(新設する役職……名ばかりのものでは何の意味もないが、そこに就いてほしいんだろうな)

 

中条会長や五十里会計はそれに乗り気だが、服部会頭と千代田風紀委員長が反対気味というのが……何とも複雑な状況を作り出している。

 

などと無駄ごとを考えながらもようやく見えてきた衛宮邸は……。

 

「広いな……」

「まぁ、初見の人間は、結構圧倒されるよな」

 

衛宮家は、横断歩道を2つほど超えた先にある武家屋敷だと説明したあとには全員が少しだけ圧倒されていた。

 

十師族や数字持ちの資産家の家ではないが、都内にこれだけの家を持つことが出来るとは、士郎先生の資産状況ゆえか、はたまた何なのか……。

 

「この辺りは『総耶』との境でもあるから。櫛塚にも近いからかな。都内の霊脈としてはかなり上級なんだよね……」

 

羨ましそうに、本当に妬み嫉みを込めて言う幹比古の言葉が何とも言えないものを齎す。

 

「ここってそういう土地なのか幹比古?」

「人によっては『水が合わない』ならぬ『土が合わない』術者もいるから一概には言えないけどね。けど、この辺りは、かつて大権現家康公の招きで土御門家という陰陽師の家系も居を構えたところだから、その手のチカラの溜まり場ではあるよ」

 

中々に歴史深い街であることが分かる。そう言えば九校戦の時にも混血の一族にして大財閥『遠野グループ』が根城を張っているのは『総耶』であると証言していたのを思い出す。

 

「ただ魔術師……魔術使いであってもああいう開けた家ってのは、工房として使うには、あまり魔力(マナ)の集積には合わないんだけどね……地下室でも拵えている可能性もあるか」

 

そんなエイミィの呟きを最後に都内でも何かと目立つ魔術師の拠点にして、一高の教師夫婦の愛の巣()で、同級生の自宅を視界に真正面から入れる位置まで来ると―――。

 

手を高く上げて笑顔で手招きしているブロンド美少女の姿。その服装は普段着はこんなのなのかと新鮮さを齎すものだ。

 

上は白いブラウスに赤いタイを垂らして、下履きは様々な寒色系のストライプに赤い斜線が刻まれたユニオン・ジャックなキュロットパンツ。

 

流石にこの時期ゆえなのか、ストッキングを履いたその姿の新鮮さ以上に魅力的な装いをする美少女に『ドキリ』とするのは達也だけではないはず。

 

だが次の瞬間にはいろんな意味で達也は『心がざわつく』ことになる。

アーシュラの隣に当然のごとくいる憎いあんちくしょう。

コウマ・クドウ・シールズの姿に穏やかな心は持てそうにないのであった。

 

 

「つまり……一高のアルトリア先生、アーシュラさんのお母様。あのバニー姿だったり白騎士スタイルだったヒトは……」

「ブリテンの伝説の王……アーサー・ペンドラゴンっ……」

 

水着獅子王になったりしたのか、などと思いながら生徒のためにトングを使って肉をひっくり返す前田千鶴は、驚愕の表情で固まった一色愛梨と一条将輝に『そういうことだ』と、ここまでの説明で出てきたことを事実だと太鼓判押しておくのだった。

 

今回の焼き肉パーティーは、この辺りではリッチなお店と知られている 肉の楽園『大帝都』にて行われていた。

三高校長が歓待しているのは、あの横浜事変でも最後まで戦い意志を示す戦士であった自校の一年生である。

 

贔屓とも取られかねないが、それでも……一高にいる人間たち……あの戦いで最後までがんばった面子が衛宮邸にて『ごちそう』を頂いているということならば、こっちに何も無いのはちょっとどうかと思い、だからと東京に行かせるわけにもいかない千鶴としては、この辺りが限界であった。

 

ちなみに件の士郎から『レシピと材料を送るか?』と言われて。

返答は『私じゃ士郎さんみたいに繊細な調理できません!!』

 

などと泣いてしまうぐらいに料理下手な女戦士ちーちゃん(爆)なのであった。

 

話を戻す。

 

「元々、境界記録帯……ゴーストライナー、英霊と呼ばれる存在はこの世界にあった。その中でもアルトリアさんはちょっと特殊な事例なんだよ」

 

「世界の裏側―――星の内海にアーサー王は呼び込まれたのじゃな」

 

タレのカルビとご飯を合わせて食べる四十九院に、更に首肯。

 

「そう。英霊の座に行く前にあのヒトは妖精域・妖精界ともいわれるアヴァロンにその身を委ねて、士郎さんが迎えに行くまで眠り姫のように待っていたのさ。まったく……騎士王の最後は王子の来訪を待ち望むお姫様だなんて―――ロマンスという砂糖を利かせすぎだろ。甘ったるっ……」

 

赤い顔をして自嘲気味に言う校長。焼き肉網の熱気ゆえではないだろう。要するに恥ずかしがっているのだ。

もしかしたら、昔の男のことを忘れられないタイプなのかもしれない。

 

ロマンがある話ではあるが……現代魔法師としては、それだけの結論で終わらせていい話ではない。

 

確かに魔術師が言う「霊墓アルビオン」……星の裏側にいたるべき『場』があることは、『何となく』程度には知っていた。時にそこから出る呪体が魔法師側にも渡るのだから。

 

問題は……衛宮士郎先生は、どうして『アルトリア・ペンドラゴン』がアルビオンにいると知っていてそこに至ろうとしたのかである。

 

「けれど、アーサー王がいたとされる『時代』は、5世紀後半から6世紀はじめとされていますよ……どうして、士郎先生はアルトリア・ペンドラゴン王とどこで知り合ったんですか?」

 

十七夜 栞は、無表情ながらもカルビ2枚をサンチュで包み食べて多幸を味わいながらも疑問は当然ぶつける。

肩ロースを塩とタレの違いで、ご飯を食べる愛梨と将輝もそれは同意であった。

 

その言葉に少しだけ緊張しながらも遮音をした千鶴は少しだけ重くなった口を開く。

 

「―――全ては北九州で行われていたある魔道の闘争こそが発端なんだ。それは万能の願望器を求める闘争……」

 

煙が吸い上げられる天井の換気扇。そこに上がっていく白煙に、見たことはないが語られる過去の情景を映しながら……金沢と東京で同じく衛宮家の真実が語られるのであった。

 

 

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