魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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冒険の最新刊は、いつものニバイ、ニヴァーイな値段に応じて、ページ数もいつものニバイ、ニヴァーイ。
こいつは心して読まにゃならないと今から構えている。三田先生との戦いは近い(え)




第143話『聖杯戦線~交叉戦場~4』

 

剣戟は絶え間なく続き、そして周囲の木々がそれに応じて悲惨な様になっていく。その音が色々な敵を招き寄せていく。その散っていく魔力が誰かの眼に入る。

 

「衛宮と壬生だ!!!」

「諸共に叩きのめせ!!」

「させるかっ!!」

 

既に桐原を倒して戦維喪失させた十文字克人が2人の戦いを援護するように、現れた乱入者たちを障壁で倒していく。

とはいえ、現代魔法の重複ゆえの面倒さ以前に、この2人の抗魔力の前にそんなものは意味がないと思うも、男として女剣士2人の一騎打ちを邪魔立てするのはどうかと思ったのも一つだ。

 

しかし、それでも打ち漏らした相手の一人がアーシュラに魔法を及ぼした。先雷が彼女の肌を焼く。『ほんのちょぴっと』という可愛い表現ではあるが、見えたその事実に驚愕しつつも、克人はスパークを放った相手を打ちのめす。

 

瞬間、壬生はどこからか出した『馬』だか『牛』だかに跨って消えていった。木々に紛れて消えた彼女を追うことは難儀である。

 

「アーシュラ!」

「大丈夫ですよ。とはいえ、これで理解出来ましたね?」

 

少しの休憩、安全が確保されたことで彼女に寄っていくと、どうやら克人の懸念はすでに理解されていたようだ。

 

「ああ、この山のとんでもない『霊力』が、魔術師だけでなく魔法師の意思や力量以上に術を10倍100倍に具現化する―――そんなエリアになっているんだな?」

 

「聖杯戦線の創始者たるスカサハはこう言っておりました」

 

―――クラスの相性はあれども、それをいくらか押し返せる要素、互いに有利不利を得ることが出来る『地盤』があってこそ真の強者は出来上がる―――

 

「この山はかつて『とある神様』を奉って、その一部を使って神代の術式を継承してきた一族によって運営されてきたんです。その多大なる霊力は未だにこの山を包み、様々なことを可能としているのです」

 

「その神様とは―――」

 

克人の疑問を中断するほどにその一端を見せつけてくるものが出てきた。

 

「衛宮アーシュラァアア!!! 啓を誘惑した罪をここで晴らしてくれるわぁああ!!」

「花音! 落ち着いて!!」

 

一高の風紀委員長が地雷原という術で地面を揺らし、それどころか隆起させて岩柱を跳ね上げるようなものまで見せてきたのだ。

 

しかし、一瞬早く大鷲のキーさんならぬマッハさんが巨大化をして、克人の肩を両の鈎爪で保持してアーシュラはマッハの背中に乗るのだった。

 

虚空にて千代田花音の術から逃れたアーシュラは彼女よりも上手だ。

 

空中を自在に飛び回る大鷲を捉えられぬ千代田の術。地団駄を踏むようにして悔しがるのを見てアーシュラは動き出す。

 

 

「アナタの名前に因んで、音で決着を着けてあげるわ!! この少年鉱夫が持つようなトランペットで!!」

 

誇らしげにその黄金色に輝くトランペットを翳すアーシュラ。それが礼装の類であることは間違いないのだが。

 

「ゴムゴムの―――トランペット(天空の城ラピュタ)ォオ!!!」

 

「「パズーにもルフィにもそんな技ないわあああ!!!」」

 

絶叫するようなツッコミを入れる克人と花音。しかし、真面目にその術式の強大さを見て取った五十里啓だけが、防御術式を貼って恋人の前で身体を張るのだった。

 

しかし……その運動量や魔力量に準じてアーシュラの肺活量はとんでもなく吹かれたトランペットの音量と共に放たれた渦巻くような破壊光線が、一高2年カップルを呆気なく戦維喪失させるのであった。

 

 

もはや何処ぞの赤い総帥がエゥーゴ時代の3倍以上ものスペックで暴れまわっているような主戦場とは離れた場所にて、1人の少女は愚痴ってしまう。

 

「くぅうう!! 完全に主戦場とは離れています!!! 先程から響く轟音!!紛れもなくアーシュラさんが戦っている場所ですわ!!」

 

乱痴気騒ぎの勝負場に行きたいというのに、完全に離れてしまっていることに嘆き悔しがっていたが……。

 

「挑ませてもらう!!一色愛梨!!」

 

そんな風に悔しがっている愛梨の前に、齊藤弥生という一高の生徒が襲いかかる。

 

不意打ち気味に掛かられたが、慌てず騒がずにライトレイピアを振るって齊藤を戦維喪失させるのであった。

 

愛梨が転移させられた場所は、アーシュラたちがいる場所からすれば外れの方だ。そういう意味では確かに『ハズレ』だが、それでもこことて多くの人間たちが転移させられているエリアの一つ。

 

簡単にはアーシュラのいるところまではたどり着けない。

 

方向を感知魔法で、速力を『電光石火』などの術式で山中を駆け抜けていった愛梨だが、途中になんとも言えぬ奇態なものを見てしまう。

 

それは―――宝箱の中に上半身を顔ごと突っ込んでいる人間であった。

 

尻と足の形からして女性なんだろうと想いながらも、何だこの状況と思ってしまう。

 

「暗いよー!!! 狭いよー!!! 怖いよー!!!」

 

ロリBBAエルフのような構図なのに言っていることは面堂終太郎と同じなのはどういうことなのか。ともあれ……。

 

「もしかして……栞なの?」

 

『そ、その声は我が心の友にして、最近になって密かにバストアップを図っている、好きな男でも出来たんじゃないかと三高でも何かと話題のエクレール・アイリ!! よりによってアナタにこんな場面を見られてしまうなんて、しおりんショック!!』

 

この尻と足は本当に栞なのかしら?と心底の疑問を覚えながらもなにかのトラップ……ミミック的な宝箱に食われているとしか表現できない友人を助けることにしたのだ。

 

「助かったよ愛梨」

「それはいいんだけど、なんでこんなことに?」

 

こんな間抜けなことをするような女子ではなかったはずなのに。その疑問に答えるように、宝探しをしている最中に『妖しげな果実』を食べてしまってから、こんなことになったとのこと。

 

「いや、妖しいといってもちゃんとカルデアが用意した宝箱に入っていた果物だから危険性は無いよ」

 

「果実……確か『ソウソウの実』とかいうものがあったはずですね」

 

だが、それをいきなり何の躊躇もなく食べるとは……そんな慎重さが無い子だったろうかと思うも。

 

(なにか変わった……?)

 

明確ではないが栞が今までとは違っているようにも感じるのだ。

 

「それでやる?」

 

「いいえ、組みましょう。私としてはアーシュラさん……英雄アーサーの娘と戦えればいいのですから」

 

それとも栞は自分と戦いたいのかなと思うも、そうではないわけで同盟は成立するのだった。

 

そんな自分たち愛梨・栞ーーー『アイシオ』か『シオアイ』とでも言うべきユニットの初戦闘は。

 

 

 

「十七夜と一色が手を組んだか。さしずめユニット名は『アイシオ』というところか」

 

「行きましょう一条さん!!」

 

「ええ!! あなたに勝利を!!」

 

一条将輝と司波深雪のコンビであった。現れた2人の姿に、ここ(外れ)もまた戦場であることを認識して戦いへと移行する。

 

 

水面を走る舟の数々。今夏の九校戦の再現のようなそれを前にして、達也は少しばかり心苦しくなりながらも、両校のボード部の人間たちを舟から落としていく。

 

男女どちらも……と言いたいが、主に女子ばかりだ。というかとんだドルフィンウェーブな状況に男一人で肩身も狭いが……船頭である宇津見のパートナーとなったのは事実なので、ガンナーとしてやるべきことはやらねばなるまい。

 

水面に盛大な波しぶきを生み出しながらのCHASEGAMEは続く。

 

「ああ、達也さん!!何故あなたは達也さんなの!?」

 

ロミオとジュリエットの名シーンを演じるほのかに、どういうことと想いながらも彼女の操船は冴えわたる。

この利根川か多摩川などの一級河川にも流れ込むだろう川にてそれはかなりのことだ。

川幅は広いが水深は浅い川で、2人分の重みを受けながらも沈ませず、水面にて滑走をさせる彼女のドルフィンライダーとしての強さは思い知るが。

 

「悪いなほのか!君の劇に俺が踏むべきイタ(舞台)はないのさ!!」

 

迫るボード部の一年エースに対して術式解体を放つ。ディスペル・マジックがその滑走を止めて水に沈めようとした瞬間。

 

「させないよ達也さん」

 

対抗術に対して同じくの対抗術ーーーというわけではないが、同伴している北山 雫……ガンナーに他の術を当てられて術が無為に終わった。

 

「弱いよ」

「全力で打つことも出来ない」

 

パートナーである宇津見エリセには簡単に見破られた。普段の達也ならば、如何に他の術が当てられたとはいえ、それごとボードの滑走も止めることは出来た。

つまり手心を加えてしまっていたのだ。しかし、それが招いた事態はかなり大きい。追走する一船を仕留め損なったことで他のが段々と並走しつつある。

 

「エルケーニッヒ!」

 

並走していこうとするボードに対して、舷側ともいえる場所から砲弾のようにビーチバレーボールがいくつも打ち出される。

 

小気味よく打ち出されたそれは『ただのビーチバレーボール』ではないようで、宇津見のその攻撃によって左右合わせて3船が沈没する。六人が一応は脱落した形だ。戦維喪失の効果もあるぐらいにチカラはあったようだが。

 

「が、がんばって光井さん北山さんーーー!!」

 

どうやらその中には、一高女子ボード部の部長である五十嵐亜美もいたようだ。裸身が見えそうになったがそこは紳士として見ないでおく。そうしている間にも、ほのかと雫は近づいてくる。

 

衝角(ラム)があるわけではないが…)

 

このままの勢いでぶつかられるのも困るわけで、達也が乾坤一擲の術で2人を撃ち落とそうとするも、その時を先延ばしするようにほのかは見事なライディングで達也に照準を合わせてくれない。

 

時に達也の視界を振り切ることで、こちらの動体視力ではおいきれない速度でボードを振り回す。

 

(アーシュラみたいな動きだ。意識しているんだろうな)

 

やはり悔しかったのだろうか、しかしーーー。

 

「ヴィアベルシュトローム!!」

 

彼女の天敵がこちらにいたのだ。黒く塗りたくられた川面が渦巻きをやることで、ほのかの制御を乱す。

 

「ほのか!!」

 

「二度も同じ手で!! だ、だめだわ!! 全然ボードを操れない!!」

 

「この山の霊気は私にとって一番に合うわ。冥界の主ともいわれた神様の気がね!!」

 

あれだけ綺麗だった清流がコールタールで塗りたくられたかのようだ。そうして、完全に足を取られたほのかと雫に対して分解術。

流石に戦維喪失での脱落はマズイのでワッペンを消去してのリタイアをさせる。

 

クロス・フィールドにおいて、相手から取るワッペンとは武将首も同然の証明なのだが、この場合は仕方ない。そうして大まかの連中を倒して小休止かと思っていた時に……。

 

「北山と光井の仇は俺たちが取る!!」

「衛宮さんに宇津見さんにと、女を取っ替え引っ替えする移り気な司波達也を倒す!!」

 

一高男子バイアスロン部の一団が後発の増援組のように遡上してきたのだ。その中には先ほどマッパで転移した五十嵐女子部長の弟である五十嵐鷹輔もいる。

 

「なかなかの数、けれどこのキャプテン・エリセの呪霊アンカーをケツに食らわせてーーーッ!!」

 

威勢の良い言葉を中断してなにかの防御術を行使する宇津見。なにか緊急事態なのだと理解できたが説明はないわけで求めたが。

 

「どうしたんだ宇津見さん?」

「防ぐつもりだけどーーーッ!!」

 

瞬間、とんでもない稲光が川面に落ちた。それは瞬時に拡散していき、川面にボードで浮かんでいた男子バイアスロン部の連中を一掃するだけの電圧と電力を誇っていた。

 

如何に魔法を使える魔法師とはいえ、予想しきれない術と抵抗しきれない強烈な攻撃の前では、エイドススキンの厚みなどあってないようなもの。

 

「雷の前に剣が落ちるのを見たわ。間違いない!!」

「壬生先輩か!?」

 

断末魔の絶叫を挙げる暇もなくシビレた身体を川面に浮かべる男子たちを無視して下手人を断定。事実、鎧姿の壬生紗耶香が川面に足を浮かべながら少し遠くの方からこちらを見ていた。

 

来るかーーー。と思った瞬間ーーー。

 

「いっけーエクター!! いまのアンタはキングオルカイザー! それに乗るワタシは武蔵ちゃんの弟子でもあるから、烏滸がましくもグランダー武蔵を名乗るわよ!!」

 

「無理やりすぎるだろ!!」

 

『キュイゥウウウーーー♪♪』

 

何かのショートカットを使って川下りをしてきたであろう海の頂点捕食者『シャチ』の巨大バージョンが、いきなり川底から出てきたのだ。

ツッコミを入れたのは十文字先輩であり、つまり……アーシュラと組んでいたということだろう。

 

「アーシュラ!エクターを使って次元潜航したわね!?」

「エリセの船ほど『とんでも』出来ないわ。精々がテクスチャ潜航よ!」

 

言いながらも、各自で警戒は緩めていない。

 

「司波、俺と戦うか!?」

「其の為のこの聖杯戦線ですからね」

 

王者のように巨大シャチの上から言ってくる十文字に対して返すもーーー。

 

「その前にあの女武者(めいくさ)を倒しませんか!?」

「同感だ!!」

 

一番おっかないのは巨大な雷を大剣にしたようなものを持つ壬生紗耶香であり。振りかぶっているところから放たれるサンダースラッシュ(雷横一文字斬り)が、自分たちを襲う。

 

真上からではなく真横に虚空(そら)を走る『落雷』という、現代魔法であっても中々に見ることが出来ない攻撃が、自分たちを襲うのであった。

 

 

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