魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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第148話『北米よりやってきた来訪者たち!』

新年度にして新学期。学生にとっては最後の山場とも言えるこの時期に、と言えばまぁ不可解ではあるが、ちょっとしたイベントが起こっていた。

 

ズバリ言えば留学生の受け入れである……。

 

専科高校、文科高校ならばまぁ分かるが、魔法科高校としてはかなり異例の試みではあった。しかし、此処に至るまでを尽力してきた人間からすれば、『成った』と思えるものであった。

 

その留学生の留学先である魔法大学付属第一高校の魔法科高校の生徒達は全学年が色めき立つのだが、何人かは片方とは顔見知りであり事前に知り合っているのもいた。

 

それはともかくとして……。

 

『北山さんと光井さんの代わりにあの2人を留学させるという体で落ち着けるとは』

『元々、日米の2人は留学を希望していましたからね。渡りに舟というやつでもあったかと』

 

だが来る面子が……まぁ仕方ない。開運!遠坂神社にて振袖姿も見たのだから……。

 

『出来れば2人ともA組に行ってくれればなぁ』

『それは無理でしょうね』

 

ここまで口頭ではなく念話での会話である。藤丸立華は生徒会役員の一人として、留学生の振り分けを聞いていたのだ。

 

ゆえに……。

 

(逆ならば良かったのに)

 

そう考えながら様々に色めき立つクラス内が徐々にHRの時間となり落ち着いていく。そうして、担任教師であるアルトリア先生が入ってきた。

 

「全員、席につきなさい―――」

 

その言葉で全員が着席をして姿勢を正す。

 

「既に聞いている人間もいると思いますが、本日よりB組にUSNAから留学生が短期の修養をするためにやってきます。何かと分からないこともあると思いますので、気を使いながらも友好と修養を深めるように」

 

一部は既にそれをしているのだが、という皮肉を浮かべながらも、アルトリアは部屋の外にいる留学生を呼んだ。

 

「では入ってきなさい」

 

そして聞こえてきた声は―――。

 

☆ ★ ☆ ★

 

 

「USNAからやって来ましたアンジェリーナ・クドウ・シールズと言います。今日からよろしくお願いします」

 

「同じく北米よりやってきましたコウマ・クドウ・シールズと言います……どうぞよろしくお願いします―――いや、待て待て!なんでこっちに来ているんだ!? リーナはA組だって聞いているぞ!?」

 

「コウマと離れたくないコノHeart to HeartでFeelingHeart!アルトリアさんならば分かってくれるハズ!」

 

いきなりなコントがB組の教壇の前で繰り広げられていたのであった。

 

他は呆然というか入ってきた2人の存在に圧倒されながらも、若干、白けた顔で見るは片方か両方を見知っている人間である。

 

そして恋する乙女なアンジェリーナに話を振られたアルトリアとしては―――。

 

「昔から知っている女の子だけに慈悲ぐらいくれてあげたいところですが……とりあえず廊下にて戸惑い気味の百舌谷主任が可哀想なので、今はA組に行きなさい―――でなければマリアには悪いですがアナタとて『川』です」

 

その言葉に青い顔をする面子が4人ほどになった後には―――。

 

「Sorry,King of britain!!Back to the A-CLASS!!」

 

その言葉で脱兎のごとくアンジェリーナ・クドウ・シールズはB組から出ていくのだが……。

 

「―――Believe」

 

去り際にコウマとアーシュラを一度だけ見ながら呟いた言葉が印象的であり、どういう意味かを考えるまでもなかった。

 

が―――留学初日からこんな愁嘆場を見せるとは……。

 

(正月は色々と接触が多かったものね)

 

アンジェリーナの誕生日が3が日後の4日であり、その誕生日プレゼントの為にコウマと一緒にいたことがいろんな意味で彼女の心をざわつかせたことは想像に難くなかった。

 

「というわけで、先走りましたが先程の子がA組でご厄介になる留学生です。こちらにいる男子とは兄妹で恋人同士なので、女子一同は略奪愛をするならば覚悟を決めるように」

 

その言葉に少しの落胆が起きつつも、兄妹で恋人同士ってどういうこと?とか、少し前の司波兄妹のイッちゃった関係の未来形か!?とか様々な声が出つつも……。

 

「では、コウマのチューターを決めるとしましょうか。エイミィ、頼めますか?」

「陛下―――じゃなくて先生から命じられたならば、喜んで承りたいですけど、私で大丈夫なんでしょうか?っていうか元カノである程度気心がしれているえっみーの方が良いんじゃ?」

 

少しだけ慌てるように言うエイミィの言葉は色んな意味で爆弾であった。

 

一高生の大半は、ちょっと前に暴露されたアーシュラの恋愛事情を知らないわけじゃない。

よほど、噂に疎いヤツでもない限り、眼の前のイケメン留学生がそういう関係であったことは理解していたはずだ。

 

だが、改めてそういうことであると、他人の口から言われると色々と来るものがある人間は多い。主に剣術部所属の「相津郁夫」など目に見えて敵意を燃やす。

 

「流石にそういう元鞘に収まることはないと思いますが『無いんですか!?』―――アナタはもう少し節操というものを弁えなさい!では、間を取ってリッカ。アナタにお願いします」

 

どういう間を取ったのか分からぬアルトリア先生の裁定ではあるが、最低なコウマに対して、そういうことになったのだ。

 

「まぁどうしても、リッカ1人では手が回らないでしょう。アーシュラ、時にはアナタも手伝いなさい」

 

結局、本末転倒なことが言われたのだった。

 

このアルトリア先生の裁定の緩さというか温情とか、法遵守とのバランスの悪さがブリテン崩壊の引き金になったのでは?とかエイミィは考えたりした。このヒトが女であることを王妃ギネヴィアにどこまで許容されていたのか次第なのだが……。

 

「なにも無いと思うけどね」

「なにかあれば頼りにして良いんだな?」

「なにもないようにして」

 

コウマはアーシュラを見ながら言うが、アーシュラは明後日の方(教室の壁)を見ながら言う。

そういうツッケンドンなやり取りは、昔に色々あった男女だからこその湿ったやり取りを感じさせて、色んな人間をもやもやさせたが。ともあれ―――。

 

「改めてよろしくお願いします」

 

好青年なクラスメイトの存在は、とりあえずB組で受け入れられて、A組でも妹であるアンジェリーナは受け入れられるのだった。

 

そして……1科とは別の場所でも、変化が起きる。

 

「ではカドック先生、シロウ先生に混ざって教えさせてもらうわけだが、ともあれ水が合わないならば言ってくれよ」

 

老齢の教師。九島という家の老人……現在の魔法師制度における長老の弟が現行制度で要らぬものとされてきた人間、生徒たちに飛び立つための羽、この理不尽極まる世界と戦うための新たなる『剣』を与えていくのだった……。

 

男の名は『九島 健』、またの名を『ケン・クドウ』。日本から追い出されていたはずの、魔術師風に言えば『封印指定』の魔法師であった。

 

そして―――。

 

「仮に魔法師という(まが)いモノどもの『冠位指定』が戦略級魔法師に至ることだとするならば、彼はまごうことなく。グランド……冠位であったのだろう。しかし……」

 

「まさかこうなるとは予想外ですか?」

 

モンラッシェの一本をワイングラスに注ぎながら男は娘の言葉に考える。

 

「さてな。だが、あの地獄の中でも『原理』を奪い取ったのか、はたまた子の中でも『順番』を得たのか、『改造魔』の気まぐれかは分からないが―――」

 

それでも自分が、日本にやってきたことと呼応するかのように、極北より招かれざる来訪者が現れると見れる。

 

それは、皮肉にも、生意気にも、自分と同じく7つのゴーレムとはまた非なるホムンクルスを連れているという。

 

「さてさて、此処にどれだけの『チカラ』が集まるやら、頼むからあんまり僕の「オーディール」を邪魔してくれないでほしいものだよ」

 

「いざとなれば、出られますか?」

 

娘の言葉に対して答えないままに、笑みを浮かべながらワインを煽った男は、この国にとって『北の大地』と呼べる場所から一つの『星』がやってくることを認識していた。

 

それは冠位の手駒となり短い人生を終える華となるか。

はたまた闇に呑まれながらも闇を呑み込む側になるか。 

 

もしくは―――運命を変える一手となりえるか。

 

遊戯の指し手を気取るつもりはないが、此度の仕儀も面白くなりそうだと思いながら、吸血鬼は盤面という名の劇場を『ワラキアの夜』(演出家)のような心地で見ていくのだった。

 

 

 

 

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