魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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第153話『獣を心に感じ、獣の力を手にした者』(疑問)

 

何度目になるか分からぬ私戦。それが野蛮なだけの男同士の戦いであればローマの剣闘士の戦いも同然である。

 

だが、それが女となれば別だ。

女と女が戦う。

 

それは男と同じく野蛮さを持つものだが、それ以上に美しさを持ったものがある。美しく可憐な乙女が戦うことは、昔の創作物で度々ブームを巻き起こしていた。

 

乙女が戦うことが当然とされたファンタジーな世界での女王決定戦な作品。

 

お硬いハードなSFロボット(プラモデル)を女体化させたものがロボットバトルをする作品。

 

女にしか扱えないパワードスーツ、SFロボットを使っている女性優位が社会的に確立されたりする作品。

 

歌うことで聖遺物なるものをパワードスーツとも鎧とも言えるものと武器に展開してモブをやたらめったら惨殺する怪物を倒したりする美少女バトルな作品であったり。

 

とはいえ色々と変化というかそのまんまなことはない。社会というか政治的には男が抑圧していたり、はたまた女体化ロボットの戦いもハードな国家を挙げての戦いかとおもいきや現代的な世界で緩く競技戦闘とでもいううべきシミュレーションバトルもあったりと……まぁニホンの創作物はバリエーション豊かなものである。

 

そんなものと同じような戦いが繰り広げられようとしている。

 

相対するのは1年の美少女3人。

 

3人のうちの2人は外国の血がある金髪の少女。

しかしながら、3人は1人と2人の変則的な戦いとなる。

 

衛宮アーシュラVS司波深雪・アンジェリーナ・シールズ

 

そういう戦いなのだ。

どう考えても、2人の方が優位を拾えているとおもいきやそんなことはない。なんせ片方はこの一年以内にとんでもないチカラを発揮してきたドラゴンプリンセスである。

 

しかし……。

 

(深雪とリーナに用立てられた装備は中々に凄いな。士郎先生が作ったものらしいが、これが魔術師の戦闘装備というものか)

 

最初こそ深雪だけは煩わしそうにしていたが、それでも最終的にはその装備を良しとしていた。

 

前回の戦いはあまりにも深雪にとってハンディがなさ過ぎた。サシでアーシュラに勝ちたいと思う深雪だが、それでも……それは無理なのだといまでは理解しているのだろう。

 

片や、アーシュラの方はこれまたいつも通りのジャージ姿である。

 

3人の間に余計な口舌は無い。再度のルール確認をする横のアルトリア先生の言葉も遠い―――そして、勝負は開始された。

 

 

へんしん【変身】名詞・動詞スル/ものの姿が変わること。また、その変わった姿のこと。

 

アーシュラの姿が変わっていく。それはアメコミ・ヒーローのような漆黒の肌が全身を覆って悪魔的なフォルムに変わり、丸い水晶の器官が全身に浮き出るような劇的な変化ではない。

 

どちらかといえば空中元素固定装置なるもので変身する美少女のようなものだ。

 

とはいえアーシュラの身体(なか)での変化は劇的である。体内で続けざまに爆発が起こっているようなものである。

 

魔術とは本来的にはありえざる現象を世界に固定するものであるがゆえに、その行為は必然的に世界の修正を受けるものだ。

 

あり得ざるものを許容することを『人理』も『惑星』も許さない。

 

衝撃を受ける度に自分の身体が変わっていく。自分の外皮(ドレス)が変わる。

 

それは生物学的でも物理学的な変容とは全く別次元の変化だ。

 

遺伝子というデジタルな情報

霊基構成というミステルな情報

 

その束縛を超えて、この世界で最大の反則(イリーガル)がもたらす変身。

 

ヒトでありながらヒトとは違いすぎるものによる奇跡

 

果てにあった結果が現実にもたらされる。

 

そこにあったのは……。

 

「そう、これこそがスラブ地域の英雄!三頭竜ズメイ・ゴルィニシチェを討伐せしスラブの大闘士―――ドブルイニャ・ニキチッチよ!!」

 

言葉通りならばそのニキチッチとやらは銀髪に……ネコミミモード♪(cv四葉◯夜)とでもいうべき白いケモミミがあり、そしてスラブというか極北地域の英雄とは思えぬ薄着の限りの……露出強(byタマモ命名)な衣装であり、まぁつまりなんというか……。

 

『『『ニキチッチというよりエロチッチじゃねぇえええかあああ!!!!』』』

 

盛大なまでの鼻血ブーを出した男子一同に代わり女子陣の殆どから僻み根性のような、というか僻みでしかない言葉が出てくる。

 

「おやおや、千代田風紀委員長ってば自分には一生縁が無いナイスバディだからって一際ひがまないでくださいよ〜」

「名指しするんじゃねー!!!そもそも私だってナイスバディだ!!(一同疑問)自分で言うくらいタダなんだから―――ケイイイイ!!しっかりしてよー!!」

 

隣にて失神した彼氏を揺する千代田を筆頭に男子勢の被害は甚大。

しかもミニ丈の衣装のケモミミ尻尾など、一高の誇るあざとイエローは、イエローから変化しても変わらずあざといのだった。

 

「リーナ!! アーシュラがああなるって分かっていたんですか!?」

「オフコース!ワタシもカルデアのサーヴァント達は見ていたし、アーシュラの霊衣(ドレス)チェンジもよく見ていたワ!」

「じゃあなんであんなエロな衣装を選択(チョイス)したんですか!?」

 

深雪としてはあんな衣装に見とれる兄など見たくないというのに、これでは―――。

 

「それはモチロン―――」

 

瞬間、リーナは己の身体を変化させていく。それはアーシュラのように劇的な変身ではないが、それでも……。

 

「ワタシのドレスアップに利用するタメよ!!」

 

明らかなまでのいままでのリーナとは違う様相を見せたそれに驚く。

 

(これが九島家の仮装行列というものなの? それにしては、随分とファンタジックなものを……)

 

アーシュラのが雪原を駆ける銀狼、雪豹であるならば、リーナの変身はまるで『熱砂に生きる赤毛の狐狼』のようだ。

 

髪がファンシーなブロンドツインテールから、ざんばらな赤毛になり、声だけは天道なびきか江戸川コナンなガングニールの少女を思わせるのだった。

 

どっちかと言えばアイドル大統領なガングニールの少女だろうに……などと思いつつも、激突は始まりーーー。

 

……そして終結するのだった。

 

 

「そこぉっ!!もっとラブラブキュンキュンな気持ちで踊れ!!

胸がキュンキュン お耳ピコピコ 未来の旦那様に向けてラブ光線を出すように!!釘宮になれ(ゼロの使い魔)!!釘宮になるのだ(りぜるまいん)!! 一高女子一同よっ!!」

 

『『『どんな演技指導だよっ!!??』』』

 

終結した後には、罰ゲームとして一高女子一同がニキチッチ衣装のマイルド版……令和の釘宮病な衣装でダンスをする羽目になった。

 

つまり、アーシュラが勝ったのである。よって古めかしくメガホンを持って映画監督(ヒッチコック)よろしく演技指導をしているのだった。

 

「色々と疑問は多いが、ドブルイニャ・ニキチッチってのはアルーーー武蔵ちゃんさん同様に実は女の英雄なのか?」

 

「それはカルデアでも永遠のナゾ。色んな説が玉石混交でsabatubeの解説動画なみに出ているけど、ハッキリとしたことは分からないわ」

 

有力説はあるけどと付け加えるアーシュラの言葉で、成る程と思いながらアーシュラの格好を見る……。

 

「にしても、アルトリア先生や小野先生が同じ格好をしようとしたというのに。

『犯罪だー!!タイホするー!!』ってお前……」

「一時間『25000円』のテロップが見えた以上仕方ないわ」

 

ストローでミックスジュースを飲むアーシュラの頭にはデカいたんこぶが出来上がっている。ギャグ的な表現だが、やれやれと思いながら……。

 

「というか達也。アンタ、ワタシから離れなさい。さっきから深雪ちゃんの『お兄さま〜♡』な呼び声とダンスが乱れてるから」

「まったく我が妹は……別に俺でなくとも将来の伴侶を意識して言えばよかろうに」

 

そりゃ無理だろう。みんなが思いながらもこの司波達也は本当に入学時点での司波達也とは違うのだと認識出来た。

 

「俺が未来の嫁、深雪にとって将来の義姉の隣にいることがそこまでイヤなのか」

『お兄さまぁああああ!!!!』

 

それを本当の意味で認識しているのは他ならない壇上にてフェン◯ースのラブラブ・ラブソングに合わせて踊っている司波深雪なのだろう。

 

『で、何か意味があるのかコレには?』

『ただの罰ゲームじゃないことを理解出来ているのはいいことね。まぁ色々と……ケンおじいちゃんの授業をちゃんと受けさせておきたいのに、今のままだと余計な茶々入れが起こりかねないからね。まぁ『ころばぬ先の杖』よ』

 

達也の方から発した念話に、五十里と会話しながら応じるアーシュラ。どうやら五十里の妹の学校に短期の編入としてやってきた金髪女子……伊庭アリサが何故か『十文字アリサ』として紹介されていることに対する疑問であったが……それならば十文字克人に言えば良かろうに。

 

要は五十里啓の下心満載の会話なのであった。壇上の千代田から

 

『未来のダンナさまぁあああ!!!』

 

などと鬼のような絶叫を発している辺り、本当に……。

 

『……俺も関わっていいのか?』

『関わるなって言っても無理―――というか今回は、アナタにも関わりが深いことよ。だから、『準備』しといてね』

 

続く念話で語られたその『準備』とは……恐らく―――。

 

「俺とお前の結婚準備か!?」

「「「意味不明なこと言うんじゃねー!!!」」」

『『『『っていうかさっきから逆ハーレムを満喫してるんじゃなーい!!!!』』』』

 

念話ではなく思わず出てしまった肉声を前に、大混乱は巻き起こり……。

 

「では行きますよ!小野教諭!!安宿教諭!!」

「こ、この格好でですかーーー!?アルトリア先生!?そっちの『エルンガー』みたいな格好の怜美先生はいいんですかー!?」

「ウチのダンナはトゥスクルの(オウロ)みたいな声をしているんだーー!!」

 

カオスが極まる一高の霊気が……気場となる斎場を作り上げて……少し前に使用した霊地である夜劫との連結を作り出していった―――その事実に気づいているものは少ないが、ともあれ……。

 

 

「これで五人目か……」

「警部、これは―――」

「……『ケースD』と見るべきか『ケースM』と見るべきか、判断には困るが……千葉刑事が、どう見るか次第だな」

 

―――揺蕩う闇が弾けようとする時は近づく。

 

 

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