魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
「あ、あなた方は!?」
「まさか……」
ついに現れたサーヴァントに2人は驚愕する。それは自分達にとって先達ともいえる人たちであった。
「シールダーとしてかなりの進化を果たしたようですなマシュ殿」
「しかし、だからといって我らも負けはしない!俺とレオニダス殿は
「「スーパーシールダーだ!!」」
ダサっ!などと居並ぶサーヴァント全員がマスターと共に思ったが……。
「スーパーシールダーだと……!」
「盾持ちの英霊として覚醒したレオニダス王とアキレウスさんがそう言うからには何かがあるのでしょう!」
カルデアが確認したシールダーのサーヴァント2人が脅威を確認していることに、『あっ、これギャグなんだ』と思うのだった。
「盾持ちの英霊は他にもいるが有象無象に用はない―――マシュ殿、あなたの相手はこのレオニダスver.300が相手しましょう」
「はい!受けて立ちます!!」
「ギャラハッド卿、君の相手は俺がしよう」
「ジョーダンきついですねアキレウス殿―――逆です。ぼくが相手をしてやります!」
そのシールダー四人の勢いある様子に「ブッ殺せー!」などとモードレッド(水着)からヤジが飛ぶ。
そして……。
「
「こ、こんな盾の動きあり得るのか!?」
元々、一心同体でもあった円卓の盾騎士2人である。2人の盾の軌道が重なり正しく宇宙を思わせる―――
静寂の中でとてつもない盾捌きを見せるマシュとギャラハッド。
SHIELDLOOP・INFINIとでも言うべきものを前に―――。
「あ……あああ……」
「あきらめてはなりませんぞ!アキレウス殿!!―――ニンジンどの―――!!!」
2人は倒れて敗北を認めざるを得なかったのだ。
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一連の映像「超硬シールダー」なるものを見せられたデコにデカい絆創膏を貼った黒羽の双子は唖然としながらもアーシュラを見る。
「つまり、アンタたちがもう少し一心同体な動きを見せれば達也をバカにするワタシに一矢報いれたわけよ。英霊マシュ・キリエライトと英霊サー・ギャラハッドのようにやっていればね」
「「そ、そうですかぁ……」」
そんな無茶なとは思うも、確かに双子であるという利点を活かしきれていなかったのかもしれない。
いや、そもそも七草家の双子ほど自分たちは魔法の演算領域を共有出来ていない。
というかああいうのは、多重発動を得意とする七草家ぐらいだと思うのだが。魔術師の常識としては違うのだろうかと思う。
「というか盾ってこんなヨーヨーみたいに使うものなのか?」
「どっかの冒険王の盾使いもこんな風なことをやっていたわ」
アーシュラの中では『盾』は回転するように投げるもの。という認識ではあるようだ。
とはいえ、そんなことはともかく……達也としては、
「文弥、亞夜子……俺のために戦ってくれたのは嬉しいようで、全然嬉しくないが、俺は別にアーシュラにくそみそに言われることをなんとも思っていない。むしろ嬉しいくらいなんだ」
「「んなっ!?」」
とんでもない性癖の暴露に驚く双子。
ジト目で達也を見るアーシュラ。ドン引きとまでは言わないが、コイツはマゾかと思っていると推察する。
「そんなわけで、ゴーホームヤマナシだ」
「「達也兄さんのアホーーー!!!!」」
そんな風な親類の子供たちのやり取りを見ながら黒羽貢としては予想通りではあったが、一矢報いることも出来ないのかと落胆する。
貢は、かつてとある元老院の家の一つと協調して任務に当たったことがあった。
元老の家の次期後継者……魔法無効化能力者というのと会ったこともあるが、それとは違いすぎたのがアーシュラ・E・ペンドラゴン、ないし衛宮アーシュラという存在だ。
魔法無効化能力者ならば、何かしら対抗策は打てそうだったが、この子や英霊などには現代魔法の類は一切効かない。
現代魔法に照らし合わせて理屈めいたことを申せば、どちらも世界に対する情報量が多大すぎる。
いざ彼らを害そうとエイドス改変を行おうとすれば、その際に惑星規模の情報量にちゃちな改変は消し飛ばされる。
エイドス改変を主とする現代魔法は定義づけた世界のありように対して変化と歪みを強要するようなものだ。
魔術師の魔術もまた『逆行』と『歪曲』に重きを置いている以上、似通っているかもしれないが。
それでも、ここまでの差があることに少々……
「死徒も同じですかな?」
「まぁな。俺も死徒二十七祖とやり合うなんてのは片手で数えるぐらいしかなかったが、原理血戒は発動させるだけで、世界を侵食する異界作用だからな。となると一つの世界を消去するぐらいの『力』が無ければ滅することは出来ない」
貢の内心の考えを表情から推察した士郎の鋭い説明に驚く。それよりも明智という少女が『あんぐり』としか言えない顔をしていることに気付いてしまった。
どうやら死徒二十七祖と戦い、そして生き残っている士郎さんは驚きの存在のようだ。
「べゾラゾフが『成って』からどれだけの年月と吸血をしたのかは分からないが、それでも彷徨海の魔術師がこの案件に関わる以上……なにか壮大な実験が隠されているに違いない」
衛宮士郎が語る壮大な実験―――それは魔法師が想像するような、できるような大掛かりな機械装置を用いて産業的な、あるいは俗人的な利益を追求するようなものではあるまい。
それが何なのか……などと考えていると。
「ところでアーシュラ。俺の剣はまだなのか?」
「もう少しかかるかな。まぁ決戦時には間に合うわよ」
「やっつけ仕事は勘弁してくれよ」
「ノー・プロブレム。A級スナイパー専属の銃器職人のように完璧なものを納品してやるわよ」
……あの時、真夜が泣きながら衛宮家に預けた赤子であった男児がこのような少年に育ったことに少しだけ物思いに耽けざるを得ないやり取りを姫騎士アーシュラとやっていた。
その気取りのない気心知れるやり取りをする2人が元恋人同士であるわけで、少年少女の間に妙な空気が流れてしまうのは仕方ない。
(この少年を普通に四葉の次期当主ないし、四葉の直系として置いておけば面倒もなかったのになぁ)
だが、現実に……四葉の『上』が求めた人間兵器は、別の男であった。
なにはともあれ、自分たちが出る幕があるかないかは分からないが、状況の収束に目処はついたようだ。
(もっとも真夜さんには知らされていない元老院からの特命もあるのだが…)
修羅の巷な戦場でそんなこと出来るのか?と思い、貢には流れ弾で息子と娘が死なないように祈るしかなかった。
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翌日。
恙無く、何事もなく授業を終えて夜へと移行した……。
作戦としては単純明快にアリサを狙ってくるだろうべゾラゾフの『娘』たちであるアンドレエヴナを蹴散らす。
もちろん死徒である以上、どこかで吸血行為は行われる可能性はある。第二次長州征伐を退けた奇兵隊の散兵戦術よろしくとんでもないことが行われている可能性はあるが……。
「やはり狙われるのは私ですよね」
「ええ、アナタのガードはワタシが務める。アナタこそがワタシのマルタイよ」
衛宮邸から離れて探すように夜遊びをする姉妹にも見える金髪の美少女2人。
死徒と化したべゾラゾフの棺桶を探すその様子は様々な監視の目に晒されている。
完全に当てがないわけではない。アリサが感応する方向に歩みを進めていく。
当初は10人以上ものパーティでの探索などという提案もあったが、それは却下されて、少数精鋭での探索へとなった。
「そう言えば学校ではどう?」
「まぁ色々とメイちゃんっていう子が色々と聞いてきますけど、同時に世話役だからなんとも―――悪い子じゃないんですよ!本当です!」
「まぁ十文字という名字は魔法師の耳目を集めるわよね」
アリサの言うメイちゃんとやらは、あの釘宮病ダンスの際に五十里が言っていた彼の妹であろう。
数字持ちである以上、それは仕方ない。
他愛もない話をしながら歩き……歩みを進めていく度に血の香が漂う。間違いなく……近づいていく。
「誘っていますね」
「ええ、イキった死者ってのは始末に終えないわ」
媚態を協調したドレスを着込んだ女性の姿であった。ベンチに正しく座るわけではなく背掛けの上に座り美しい脚を組んでいるのであった。
「マァマ……」
「違うわアリサ。ダリヤさんはあんな笑い方をしない」
三日月かと思うほどに口角を上げて舌なめずりするような女は……。
「―――違う。本当にマァマじゃない」
その『眼』でダリヤと同じような姿をしたものを見たアリさは嫌悪感も露わにして断言する。
「失礼ですね。これでも私はダリヤと同じ遺伝子構造を持った女なのですよ。アナタの母と同位の存在です」
アリサの汗をかきながらの言葉に遂に反応をして口を開く女。
「けど今はただの三下吸血鬼の使いっ走り……人間としての格がダリヤさんとは違いすぎるわ」
「―――――――安っぽい挑発。ですが、アリサ・アンドレエヴナを我が兄の『子』として掛け算をするためにも、ここで始末を着けてあげましょう!! 現代に残った
瞬間、何番目のオルガンかは分からないが、それでもアンドレエヴナの一人が魔力を膨張させる。
「我が名はリュドミラ・アンドレエヴナ!飛び散って果てろ!!アーシュラ・ペンドラゴン!!」
言葉に応じてアーシュラはアッドを大槍にして迎え撃つ。既にアリサの周囲にはガレスとギャラハッドがいる。
故に―――
『『『援護します!!』』』
「頼もしいわ!!」
3人分の援護と共に吸血鬼にアーシュラは挑みかかる。