魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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第26話『エハングウェン吶喊!』

上空から強襲しろ。そう言われて『はた』と気付いた時には、何というか色々と手遅れであった。

 

ジェット機ほど航空力学に準じているわけでもないし、かといって『魔女の箒』(ウィッチズブルーム)ほど非現実的ではない。

 

だが、こんな巨大な船が遊覧飛行するように飛んでいく様子は凄まじかった。

 

いざとなれば、船の『甲板』にて優雅にグラスでも傾けられるようだが、そんなことをするほど心に余裕も持てなかった。

 

だからこそ―――。

 

「アーシュラ、緑茶よろしく」

 

「ハイハーイ、どうぞ♪」

 

「フォウフォフフォー(意訳 キンキンに冷えたコークをくれ)」

 

「はいはい密造だけどいいのね」

 

艦長としての席に座りながら、手元の何かを操ることで優雅なラウンジチェアに体を預けている藤丸立華の近くに、下からせり出す形で緑茶が入った湯呑みとキンキンに冷えてやがるコーラが出てくるのだった。

 

そんな様子を見ながらも、自分たちは何とも言えないのだ。

 

誰もが艦橋(?)にあるラウンジチェアや適当な椅子に座るか、あるいは立ちながらでいるか、そのどちらかなのだが。

 

非現実的すぎる「宙船」の在り方に、いざとなれば『オール』を奪ってどこかに漕ぎ出すことも無理そうだ。

 

全ての水夫が恐れをなして逃げ出しても、宙船は飛び続ける―――と言う所か。

 

「というか、立ちっぱなしがキミたちのスタンスなの?」

 

「だったらば席案内ぐらいしてよ」

 

「適当に掛けてどーぞ」

 

八王子近郊にあるというブランシュアジト。一高からすれば目と鼻の先とまではいかずとも、まぁそれなりの距離なので立ちっぱなしはそれなりに辛くはあった……。

 

エリカの反発するような言葉にそんな気楽に言われて、それぞれに椅子に掛ける。

 

椅子に掛けると手持ち無沙汰になる。

 

「外の様子とか出せるか? 特に眼下の方を」

 

「はいはーい」

 

特に反発することもなく達也の要求通りに、艦橋の正面モニターとでも言うべき場所に映し出される様子は―――。

 

「……普通ですね」

 

「こんな巨大船が飛んでいるというのに、何とも無いのか……」

 

確かにブランシュのアジト、元々は環境団体の持ち物だった建物は、街中というよりも外れにあるのだが、それにしても平然としたものだ。

 

「そりゃ見えないようにしているもの。エハングウェンのリソースがステルスに回す余裕が無ければ、当然上空には見えているだろうけど」

 

なんでも無いことのように、これだけの巨体を隠して飛行しているというアーシュラの言葉に、深雪など現代魔法の理屈に精通しすぎている面子は、ぎょっとする。

 

とはいえ、それに対して問答している暇もなく、終点は近づいてきた。

 

「アーシュラ、反応は?」

 

コマンダー(指揮者)1、『シャドウ』(人型)が7、ワイバーン(ドラゴンもどき)が10―――他反応なし」

 

「大層な置き土産。中にいるヒトの反応が、件のハジメ・ツカサ氏とみて間違いなさそうね」

 

モニターに出されたサイオンモニターならぬ何かの反応を検知するもので、内部にただ1人、弱々しい光点として映されているものの他は、外側に多くが在るのだった。

 

達也も精霊の眼で探ろうとするが、このエハングウェンの『壁』が厚すぎて詳細には見きれない。

 

とはいえ、これだけの船で捉えたものに間違いは無いのだろう。

 

予想外なのは―――。

 

「シャドウサーヴァントが気付いた。攻撃が来るわ―――」

 

見ると、シャドウサーヴァントなる黒いチカラ―――ガスか霧か、そんなもので形成された先刻見ていたサーヴァント達の似姿が投槍や火球を打ってくるのだった。

 

「防壁展開。同時に牽制射、火力を前方に集中―――撃ち方始め!」

 

『うちーかたーはじめ!!!』

 

海軍式の号令で砲撃を合図したのは、あのアッドとかいう匣で、随分と『堂に入った合図』である。

 

見るとエハングウェンという船から砲座が競り上がって、そこから魔力の砲撃がドカドカと眼下の工場に叩き込まれていく。

 

盛大すぎる火煙の上がり方に、少しだけ不安を覚える。

 

「だ、大丈夫なのかよ?」

 

「建物が壊れるかどうかというのならば、確かに不安ですが、まぁとりあえず後は運任せですね。アーシュラ、そろそろ降下!」

 

「了解!!!」

 

すると、ぐるっと旋回してから船首を工場に向けて垂直落下ではないが、特攻をする形になるようだ。

 

「ちょっ! アーシュラ!!―――」

 

「リッカ、外はワタシ達がやっておくから中の方は頼んだよ!!」

 

「分かった。かっ飛ばして―――」

 

「ウン!!」

 

冗談じゃない想いなのは、達也たちだが、2人にとってはそうではないようだ。

 

艦首特攻という何百年前の戦法だというものを行い、工場に向かうエハングウェンという船。

 

もはや止める暇もなく―――迫りくる眼下の工場に対して、誰もが眼を瞑ってしまいそうになる中、一瞬後には―――工場内部に入り込んでいた。

 

しかもアーシュラを除く全員が五体満足に、何事もなくそこにいる事実に『驚愕』する。

 

どんな『魔法』が使われたのか、それすら類推出来なかった。

 

「藤丸、衛宮は―――」

 

当然、アーシュラの安否を気にする十文字会頭への返答は、工場の外から聞こえる轟音と何かの獣の金切り声で理解してしまった。

 

「いきましょう。ここにいる下手人を取り押さえれば、アーシュラもラクできるでしょうから」

 

ここというのは恐らく、工場の中でも作業機械や作業員が『本来』ならば、色々と動いていた場所。

 

作業場所、ホールとも言うべき場所だ。

 

そこを閉ざす扉が存在していた。ご丁寧にも達也には分からぬ『封印術』とでも言うべきもので。

 

「予め貰っておいて正解だったわね」

 

その言葉に藤丸は『実用的』とは言い切れない捻じくれた短剣を手に、無造作に封印された扉に振るったことで、扉は尋常の機能を取り戻したようだ。

 

「俺と西城が盾役だ。お前達は下がっていろ」

 

一歩踏み出して、その扉―――押すことで開閉されるタイプに触れようとした藤丸を抑える形で、肉厚なマッスルタイプが前に出る。

 

入ったとたんに攻撃の連続ということもありえる……。

まぁその可能性は考えていなかったわけではないが、藤丸は素直に譲った。

 

扉を押し退けて、入り込むと―――そこには1人の男がいた。

何というか普通の男だ。見た目どおりならば、そうだろうが、こんな男に―――……。

 

「なんだ。来てしまったか。魔法大学付属のみなさん、ようこそ『廃業寸前』のブランシュのアジトに」

 

どことなく期待はずれとやさぐれ感を催した男がため息交じりに、そんなことを言ってくるのだった。

 

「あなたが甲の義兄の司一氏ですね……申し訳ないが、身柄を拘束させていただく」

 

「警察でもないくせに、警察権が自分たちにあるとでも思っているのか? その傲慢―――実に不愉快だな」

 

確かに、法律的には自分たちのやっていることはグレーゾーンどころかアウトだろう。見方を変えれば、私刑を行うためにここまでやってきたようなものなのだから。

 

「まぁいい。どうせどんな問答を行っても『やる』のだろう。悪いが抵抗させてもらうよ」

 

 

それはその通りだが、どうにも戦いを行うには、こちらの気が削がれるやり取りであったことは否めない。

 

 

「アナタは、壬生先輩や自分の義弟を破壊活動に使い、外法で以て縛ったことに何の悔いもないのですか!?」

 

飄々とした態度に食って掛かる深雪に、虚を突かれたようになってから。

 

「無いね。だってチカラを欲したのは壬生くんと甲だもの。ミサヤさんの手助けあって、ようやく疑似サーヴァント化が成功したわけだけど、まぁ……それまでのことは申し訳なかった」

 

「―――」

 

なんでも無いことのように語る司に絶句する深雪。殆どはそういう人間ばかりだった。

 

―――例外は感情が動かない達也と藤丸だけだ。

 

「そもそも論の水掛け論にしかならないが、君たち魔法師とて『遺伝子改造・改良』という『生命倫理』の浸蝕を冒してでも誕生したのが大半だ。もちろん、試験管ベビーの云々以前から『そういうこと』はあったが―――生れいづる生命に手を加えてまで、というのは明らかに外法じゃないのかい?」

 

「……―――」

 

今の世界ではすでに『終わった』ことだとして、あまり人々の話題にはならないが、『魔法師を開発しよう』という発端から遺伝子に手を施すという是非が、一度は話題になったのだ。

 

その生命倫理を犯す、人々の信ずるものに手を伸ばすという行為が―――どれだけの社会的混乱が起きたかは、若い世代には分からない。

 

目の前の男とて知らないだろう。

 

結局の所、その後の小氷期の到来において、人類はある種の倫理を冒してでも過酷な世界でも生きられる『次』を求めるようになった。

 

だが、ある程度の社会が安定してくると、今度は人類社会に『存在している』異常なチカラを恐れるようになる。

 

都合のいい話だと思える。チカラを持っている方からすればだが―――。

 

 

「少し前に横浜でデパートの火災騒ぎを起こしたのも、『脳髄』を弄くられた強化魔法師だという話だがね。まぁアレに比べればまだマシだよ。なんせ―――解決する手段はあるのだからね」

 

「己の行為を正当化するつもりか?」

 

「少なくとも、放ったらかしにして何の目的も与えないよりもマシだがね。まぁ洗脳みたいなのもしたのだが、随分と魔法師教育というのは―――」

 

コレ以上の戯言を聞いていたくなかったのか、飛び出したのはエリカである。

 

小刀を手に一息で司一の懐に飛び込んだエリカの剣が―――エリカの肩を突き刺した。

 

「―――ッ!!」

 

いきなりな奇襲と慮外の手品にエリカの顔が歪む。深々と突き刺さったエリカの剣から血が吹き出る。

 

置換魔術(フラッシュ・エア)!?」

 

「擬似的なものだがね。短距離の空間を繋ぐぐらいは、私にも―――出来るのだよ!」

 

正体を見抜いた藤丸の言葉に答えてから、エリカの身体を『巨大な穴』に入れる司。その間隙を縫って―――

 

礼装起動(プラグ・セット)―――戦火の鉄槌!!」

 

言葉に従い藤丸の周囲を飛び回る『星』が、一定の形状―――『砲身』となりて、そこから光線を吐き出す。

 

光線は一直線に司に向かうが、途端に物理法則、熱力学、エネルギー保存の法則などを無視して幾重もの細かい光線に分裂して、四方八方から襲いかかる。

 

しかし―――。

 

「―――!!!」

 

司が手に持つ何かの『札』、いや『カード』を介して『壁』を作ったようだ。

 

「―――ふむ。千葉さんをどこにやったのかしら?」

 

「剣なんて怖い武器持っているからね。英雄サマたちの戦場に送り込んだよ」

 

眼を釣り上げて言う司の言葉、次の瞬間に外の方から『どんがらごん!』という盛大な音が響く。

 

察するに空中にでも投げ出されて、そこからエリカが落ちたというところか。

 

何とかアーシュラが受け止めるなり回復していますようにと想いつつ―――。

 

「達也、俺がエリカの救出に行ってくる!! 多分、ここでは俺が役に立たない」

 

「分かった。外も修羅場だ。気をつけろよ」

 

「おう!!」

 

硬化魔法を使って殴り合うレオは冷静に、状況判断をして去っていく。

レオの言う通り、この場では遠距離魔法を使っての攻撃が一番いいのだが―――。

 

「フラッシュエアってのは何なんだ?」

 

攻撃手段が分からず専門家に問うことに。

 

「簡単に言えば、あらゆるものを『置き換える』術。水上置換とか水と空気を入れ替えるみたいにね。先ほどは、千葉が突き刺そうとしている司一の腹までの距離と千葉の後方の位置を入れ替えることで、ああいった結果を導き出した。言う慣れば『空間』を『置換』したってところ」

 

「そんなことが……!?」

 

「見ようによっては空間転移にも見えるけれど、まぁあんまり上位の術じゃないはずなんだ―――けど、『極めちゃった一族』がいてね。技術が流出すれば、こういった手合も出てくるわけだ」

 

言いながら考えるに―――これだけの手合を倒すには、相当な奇襲が必要となる。

 

「密談は終わったかい? それに力不足に授ける策は無いんじゃないかい?」

 

自分の優位性を確信している司一はあざ笑うようにしてから―――。

 

「ならば―――こちらから行かせてもらおうか!!」

 

―――積極的な攻撃に移った。

 

瞬間、司一が衣服の肩に掛けていたストール、マフラーではないが、それが伸びてこちらを打擲せんと迫る。

 

アーシュラが使っていたマグダラの聖骸布に似た用途だが、殺傷力は―――。

 

ガガガッ!! 工場の床を貫く布帯という結果が示していた。

 

こちらに届きそうな位置まで、伸ばされた帯で察する。

 

「司波、お前の近接能力で何とかなるか?」

「撹乱はしてみせます」

 

即座に役割分担。場合によっては達也も、エリカと同じくなってしまうかもしれないが、それでもやらないよりはマシだろう。

 

九重流の『忍術』で司一に接近する。無論、司もまたその接近に対して棒立ちではない。

 

「無銘・槍」

 

黒い魔力の塊が槍の形になって、達也の接近を阻もうとする。いくつもの槍の投射に距離を稼がれるも、こちらも魔力の弾―――『術式解体』でいくつかを砕く。

 

重い(・・)……魔力量なのか『情報量』なのかはわからんが、10本中6本か―――)

 

残された4本は、寸前まで達也がいた位置を貫く。

 

重量ある作業機械を受け入れる床を深々と貫く槍の威力に、脅威判定を上げる。

 

当然、それを見た深雪は―――。

 

「よくもお兄様を!」

 

CADを指がなぞる。瞬間、解凍される術式は『凍結の術式』―――ニブルヘイム。

 

部屋全体を凍えさせんとするその冷気が、司一の周囲だけに収束しようとした時……。

 

「怖い怖い。けれど―――別に、ねぇ」

 

別に、の次の言葉が分からなかったが、それでも司に集まろうとしていた冷気が『分解』された。

 

「えっ―――」

 

戸惑うのは術者たる深雪。全ての魔法式から出ていた現象改変が無為に終わったのだ。

 

強烈なカウンターを食らったようなものである。

そして、これだけ巨大なものを? という困惑が達也と克人に出た間隙を縫って―――。

 

「無銘・矢!」

 

放たれるは多くのマジックアロー。向かうは深雪の真正面。10本単位どころか100本単位で向かう矢の数に瞠目する。

 

失敗を予感した時には、すでに遅く―――。

 

「スターズ、コスモス、ゴッズ、アニムス!!」

 

星の『壁』がそれらを封殺した。

 

「藤丸―――」

 

「相手は手練です。呆けている暇はないですよ」

 

克人に言うや否や、達也を巻き込まん勢いで魔弾を吐き出す藤丸。

 

「藤丸さん! 魔法や魔術による攻撃は!!」

 

深雪が警告した通り、それが無為に帰すと思った。達也が器用にもそれを躱すと同時に、司一もそれを躱した。

 

躱した―――という『事実』が、誰もを驚かせる。

 

「どういうことだ? 司氏のは、衛宮や司波のような能動的なキャンセル魔法ではなかったのか?」

 

「いいえ、恐らく彼が現代魔法のキャンセルで使っているものは、ある種の『元素変換』の魔術です。単純な魔弾や魔力の奔流はキャンセル出来ないはず」

 

「私のニブルヘイムがキャンセルされたのは、そういった理屈……」

 

単純な説明で済ませたが、技術者根性の達也としては、それだけで納得出来るものではない。それでもトリックを見抜いた藤丸は前に進み出て―――五指を一杯に開いた状態で手を向けた。

 

「物質の最小単位たる『原子』『元素』に全てのものを分裂させる―――察するに―――それか!!!」

 

瞬間、藤丸立華の手から『魔弾』が指向された位置に飛んでいく。

 

4箇所に飛んでいく魔弾は、バチバチッ! という音を虚空に残しつつその正体を表した―――。

 

そこにあったのは―――。

 

「サカズキ………?」

 

虚空に浮かぶ先ほどまでは不可視であった4色の杯を見られたことで、司一から感じるプレッシャーが増す。

 

「―――見たな。痴れ者が」

 

その言葉の後には部屋全体を熱するほどの熱量が放射されるのだった……。

 

 

「走れ! スピュメイダー!」

 

マルミアドワーズから放たれた黄金の閃光がシャドウの一体……キャスターのクー・フーリンを斬り砕くと、ランサーのクー・フーリンのシャドウが迫ってくる。

 

「まっけないぞ―――!!!」

 

意気を上げて、巨大剣を振るうアーシュラの攻撃は、工場の外壁や配管などを砕きながらも敵勢を減らすのだった。

 

そして、その他にも三騎の騎士が、その絶技を振るうことで敵を減らしていく。

 

「くらええええええ!!! 獅子王(レオン)炎殺煉獄焦(ドライバー)!!!」

 

拳を連続で叩きつけることでワイバーンを叩き潰した騎士もいれば。

 

弓(?)を弾き語ることで、不可視の斬撃らしきものでワイバーンを輪切りにしていく騎士もいる。

 

またある騎士は、その辺に落ちていた鉄パイプを『剣』として、シャドウサーヴァントと渡り合って―――五合の後に斬り捨てた。

 

(圧倒的すぎる……!)

 

アーシュラのチカラもそうだが、アーシュラが『召喚』したという『使い魔』の実力も尋常ではない。

エリカは況や、一応は兵法者として自分よりも場数を踏んでいる寿和や、魔法剣術としてトップである修次―――自分の兄たちを思い出して、それが追いすがれる相手ではないことを自覚する。

 

(私達は剣の理と魔法の理とを合一させてきたつもりだけど、それは間違いだったってこと?)

 

アーシュラの剣もその周りの連中の技も、全てが千葉道場の剣技を鼻で笑ったものとして映る。あれほどまでに、身を痛めつけて会得してきたものを紙くずも同然に嘲笑われた気分だが―――。

 

「っ!!!」

 

いまの自分はどうしようもないぐらいに無力だ。不意の空中からの投げ出しに対処しきれずに、足をくじいて動くことすらままならない。

 

アーシュラが巻いた回復用のスクロール(巻物)とやらが、一応は効いているのだが……。

 

「悔しいわね。ギャラリーのままなんて……」

 

「―――ああ」

 

独り言のつもりは無かったが、それでも同じく唇を噛み締めながら、その戦いを見ていたレオが呟く。

 

力の無さに悔しがった瞬間……。

つぶやいた瞬間……。

 

「―――なんだか熱くない?」

 

春の季節とは言え、この時間帯はまだまだ夕刻でも冬の気温に下がるというのに、コレは異常だ。

 

「確かに、中で火災でも起きているのかもしれねぇ―――」

 

工場の壁に寄りかかっていたレオとエリカでも感じるその熱さ。

 

中で何が起きているかは分からないが、何かに気付いたらしきアーシュラが、最後のクー・フーリンのシャドウサーヴァントを斬り倒してから工場内部に―――壁も何もかもぶっ壊してのぶち抜き、ダイナミックな侵入を果たすのだった。

 




次話で入学編は終わりになるかと思います。
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