魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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requiemコラボ……ボイジャーくんの価値に気づいたマスターばかりで、エリち涙目。

つーか遂にひよっちさんにゆかちさんもFGO声優になったかぁ。

別にシンフォギア関連というわけではないのだが、ここまでくればナンジョルノさんと高垣さんも―――。

だが無淵は知っている。高垣さんはケリィの初恋の人を演じたことを。そしてディライトワークス次第では『シャーレイを疑似鯖として召喚させましょう』などと次のzero関連イベントではエミアサが(泣)

などと妄想をしたところで新話どうぞ。


第4話『十文字克人の説得』

 

校門前での騒動は終わりを告げた。

 

しかし残された面子は、どうしたものかと誰もが顔を合わせる。

そんな中、いち早く帰り支度をしたアーシュラと立華が、フォウを連れてとっとこあるき出した。

 

「んじゃねー」

『フォウ』

 

気楽な挨拶を以て、校門から出ていこうとするアーシュラと立華に対して待ったを掛けるのは、エリカであった。

 

「待った待った。A組の森崎を張っ倒した英雄たるフォウくんにお礼させてよ」

 

「それは『無かったこと』になったんじゃないかな?」

 

「それでも起こった事実は変わらないんだ。そんな皮肉屋になるなよ。立華」

 

エリカの引き留めの後に達也の言葉。それを受けた2人の平淡な顔に対して、小動物たるフォウは―――。

 

『フォウ』

 

とだけ叫んで、こちらには、その意味は分からなかった。しかし、2人は提案に対して了承した。

 

それで十分だった。

そしてフォウのララパルーザを止めようとしてCADを読み込む途中で、達也に制止させられていたA組の女子2人も着いてくるようだ。

 

「その、ゴメンね司波さん……。私たち、司波さんと一緒のクラスになれて舞い上がって、それで何の事情も考えずに……」

 

「光井さん……私こそ―――衛宮さんも藤丸さんも分かっていたのね。私がこの状況のキモだと…」

 

「まだ入学2日目だからね。クラス内で孤立しないために、コウモリな日和見主義は仕方ないんだろうけど、度が過ぎれば『こんなこと』にもなる」

 

中々に痛烈な文句であった。

そして言われた深雪としては、明朗な反論は出来なかった。達也ですら、そう考えていたのだから……。

 

結果的には、光井ほのか、北山雫という女子2人は、深雪と仲良くなりたいがための暴走であった。

そのために森崎とかいう『小物』なんぞを神輿の先頭に立たせたのが、一番の間違いであったと気付く。

 

そんなこんなで各々で理屈と感情の混ぜ合わせに納得いったりいかなかったり―――そんな感じであった。

 

そうして不ぞろいの林檎たちは、下校するべく歩き出すのだった。

 

―――駅までの帰り路は、ビミョーな空気だった。

 

アーシュラ的には正直言えば、別にA組の人間たちは明日辺りにでも、深雪だけに謝罪でもしておけば良かったのにと思うのだった。

 

『フォウ! フォウフォウウ〜〜〜♪』

「く、くすぐったいですよ。フォウさん」

「随分と美月になつくわね。この子」

 

よって、とりあえずフォウが懐きたい相手のところで好きにさせておくのだった。

 

「フォウは、ただのネコなのか……?」

 

「その質問に、ワタシとリッカが素直に答えると思っているのはどうなんだろうねー?」

 

「危険な生物かもしれないんだ。少しは知ろうという気持ちがあってもいいんじゃないか?」

 

「キミがそれを言うか。先程の委員長の言葉を借りるならば、『世間様』にとって社会的に『危険な生物』は、我々のようなソーサラス・アデプトだというのに―――同じ穴のムジナ?」

 

言葉を受けて達也が押し黙る姿は、少し痛快であった。

自分たちのような魔法師が、一般社会で様々な制約を受けているのは当たり前の話だ。

 

公的な治安機関に属している人間ですら、『帯銃』し『実弾』を弾込めする時には厳重なものがある。

例えそれが『上辺』だけだとしても―――。

身綺麗なものを見せておくことは重要なのだ。

 

つまりは―――端末サイズの『魔導書』で、ボタン1つか2つ、もしくは銃型の引き金一回で容易く人間を吹き飛ばせる魔法師を無力化するには、法令遵守の精神をもたせるしか無い。

 

無理な類もあるのだが……。

 

ともあれ、魔法師に不自由を与えている連中と同じことをするのか? という皮肉でイジメた後には、少しだけのネタばらしをする。

 

「その子は簡単に言えば『魔獣』の一種なのよ。『キャスパリーグ』って言って、真偽に対する知識も理解もあるとは思えないけど……」

 

「まぁ聞いたことはな『えっ!? この子、キャスパリーグなんですか!? あのブリテンのアーサー王伝説とかに出てくる!?』―――知っているのか美月?」

 

達也の言葉に大きな声で被せてきたことで、美月の物知りなことが分かる。

 

誰もが美月に注目をする形になり、意外な人物の知識にアーシュラと立華は驚くことに成った。

 

「拙い知識かもしれないですけど、簡単に言えば『人食い』の妖猫です。元々は、豊穣を司る『白豚』から生まれでたと言われる、ブリテン島に災厄を齎す存在と言われているんですけど――――」

 

「被害はあったのか?」

 

「あくまで多くの歴史研究者や古語翻訳家・民俗学者などによって編纂されたものによれば、伝説のアーサー王と円卓の騎士も、キャスパリーグという妖猫を倒すために、かなりの犠牲を払ったとか……」

 

その言葉に『アーサー王伝説』すら知らぬ連中が大半で、美月の説明でもいまいち脅威度は分からぬらしい。

 

だが――――。

 

「半信半疑ならぬ『1割信9割疑』って感じだけど。どちらにせよ、1科の優秀組の一人たる森崎は、何の抵抗も出来ずにタコ殴りにあったわけだしね」

 

「まぁそうなんだけどさ……まさかこんなかわいい動物が、そんな恐ろしい存在だなんて『納得』出来るわけがないからさ」

 

エリカが美月の肩に乗っかるフォウを構いながら言う言葉に対して、まぁ『こいつら』(魔法師)からすれば『そりゃそうか』と思っておくアーシュラ。

 

認識能力が『人理版図』側にしかないのが、概ねの『現代魔法師』(ノーマライザー)の見えるものなのだから……。寂しい納得をしながら何で美月はそんなことを知っているのかを尋ねる。

 

「私の母が翻訳家なんですよ。だからですね。そういうことに詳しいのは」

『フォウ』

 

そんな内輪の話をしながらも、話の話題がCADに向かう。

 

それを機に達也としては、2人の魔法……、『魔術』を知りたかったのだが……。

 

話の話題が、エリカの警棒の話題からそちらに話が進むことは出来なかった。

 

その間、特に2人とも積極的に絡むほどではないが、まぁ問われれば話すぐらいはしており、先程やったことに踏み込むことは無かった。

 

(俺も微妙に話すに話せないな。何か『やられた』んじゃないか?)

 

だが、それを立証することは出来ない。

 

アーシュラも立華も特に『何か』をした素振りがない。

 

もちろん、達也の認識力で『追える』ものでなければアウトだが。

 

そして集団の話題が、達也の技師としての見識と『ワザマエ』を褒め称える場になるだけで、こちらからそれを話すことは出来なかった。

 

先程のように全てが無かったことになっていたのだ……。

 

アーシュラと立華は一団と離れると同時に口を開いた。

 

「あからさまに探りに来ていたねー」

 

「まぁ司波達也だけが、微妙にレジストしていましたから。何かの魔眼持ちなんでしょう」

 

夕日が沈みつつある街路を歩きながら考えるに、そんな所であった。

 

容疑者ではあろうが、積極的に関わろうとすれば変容したものが顕現する。そういう可能性はありえるのだ。

 

「まぁいいでしょう。あちらも隠して、こちらも隠す。中々に手札を切らせない友人関係というのも、一つでしょう」

 

「そんな、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテとリッカのお婆ちゃんみたいな関係はどうなんだろう?」

 

「もちろん。アーシュラは別ですよ。全幅の信頼を寄せています」

 

その笑顔にアーシュラも笑顔を向けて―――お互いに救われている。

 

『フォウフォウフォー♪』

 

そんな様子にフォウも喜んでいる。それだけでいいのだから、魔法師がいるという『世界』には余計なものばかりが多すぎるのだ。

 

 

―――家に帰った後には、お説教というほどではないが、校門前での1件でアルトリアからの窘めがあり、アーシュラ、立華、フォウの2人と1匹は衛宮邸の畳に正座させられるのであった。

 

その後には美味しい食事が提供される辺り、ことの起こりと顛末は、騎士王陛下にとっても看過出来るものではなかったようだ……。

 

 

「失礼、すまないが―――B組の諸君、しばし衛宮、藤丸と対面で食事をさせてもらえないか?」

 

食堂で広げていたB組の面子との昼食。そこに割って入ったのは巨漢の大男。

この魔法科高校では、知らぬものはそうそう居ない巌のような人間であり―――。

 

「いくら十文字先輩が、この2人に気があって、上役だからといって、昨日のA組の焼き直しみたいなことは許されませんよ!!」

 

「クソダサい森末みたいな真似、恥の上塗りしてどうすんですか?」

 

エイミィと相津という男女で、十文字克人に食って掛かる様子。昨日のことはある意味、1年の1科にとって恥知らずな行為として受け止められている。

 

よって今日のA組の面子は、若干気まずい想いなのか、端っこの方で飯を食っている。

 

「そのことならば、俺も気には病んでいる。まぁアルトリア先生も職員室で学年主任に激怒したそうだからな」

「察するに百舌谷学年主任の『一言』が逆鱗に触れたんでしょうな」

「ああ、俺はD組、七草はA、渡辺Bだからな……そして俺たち三人が一同にクラスに集ったことは三年間無かったな」

 

結論から言えば、A組の担任で一学年の主任たる百舌谷教官は、ある種『物分りいい子ちゃん』ばかりを集めたということである。

 

教師からすれば、手間がかかりそうな『問題児』、例え優秀ではあっても、『模範生』とはいえない存在をわざわざ引き受けたくはない。

 

事実、A組に『あなた達は優等生』とか言ったそうだ。

 

本人からすればちょっとした発破かけのつもりだったのかもしれないが、それで天狗になった時点で終わりである。

 

そういった意味では、恣意的なクラス分けをしたことを自分が受け持つA組連中に暴露したことは、名前の通りに口舌(くちさき)が多いが、思慮が足りていない『鳥頭』である。

 

「……エイミィ、相津くん。ここは退くから皆はここで食べていて」

「……りっちゃん、いいの?」

「こちらの巌先輩は、女性の誘い文句はよろしくないけれど、誘われて話したいことがあるならば、拙いお誘いだけど受けるしか無いわね」

 

エイミィの疑問に答えた藤丸立華。そんな風に言われては、巌たる克人は無理やり家の娘を嫁にする傲慢な権力者に―――そういう意図か。

 

取り敢えずその程度のことは受け入れる度量は克人にもあったりする。

 

歌劇におけるレ・ミゼラブルなどは大好きなのだ。ジャベール警部役もまた必要なのだ! という自制心で以て抑えておくのだった。

 

「リッカ、ワタシも同行するから―――これは皆で食べていて」

「―――きっちりピカピカにして返すよ。絶対だ」

 

衛宮先生のお重を置いて、戦国時代の姫の嫁入りのごとく同行する侍女の体のアーシュラに返す相津郁夫。

 

そうして人払いが為されたところまで巌についていく。

 

対面に巌が座り、その対面に美少女2人が座る。

 

これぞ即ち『美少女と野獣』であろう。

 

「くだらんことを考えているだろうから、手短に話そう。衛宮、藤丸―――お前たちは、生徒自治側の役職に就け」

 

「部活連に私とアーシュラをですか?」

 

「言い方が悪かったな。風紀委員か生徒会役員にだ。……お前たち、今朝の校門前にいた七草をしれっと無視して登校しただろ?」

 

「昨日の今日ですから、校門前は鬼門としか思えなくて、形絶のルーンを使って『普通』に登校しましたよ」

 

「魔術・魔法を使って登下校することを普通とは言わん」

 

とはいえ、克人としても真由美には警告は発していたし、昨日の時点で何度か『見透かされていた』ことは分かっていただろうに……。

 

こうも容易く出し抜けられるものなのか。これが過去に到達していた魔術師たちの強みなのか―――。

 

人知れず脅威度を上げている克人に対して、アーシュラと立華は、大したことはしていない。

 

如何に遠見を果たす目とは言え、使っている人間が『中心視野』と『周辺視野』の全てがフルに使えていない以上、そこから『存在感』を薄くすることは出来るのだ。

 

更に言えば、魔眼の中には他者の視界を『奪う』タイプの魔眼もあるのだ。それは魔眼であろうと構わずの強烈な略奪系統のアイズであり、それと同じようなものを『アルビオンの(はて)』にいたアーシュラは持っているのだ。

 

もちろん、そんなことをペラペラと話す2人ではない。第一、似たような『手品』を何度も見せつけられれば、対抗策の一つや二つは見つけ出すのが、魔術師云々以前に生命としての自衛行動というやつである。

 

などと長々と脳内で考えながらも、対面の克人の言うことはきっちり聞いていたわけで、要約すると―――学年主席と三席とを遊ばせておく余裕はないという話であった。

 

スカウトということだが……。

 

「昨日の一件で、外国からの立場としては半分留学生とはいえ、何の役職にも就けていないのはマズイのではないかという話になってな……お前たちの『実力』を一番に知っているのは、『俺』だからな。そういう提案をした」

 

机にいるフォウに皿に分けたキャットフードを差し出す十文字の言葉に考える。

 

「次席である司波さんにも、こういった話はいっているので?」

 

「そちらは、七草の管轄だ。お前たちにも直に話を通したかったらしいが、逃げ回るから……」

 

「仕方ありませんね。腹の生臭さがするのが会長ですから。あの人に―――『可能性』を信じる炎はありませんよ。

『未来は変わる。』と言いながら、厭世的な諦観だけで動く『俗物』でしょうよ」

 

随分と辛辣な評価を下したものだと克人は思う。立華もアーシュラもその意見を一致させている。

 

魔術師たちが希求する『未来』とは何なのかを、克人は正確には知らない。

 

だが、それでも―――……。

 

「とりあえず、会長本人に聞いてからですか、克人さん?」

 

「ああ、放課後にでも生徒会室に向かってくれると助かる。俺としては衛宮には風紀委員。藤丸には生徒会役員にでもとは思っている」

 

「デスクワークは私は苦手ですから、『やる』ならば、それがいいかなリッカ?」

 

「『やる』という仮定で適材適所という意味ならば、それがいいでしょうね」

 

その『就く』とは簡単に了承しない態度に対して、克人は『念押し』をすることで保険としておくのだった。

 

念押しは、もちろん眼の前のやる気ない美少女2人ではないことは当たり前過ぎた。

 

 

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