魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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というわけで完成版(?)です。

一度、削除してからの新規投稿ですので混乱させたら申し訳ないです。


第54話『竜姫変化ペンドラゴン――ver ヴリトラ』

「まぁつまりですよ。ワタシの中には地球上に刻まれた歴史・神話における竜種のチカラが宿っているわけです。もともと、ワタシの母もその手の幻想種の力を宿していたわけでして―――彼らの力を使えるんですね。まぁただの才能です」

 

その端的な言葉で、眉をぴくぴく動かす連中の多いこと多いこと。

 

その『才能』を欲して、何人もの人間が努力しているというのに、この子は……。

 

 

―――ワタシの特異性は真似できません―――

 

そう言っているのだ。そりゃそういう反応も生まれてしまう。

 

 

「妖精・精霊・竜……お前の術の大半は、ブリテン島の幻想(ファンタズム)に端を欲するものか?」

 

「そうだねー。ただヴリトラと契約(コントラクト)出来たのは、両親と共に世界中をあちこち回っていた時に、インド辺りで出会えたからだけど」

 

「邪龍ヴリトラというのは、あんな格好をしているのか?」

 

「邪龍とは言うが、ヴリトラもまた『英霊の座』に登録された英雄の一人となっている。詳しいことは語らないけど、英雄とは決して善行だけを積んだものを指す言葉ではない。人理の進行において絶大な影響力を発揮した存在であれば、誰しもがそこに召し上げられる。

要は、世間一般の人倫では悪徳を重ねた人物でも、その行為が多くの人間に『認知』された時に、彼らは悪人であっても英雄とされるわけね」

 

それは、あの人理修復の旅の主役であった盾の英雄と半人前の魔術師の戦いで、存分に理解できていた。それを見せられた時から―――英霊とはそういう存在なのだと理解は出来ていたが……。

 

「ヴリトラが『女身』である理由は推測はあるけど、基本的に邪龍ヴリトラの伝承では千差万別な姿で語られているからね。蛇なのか竜なのかすらも定かではない『不定形』なのさ」

 

「まぁ確かに聖書のリヴァイアサンも、鰐だったり竜だったり鯨だったりとまちまちだもんな……それじゃ推測ってのは何なんだ?」

 

「ただの推測だよ。中国大陸での白蛇伝説における、千年を生きた白蛇から女の姿になった『白娘子』(パイニャンツ)しかり、ギリシャ神話における影の主役……魔獣達の祖『テュポーン』の妻たる『蝮の女エキドナ』然り、多くの伝承にて蛇身たる存在は、神性を表すと同時に雌性的な側面を多く持つ―――これは恐らく、蛇という存在が多産であることから、豊穣を齎す存在という位置づけが為された結果だと思うよ』

 

一挙に言われたアーシュラの久々の『凄い理論』(ウルトラセオリー)の披露に対して、全員がポカンとしてしまう。

 

ブランシュ事件の発端とも言える、剣道部・剣術部のいざこざの後の三巨頭に対する説明でもあったことだが……まぁいいけど。

 

「それじゃ、ヴリトラの力をつかって衛宮さんは『変身魔法』を使っているのか……」

 

「そういうことです」

 

達也の質問の後を継いだ五十里が質問をしたのだが、ソレに対してアーシュラは気軽に『変身』をして、あの衣装を纏った―――のだが……。

 

「え、衛宮さん!? その『キャスト』か『キャバ嬢』のような衣装は!?」

 

「これがヴリトラ第2臨という霊基強化状態の服装なのですが……」

 

 

占い師から一気に『コールガール』よろしくな、ファー付きのミニスカドレス。胸元が見えている露出激しい衣装を身にまとったアーシュラは、真っ赤な顔で戸惑った五十里にヒールをカツカツ鳴らしながら近づき……。

 

「五十里センパイ。キャバ嬢とかキャストってどーいう意味ですか? アーシュラ、ニホンゴよくわかんなーい♪」

 

「えええええ、衛宮ささささんんんん!!!??? あふっ!!!」

 

誰もが驚愕するほどに、まさに『お水の花道』よろしく、何というかカルイ女の子のていで五十里を『誘惑』するアーシュラ。

 

その手で五十里の頬に触れながら、至近距離で目を細めつつ蠱惑的に言うアーシュラに、五十里 啓も色々と困惑をしてしまう。

 

なんせその匂いとか、頬や耳にかかる呼気が色々な意味で五十里を惑わす……。

 

テント内がざわつく以前に、唖然呆然とした矢先―――。

 

「コオオオオラアアアアア!!! この泥棒ドラゴンが!!! 私の啓に触れてんじゃね―――!!」

 

テント内に光の如き速さ―――と見間違うもので入り込んできた千代田花音によって、五十里とアーシュラのファーストコンタクトにして『ワーストコンタクト』は終わりを告げた。

 

奪い取るかのようにアーシュラから五十里を引き離すのだった。

 

「啓は私の婚約者だ! それに対して色目を使うだなんて、己は何を考えているんだ―――!?」

 

「アナタがた(うざい)カップルが、逆NTRの試練に打ち勝てるかどうかを試しました」

 

「ぷじゃけるな―――!!!」

 

噛んだらしき涙目の千代田の言葉にもアーシュラは動じない。

というか若干、達也も克人も五十里啓に嫉妬を覚えるのだった。

 

「そこまでにしときなさい。ヴリトラの因子がそういうことをさせているとしても、少々アナタのキャラじゃないでしょアーシュラ?」

 

「そうでもないよ。だってこの人に悪印象を持たれれば、風紀委員の役目から逃れられるし」

 

いつの間にかテントにやってきた藤丸立華の言葉が響く。しかし返す言葉が、かなりアレすぎた。

 

「そう言うな。千代田はお前がジャージで試合に挑もうとしているのを見て、私服を貸そうと動き出したんだぞ。そう邪険にするな」

 

自分がいなくなったあとの風紀委員会を考えて、そんなフォローをする渡辺摩利だが、アーシュラは更に口撃を強める。

 

「服を貸してくれるならば、渡辺言委員長の方が適切でしょうね。ノーサンキューです」

 

「そこまで花音に辛く当たらなくても……」

 

摩利としても困った話だ。二人の風紀女子委員というのは、摩利にとっても夢の一つだった。自分の在任中にそれが達成出来た以上、次の風紀委員会にもそれが引き継がれればいいと思うのだが。

 

「いや、そういう感情論的な話ではなく、要は適正な服装を用意出来るのは、渡辺委員長であろうということです」

 

「そ、そうなのか? そこまで私はオシャレじゃないぞ。真由美や司波兄妹ほどコスプレ衣装も持っていないんだが……」

 

そりゃ偏見ではないかと達也が考えてしまったが、アーシュラの考えはそういうことでは無いのだ。

 

ズバリ言えばーーー。

 

「千代田先輩のシャツの、胸付近(・・・)の生地が伸びたらば、申し訳ないですよ」

 

その言葉と同時に、自分の胸の下に腕を差し入れて両丘を持ち上げるアーシュラの行動に、男性陣は色々とヒートアップ。女性陣も色々とヒートアップ。

 

中でも、千代田花音は……。

 

「啓ーーー!!!! あ、あなただけは、私の爪先から頭のてっぺんまで愛してくれるわよね!? ビッグなバストに惑わされないわよね!?」

 

愛が重すぎる千代田の言動と同時に、揺さぶりをかける様子が本当に必死だ。だが、五十里もまたアーシュラの色香にやられたのか、鼻を押さえているようだ。

 

「も、もちろんだよ花音!」

 

と言うものの、目はアーシュラのバストに釘付けな辺り、言行不一致な限りだ。

 

「いくら役員から逃れたいとはいえ、やりすぎじゃないか?」

 

「そう? こういう時にこそ、真実の愛って試されると思うけど」

 

達也の言に目を細めながら口を開くアーシュラ。ヴリトラという邪竜は、そういう英雄なのだろうか?

 

それ以上に……。

 

「色々とあったとはいえ、俺とお前は風紀委員のコンビじゃないか……そんな必死に離れたいとか言われると、寂しいんだがな」

 

その言葉、少しだけ恥ずかしがるように言った瞬間、偶然にもテントに入りこんできた深雪とほのかに目撃されてしまう。

 

その衝撃たるやとんでもなかった。しかも、アーシュラの格好が格好なのだ。女2人の悋気が膨れ上がる。

 

このままでは色々とまずいな。そう思った十文字克人はーーー。

 

「「アーシュ姉さん! ボード準決勝がんばってねー♪」」

 

「アリサくん、マリカくん……!?」

 

いきなりやってきたJSの顔。テントを割って入りこんできた顔に十文字が驚く。戒めようとした瞬間に、色々とそんな顔が出てきた後には…。

 

「衛宮選手、そろそろお時間ですのでスタンバイおねがいします」

 

九校戦の係員の一人だろう人間が、テントを割って入ってきた。その言葉に時間であることに気付く。

 

「ハイハーイ。それでは決勝進出を決めていきまーす」

 

負けてしまえ、などという悪罵を掛ければ、一高にとっての不利益になってしまう。

 

快活に手を挙げながら応えるアーシュラの姿は既に、先ほどまでのジャージ姿に早変わり。

 

その姿で、2人のJSを引き連れながらテント外へと出ていく。

 

変身魔法というありえざる技術を容易く披露したアーシュラは、その有り余るスペックを利用して―――

 

―――最終的には、一高内や多くの魔法科高校に様々な混乱―――ヴリトラの力が披露されるのではないかという『恐怖』を招きながらも、バトル・ボード準決勝は確実に突破するのだった

 

 

「結果は出しているから文句は無い。無いんだが……」

 

「なんともねぇ……ともあれ、次は光井さんの試合よ。今回は天敵の宇津見さんもいない。ならば、一高がダブルで決勝進出も夢じゃない」

 

「―――だといいがな」

 

その手の『捕らぬ狸の皮算用』が、上手くいった試しが無いのが、今回の九校戦だ。

 

「そう言えば達也くんは?」

 

新人戦バトル・ボード準決第二試合の観戦をしながらも、真由美は少しの懸念事項を隣の席にいる渡辺摩利に伝える。

 

「今度こそアーシュラをふん縛るために、終わると同時に迎えに行かさせた。『スケベ』『変態』『DTED(童貞不能マン)』(実妹除き)だのと散々に言われたが、『確保』することは出来たと連絡があったぞ」

 

「そ、そう……」

 

随分と怖いもの知らずというか、アーシュラは、深雪に睨まれようがなんだろうが構わないのだから、恐ろしいはぐれものだ。

 

しかし、よく考えれば司波達也もまた『はぐれもの』だ。しかし、達也のはぐれているところは、アーシュラとは若干違う。

 

その事実がどういうことなのかを、まだ分からずにいた――――。

 

 

「ううーみゅ。何でキミはワタシに張り付いてんのさ。深雪ちゃんか光井さんの方に行ってればいいじゃん」

 

「俺だってそうしたいさ。いや、正確に言えば違うな。深雪やほのかのためにも、お前の自由気ままさを抑制したいんだ」

 

「気侭?」

 

険のある視線ごと問いかけると、達也は呻くようにしてから口を開く。

 

「……俺が言えば『おまいう』なのは分かっている。ただ、あんまり自分一人でいて、何もかもを話さないでいるなよ。評判悪くなるぞ」

 

「既になっているわよ。けれどね『私』は、このまま実力主義という形で何も分かち合えないならば、『こういう』のが出てくるぞ。と教えているのよ。未来を思う通りにしたい。自分の絵図の通りにしたいってのは誰もが思うことよ。

けれど、『未来』は今を生きている『私』たちに品定め出来るものじゃない」

 

「……虚ろなことを言うんだな、アーシュラは」

 

舌鋒は鋭いが、言っていることはかなり『虚無主義的』なものだ。だが、それでも確かにアーシュラの考えや姿勢は、いつの日か魔法科高校が直面する問題なのだろう。

 

自分が、その『実態』を知りながら諦めの念で入学したことに対して、アーシュラは『それは悪いことだ』と言ってのけるのだ。

 

その姿勢で―――何故、深雪よりも先頭に立って皆を導かない。

 

何故。なぜ。ナゼ―――

 

(こんな俺なんかに行動と答えを託そうとするんだよ……俺は、お前も知っての通り、お袋に改造されているんだ……まっとうな人間じゃないんだ!! それなのに―――)

 

「会長さんの甘っちょろい考えは、いずれは―――恐らく私達の卒業の2年後くらいには実現するかもしれない。アリサとマリカが高校に入学する頃にはね。けれど―――今を生きる人間には何の意味もない。何もかもが遅すぎた。

「獣」ないし「悪魔」は、いずれあなた達の中から出てくる。『アンチマギクス』というカウンターを持ちながら、全ての魔法師―――人理版図にしか影響力を持てないソーサラス・アデプトを抹殺根絶(ターミネイト)するためにね」

 

アーシュラの声と言葉が渡り廊下に反響する。それは不気味さを醸し出して、達也に怖気を出させるのだった。

 

「……お前は―――ならば、どうすればいいんだよ?」

 

「人に答えをねだらないで。あなた達が直面するべき問題なの。そのための力添えはするけど、それでも最後に決めるのはアナタ達なの。知的生命(いきもの)はすべて、自分の生き方を自分で決めなきゃならない。

都合のいい時だけ、自分たちは誰かの都合で作られたものだから、こんなことには関わらないなんて『逃げ』は許されないのよ」

 

「………たかだか魔法科高校の制度ごときで、話がデカくなりすぎじゃないか……けれど―――」

 

それを予感させるものは、断片は、符丁は、これまでに示されてきたのだ。

 

けれど―――。

 

「アーシュラ、俺なんか『しずかに、誰か来た』―――」

 

言葉と同時に、達也の口を閉ざすために、『両手の人差し指』を『唇』に当ててきたアーシュラ。

 

自分(アーシュラ)達也(オレ)に当てられる、硬くも柔らかな人差し指。

 

廊下の向こう―――曲がり角から来るだろう相手を、達也ならば『視認』出来るはずなのだが、今は色々と混乱をしてしまって、そんなことは出来ない。

 

確かに闇雲に誰かに聞かれてはマズイ話だが―――。

 

そこまでするようなのか? 問いただしたい達也とは裏腹に……。

 

アーシュラは曲がり角からくる相手を『霊視』して、感情が怒りと困惑でいっぱいなことを『認識』。それが自分に向けられていることに気付き、そして―――。

 

「―――え」

「―――こうしていろ。イヤなんだろ。勘ぐられるのが」

 

達也に向けていた腕が取られて、そのままに懐に抱き寄せられた。アーシュラの背中に回る両腕。

 

きつい抱擁。その加減だけで離すことはないと伝えて抱き寄せるようなそれは、如何に頑丈な身体を持つアーシュラでも『きつい』と思えるもので、きっと普段から抱き慣れている相手とは違って、力加減が分からなかったのだろう。

 

同時に間近で嗅ぐ司波達也という『男の匂い』が、どうしても『誰かさん』に似ているのだった。

 

(やっぱり『従弟』だからかな。コウマに似ている―――なんだって『ワタシ』みたいな『ズボラな女』に、親族揃って関わるんだ)

 

近くに来なければ、『こんな事』は言わない。司波達也からすれば理不尽かもしれないが、アーシュラの近くに来るから、そういうことを言わざるを得ないのだ。

 

近寄るな―――と接近警告をしても、コレであるのだから―――。

 

そして曲がり角からやってきた2人の男子。恐らくこちらに用があったのだろうが、来るなり―――こんな仰天のシーンを見て、あからさまに驚く様子。

 

アーシュラは位置の関係で目を向けられないのだが、達也もまた男子2人に一切目もくれず深く抱きついてきて、コレ以上はセクハラだ。と言ってやりたかったのだが……。

 

(―――……そんな不安そうな『ニオイ』を見せ(・・)ないでよ)

 

まるで雨ざらし、野ざらしの犬のような司波達也に、アーシュラも諦めの境地だ。

コウマ……―――『四葉 弘真』もそうだったが、普段は強がるくせに、時にこうも弱々しくなる男を見せられると、アーシュラはどうしても放っておけなくなるのだ。

 

そして壁際で抱きしめ合う学生カップル(?)を見た男子2人―――三高『一条将輝』と『吉祥寺真紅郎』は―――。

 

 

「お、お、おアツイねー! お二人さーん!! 妬けちゃうねー!!」

 

「ヒューヒュー!!! お、お邪魔様―――!!!」

 

冷やかしにしては戸惑いすぎな言葉をかけていった2人は、脱兎のごとく廊下の向こうへと駆け抜けていった。

 

「―――行ったわよ」

 

「ああ」

 

言いながらも未だに背中に手を回している司波達也に、嘆息する。

 

だが、それでも分別は弁えていたようで、3分ほどもすると自然と離れた。

 

「何だったのかしらあの2人?」

 

「さぁな。もしかしたらば、何かお前に言いたいことがあったのかもな」

 

乱れた髪を直しながらアーシュラは疑問を呈したが、何の用であったかは推測できた。

 

「たかだか一度の敗北で価値が損なわれる看板ならば、掲げない方がいいのよ。そんなものは金看板どころか鍍金(メッキ)仕立てよね」

 

「……一条家当主が、アーシュラとのアイスピラーズでの対決を避けたのか?」

 

厳密に言えば、戦うのは長男である先ほどの色男であるが、達也の言葉はよく理解できた。

 

「なんじゃない? まぁとにかく、あの一条なんちゃらとの戦いがないのはいいわ」

 

「だが、お前がプリンセスガードに出る以上、三高でも、一条はガードに出る可能性はあるぞ」

 

「3つのしもべに命令しても、空を飛ぶことも、海をゆけない、変身して地を駆けることも出来ないわ」

 

モノリス・コードの変則であるプリンセス・ガードの実態をよく反映した表現だが……。

 

(結局、森崎でも五十嵐でも皆本でも……―――なに一つアーシュラに並び立てない以上、そういう表現になるか)

 

姫君の護衛(チカラ不足)に少しだけ男として同情をした達也は、一条たちとは反対方向に歩いて、競技結果が確認出来る場所に出た。

 

その結果―――。

 

バトル・ボード新人戦女子決勝

 

一高 衛宮アーシュラ

六高 宇津見エリセ

三高 四十九院沓子

七高 浜田幸子

 

 

予選タイム順の結果の張り出しではあるが、それに驚かざるを得ないのは達也で、粛々とそれを受け止めるはアーシュラ。

 

「光井さんのレースに、エリセも花京院―――じゃない、四十九院さんもいなかった」

 

「……逃げるなよ。俺はほのかの所に行くようなんだ」

 

「はいはい。ワタシが一緒だと反感買いそうだけどね」

 

手を取られたアーシュラとしては、逃げないから離せと言いたい。自分の分厚い手なんて握ってるんじゃないと言いたいが―――とりあえずその真剣な眼差しに口を噤んでから、一高テントに戻るのだった……。

 

 


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