魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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地震怖い。

買い込んでいた同人誌が崩れた。

うん。色々であった。そんな日にコロコロアニキ最終号(次回から電子版)を買った。

何が言いたいかというと。

落ち着けガイア。

そんなこんなで説明話なんで、申し訳ない。ここまで色んな人間をいじめるつもりは無かったのだが、バトルに移行する予定だったのに。




第56話『砂の栄冠』

そんな司波達也を見送ってから藤丸立華は―――。

 

「―――何か言いたいことがあるのならば、本人に言えばいいでしょうに。それとも、また平手でぶっ飛ばされる恐怖が勝りましたか?」

 

 

「だ、誰が……! 会頭!! いくら何でも、衛宮アーシュラのスタンドプレーは目に余ります!! 確かに結果は出しているけれど、こんなの―――あんまりですよ!!」

 

千代田花音を挑発した立華だが、相手が悪いと思ったのか責任者の一人に食って掛かるのだが。

 

「何があんまりなんだか、意味が分からないな千代田? お前の個人的な人物嫌悪と、公的な評価を一緒くたにするな」

 

「だって……あの子のせいでチームワークが悪くなるっていうか……全然、こっちに何も話してくれないし―――おまけに一人だけ一高の食事時にも現れないで、知り合いの小学生と食事をしたりとか―――気侭なんですよっ!! 九校戦は、魔法科高校の9つ全てが学校の威信をかけてぶつかる戦いのはずなのに……」

 

千代田花音も、涙目をしながらも色々な意味でぐちゃぐちゃな気持ちである。それを理解できる面子は、2年に多い。

 

ひとり野球ならぬ、ひとり魔法戦。

 

そうとしか言えないものを展開しているのがアーシュラであった。

 

全てのバッターを三振で打ち取り、完封した上で己のバットで得点を積み重ねる……。

 

それを見た自校も他校も色々なものを思うのだ。

 

だが、それに対して克人は冷静に返す。

 

「チームワークか。そんなものが、この一高にあるなど、俺はいま初めて知ったぞ。薄ら寒い言葉を使うな千代田」

 

「か、会頭……?」

 

驚愕の言葉と声で返す千代田花音に対して、十文字は冷たく返す。

 

「俺達は万全にしてベストのメンバーを選出してきたつもりだ。選手はもちろん、エンジニアにしても優秀なものを連れてきた。

だが、それが全く以て今大会では意味を為さない。

お前の婚約者と中条が太鼓判を押したにも関わらず、一年エンジニアの『司波達也』を、男子一同は誰一人として頼らず。そんな司波に間違いを指摘されることを恐れて、己一人でこなそうとして、結果的に一年はおろか、二年男子ですら勝てる戦いを落としている。

更に言えば、それは練習時点からそうであった」

 

「……それは―――」

 

「当然、結果として一年女子に構わざるを得なくなる。元々、司波のエンジニア入りを希望していたのは妹御である司波深雪であったし、選手入りした人間には司波と親しい女子もいたからな。結果的には、それで良かったかもしれんが……俺としては少々、残念な話だ。

ただでさえ、一高はあんなことが起こったんだ。せめて、2科にも一芸に秀で見所がある人間がいることを認識させたかった―――そして、そういうのを認めていなければ、外部の魔術組織に唆されて、再びあのようなことが起こるだろうな」

 

「………」

 

項垂れて俯く千代田花音に対して、十文字克人は言葉を続ける。

 

「あの戦いで、主に(きのえ)に腕も脚も斬り裂かれた連中も多いから分かっているだろう。政治的には『玉虫色』の決着が着いたが、それとて薄氷の上を踏むようなものだった……下手をすれば、全ての魔法科高校が解体されていたかもしれないぐらいだ」

 

それは、魔法科高校……世間一般の言い方で魔法大学付属が、ろくな教育もしていないという話から始まった、一科生という教育優越者の不甲斐なさから来る生臭いハナシであった。

 

はっきり言ってしまえば―――

 

―――お前たちは今まで『生徒』(みじゅくもの)たちに何を教えてきたんだ?―――

 

そういうハナシに持っていかれたのである。

 

「1と2の制度区分。それが檻の中に入れられた熊と狼も同然の、食い合うだけの分断をして内憂となるのならば、最初っから出来るヤツだけを鍛えればいいのか?

結局の所、全ては遅すぎたな……」

 

寂しい笑顔を見せて嘲りを表現した十文字克人に、誰もがナニも言えない。結局の所、このテント内にいる人間が、教育上の優越機会を利用できる立場にあったからだ。

 

そして、そんな立場にあったにも関わらず脚を斬り裂かれ、腕をもぎ取られ、指を噛みちぎられた連中も多い。

 

痛みがぶり返したのか、辰巳鋼太郎を筆頭に身体のどこかをさする連中が多い中、立華は口を挟む。

 

「まぁ別に克人さんが、気に病むことでもないでしょ。どうせアナタでは『変えられない』。アナタの『起源』が『不動』(かわらず)である以上、アナタにナニかを変える事はできない。『あの時』にお教えしたはずですよ?」

 

「ああ、時間が過ぎれば過ぎるほどに、あの時にお前に言われたことが身に沁みてくるよ……けれど、もう取り戻すことも出来ないのは悔しすぎるだろ……」

 

「会長からして問題の根本を放置して、ちょっとばかり接ぎ木して、死に体の樹木の見栄えを良くすることしか出来ないんですから、しょうがないんじゃないですかね」

 

「わ、私だってそこを何とかしたかった! その為の方策だってあったのに―――」

 

「けれど、それは今の『校章』の有無が目に見える差として認識されている現在では、無理な話でしょ。そして未来(さき)に対しての約束があっても、今を生きる人間には何一つ腹が膨れない絵に描いた餅ですね。理想論や抽象的な価値観だけに拘泥して、今を生きる人間には『未来』(あす)に生きる資格は無いとするならば―――もがくような懊悩の果てに、再びあのようなことが起こるでしょうね。もしくは魔法師を廃業するしかないのでは」

 

その言葉は、鋭利な刃のように全員をめった刺しにする。しかし、突き立てられた刃を抜く手段(ことば)を誰もが持たない。

 

 

「話を戻すが、結局の所1科と2科という区別があり、心を共に出来ず、その1科とて内情は様々だ。千代田、お前の言うチームワークというのは、ただ単に馴れ合うことか?

戦うため・目的のために相手のことを理解した上で、邁進する上でやれることをやっていくことをチームワークというんじゃないか?

クソつまらん試合ばかりやっているんだよ。俺たちは」

 

「会頭………」

 

声を上げたのは、千代田花音ではなく婚約者である五十里啓であった。

 

エンジニアの立場としては納得いかない点もあるが、会頭の言いたいことは理解できた。

 

しかし―――。

 

「けれど、それでも……衛宮さんも藤丸さんも、僕たちと一緒にいなさすぎます……理解しようとしても、何も話してくれないし―――そりゃ僕たちが浅慮なのかもしれないけれど……それでも、あの来訪した小学生とだけ一緒にいるのは、機会を失うものですよ」

 

「ふむ。そこを言われると中々に痛いな。だが、俺も明かすべきことは明かそう。アーシュラや藤丸にだけ、そこの責任を負わせるのもアレだからな」

 

その言葉に、一瞬だけ眼を見開いた立華だが―――。

 

「そこを秘密にして、もうお前達に嫌疑・嫌悪を負わせたくないんだよ」

 

「……そうですか―――ではお好きなように」

 

観念したようにため息を突くことで、立華は諦めることにしたのだった。

 

そもそも、立華とアーシュラからすれば、遠方からやって来てくれた妹分を歓待するのは当然の話しであった。

 

当然、2人だけで食事したいというのならば、護衛を付けた上で、2人だけにしていたのだが……北海道から来た上で、色々と案内役がほしいというのもあったのだろう。

 

「だから結局! あの女子小学生は何なんですか!?」

 

「黒髪の方の子は遠上茉莉花くん。いわゆる数字落ちの魔法師の家の子だ。そして金髪の方の子は伊庭アリサくん。亡命ロシア人の女性『ダリア』さんと、俺の親父、十文字和樹との間に生まれた子だ」

 

「それがなんだって――――え……?」

 

恋人の慰めで復活して、声を荒げていた千代田の声が静まる。そして、テント内にざわつきが広がる。

 

「ちょっと十文字君! それ本当なの!?」

 

「オヤジの主観情報でしかないから、清い仲の恋人同士だったかは不確定だがな」

 

驚いて同じ『家格』の存在として、真由美が問いかけたが、そんな風に飄々と返すのだった。

 

「そして、五十里。2人はお前の妹と同年齢のはずだ」

 

「………それは―――つまり、竜樹くんと……」

 

「そういうことだ。詳しいところは省くが、義母と結婚するまで付きあっていた女性で、まぁ『そういうこと』だったらしいな」

 

五十里 啓の妹 『五十里 (めい)』の年齢と同じで、更に言えば『十文字家』には、そんな妹と同い年の克人の弟がいることも、周知であり既知であった。

 

「いつぞやアルトリア先生が言っていた、お前の親父さんから言い寄られた話の顛末か?」

 

「そういうことだ」

 

ブランシュ事件の際に明かされた話のことを思い出した摩利によって、補足が成された。

 

そして、告げられることは大きすぎた。

 

「親父が、ダリアさんが懐妊し、そして出産していたことは4年前まで知らなかったらしい。その後、4年前の事件で知り合った衛宮家と藤丸家に、アリサさんとの接触を持つよう親父は頼み込んだようだ……ダリアさんが既に鬼籍に入って、遠上家の方に世話になっている以上、いきなり父親として名乗るなんて、破廉恥かつ恥知らずなことは出来なかったんだろう……」

 

「――――――――」

 

そんな壮大な裏事情があり、そして人の秘密、それも千代田にとっても決して侮れない先達である十文字克人の家のことに関してまで、話が広がるとは思っていなかった。

 

それゆえに、羞恥心で顔が赤くなることが隠せない。

 

「俺の代わりにアーシュラや藤丸が、アリサさん、そして茉莉花さんに対して姉貴分をやってもらっていた以上……それを咎めることは出来んよ―――」

 

個人的な事情もあるにはあったが、それでも弟妹を持ち、この九校戦を見ている人間を持っている人間たちは、沈黙せざるをえない。

 

何より―――そんなよその家の巨大な秘密(スキャンダル)を抱えたまま、誰にも打ち明けずに、更に言えば競技でも万全をやっていたことを考えれば、何も言えない。

 

「あの子たちを遠上夫妻の予定より長々と九校戦に逗留させて遊ばせたのは、俺の罪悪感であり私心だ。仏心などと言えんことだ。

責めるべきは俺だ。千代田、 お前の言うアーシュラの気侭な行動は俺の責任。

スタンドプレーに関しては、アイツに追随できない、簡便な道具―――CADの一つも用意できない俺たちの不甲斐なさだ。

さて―――当座に置いて矛先を向けるべきは『誰だ?』」

 

その言葉で千代田花音は泣き崩れるしかない。少なくとも、彼女は義憤を持って話を切り出した。しかし、その全てが的外れであって、彼女には彼女なりの公の心があって、そうしていたなどと言われては何も返せない。

 

「わ、私は……」

 

「千代田。お前が決して私心だけの人間でないことは理解できる。お前が第一高校のことを考えて行動できる立派な人間であることは、俺も渡辺も保証しよう。でなければ、風紀委員長という職務もこなせないからな。ゆえに宿題だ。珊瑚礁に生きるコブダイは珊瑚礁の一部かどうか、もう一度よく考えてみろ」

 

正確なところは良く分からなくても、言いたいことは理解できた。

 

一高にいる人間を考えずに、見ないで『容れ物』(組織)だけを守ろうとするのならば、容易く同じだけのことは起こるのだと―――。

 

不誠実ではなくても、公明正大さに欠いた見え方(してん)しか持たない千代田花音の底も、見抜かれたようなものだ。

 

「―――っ!!」

 

「花音! ……失礼します」

 

いたたまれなくなったのか、テントの外に駆け出す千代田を追って、五十里も一礼をしてからいなくなる。

 

静まり返るテント。嘆息気味な息を吐いてから、克人は小さすぎるパイプ椅子に体重を預ける。

 

そんな克人に少しの抗議をもちつつ、摩利は声を掛ける。

 

「お前にしては、多く言ったもんだな」

 

「今まで存在すら知らなかった妹のことを詰られたんだ。少しは言わせろ……そして、そろそろピラーズ女子の決勝メンバーが決まるぞ」

 

テントの上を見上げながら疲れたようにつぶやく克人に対して、真由美は……。

 

「―――十文字君の意見は真っ当で正しいのかもしれないけど……それでも―――」

 

言いすぎじゃないか? 言外に含めた真由美だが―――。

 

「お前だって『同じ立場』に置かれたらば、どうなるやらだ」

 

「あるわけないわよ。そんなこと……」

 

「どうだかな」

 

含みある克人の言葉に真由美も、反論に力がない。それは日本の魔法師関係者―――よほど噂に疎くないものでもない限り、それなりに知っていることだ。

 

そして、真由美も克人も『当事者』を知らないわけではなかったのだから……。

 

 

真由美と摩利がいなくなり。人も疎らになった一高のテント内で、藤丸立華は克人に声を掛けた。

 

「苦労しますね」

 

「性分だな。この体格だから、そんな役目を担ってしまう。本音を言えば……もう少し普通の高校生らしくいたいんだが」

 

そりゃ無理だろ。テント内にいる、克人を除いた全員の心が一致した瞬間だった。

 

茶を啜ってから立華に問いかける。

 

「魔術師からすると魔法師の在り方、特に教育に関しては『いびつ』だと思うか?」

 

「まぁ教導するという一点では、非常に難儀なものだと想います。もっとも魔術師の学術及び教導する組織にして学校は、下部組織、『異種の組織』を含めなければ一つしかない上に、そこは入る人間の年齢は問いませんが、フォーマルな入学年齢(オーダーエイジ)は、高等学校卒業後が主ですしね」

 

「ふむ……大学から本格的な教導が始まるのか」

 

「もっともそれとて『一部』を除けば、教育機関というよりも、どちらかといえば有望な助手の青田刈りの場というのが概ねの認識ですが」

 

それでも強烈な貴族主義を除けば、半端な指導を行って、見いだされるべき理論や研究が野に埋もれるということは、止しておきたいというのも魔術師の考えである。

 

そして、魔術師と魔法師の違いを論じる時に立華が思うところがある。

 

「確かに魔術も現代魔法も、才能あるものが飛び抜けて目立つ。そして何より、魔術回路と演算領域の多寡・良し悪しとでも同じくなるものです―――ですが、魔法師が歪な点というのは、深くない、『浅い』んですよ」

 

「深くない?」

 

「ええ、サイオンの活性化なのか、それとも突然変異なのかは分からないが、突如現れる第1世代を除けば、魔法師の大半は己の『根っこ』というのを探求しようとしない。上っ面の能力値だけを基にしてしか何かをしようとしない―――そこが浅いんですよ」

 

「ふむ。つまりどういうことだ?」

 

理解が出来なかった克人の疑問は予想通り。だからこそ立華は投げかける。

 

「それじゃQuestionです。克人さんは、『己の家』が、どういう『成り立ち』をしているかを諳んじれますか?」

 

「ざっくりいえば―――」

 

特に抗弁・抗議する内容でも無かったので、克人は自分が知り得る十文字家の歴史を語る。

 

十文字家は、その字名通り魔法師開発の第十研究所をもとにした家だ。

 

多くの数字付きの魔法師の家と同じく、研究所がある種の遺伝子解析などを用いて、テーマに適した魔法素養を持っているだろう家に『協力』を持ちかけた上で、遺伝子提供も行っていたとのことだ。

 

「俺の祖父にあたるのは『十文字 (ガイ)』という人物だが、厳密な表現をすれば祖父というのは少し違うんだろうな。俺の親父―――和樹というのは、試験管ベビーといえる存在だったようだ。もっとも、遺伝子提供者である鎧殿は、そんな誰の卵子とくっついたかも分からん親父を息子同然に扱って、十文字の姓も与えてくれたそうだ。そのまま魔法家として十文字家を存続することを許されて―――こんなところでいいか?」

 

「存分に理解できました。けど他の方々はどうなんですかね? そんな疑問を持ちつつ言わせてもらいますが―――では、克人さん。祖父殿である鎧さんの、更に『上』にあたる血脈はご存知ではない?」

 

「知ろうと思えば知れるのだろうが……正直、そこまで知るのは―――不躾なのではないかと思ってな」

 

「そうですか。けどそれだと『魔術』の様式ではダメなんですよ」

 

「―――――どういうことだ?」

 

「勝手な私の定義付けなんですけどね。現代魔法というのは、ヒトの付加価値のみを追い求めるものであり、魔術とはヒトの『真髄価値』を求めるものである。

科学の発展が神秘技能の『上っ面』を再現することが出来た一方で、お座なりにされたものを、我々魔術師はやっているわけですよ」

 

「つまり?」

 

「―――起源指定(ルーツオーダー)

それこそが、あなた方、現代魔法師に足りないものであり、今までウィードだの才能が無いだのと言われていた人間たちにやってこなかったこと。要するに微に入り細に入り『ヒト(人間)の起源』『ヒト(血族)の歴史』『ヒト(他者)の遍歴』を見ないで、表層(うわべ)だけの能力値を見てきたツケを払わされているわけですよ」

 

一気に言われたことに、克人も脳内処理をしきれずにいた。だが、衛宮士郎教師がやっていることを考えれば、その結果を理解していれば―――何を言わんとしているのかは分かる。

 

魔術師は簡単に、そういう2科生やBS魔法師の『起源』(ちから)を掘り当てて、教導をし、そして現代魔法師たちのヒットマンへと変えていくのだ。

 

そして、生臭い話をすれば―――それは、日本の魔法師達の分断に繋がるだろう。

 

 

今まで何もしてこなかった人間たちへの怨讐を醸造させて、再びそこに繋がるのかも知れない。

 

 

「まぁ大方の人間が研究所から生まれたデミヒューマンな以上、歴史(ヒストリー)なんてあるわけないという己を嘲ったような意見もあるかもしれませんけどね。私の片方の祖母は、本当の意味で―――デザインベビーだったんです。彼女が駆け抜けた年数は、多くはない。けれど、あなた達よりも濃密で人間(しきさい)を知った日々だったと理解しています」

 

その言葉を放った直後に、ひょっこりテントに入ってくるアーシュラとアリサ、茉莉花with カヴァス、フォウが立華に話しかける。

 

「どうしたの? なんか克人さんが少し悲しそうだけど」

 

「思春期なのよ」

 

「そっかー。じゃあ仕方ないね」

 

「ええ、仕方ないのよ。予定通りメイクしてあげるわ」

 

「おまかせしちゃうわよ」

 

そうして戦化粧というには、華麗にしてキレイ過ぎるものが施されていくのだった。

 

それを興味津々でJS2人は見つつも―――。

 

「「思春期って大変なんですね」」

「小学生に同情されてしまった……」

 

十文字克人を、少しだけ慰める(?)ことにするのだった。

 

「ちなみにいえば私の母は元々、カルデアの職員でして―――ゴリマッチョな『サーヴァント』を見ては、恍惚のため息を突いていたそうですよ」

 

「そうなのか……」

 

アリサの慰めの言葉を受けて、父親の勝手な勘違いの恋愛だったわけではないことが知れて、少しだけ嬉しくなった克人は、今度少し高めの中華をおごってあげようと決意した。

 

 

そんなことがありつつも『真紅の王子』と『赤龍の姫騎士』との戦いは迫りつつあるのだった……。

 

 

 

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