魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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もーいくつねーると、アヴァロンこーうへーん♪


果たして第二弾では、誰が来るか!? そして復刻するかもしれないモル姉さんは重ねるべきか

など思いつつ新話お送りします。


第66話『現場検証』

無言で歩く一高有志集団。誰かが口を開くのを待つように、誰かが、この『ジェンガ』のような危ういバランスを崩すように―――、一言が出るのを望んでいるようだ。

 

全てが破壊され、漂白化されたかのような市街地ステージ。全員が息を呑むほどに凄惨な現場だ。

 

血の跡や何かしらの遺留物があるわけではない。単純な破壊力であれば、魔法でも再現は可能かもしれないが……。

 

(ここまで何もかもを『洗い流す』魔法など無駄事かもしれないが―――おぞましさは感じるな……)

 

先程から達也の眼は、この空間のエイドスを認識しようとしているのだが、かすかに残る構造物(オブジェクト)にエイドスが存在しない。

 

つまり『改変すべき定義対象』が、ここにはないのだ。それがどういう意味を持つのか……。

 

(―――先程から声を発さないことが関係しているのか、『空気』が重いな)

 

明確な表現ではないが、底なし沼にいるかのように何となく重さを感じてしまう達也だが、どうやらそれは全員が同じようだ。

 

「藤丸、どこに向かっているんだ?」

 

「まずは、術が炸裂した『爆心地』に行こうかと。その後に少々『再現』をしてみようかと想います」

 

「だったら、こっちの方が近いはずだけど……」

 

十文字と藤丸のやり取りを横で聞いていた帯同者たる藤林響子が、最短ルートを指で示したが―――。

 

「いえ、お構いなく。探知もしていますので―――遠回りも必要です」

 

「そ、そう……」

 

そんな気遣いを切り捨てる立華。見ると、先程からアーシュラが何かの力を奔らせているのが分かる。

 

何であるかは分からないが、ともあれ爆心地に関してはすぐに辿り着くこととなった。

 

改めて……そこに来ると、映像とは違うものを感じる。

 

すり鉢状にえぐられた地面。直径にして20mは穿たれて、その深さは6mほどはあろう。

 

これだけの痕跡を残すことは、確かに戦略級魔法ならば可能だろう。だが、破壊力ではない何かが、達也の中で警戒心をもたせるのだ。

 

「アーシュラ、とりあえず中心地から『砂』を採取してきて」

 

「分かった」

 

その短い言葉のやり取りで、砂袋を手に穴に降りようとしたアーシュラを引き止めるのは―――。

 

「それぐらいだったら、僕がやるよ。衛宮さん、藤丸さん。任せてくれ」

 

男としての意地なのかなんなのかは分からないが、そんなことを言ってからアーシュラに渡された砂袋……魔獣の胃袋を加工したものを持つ五十里 啓。

 

そうして、すり鉢状になったアリ地獄のような場所へと降りていく五十里。

 

それを見ながらも、アーシュラは風紀委員会ではおなじみとなったマグダラの聖骸布を手にしていた。

 

その行動を奇異に思いつつも、白砂を袋に入れた五十里は戻ってくる―――のだが、行きはよいよい帰りは怖いというわけではないが、勾配と滑りやすい砂ということが災いして、すり鉢の中から出ることがなかなか叶わないようだ。

 

いくどか試したのは男としての意地だったが、苦笑しつつ、最後の手段であるCADで何かしら足元の接地圧を変える術を解き放とうとしたのだが―――。

 

「なっ!?」

 

展開された起動式が、次から次へと分解、いや霧散していく。五十里の不調ではない。響子が放つ『やはり……』という言葉で、これは国防軍の魔法師たちも陥っていたことなのだと気づく。

 

蟻地獄に囚われた五十里先輩に対して―――。

 

「啓―――!! 捕まって―――!!!」

 

などと、絶対に届かない手を伸ばす千代田花音だが……。

 

「ノリ・メ・タンゲレ」

 

聞こえてきた言葉。赤布が穴の底まで伸びていき、五十里を拘束。そのあとには、どういう筋力をしているのか、はたまた五十里が軽いのか、釣り上げの要領で穴から救出されて、アーシュラの腕の中に勢いよく収まるのだった。

 

「軽いですねー五十里先輩。ちゃんとご飯食べてます?」

 

受け止めの衝撃もなんのそので、そんなことをいうアーシュラだが。

 

「も、もちろん! けれど、か、軽いのかぁ……」

 

女子、しかも後輩に軽く抱き上げられている事実なのか、それとも違う感情でもあるのか、真っ赤になってしまう五十里先輩を―――。

 

「け、啓ぃいいい……」

 

もう捨てられた女のように、五十里とアーシュラを交互に見る千代田の姿が印象的である。

 

「―――分かっていたのかアーシュラ?」

 

五十里とアーシュラを引き離すためという目的と、疑問の解消も含めて問いかける。

 

「まっねー。ここいら一帯のエイドス及び、イデア的な原理原則―――現代魔法のテクスチャは剥がれ落ちている。アラヤテクスチャも剥がれ落ちて、代わりに出ているのは神秘側のテクスチャ。つまり完全に、ここはアナタたちにとっては『異界』なのよ」

 

話しかけたことで功を奏したのか、『砂の男』であった五十里はアーシュラの腕の中から開放されたが、ともあれ疑問に対する答えは披露された。

 

「部分的な濾過異聞史現象とも言えますかね。ここが富士山の麓であるというのも一つの理屈なんでしょうが、それにしても『留め具』が緩い……南での大破壊が影響しているのかしら?」

 

続いて、立華が呟くように言ってくる。

 

二人して納得しているところ悪いが……。

 

 

「2人とも、俺達にも分かる言葉で教えてクレメンス」

 

「お兄様!?」

 

砕けた言葉でフレンドリーさを演出しつつ、2人に教えを請うたのだが……。

 

「「……うわっ」」

 

何故か生暖かい視線が飛んできたのだった。解せぬ。

 

「……昨日の夕食会で教えたことの続きですよ。テクスチャ。すなわち星の表面に打ちつけられたルールが、ここでは通用しない。アーシュラの言った通り法則(ルール)が吹っ飛んでいるんです」

 

「むぅ。しかし、そんな簡単に―――いや、この大破壊を見れば簡単(EASY)ではないんだろうが、壊れるものなのか?」

 

十文字の疑問は最もだが、魔術師にとってはそうではないもののようだ。

 

「一概に言えることではありませんが、テクスチャというものは、結構不安定なものなんですよ。星に影響を齎すほどの大破壊で、打ち付けられた敷物、織物はふっ飛ばされる。逆に言えば、その織物を止めるための鋲、錨とも言えるものがなければ、容易くふっとばされるものとも言えます」

 

「じゃあ人理版図においても、そういうものが打ち付けられているの?」

 

続いて真由美の質問にも明朗な答えが飛ぶ。

 

「むしろ人理を安定させるためにこそ、そういう星を刺しているものが必要なんですよ。だが逆に言ってしまえば、それが緩くなれば、あちこちで布に『たわみ』が出来て、たちまち妙なことになるんです―――ここのように、ある種の『物理法則の改変』が行われない土地のように」

 

「だから『異界』なのか……」

 

「そもそも霊峰富士が近くにあるということは、それだけでも『神秘』の側に近い土地なんですよ、ここ(富士山の麓)は―――そんな所に、魔法師のランクで言えば戦略級魔法クラスの大破壊を催せば、たちまちそうもなる」

 

もっとも攻撃の『質』にもよるのだが、あえてそこは言葉を濁す立華に合わせて、何も言わないでおくアーシュラである。

 

五十里によって採取された砂のあとには、被害者(ガイシャ)がいた場所への見聞である。

 

当然ながら建物は崩壊しており、土台である打ちつけられた鉄柱すら見えない有様だ。

 

それだけで、どれだけの破壊力であったかは理解できる。しかし、様々なデータから、紛れもなくここに、『四高』のスタート位置である廃ビルは存在していたのだ。

 

「アーシュラ」

 

そんな魔法師たちの怖気など露知らずなのかは分からないが、立華は行動を開始した。

 

投影・現像(トレースクロック)

 

立華に呼びかけられたことで、言わずもがなだったのか、アーシュラは呪文を唱える。

 

跡形もない空間を前にして、両手を叩いた動作。呪文と同時だ。

 

後に開いて、出来た両手の間には特徴的な魔法陣が出来上がっていた。

 

そうしてからアーシュラは片手を立華に差し出して、立華もまた額に何かの紋様を浮かべながら手を取った。

 

取り合った手のままに―――唱えられる呪文は……。

 

「「ドマリニーの時計!! 」」

 

意味は分からない。だが効果は絶大であった。何もなかったはずの場所に、なんということでしょう。立派な廃ビルが一棟、いや2つ、3つと、次々と巨大な3Dプリンタを使ったかのように『建築』されていったのです。

 

「―――としか言いようがないな……」

 

全員がポカ~ンとかボーゼンとしか言えない表情を取っている中、内心でのみナレーションを入れたのだが……。

 

(時計の文字盤か?)

 

よく見れば、アーシュラの手前にある魔法陣はどことなくそれに似ていた。それが急速な勢いで動く都度、廃ビルが建築されたのだ。

 

「行くというのならば、いつまでも固まっていないでもらえますか?」

 

「え、ええ……」

 

響子が呆然自失から立ち直ったわけだが、それにしても……。

 

(俺ならば、『やろうと思えば』同じようなビルを、砂など周囲にある物質から、同じ規模のもの建造できるかもしれない……が……)

 

恐らくこの廃ビル―――いざ入った瞬間、分かったことだが、事件当時のそれを丸ごと再現しているのだろう。

 

傷や経年劣化したものといい、あらゆるオブジェクトが、そのままに再現されているのだ。

 

達也ならば、そんな無駄ごとはしない。

 

しかし、必要とあらば―――やれるかどうかは微妙だ。

 

などと考えていたらば、アーシュラがこちらを見ていた。

 

「どうした?」

 

「いや、何かアホなことを考えているなーとか思えて、自慢しいなマウンティングしてやがんなーと結論づけました」

 

「俺の心を読むなよ……」

 

呆れたような顔をしていた原因を知り、苦笑のため息をせざるを得ない達也。

 

事実、そんなことを考えていただけに、反論するのは分が悪く、認める方向にするのだった。

 

「四高のスタート地点は4階だったんですよね、藤林さん」

 

「ええ、そこにモノリスも置かれていたらしいわ……それにしても、これだけの『逆行術』を掛けられるだなんて……」

 

「まぁ魔法師じゃ、中々に難儀でしょうね。できる人間がいないとも限りませんが」

 

可能性は往々にしてある。そう響子の疑問に付け加えたあとに達也を見てきた立華は、見抜いているのではないかと思うのだった。

 

カツンカツンと、コンクリートではないだろうが、白砂の階段を自分の足で登っていると、その残響だけが木霊する。

 

国防軍の魔法師ですら何も出来ずに、シャットアウトせざるを得なかった場所。

 

さながら崩れ落ちたゴーストタウンだ。

 

(まるで去ったものを―――)

「まるで去ったものを嘲笑うみたいに。とか、ありきたりなセリフが浮かんでない?」

 

「………」

 

アーシュラの先制攻撃。動き出そうとした矢先に決まるカウンターのごとく、達也にそれは突き刺さったのだが……。

 

「いいや、全然思っていない」

 

断固否定をすることで対抗するのであった。

 

「ナイーブ男のポエミーな独白とかクサすぎる。ただの廃ビルに何を考えてんだか」

 

「前は俺を守ってくれていた守護月天が、いつのまにか万難地天に―――いつかカレーでも作ってくれるんじゃないかと期待せざるをえない」

 

ワケワカメな事を言う達也だが、そうでも言っておかなければ負けた気分なのだ。

 

「まぁそれぐらいならば、別にいつか作ってあげるけど」

 

「――――――」

 

「ありがとう」

 

絶句する深雪を間にしてそんな会話を続けていたのだが、よく考えれば士郎先生の家―――。

 

レアルタヌアを作る最中、工房に出入りしている時に、時折ご馳走になっていた昼食―――士郎先生が数秒もせずに持ってきていたものは、もしかしたら……。

 

などと考えていると、目的地である四階にたどり着いた。そこにいたのは、スタートを待ちながらも緊張をしている様子の四高生……たちの姿だった。

 

「―――人形か?」

 

「そういうこと」

 

緊張をしている様子の四高生たちは、全て人間ではなく何かで構成された人形であった。

 

アーマーを着込み、CADも万全。そして守るべきプリンセスも、戦う気概に満ちているようにも見える。

 

 

「―――面貌に相違はないわ。間違いなく、ここにいるのは四高のプリンセスガードの出場選手よ」

 

響子が手元の端末で確認した限りでは、そのようだったが……。

 

「動かないな」

 

「ドマリニーの時計という術式は、『場』全体に働かせるレオーネ・アバッ○オのスタンドみたいなもんでね。固有の人物のレプリカを動かすには、近くまで来なければならない。ついでに言えば、出来るだけ『再生』『再現』したい状況を作り出さなければ、正確な測定が出来ないんですよ」

 

「―――というわけで、あの軍人さんは違った思惑でしょうが、私達が克人さんを連れてきた理由は、ただ一つです」

 

立華の言葉とアーシュラの言葉でため息を突く十文字会頭は―――それでもやるべきことを行う。

 

 

「戯けてる状況ではないと思うも……後輩の女子からのリクエストでは仕方ないな。では行くぞ――――ムーディーィイイイ・ブルゥウ――――ス!!!」

 

「「はい。いい声いただきましたー♫」」

 

決め台詞の言葉と同時に、四高生のレプリカに文字盤の魔法陣が転写されて―――人物の再現再生(リプレイ)が始まる。

 

 

『しっかし、俺たち一年が言うのも何だが、今年の四高(しこう)はピリッとしないよなー……』

 

『俺達もいい結果を残せていないが、それでもよ。見てる限りじゃ一高一年の男子なんてバラバラだ。俺たちよりも結果を残せてないぜ―――第1試合は勝ったみたいだけど、付け入る隙はいくらでもある』

 

動き出して話し始めた四高の発言から察するに、これが他校の認識だったんだろうなと思える。

 

見透かされていたのだ。自分たちは―――。

もっとも一応は自校のことなので、アーシュラも立華も少しは立腹しているようだ。

 

『衛宮さんもいないならば、やりようはあるさ―――そろそろスタートだ。相手の位置を探知出来るように準備しよう』

 

チームリーダーであろう男と―――プリンセスたる女子が、頷きあう。

 

どうやらこの2人が探知と防衛役で、雑話していた2人がオフェンス担当―――そしてスタート開始前の起動式の読み込み―――その時点で。

 

『―――な、なんだこれは■■■―――!!!!!!!』

 

『ひぃっ―――ひぃいいいいい!!! す、すわれる。くわれる―――ダメだ!なによこれは!!』

 

『岬!?』『三杉!?』

 

「ストップ!」

 

立華の言葉に従い、その用途であろう文字盤を押すアーシュラによって、四高の異常事態は止まる。

 

CADを操作した瞬間、異常事態を見せる四高生2人に誰もが注目する。

 

「―――CADは本物ではないんだよな?」

 

一番に求められているのは自分の知識だろうとして、達也は確認を求めた。

 

「ガワだけ似ている模造品だよ。展開されている『式』に関しては、そのまんまだけど」

 

「成程、色こそ白砂を元にしたからか分からないが、形状から言っても普通に普及されていて、且つこの九校戦で使用が許可されているモデルだな……」

 

アーシュラの言葉、そして見た限りではそこは問題ではない。

 

「―――起動式が随分と複雑に『書き換えられている』。恐らく探知系の魔法『センス・エネミー』や『サーチング』などの魔法を当初は読み込んでいたはずだが―――中度まで読み込んだ時点で記述が書き換わっている」

 

「渡辺や七草から聞いていたが、本当に起動式を読めるんだな……」

 

いまとなっては、そんなものが通用しない、意味ない無い敵ばかりを相手にしていたから、だからなんだと言うぐらいに無駄な特技に思えていたのだが、そう言われると悪い気分ではない。

 

たとえそれが、一高が誇る巌だとしても。

 

 

「アーシュラ、もう少し進めて」

「うん」

 

事態の核心たる術の発動前まで時間を進めるべく、再生が再開する。

 

『ーーーな、なんだこれ!? 俺たちのCADが強制的にぃいいあがががが!!!! ひぃいいああああ!!!』

 

『いたいたいたいたいたいたい!!!!

ひぃいいぎいいいい!!!』

 

「「ひぃっ!!!」」

 

最後の短い悲鳴は、真由美と千代田のものである。

 

実際、再生された場面では、岬、三杉という男女を心配した2人のメンバーにも明確な変化が起こったからだ。

 

分厚いスーツで全ては見えないが、顔の血管だろうものが顔面から浮かび上がって、紅い蚯蚓が何匹も這っているかのような苦悶の表情を見せている。

 

そして同時にCADが勝手に起動式を読み込み、魔法式を解き放とうとしている。

 

四人全員で読み込んでいく『巨大な魔法』―――そして、全ての人間から生気と精気がなくなっていくのを見届ける過程で―――。

 

「ストップ!」

 

いざ発動前と達也が読んだ瞬間、藤丸立華は再生停止を指示。

 

そして苦悶の表情のままに、宙を掻き毟る四高生という悪趣味極まるオブジェ―――前衛芸術(サルバドール・ダリ)とも取れるかどうかは、芸術的感性が皆無な達也でもジャッジは厳しくなるものをすり抜けて―――立華は……。

 

「………成程―――『ディオスクロイ』ということね」

 

「ってことは、この岬って男子と三杉って子は―――『同じ』だったわけ?」

 

「でしょうね。すると時限式の術式を仕込んでおけばなんとかなるんでしょう……これを見届けた人間は、一高側にいる」

 

「急ぎましょう」

 

説明はせんのかいと思いつつも、余計な口を出す暇はない。ともあれ、そこは道中で良かろうという判断なのだろう。

 

廃ビルから出ることを指示されて、全員が出ていくことにする。

 

「これ、残しておけない?」

 

流石に再現された『現場』を崩すことは、もったいないと感じた響子が、外に出てから2人に聞いたが。

 

「魔力の無駄です」

 

「そっかー……」

 

心底残念そうな響子の顔だが、そこで一つの条件を出してきた。

 

「ただし、私達が知りたいことを教えていただければいいですよ。三杉と岬―――この2人は、日本の魔法師で言う所の『第3研』の数字落ちの家なのでは?」

 

「お察しの通りよ」

 

「ならば3の研究課題というのは―――」

 

「それに関しては、響子さんに代わって私が答えるわ。第3研の研究テーマは、多くの魔法を発動させられる―――多数多種類の魔法を同時に発動し、コントロールすることにあるの。当然、それは一人のキャパでどれだけ、あるいは他者と己を『混在』させてのことも―――色々と研究したそうよ」

 

会長としての意地と七草としての意地とかで、自分たちの生家のことを語る真由美に対して、2人は頷いている。

 

 

「ああ、だから会長や弘一さんは七草なのに『サエグサ』なんですね。納得です―――じゃあ説明ついでに何ですが、他者を『支配』するなり『同調』するなりして、その他者に術を使わせることも可能で? 要するに傀儡に魔法を使わせられるかどうか―――」

 

「え、ええ。支配―――といっても、そこまで来ると精神作用(チャーマー)に入っちゃうから多分だけど、相手の『同意』があれば、魔法演算領域の『同調』も出来るわ。私の妹2人―――双子だからね。得意なのよそういうことが」

 

思いもよらぬ人物の名前が立華から出てきたことで動揺した会長だが、それでも説明は滞りなく行われたことで、立華とアーシュラは納得したようだ。

 

「単純な話ですが、ボードで渡辺委員長が救助した七高生と、五十嵐先輩が大怪我をせざるを得なかった事態―――恐らくそれと同じでしょう」

 

「つまりCADに細工が為されていたということか……だが、その可能性は俺たちも疑っていた。そして、七高のCADはともかく五十嵐先輩のCADは、チェックを掛けても何も出てこなかったんだが」

 

 

あの後、首っ引きで五十里、中条も含めて色々と調査をした。精霊魔法のエキスパートたる幹比古まで呼んで調べたというのに―――。

 

 

「そりゃまぁ、『そちら』に関して細工が仕掛けられていたのは、CADとかのアシスタンツじゃないでしょうからね」

 

「―――――――なに?」

 

その言葉の不穏さに、誰もが緊張をする。

 

だが……。

 

「とはいえ、それは後々明かすとして、今は―――、一高側の現場確認と行きましょう」

 

そんな言葉で話の腰は砕かれっぱなし。だが話の核心は近づいてくるのだった……。

 

 

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