魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
これの元ネタが分かった人はきっとスパロボ以外であれば全員同世代。
というわけでノッブ驚天動地な光のコヤンスカヤ2枚ゲット。
ありがとう高橋李依さん。ありがとうディライトワークス。
ただ宝具のあのロボがどことなく『革命』にでも出てきそうなものだと思ったのは気にしない方がイイかな?
撹乱されまい、壊乱されまいとベタ足で近づいていったのが仇になったわけではない。単純に敵のほうが一枚も二枚も上手だったというわけだが、それにしても―――。
「網にかけられたか二高」
達也とアーシュラが進撃する二高の鼻っ面に引っ掛けた網が、二高を前進させないでいた。
だが、あちらもこのままというわけにはいかない。二高とてこれを崩すには次戦力の投入が必要なのは分かっており、よって――――二高のプリンセスが怒りの表情で以てやって来た。
その様、あえて表現するならば。
『麒麟がくる!!』
その時、戦闘は変化を果たすのだ。
・
・
・
・
アーシュラの放つ水鉄砲は、単純な話―――本当に水鉄砲なのだ。CADでもなければ、魔力的な付与がなされているわけでもない。機構としては、今の世代のウォーターガンほどではないが、それなりに水量激しいものが、放たれているのだ。
しかし、それでも一つの水鉄砲にあれだけの水量があるなど、不思議極まりない。
(何かの術なんだろうが、その術が水を絶え間なく供給、魔力放出を利用して水量をスゴイものとしている)
ちょうど伸張レールで電磁加速された砲弾のように……。
「ごぼっ!!」
「藤田っ!!」
「くそっ!! どういう水鉄砲なんだよ!? あんなの反則じゃないのか!?」
また一人、魔法で作った塹壕であり防壁から顔を出したことで、水の勢いで吹き飛ばされる。
荒野に倒れ伏せる選手が出たことで、そんな嘆きが出るのあ当然だ。
魔弾でふっ飛ばされるのとどっちがいいかは分からない。
そして、その嘆きに応えたように頭上の電子巨大画面にて、スタート前の記録映像が再生される。
アーシュラが水鉄砲に水を入れる様子が見えた。
それによると―――。
「うぉおおおお!!!」
「宝蔵院!?」
「俺が盾となる!! お前たちはあばばばば!!」
「くっ! 衛宮アーシュラの『手汲み』の水を飲みたいからと、無茶しやがって!! 俺だって飲んでやらァ!! あぼぼぼぼ!!!」
二高一年は変態ばかりか!? 観客席から誰もが思う。仁王立ちの姿で水を飲まされていく。いや、飲んでいく二高生たちに対して――――。
「変態が!!」
「「「ごああああっ!!!!」」」
塹壕付近に対して進出してきた達也から、怒り混じりの共鳴が放たれる。
生体波動とサイオンウェーブの共振を食らって、三名の二高生が倒れ伏す。
進出してきた十三名の二高生のうち既に五人が討ち取られたのだが、少しだけこの戦術に思うものもいる。
「吉田くんの上方雷撃は分かるんだが、何で司波君の共鳴まであんなに効くんだ?」
「水は空気の数倍の密度があるから、その分速く良く効いちゃうんでしょうね」
「水鉄砲を選んだのもそこにあるんだね」
「そう。餅つきの阿吽の呼吸の如く、捏ねては搗いて、捏ねては搗いてを繰り返す側面攻撃の意図は、そこにあったわけです」
「ちょっと立華!エイミィ! そういう胡乱なこと言わないでよ! さっきから深雪が周囲を氷結させんとしているんだから」
「ああ、大丈夫ですよ。そろそろこの攻撃も終わりですから―――なんせ二高の
「二高の大川が衛宮さんに!!」
観客席がざわめく。二高のモノリス付近にいたプリンセスが、アーシュラに突っかかる。その護手鈎を振りかざしての様子に、慌てず騒がずアーシュラは躱す。
「自分、ズイブンとチョーシ乗ってくれたなぁ!!」
典型的な京都弁とも関西弁ともいえる言葉で突っかかる大川 佳奈の攻撃だが、流石に護手鈎のような武器ともなると、フライング・ギロチンの時のように風で掴んでも意味はない。
水鉄砲と魔弾を交互撃ちすることで接近を許さないようにしながら、ようやく見つけた木の枝―――太さはまぁアーシュラの手で握れるサイズ。長さは、1mあるかどうかがやっとの枯れ木の枝を手に取って、大川に相対―――する前に、どうやら包囲陣が敷かれる。
ここを決戦としてディフェンダーも上がらせて、アーシュラを包囲する形で一高他の連中にもにらみを利かす形が取られる。
「まさかそんな木枝で我ら二高を倒そうなんて、随分と見くびられたものね! マサキ君をしばいた際の立派な大剣ならばともかく、そんな木枝で―――何が出来るんや!?」
一喝されてもアーシュラは何も感じない。この手に握る長柄が何であれ、自分の武技を行うに不足はなし。
すぐさま構えを取るアーシュラは挑発の口舌を放つ。
「―――ブリテンの騎士の奥義、
「やっておしまいっ!!!!」
アーシュラの不遜な態度に対して、大川の号令で動き出す二高生たち。
プリンセスには接近戦は許されても、ガードである男子にはそれは許されない。衛宮アーシュラに対して妨害されないだろう距離から魔法を解き放つことで、牽制射を放ち―――大川の援護としていた。
挑みかかる大川。それと『軽く』切り合いながら、牽制射を放ったガードに対して、無造作な一振り。
空気を裂く―――と言わんばかりの風切り音と放たれた攻撃。いや『光撃』が、牽制射を放ったガードに着弾。瞬間―――兜のみが2つに割れて地に落ちる。当然、衝撃を食らったことで服も四散する。
「なっ!?」
起きた現象に驚いた時に、アーシュラは大川に逆に攻撃していく。
「よそ見していていいのかしら!」
「っ!! いけ黒子兵!!」
苛烈な攻撃に、たまらず傀儡の兵隊を繰り出してくる大川。
魔力で作られたそれはある種のパペット・ゴーレムみたいなものだろうが、それには槍や剣が握られており―――それらがアーシュラに攻撃してくる。
「バカな! アンタの光の斬撃は、あの魔術礼装である大剣あってこそじゃなかったっての!?」
「そりゃ浅慮にもほどがあるわね。そもそも得物が何であれ、ビームを放つことはブリテンの騎士の第一条件!!
ワタシにとっては、赤子の時分から教わってきた剣の秘奥よ―――木刀だろうがフォークであっても、同じことをやるのは欠伸が出るほど簡単だわ」
言いながらも傀儡の兵隊たちに、強化された肉体と魔力放出のベクトル操作で勢いある斬撃を放つ。
次から次へとズンバラリンしていくアーシュラ。暴れん坊アーシュラといった様子だ。
観客たちは歓喜の絶叫と唖然の沈黙とに2分されてしまう。そして遠間から魔法を放とうとしているものには光の斬撃が飛ぶ。
アーシュラが木枝を振るうたびに早業一閃。剣戟業火。そんな単語が似合う闘劇だ。
「魔刃たりえるは鋼だけ、光波を放つは機械仕掛けだけだと思っていたか!?
甘いわよマギクス!!
十分に練った『チカラ』と『意』を得物にこめれば、紙や布でも肉を切り裂き――――――――」
一閃、二閃、三閃――――!!
膂力の限りを込めて放つアーシュラの重い斬撃が、次から次へと傀儡を倒し、その向こうにいる二高生たちを光の斬撃で『マッパ』にしていく。
「―――骨を断つ!! まぁ今回は肉の代わりに鎧を切り裂き、服を
「「「「「「もうオムコにいけねぇえ!!!」」」」」
2高生の『下』の方に向けられた、その言葉と邪悪な笑顔に2高生は心を折られる。
……同じ男として少しだけ同情してしまう達也だったが、この大立ち回りで前線に出てきた二高生たちが、プリンセスを除いて全滅してしまった。
「あんたのその
焦りと驚きを混ぜた二高大川の言葉に涼やかな笑みを浮かべながらアーシュラは語る……。
「神君不易にして神樹殺しの魔剣『千子村正』にも通じる秘奥―――人呼んで『刃無鋒』―――4月に、夢の中で知り合いの弓兵さんから習っただけなんだけどね」
呆気なく『睡眠学習』(?)で覚えたと言わんばかりの文言。アル○イン流剣術奥義と同じような覚え方というのは堪忍袋の緒が切れる物言いだったのか、大川は怒りを顔に浮かべる。
「さて―――退くならば追わないけど、どうするよ?」
いや追えよ。そう言わんばかりの無言での言葉をあちこちから吐かれるも、グロッキー状態の大川相手に、アーシュラがこれ以上何かをする必要もあるまい。
今、態勢を整えるようにモノリスに戻ってもロクなことは出来まい。その場合は、男三人でモノリス攻略も可能だろうが――――。
「おのれ!! 二高の底意地、西の女の本意気なめたらあかんで!!!」
護手鈎の二刀流となりて、大仰に構えを取るたびに力を溜め込む大川。身にたぎらせるサイオン。そして得物に伝達される力の奔流。
それだけで荒野の砂が巻き上がり、岩を砕く。
彼女の最大攻撃のモーションであると理解できる。ソレに対してアーシュラも応じる。
彼我の距離―――およそ15m―――魔法師であるならば難なく、ましてや武芸を嗜むものたちにとっては数歩の距離と言ってもいい。
その距離において構え相対し合う2人のバトルプリンセス。
空気が乾き、魔力が満ちる。
アーシュラもまた構える。
アルトリア先生がよくとる構え。
下段―――後ろに刀身を置く―――地に着くかどうかの辺りで剣を浮かせている構え。
尋常の武芸者であれば、肉体が
「凛憧響音・絶鎌!!!」
肉体の構えから放たれる技。高速の歩法。自己加速魔法を使っていても、そうそう到れる領域ではない足さばき。護手鈎を回転する鎌のように、ヘリコプターのプロペラよろしくの大川に対して―――。
「ツルギの鼓動、此処にあり―――これがワタシの、ムラマサカリバーだぁあああ!!!!」
身を低くしながら砲弾の速度で瞬発したアーシュラに、大川は即時に反応する。予想よりも速く近い距離だが、武器破壊のための鈎が木の棒を絡め取ろうとした―――しかし、大川の反射よりも疾く、アーシュラの振り上げの剣は護手鈎の鈎部分を細断した。
正しく
幾重にも砕かれた鈎部分。だが拳腕部を保護する月牙部分を叩きつけんとした時には振り下ろしのモーション。数歩進めば月牙の距離、剣を振り下ろせる間合いではない。
勝った―――!!
歓喜が胸を満たす。そして、その未来が訪れることは無かった。
アーシュラ・ペンドラゴンの攻撃。それは、ただの一撃。
ただその棒切れを『炎熱』の魔術で最大強化した事実は、誰にも分かっていなかった。最硬度の木炭も同然となりて、硬さにおいて金剛石を越えたものとなっていた。
そんなものが振るわれた時点で、大川佳奈の勝機は潰えていたのだ。
月牙部分にすら破断は走り、そして振るわれた振り下ろしの一撃は、プリンセスの兜を砕き―――プリンセスの衣服を『戦維喪失』させていたのだった。
(あ、あほな……! アタシは最初っから勘違いしていたんか……!!)
走り抜けるように剣戟を振るったアーシュラからの気遣いで、衣服代わりに
プリンセス同士の闘いは決着を果たし――――――そして残されたディフェンス2人がもはや敗北は必至と分かりながらも血気盛んにやってきたが、それを達也とレオが迎撃することで、一高の勝利は確定するのだった。
そんな様子を見ていた観客席の数名―――中でも魔法剣士として鍛え上げてきた人間は、様々な感情を持つ。
羨望、憧憬、嫉妬、絶望……。
そして―――。
「アレが剣製の秘蔵っ子。衛宮アーシュラか……エリカが羨ましがる理由が分かるね」
タイから急遽帰国して恋人と後輩たちの様子を見に来た男は呟きながらも……一手仕合たい。と思うのであった。
・
・
・
・
・
「相変わらずとんでもない剣腕・魔力運用・そして汎用性に富んだ肉体性能……うちの特尉殿が霞むような活躍っぷりだな」
少し残念そうに云う独立魔装の山中だが、藤林としては、それでいいではないかと思う。
「達也君の異能は隠さなければならない、特別なものですから。精霊の眼は魔法というよりも、『魔眼』ですからね」
以前の藤林ならば、少しばかり浅い知識で処理をしていたが、その魔眼という区別で言えば、精霊の眼はノウブル・カラーには至らないのだ。
「しかし、このままの勢いならば、三高の王子様たちにも楽勝か? まぁ達也を技術者万能、戦闘力まぁまぁ程度で考えてくれればいいだろう」
それはある種、山中なりの妥協点であった。だが、そう上手くいくだろうか?
アーシュラがあそこまでやっている理由はまだ見えていない。しかし、一つの狙いは分かっている。
六高 宇津見エリセ、宇津見ボイジャー……彼女の眼には、三高の爆裂も稲妻も眼中にはない。
その事がどんな意味を持っていくのかは分からない。
しかし、完全に衛宮アーシュラは台風の目となっているのだ。