魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
プリンセスガード2試合を終えて、昼食時間となったわけで各々で―――と思っていたのだが……。
「なーんで、ここにいるの?」
「色々とあるが……アーシュラ達と食事がしたくて」
「しれっと嘘つくんじゃねーわよ。どうせ『あのビーム攻撃はどうやったら出来るんだ?』とか、そんな風な話を切り出したいんでしょ?」
うぐっ! 誰もが呻いてしまうほどに、的確な指摘。言いながらもアーシュラの食べる量とスピードは変わらない。
そして食べているものは……。
「―――――これ全部、お前が作ったのか?」
「オートメーションされた調理惣菜を突っ込んだだけかもしれないわよ」
達也の疑問に対して何とも言えぬはぐらかし。一高で食べている士郎先生手製の弁当箱と、遜色ない彩りある料理をアーシュラは食べているのだった。
周りには他の一高生徒も多い中、構わずに井之頭五郎をするアーシュラだが……。
やはり色々と聞きたいものたちが集まるのは仕方ないのだった。
「―――アーシュラさん。ガードの勝利に貢献してくれてありがとう」
「ビームとか攻撃手段とか話しませんので、礼だけ受け取っておきます」
「……もう私の言葉とか、予測しちゃうぐらいにテンプレ化しているのね……」
「礼を尽くせば人が物分りよくなると思っている。そういった浅い考えが、あの戦いの根底にあったんですよ。浅慮の限りですよね―――三顧の礼の劉備玄徳ほど我慢強くなれない辺りに、アナタの底が見透かせる」
「……つまり?」
「ワタシがご飯を食い終わるまで黙ってろ」
その言葉に何とも言えない気持ちを誰もが思う。確かに、三顧の礼を尽くしてまでも孔明を軍師として口説きたかった劉備玄徳は、三回目の訪問の際に孔明が在宅―――しかし、昼寝をしていると分かると、門前にて起きるまで待っていたという逸話もあるほどだ。
しかし
だが、アーシュラが伏竜鳳雛の伏竜に違わぬ力を持っているのは間違いなく、その志―――というか、モノを見る視点もまた、普通の魔法師とは違う……。
結局の所……会長は押し黙るしかなくなる。もはや会長が劉備ガンダム(?)どころか、董卓ザク(?)も同然というのがアーシュラの評価なのだろう。
三璃紗統一ならぬ、一高統一など夢のまた夢。
結局の所……そうならざるを得ないのだ。
そして会長は勘違いしている。別にアーシュラは食い終わったからと、会長の質問に答えるとは確約していないのだ。
「………」
そして会長も悔しくてたまらないのか。目を伏せている。もしかしたらば泣いているのかもしれない。同時に理解しているのだろう。
――――――これが二科生の現状なのだと。
何も教えないくせに結果だけは出せと言われて、おまけに教師に対して出来るQ&Aすら二科生はおざなりになるという。そして実技練習においては―――かつて同盟が暴露した通りだ。
これが何も教えず、知りたいと思う気持ちすらぞんざいに扱われて事に挑んでいた人間たちの心情なのだと。
「―――ごちそう様でした」
だからこそ、手を叩いて今日の恵みに感謝したアーシュラに対して、会長は口を開くことはなかった。
代わりに口を開くのは一年の優等生であり、『模範生』である深雪であった。
「アーシュラ、私は会長のように教えてほしいとは言わないわ。けれど、あんな風な攻撃をして、アナタに対する締付けがこれ以上行われたらば……」
「出場停止になるわけがないわ。本当、そこの男のスピーカーみたいに同じ懸念しか表明出来ないんだね? 自分でモノ考えるってこと出来ないの?」
「べ、別にお兄様の考えを代弁したわけじゃ――――」
深雪が口を開いたが、実を言うと深雪が言ったことは、先んじて達也がアーシュラに言った懸念事項だったりする。
しかし、その時と同じくアーシュラは、自分が出場停止になるわけがないとしてきた。
どういう確信があってそんな事が――――などと考えていたらば、共用フリースペースであるここに、息せき切って向かってきたのは、中条あずさである。喫緊の用件であると感じた全員は、答えを予測した。
やはり剣からビームを出すのは、どうしても認められないことだったのだ――――。
息を吐いて、膝に手を当てていた中条先輩は―――何とか息を整えてから顔をあげて、通達事項を口にするのだった。
「―――委員会から通達がありました!! 衛宮さん!! 防具はダメでしたが武器の使用許可は下りました!! 本当に良かったですよ!! これで剣からビームを出すのが容易になりますね!!」
『『『『『『なんでだぁああああ!!!!????』』』』』』
「な、なんでですか―――!?」
一高全てにとっての『朗報』を伝えに来た気持ちだった中条先輩だったが、その疑問の大合唱の前では、そんな気持ちは全てブレイクしてしまった。
疑問が疑問をぶつけていく様子に混乱は広がる。
ともあれ、そんな中条あずさに対して、心身の回復を分からぬように行っているアーシュラは、気遣いが出来ない子ではないことは間違いなかった。
「………この展開を読んでいたのか?」
「あーちゃん先輩に免じて答えてあげるけど、ズバリその通りだ―――」
「……理由を聞かせてもらっても?」
「それは自分で考えて」
本当にコイツは、何かの大師匠のように、まずは己で考えろとしてから答え合わせをしてくる。
達也とて、別に考えなしではないのだが、どうしてもアーシュラに関わる事象というのは、もどかしい想いを抱くのだ。
「――――――分からないんだ。本当に、普通ならば禁止されてもおかしくないはずだ……アーシュラは公衆の面前で、『刃無鋒』として澤野弘之サウンド(?)鳴り響きそうな、大立ち回りをしていたんだぞ」
「なんだ理解しているじゃない。そういうことなのよ」
リドルのようなアーシュラの返答に、達也はますます頭を悩ます。そう、本来ならばそうなって然るべきはずなのに。
―――しかし、こんにちに至るまでアーシュラによって徹底的に脳みそに対して突かれた閃き力が、発揮された。
「?―――?……!? まさかお前は……
「魔法師ってさ。プロスポーツの試合や両国国技館での力士の取組とか、見ないのかなって思うわ。あるいはプロレスラーのデスファイトとか―――特に、アナタの考案した姑息で卑劣な戦術とか見ていると、殊更そう思う」
「俺は
「まぁ勝つだけならばいいんじゃない。勝つだけならば。けど、それだとあのジジイの言った、毒電波放出大会という汚名は晴れない。なぜかと言えば、この大会を見ているのは魔法師だけじゃないから。そして協賛企業の社員さんも、魔法師ばっかりじゃないでしょうが。ならばショーマンシップを意識するのは当然じゃない」
そんな達也とアーシュラのやり取りを見て―――。
「「だからその熟年夫婦みたいなやり取りをやめろ――――!!!!!」」
達也を明確に慕う2人の女子が、大声で叫ぶのだった。
その事に『げんなり』とした達也だが、理解を求めるべくアーシュラのここまでの意図を伝えるのだった。
「つまりアーシュラが行ったことは、『ルールブレイカー』ということだ。分かりやすく言えば、『大会規定』という枷を壊すことにあったんだよ。深雪、ほのか」
「なんでそれが……普通だったらば、アーシュラには……」
「お前の言いたいことは分かってしまったが―――アーシュラは何か『悪いこと』したか? まぁ二高生たちを
「――――」
深雪の言いたいことを理解してしまった達也は、そういうことで機先を制しておく。でなければ、本戦ミラージでご披露しようとしている飛行魔法も、同じく批判されるかもしれないのだから。
「ワタシは明確に、大会からルールバインドを受けて雁字搦めの状況だった。本来ならば、これをどうにかしようと努力してくれるはずの会長さんも、『なーんもしてくれなかった』。だからこそ考えたわけよ。同校・他校もこれに対して、更に盤外戦術を画策してくるかもしれない。
そうなればエリセ相手に対して、素手で戦うなんてこともあり得た。あるいはエリセと戦うのが他になっていた可能性もある―――まぁその場合でも魔力剣を作って―――有り体に言えば
長い言葉だ。
総じて言えば、『新人戦優勝及び総合優勝したいというのに、上役は何一つしてくれなかった』
そういう言葉に通じるのだった。
「そこでワタシは考えた。どうせ十師族の笛、
「実際、web上でのコメントを見る限りでは、アーシュラに対して同情的なコメントが為されている……ソレ以外にも、アーシュラに対するアイドル的な取り扱われ方だな……」
「別にそれぐらいは、構わないわよ」
「そうか。俺とお前でボニーとクライド、冴羽獠と槇村香、ロックとレヴィ、狡噛慎也と常守朱、マフィ○梶田と中○悠一などと称されているのは?」
「最後は男女コンビ? ネットの海はとんだラジオーシャン(?)だわ……とりあえず司波くんが『もっこりちゃ〜ん』などと言うことないでしょ」
最後の方の会話は意味不明だったが、結局の所―――アーシュラの劇場型犯罪ならぬ劇場型魔法で民衆の後押しを受けたことで、運営委員会も意見を変節せざるを得なかったようだ。
要は―――『クレームが殺到した』ということだ。
まさか、それら全てがある種の反魔法主義的な思想の持ち主からの通知だなどと断じて、黙殺したとしても、既にアーシュラにある種の『手かせ足かせ』が施されているのは、多くの人間の耳目に入っているのだ。
これで次の試合も同じであれば、それどころかそれ以上の制約があれば、世間からの風当たりは酷くなる。
何よりすでに、アーシュラは九校戦のスター選手なのだ。
(ただでさえ四月の一件で、魔法科高校は世間から白眼視されている……世間から風当たりは強い。そこに同じ魔法科高校生同士の戦いですらコレでは―――明らかに火に油を注ぐわよね)
真由美は、アーシュラの深い思惑の更に深いところを読んだ。
ここに来るまで、魔法科高校の使った魔法は映像処理されているとはいえ、生で見た所で魔法師以外の人に理解されるものではない。
……『つまらない』のだ。実に退屈なのだ。
そこにアーシュラの戦い方は、実に分かりやすく単純なものだった。
無駄な小細工などなんのその。真正面から戦い、そして黄金の剣を用いて十師族すら叩き伏せる。
ある意味、時速160kmのストレートだけで戦いのけるような戦い方は、多くの人々の目に焼き付く。
どこの高校卒業後にいきなり米国に殴り込みを掛ける野球選手だ。そんな茂野吾郎みたいな闘いは、やはりスゴイのだ。
そしてその戦いで、CAD頼みの魔法師をちぎっちゃ投げちぎっちゃ投げする様子に、熱狂は渦巻くのだ。
「――――――」
しかも、ネット上ではアーシュラの両親が主に2科生を教えている事実が書かれており、どこからリークされたんだと想いつつ、それでも東京都内では校章が付けられた一高制服を纏う人間を前に、他の高校の生徒からは、あからさまな陰口が叩かれているという話もあるのだ。
税金泥棒! 親父とお袋の稼いだ金返せ! 亜人め! などと、街の往来で言われた生徒もいるとのことだ。
「………」
大衆に蔓延するその考えを払拭したかった。払拭するためにも……一高は優勝することで、それを収めたかった。
そして1科も2科も融和していけると―――司波達也にも証明してほしかった。
しかし、実態としては……このザマである。
自分の考えなど、捕らぬ狸の皮算用でしかなかったのかもしれない。
そんな風に若干ながら『鬱』っていたところに―――
一高のOBであり、真由美も知らなくはない有名人に、誰もがざわつく。
群衆に纏わりつかれながらも中心まで赴こうとする姿に、流石のアーシュラも気づいたようだ。
「誰?」
「千葉修次―――日本の魔法剣術流派『千葉流』の剣士で エリカの兄貴だ」
「ふーん」
あんまり興味なさそうな態度に、達也も苦笑せざるを得ない。達也ですら有名人だとして注目する相手も、エリカのお兄ちゃんね、などと軽い調子で答えるアーシュラの言動で、どうやら魔術師にとって、千葉道場のことなど何一つ知り得ないことのようだ。
そんなこんなで男女問わず色んな後輩たちに纏わられ、時には摩利やエリカの『制止』で止めつつも、千葉修次はアーシュラの近くまでやってきた。
見られていると理解しつつも、椅子に座りながらアツアツの緑茶を啜るアーシュラに対して、千葉氏もどう話しかけたものかと少し悩んでいる。
「始めまして、エリカの兄の千葉
「はぁ、そうですけど」
初対面の相手―――特に顔のよろしい相手にはまず警戒心を持つアーシュラの態度は、一高のOBとか日本の誇る剣客に対する失礼さが周囲からすればあったが、取り敢えず修次は気にしていないようだ。
「―――キミの闘い方は見せてもらった。スゴすぎる闘いで、正直……家の流派が邪道に思えたよ」
「はぁ」
「―――キミと一手仕合いたい。僕にも剣客としての誇りがある。受けてもらえないかい?」
その言葉に対して周囲の誰もが息を呑む。千葉の麒麟児などと称されるほどの『名剣』が、闘いを挑んできたという事実は―――――。
「いやでござる。今日は無駄な闘いはしないでござる」
シークタイムゼロ、脊髄反射の『ござる言葉』で返されるのだった。
「――――」
美形のままに固まってしまう千葉氏に、少しだけ同情せざるをえない。
千葉の麒麟児との闘いが『無駄な闘い』と称されたことは、彼のプライドを少し傷つけてもいた。
しかし、持ち直したのか、欠伸をしてから中条あずさが渡した使用武器の規定の誓約書を見ていくアーシュラに、修次は言葉を重ねる。
「そこをなんとか、ダメなのかい」
「ダメですね。全然ダメです」
「どうして?」
「アナタの流派のやり方を、ワタシが認められないからです。正直言って、看板賭けて戦うぐらいが無ければ、やる気も出やしない」
それは達也が前に聞いていたことであった。あの士郎先生による実技授業の後に、エリカが語った実家道場での修行の在り方を――――。
『けしからぬ。』
などと、かっぽれの
達也も一廉の武芸を身に着けた男だ。忍術という体術を身に着けた人間だが―――千葉道場のやり方も、九重流に比べれば『そういうものか』程度に考えていたのだが、よく考えれば―――何か腑に落ちないものもあったりする。
そこをアーシュラは詳らかにしていく。
「具体的に言えば、素振りだけさせて素養を見るだの教導もせずに、あとは放ったらかしだのってやり方ですね。武芸における『師』ってのは、正しい素振りや『握り』を教えるために存在しているんじゃないんですか? 茶巾絞りも教えていないんですか千葉道場では?」
「それは―――――……確かに僕も、外地にて剣術修行を同盟国の剣士たちに教えていく都度に、我が家の無情なやり方を少々変だとは思えていったんだ……僕個人の見解だけどね……キミの言うことは……本当にもっともだ」
家のやり方を否定しきることも出来ない千葉修次氏の苦しげな言葉に、アーシュラは何も言わない。
問題提起は別方面へと及ぶ。
「更に言えば、ワタシはアナタの『スケ』で、ワタシの上司―――数カ月後には元上司となる渡辺摩利の言いようも、なんか気に食わないんですよね」
そちらにも噛み付くとは思っていなかったのか、摩利は少しだけ呻くが、千葉氏は苦笑しながら口を開く。
「……その辺りはエリカからも話は聞いている。弁護させてもらえるならば……なんていうか摩利は以前……中学の頃、エリカにさんざっぱらやられて、それ以来……あんまり相手との技量の差がある勝負というのを避ける傾向ができちゃったんだよ。壬生さんという子には申し訳ない限りだね……」
話を全て統合した結果のアーシュラの答えは――――。
「―――要するに、全て千葉エリカって奴の仕業なんですね」
「―――まぁそういうこと」
「いや、なんでだぁああああ!? 次兄上は、全部が私のせいだって言いたいんですか!? 私は千葉道場の教えに従っただけなのに!!!」
「出稽古に来た摩利を完膚なきまでに叩いといて、それは無いだろ……まぁ、他流の剣客やそれ以外の武芸者との闘いも、重要だって言い含めなかったのも一つかな」
「前田光世方式の決闘―――それが必要ですね」
マンドクセーなどとだらけていくかと思っていただけに、達也としてはアーシュラが、少しだけ食いついていることに意外な思いだ。
「稀代の柔術家……前田光世方式……うん? もしかしてアーシュラちゃん―――キミは……」
何か思い当たる節があるのか、気づいたらしき千葉OBの言葉に対して、端末から何か―――画像か写真かをプリントアウトする。
「先程、我がカルデアが誇る『うどん剣豪』―――『ムサシちゃん』から届いた、衝撃のスクープ写真です」
プリントアウトされた写真を人差し指と中指で挟んだアーシュラは、軽快なスナップスローで摩利のそばにあったテーブルに投げた。
紙なのに、何かの刃物のように角を突き立てられていた。
それを摩利は手に取り―――そして、その摩利の取った写真を、後ろから横から覗き込むように全員が見たあとには――――――。
「――――シュウウウウウ!!! こ、これはどういうことなんだ―――!? この桃色がかった銀髪の美人は誰だ―――!!!???? キリキリ吐け―――!!(涙)」
「ま、摩利! 落ち着いてくれ!! ミヤモト殿とは、タイ王室の前の東南アジア歴訪及び現地視察の際に出会って―――」
「次兄!!!! エリカは見損ないましたよ!! こ、こんな肌見せ衣装が激しい女に、武門の師兄たるモノが相好を崩してどうするんですか!? 和兄ならば、ともかく!!」
女2人の悋気を受けて千葉OBもタジタジだが、その写真を最後に見た達也は「まぁ仕方ないか」などと言われるぐらいに、スゴイ美人が、朱塗りの酒器―――大盃呑みあげて気勢を上げている瞬間であった。
ちなみに件の千葉OBは、完全に酔っ払いながらも『美人』に対して両手を振り上げて熱狂している様子だった。
なんだかどっかの会社の慰安旅行でのワンシーンにも見える宴会場でのそれは、まぁ恋人と妹に疑惑を持たせるに相応しいものだった。
などと達也は結論づけておくも、写真の美人は―――何となく見覚えがある。
あのランサー=クー・フーリンとの桜並木での闘いの後に見せられた、カルデアの人理再起のための戦い……そのあとの戦いで見たような気がしていた。
(立華いわく、見せられた記憶映像は、その当人に『会わない』と明朗に分からないらしいな)
カルデアが召喚に成功できた英霊の数というのは、とんでもないもので、下手すれば悪霊・邪神のような存在まで含めていってしまうのだが――――。
それはさておき。
アーシュラの言う『ムサシちゃん』
千葉修次の言う『ミヤモト殿』
この2つが導き出す答え―――美人の正体とは――――。
「この美人は、サーヴァント。二天一流兵法の開祖とも言われる剣豪英霊―――巌流島の戦いを制した『宮本武蔵』か!? そうなんだな!? アーシュ―――――ラ?……」
久々にアタリの推理を披露出来ると達也が振り返った目線の先に―――アーシュラは居らず、言葉が尻すぼみになってしまうのは避けられなかった。
周囲を混乱させるほどのとんでも情報を教えてから、自分への興味を無くした際に『スタコラサッサだぜ。』をやるアーシュラの手法を忘れていたのだ。
そしてそんなアーシュラは……。
「そんじゃ、村正おじいちゃんもとい士郎君の剣と私の剣を受け取る前に、一手仕合おうか! アーちゃん!!!」
「さっき同級生の兄貴の誘いを蹴ったばかりなんですけど、それでも―――ワタシがエリセに勝つためには、アナタと戦わなければならない! お相手します!!
ムサシちゃん!!」
「応! 騎士王の娘!! 打ち込んできなさい!!!」
などと、人知れず―――最大の試練に挑んでるのであった。