魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
そのせいなのか1日辺りのUA数も伸び悩む。
気持ちのモチベーションなのか、それとも飽きられつつあるのか考えながら書いていきます。
申し訳ないですが、感想返信はしばらく出来ないので、設定とかに関して色んな質問、リクエストをされてもレスには困るので――――――そういった系統で無ければとりあえず目を通していきます。
勝手な申し出ですが、最近そういったものが多いので、ちょっと返信はやめておこうと思います。感想欄などで暴露するというのは―――神坂先生クラスでないと出来ないことだと反省しつつ新話お送りします
(戦うとなれば、本当に快活に楽しそうに動くもんだな……)
アーシュラと宇津見エリセとの戦いは、魔法師の認識能力を超えた領域での戦いとなりて、余人の介入を許さないものとなっていた。
となると、必然的に達也たちが相手にするのは六高の他の面子になるのだが……。
「通さないよ!!」
アーシュラの宣言とは違って、達也たちを足止めする存在に宇津見ボイジャーが存在していた。
ボイジャーが『CAD』から放つ『現代魔法』は、こちらを圧倒する。
「ボイジャー将軍を主軸に、一高を打ち倒せ!!」
そのなりで将軍なのかよ、などと言いたくなるが、大銀河を舞台にした星間戦争でも、小さいが機敏に動いて光剣を操る『マスター』がいたことを思い出す。
2090年代においても、あの名作スペース・オペラは色褪せないものだ。
そんな訳で、クローントルーパーの如き六高男子たちによって、進軍は止められていたのだった。
「ボイジャーはサーヴァントのはずだけど……何というか、神秘とは真逆の力を感じるよ!」
空気弾が砲弾のように叩きつけられる中でも、幹比古の分析。
こりゃマズイなと思いつつも、ボイジャーを無視してほかの六高ガードを倒す。そのプランへと移行するのだった。
そのためにもアーシュラには、モノリスの開放を願いたいのだが……などと思っていると、空気弾による砲撃とは違う風圧が、達也の頬だけでなく全身を撫でる。
強風、暴風、轟風……そうとしか称せられないものが、戦場に乱入してきた。
「宇津見さんを引っ張るようにして……」
「こっちまでやってきたのか……」
アーシュラの足さばきと槍さばきに対応するために、宇津見もこちらに移動してきたが。
こんな混戦状態では、邪霊を操ることは不可能のようだ。
「エリセ、これじゃ作戦がくずれるよ!」
「わ、分かってるけど! 私一人じゃアーシュラが抑えきれない!!!」
言いながらも槍撃は絶え間なく続く。防御主体の宇津見の黒槍に対して、攻撃的なアーシュラの槍は雷を付与されて宇津見を圧していく。
「双竜炉心・開放―――
その狭間にアーシュラは、『呪文』なのか、何かを唱えてから、一刺絶殺としか言えない突きが放たれて、強壮な赤龍と蒼龍の鎌首が顎を開き、『あぎと』で噛み砕かんと迫る。
ある種、現実離れした攻撃。幻影による魔法『化生体』なのではないかと、思ったのも一瞬。
赤龍と蒼龍のオーラは現実を脅かす『破壊力』を以て、宇津見に迫る。
「食え!! エルケーニッヒ!!」
しかし、それを無に返すのも神秘の御業。邪霊で固められた武器―――フレイルが、それらを消し飛ばす。否、
ともあれ、その間隙を利用して―――。
「ホイッ!!!」
「げぇっ! モノリスを開けられた!?」
有効射程範囲に入ると同時に、アーシュラは六高側の石版を開けた。
六高ディフェンダーの驚愕の声も当然だ。踊るように舞うように、飛ぶように―――三次元の軌道で動き回るアーシュラが、それを成したのだ。
もはや此処まで来ると、戦術とか戦略とかが必要な領域ではない。誰か一人がモノリスを打ち込むことに集中しようとすると、六高はそれを邪魔しようとするだろう。
だが……。
「パンツァー!!!」
飛剣を操る西城レオンハルトが、八高との戦い以来見せてこなかった
飛剣の刃が、落ちてくる途中で多くの刃片となりて、ふりそそぐ様は正しく悪夢。更に言えばそれには、先程アーシュラの放ったアスラの邪竜の魔力が込められていた。
小通連にある種の『魔力チャージ』機能を増設しておいた、アーシュラの秘策である。
「僕が援護をする!! 達也!! 衛宮さんと一緒にモノリスのコードを打ち込むんだ!!」
幹比古の魔法攻撃。古式の神童として自信を取り戻した彼の実力が披露される。走り回りながらも、それに対して洒落た敬礼を同時にするアーシュラと達也。
手首付近にあるキーボードを打ち込む達也を狙う魔法攻撃を防ぎながら、カウンターの魔弾を食らわせていくアーシュラ。
もはや、ここに至って六高は痛感する。一高のメンバー全員が、一騎当千の実力を持っている。
たとえ一人でも自由な戦術行動をさせた瞬間に、『穴』は塞がるのだと。
衛宮アーシュラに気を取られすぎて、本質を見誤っていた。
あるいは……戦術を変更するべきだったのだ。
(だが、それは出来なかった……あえて衛宮アーシュラを避けて、モノリス陥落だけを目指すことも不可能な話ではないが……)
(戦いの場にあって、アーシュラとの『直接対決』を避けた勝利など、本当の意味での勝利ではない。そう印象付けられた時点で、もはや運命は決まっていたのね)
三位決定戦を勝利した、三高の一条将輝と一色愛梨とが想う。
キャッチャー立たせてスラッガーを敬遠するなんてことは、魔法師の実力者たちには無理だったのだ。
そして……およそ2分後には、司波達也の方からモノリスのコードが送信されてウィナーが刻まれる……プリンセス・ガード優勝は一高。そのことに、誰しもが様々な感情を持つのであった。
その間隙を縫って、災厄は訪れた……。紅の外套を身に着けた存在。
遅れて赤雷がフィールドを圧倒する。異常事態を感じた時には、始まりは告げられたのだ。
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大歓声にして大音声響くフィールド。勝利を得たことに慢心するわけでもなく、ただ単に息を吐いていると……。
「負けたわ。アーシュラ」
「本当のガチでやりあえたわけじゃないけど、ローマ百騎長の槍技、堪能したわよ」
「そう言ってもらえると何より、けど少しだけ悔しいかな。私だってアナタと同じような出自なのに」
「練度が違うってことで納得しておいて、それに……なんでもないわ。ありがとうエリセ。今大会で一番楽しめた戦いだわ」
そんな風に言って握手していると……。
「それ、一色さんとか三高の人間たちに聞かせるなよ」
大顰蹙買うぞと言ってくる司波達也だが……。
「アーシュラに後ろから抱きついている君がそれを言うか」
「エロスなんだねタツヤ」
ジト目で返すエリセ。淡々と心を抉ってくるボイジャー。
だが、そんな心の痛みよりも……達也は心地よさを感じるアーシュラに抱きつけるという幸せを、優先するのだった。
「本当にキモいなー……はっきり聞くけど、ワタシのこと好きなの? だとしてもそれは、実妹『司波深雪』を押しのけてでも、そういう感情なの? あるいは、ただ単に
真剣な問いだ。だが……それ以上に最初の『キモい』と言われたことが達也の心を抉る。
「お前の一言が俺の心を抉るよ。……なんでだろうな……本当に」
それでも深く抱きつくことを許して労るようにすることに、安らぎを得ていた……そんなところに―――。
生まれる殺気。もはや隠す必要も無くなった殺気は、紅い外套を纏って、この戦場に乱入した。
あまりにも唐突な登場。
あまりにも速やかな侵入。
あまりにも濃厚な死の匂い。
「な、」
メディカルチェックをしにきた九校戦の担当官が驚きの声を上げた瞬間。
「―――邪魔が多すぎるわ」
誰もが注目をした瞬間。
一高と四高の戦いの時のような破壊が巻き起こる。
紅外套を中心とした大破壊の形成が、観客席にまで及んだが――――。
「こうなることは分かっていた。こうなる前に探し出せれば良かったのだが……」
嘆くように言うも、聖盾の英霊『サー・ギャラハッド』が、それらを全てシャットアウトしていたのだ。
「
「ああ、息子の背中は―――私が守る!!!」
似たような紫色の鎧を身にまとう親子が応答し合う。言葉の不穏さはともかくとして、そのあり方にちょっとだけ安堵してから―――。
「一高の皆さん、ここは危険です。速やかにひな―――」
観客席に駆け寄ってきた九校戦運営委員の一人を魔弾でふっ飛ばした。
「藤丸!?」
巨大な魔力塊で吹き飛ばした行為で驚く克人の言葉。
空席に叩きつけられた運営委員。気でも狂ったのかと言いたげな視線を無視しつつ、武蔵ちゃんとガレスを呼び寄せて、警戒させる。
「お、お前一体何を……なっ?」
「既に『感染済み』だったか。しかも、深渡が深すぎる―――」
こちらの攻撃に対して、すかさず『むくり』と起き上がる運営委員―――の姿をした『死体』。
首がへし折れた状態であっても、まるでそれを意に介さずに立ち上がってきた。同時にあちこちから年齢こそ違えど、運営委員の格好や、その下位スタッフが様子を異様にして―――こちらに向かってきた。
その数10名ほど。首が螺子曲がったのすらやってきたのを見て―――。
「斬り捨てて、天魔剣豪・宮本武蔵」
「委細承知!!!」
飛びかかるように一高観客席にやってきたのに先んじて、武蔵の剣が閃く。常人の眼には水しぶきのような輝線が走ったとしか見えないもので、動く死体がバラバラになった瞬間。
灰は灰に、塵は塵に。の末路の通りに。
動く死体―――屍食鬼は、滅ぼされた。その様にざわつく群衆だが、そんな事に構っていられない。
「アリサ、『眼』を使ってわかる?」
「見える限りでは、グールは残り十五―――死徒反応一つ……!!」
「英霊たちに情報を転送して、マリカ。アナタはアリサの護衛よ」
「合点承知!」
矢継ぎ早に指示を出しながら、星の魔導器を操りて場を作る藤丸立華は……。
克人に向き直って事実を告げる。
「克人さん。前に指示していた通りです。全員を観客席から避難させてください。―――『敵』が襲撃を仕掛けてきました」
淡々とした言葉。その言葉に……。
「俺達は……戦力にならないのか?……」
分かっていた。理解していた。だが、ここでも俺はのけ者なのかと、苦しい想いを抱いて吐き出すも……藤丸は変わらずであった。
「ええ、なりません。ゲストの避難は、前もって言っていたとおりです。ベディヴィエール、ガウェイン、トリスタン、ガレス、モードレッド、頼みましたよ―――アグラヴェインもね」
『『『『『『Yes Master』』』』』』
いつの間にか、アーシュラのサーヴァントがもう一騎現れて、避難誘導を行う人間に加わる。
余計な言葉はいらない。力なき民を守るのに、暴虐の異民族を撃退することに、騎士は剣を振るうことで存在意義を示すのみなのだ。
『その前にテメーラ! 槍投げ記録に定評のある円卓!! 自信あるもの手を挙げて、オレをアーシュラの場所まで投げてヨロシク!!』
「横柄なんだか殊勝なんだか分からない言動は、やめた方がよいかと思いますよ。ケイ卿……」
どっからか現れた四角い『金箱』が、ガタガタ、カパカパと開閉しながら言ったことで、苦笑しながらもベディヴィエールは、その右腕で手に取り―――。
「では不肖、このベディヴィエールが投げましょう!!」
『おう! 盛大にやってくれや!!!』
銀腕から投げられた金色の箱―――それがバトルフィールドの、もうもうと立ち込める煙の中に投げ込まれて―――。
それを晴らすように黄金の光条が天空に突き抜けていき―――戦場に黄金の姫騎士が現れるのだった。