魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~   作:無淵玄白

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アスラウグちゃんかぁ……カルデアにエミヤ一家とは違うファミリーが出来上がる可能性が大。プラス娘婿か……そして、『叔母』と呼ばれるワルキューレ三姉妹。

実装されるかどうかは、まだ分からない。しかし、ヴァルキリー好きな社長の鶴の一声が

と妄想しつつ新話お送りします


第91話『後夜祭-Ⅰ』

 

最終日の日程を終えた九校戦。優秀選手の表彰式にて、とんでもないことが行われていた。

 

各部門の優秀選手の表彰式にて、クラウド・ボール部門にて―――表彰された『一色愛梨』が、受け取った表彰状と記念品を、その場でサーベルで叩き斬ったのだ。

 

記念品は95年度のメモリアルプレートだったが、それすらもサーベルで叩き斬った剣腕とあまりにもあからさますぎた行いに―――誰もが唖然とした。

 

 

『このような腥いハラワタから出たような金看板など! 喜んで掲げられるものかっ!!!』

 

その拡大された声と言葉で言った女騎士の言葉に、誰もが沈痛な表情と沈黙で応えて、その後には―――。

 

『自分も、一色後輩と同じ意見ですな。申し訳ありませんが―――これは『お返しします』よ』

 

本戦ピラーズ優勝であるボイジャーを差し置いて、優秀選手として表彰された十文字克人は、魔法で極小のサイズにまで『縮めた』表彰状と記念品を突っ返すのだった。

 

他の人間たちも、その行動に驚いたり、どうしようかと戸惑って、それでも表彰式は……『終わり』を迎えた。

 

 

「別に受け取っときゃいいのに、既に私達の口座にミリオンダラーが入金されているんだからさ。うえっへへへ! 気分は正しくゴノレゴ13!!」

 

「十師族やナンバーズからかなりの資産を分捕ったようだな。ウチの管財役の執事が俺に泣きついてきたほどだ」

 

平素は達也に厭味ったらしい執事が、上に下にという資産の移動を当主から急に言われて、FLT側の資産も引き落とさなければなかったようだ。

 

つまりは……ナンバーズからの『口止め料』というか、迷惑代をアーシュラや立華、宇津見エリセなどに支払うことで、権勢を維持することにしたようだ。

 

「だが、こんな風に跳ねっ返りが出るならば、効果は無かったかもな……」

 

一色や十文字のアレを見るに、どうやら意味は無かった。そもそも、ここまでの戦いを見ていた面子ならば、誰がMVPであるかなどは一目瞭然なのだから。

 

「ワタシは満ちた預金額を見るだけで幸せ。『お兄ちゃん』みたいに『宝石』を使わないといけない魔術体系じゃないけど、色々としてみたいことがあるからね」

 

「深雪は従容として表彰されているな」

 

「そりゃ深雪ちゃんとワタシは戦っていないもの。競ってないもの。最優秀選手であることは間違いないわよ」

 

そういう突き放した言い方をするから、深雪はアーシュラを苦手だと想う。しかし、だからといって直接やり合うことを避ける。その消極性と安全圏から出ない姿は―――。

 

(次期当主候補としてどうなんだ?)

 

実妹に対して辛辣なことを想いながら―――遠隔で表彰式の様子を見ていたアーシュラと達也。

 

山のように積み上がったハンバーガーを次から次へと咀嚼するアーシュラを見ながら……。

 

「アーシュラ……お前は―――『女性のアーサー王』の『娘』ということなのか?」

 

真実を射抜く心地で言葉を放ったのだが―――。

 

「そうよ。ワタシの母『アルトリア・ペンドラゴン』は、女の身でありながら滅びゆくブリテンを救う王として、魔術師マーリンと祖父『ウーサー』の策にて『創られた』存在―――そして、その母と子を成したのがワタシの父ってことよ」

 

一息に言われて、あっけらかんと、何気ないことのように言われて、さしもの達也とて反応に困ってしまう。

 

そんなにまでもあっさりと自分の出生に関して打ち明けるとは―――だが、それとて……なんというか不透明なものに思える。

 

アーシュラと立華は言ったはずだ。過去の英雄・英傑というのが実を持った霊体として存在しているのが『サーヴァント』という英霊の分身なのだと。

 

そんな達也の疑問を理解したのか、アーシュラは少しだけ乾いた笑みを浮かべながら口を開く。

 

「……本当に聞く気があるならば、少し長い話になるわよ。そして、アナタの頭良すぎるオツムで理解出来る話でもないと思うわ」

 

「……バカにしているのか、褒められているのか判断に困るな―――叔母は知っているのか、このことを?」

 

「でなければ自分の―――甥っ子にあれこれ指示を出すわけがないでしょ」

 

途中でなにか言葉を詰まらせたアーシュラだが、言おうとしていたことを変更したのはなんとなく理解できた。

 

文面は通っているが、何かを誤魔化された。と感じつつも―――。

 

「教えてくれ―――キミは何者なんだ?」

 

今は、あの時……鏡面界という異界で口づけをしてくれた少女のことを、本当の意味で知りたいと思えた。

 

あの時、空虚(からっぽ)で、冷たく、冷めていた、どこまでも不感で俯瞰だった達也の世界を変えて(換えて)くれた少女のことを―――。

 

その想いが通じたのか―――アーシュラは少しだけ嘆息をしてから、表情を改めてから口を開く。

 

「―――『私』は―――――――そして―――――――」

 

言葉は朗々と続く。

 

昼下がりのカフェラウンジで、達也ならずとも衝撃である出生を語るアーシュラ。

 

その言葉全てを丸呑みにするには知識が足り無さすぎた。

魔術世界に理解ある魔法師であっても、それを丸ごと信じるには―――。

 

それでも……彼女の言葉を信じてしまう達也がいるのだった。

それは幻想のおとぎ話でありながらも、世界に一つだけの家族に出来た奇跡なのだと。

 

「―――そして、両親とペットと一緒に星の内海から出てきたってことよ」

 

そんなお引越ししましたみたいな気楽な言い方はどうかと思うも、その説明で全ては決着した。

 

「……アーサー王は『永遠の王』。それは、そういう意味だったのか……」

 

英国人たちのメンタリティというものが及ぼした結果なのかもしれないと思いつつ、少しだけ疲れつつも―――。

 

「ヒト、竜、妖精―――その3つのチカラが混ざった存在が、アーシュラ・ペンドラゴンということか」

 

未だに人理に対して存在を続ける、夢魔との混血である花の魔術師『マーリン』が、意図して士郎先生を『奥』へと誘った可能性もあったのだろうが……それにしても―――

 

「お前は俺と違って天然自然の存在だったんだな」

 

「アナタと同じく改造されていれば、違った目線もあったかもね」

 

「羨ましいよ……本当に」

 

同時に、この子に惹かれている理由も知れた。

 

自分は母親に改造されたことを自意識過剰に、なんというか……自分が世界で不幸な存在であると、語らずとも語っていた―――ようは、自分に酔っていたのだ。

 

そんな自分を慕う深雪などを筆頭に、周りは……自分を甘やかすヒト……否、女の子ばかりだったところに……。

 

この娘は―――。

 

『甘えてんじゃね―――!!!』

 

と、ハンマーで自分の心地いい場所を叩き壊しに来るのだから、困った話だ。だが、その彼女が一番に―――達也にとって『世界で一番のヒト』になってしまうのだから、本当に困った話だ。

 

俺だけが安らげる楽園を壊しに来る。そして、違うものを見せてくる―――。

 

自分の世界を違う色に変えてしまうのだから……。

 

 

「ところで、今日の後夜祭―――出るよな? 出てくれよ。出ないなんて言うなよ」

 

「そこまで念押しするとか、どんだけ~。ご飯が出ないならば、焼肉『大帝都』でアリサ・茉莉花たちと飲み食いしたかったんだけどなー」

 

「そういうからには、十文字会頭からも釘を刺されたか」

 

ダレながらも、机の下で脚を伸ばしたりばたばたしたりする、白鳥の湖なアーシュラの心は、まぁなんとなく理解できた。

 

「ああ、けれど……一つだけ楽しみがあったわ」

 

「あっ、イヤな予感がする。俺のシックスセンスが、一人のご老体の不幸を、予言するぞ」

 

すっかり忘れていた。あの懇親会での一幕を……。

 

 

「タノシミだな〜♪ 九校戦音頭〜〜〜♪♪ 」

 

絶対に『タノシミ』のベクトルが違うアーシュラの笑顔を見ながら、一人の老人の今後に対して合掌をするのであった。

 

 

 

 

結局のところ―――九島烈は逃げ出した。

 

後夜祭合同パーティーの最中に、会場に入ってきた響子が恭しく、立華とアーシュラに渡した一枚の紙で、『設定年齢19歳 蟹座のB型』での『九校戦音頭』は無くなっていた。

 

だが、九島健の早急な帰国へは尽力すると書かれていたのだが……。

 

「半年、いや本当だったらば3ヶ月でもいいぐらいですよ。それ以内で出来なければ、アーシュラの中にある『童子』を再び解き放ちますよ」

 

「!!! ……そこまで大叔父さんを帰国させたいの?」

 

「いつお迎えが来るか分からない御老体がいて、その人が故郷に一度は戻りたいと願っても帰れないとなれば、仏心ぐらい出ましょうよ」

 

脅されたあとに、そう言われた響子はそそくさと会場から去っていこうとする。去ろうとする前に、背中を向けながら言葉をかける。

 

「……私は、そんなこと知らなかった。お祖父様に弟がいて、そんな『事情』があって……合衆国に追放されていたなんて……」

 

「しかし、古式側の理解者・調整者であったケン・クドウを欠いたあなた方は、古式……退魔と混血も含めた人間たちから壮絶な復讐戦をされた。我々の業界で『因果』とは―――どれだけの時間が経とうと、どんな場所であろうと、どうあっても切り離せぬものなのですよ」

 

その言葉を受けて、目尻を拭ったらしき動作をした響子は今度こそ会場から去っていく。

あくまでも『九島家』で信を寄せているのは、九島烈ではなく九島健だけだとする立華の態度は、響子からすれば無情に感じたのだろう。

 

ともあれ、そんな立華は―――。

 

「アーシュラ、アンジェリーナとコウマに連絡を取りましょう。お祖父ちゃんの帰国の道筋は取れた。と!」

 

「かしこまっ!」

 

翻ってアーシュラに対して、朗報の電報(古っ)を送れと伝えるのだった。

 

先程から魔法業界の名士たちから『スカウト』を受けていた達也は、何故か―――彼らの周りにだけは誰も来ないことを訝しむ。

 

(何かしらの認識阻害の術を使っているのか?)

 

立華はともかく、アーシュラに有象無象が近づくことを良く思わない達也は、それを良しとしていたが―――。

 

 

「達也くん。人気者すぎて応対に疲れているところ悪いが……衛宮と藤丸がいないんだが、もしかしてブッチしたのか?」

 

「委員長にも見えないんですね。アーシュラと立華は普通にいますよ……」

 

戸惑った委員長だが、達也の指で示した辺りを眼を凝らした末に、ようやく見つけたらしい。

 

驚いた委員長だが、そこに走り向かっていき―――どうやら見失った様子を見て、仕方なく達也も近づいていき、何とか2人を見えるように仕掛けを解除した。

 

「お、お前たち! 何だって会場内にいることを示さずに、隠れていたんだ」

 

「「なんかウザそうだったから」」

 

「………ううっ、シュウだって話したいとか言っていたのに……」

 

「軍人剣士さんと話すことなんて無いと思いますけどね」

 

「アーシュラの剣は自由騎士の剣であって、千葉OBに得るものは無いと思いますよ」

 

なんて突き放した言い方だ。だが、達也にも分かる。

 

アーシュラの剣には迷いも躊躇いもない。ただ己の力と技を信じ、剣を操っている。

 

まっすぐな剣は相対し合うだけで、射抜かれるような気持ちになる。

邪念を持ったものを一瞬にして看破するそれは、一種の試練だ。

 

だからこそ、魔法剣士の誰もが、アーシュラの本気の剣を引き出したいと願うのだった。

 

だが大抵は、その前に終わってしまうのだが……。

 

ともあれ、後夜祭の目玉たるダンスパーティーは始まる―――。

 

 

 

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