魔法科高校の姫騎士~Alternative Order~ 作:無淵玄白
ここをやるつもりは無かったのですが、なんとなく書いておこうと思いました。
変化はここで見せる。
前回のあらすじ
渡辺摩利、バニーになるってよ。
驚異のアーシュラマジックによって、バニースーツの衣装を着せられた渡辺摩利。
再び説明を受けることで、納得をすることにしたかったのだが、その説明を受けたことで更に困惑することに。
「シャルルマーニュ十二勇士のうちの一人、一色愛梨が着たシュヴァリエ・ブラダマンテとも関わりがあるシュヴァリエ・アストルフォ……。その霊衣が―――『これ』なのか!?」
「まぁ十七夜さんが着たのが、『ライダー』クラスのアストルフォで、委員長が着ているのが、『セイバー』クラスのアストルフォということです」
「もう何か、説明を受けても全てを理解出来たようで出来ないようで……英霊ってのは、そういうものなのか?」
「そういうものなんですよ」
もう少し詳しい説明を貰いたいところだが、それで納得しろと言わんばかりに詳しい説明をしないアーシュラ。
多分だが、次から次へと出るだろう質問に答えることを煩わしく想っているのだろうが、なんというか……。
「これ以上は問答ではなく剣を交えて語るべきこと―――当然、その剣『カリゴランテ』の扱いも教えて差し上げますけど」
「私の力量では扱えない―――と?」
あのCAD一体型の剣―――恋人である修次と共に修練して、その上で開発してきた魔法剣技を発するに十分な得物。
その鍛錬では足りないのか? と不機嫌を言外に含めたのだが……。
「あのサイズの剣を扱う程度ならば、問題なく―――ただ、『この剣』は、かつて神秘が衰退した大陸側国家―――フランク王国、現フランス国土にありし巨人族を拘束して捕らえた剣。得物としての格が違います」
「……お前は本当に―――」
先輩や上司というのを持ち上げない。あからさまにヨイショしろとは言わないが、どうにもこうにも……人の下に就くような性分ではないことが『王』としての資質なのかもしれない。
だが、現代社会において、それは悪癖であると窘めようとしたが―――。
「おためごかしの
―――渡辺摩利の剣客としての在り方を問われては、どうしようもないのであった。
しかも、摩利が言おうとしたことを見抜いているし。
そして何より言葉の途中で、こちらと同じくバニースーツ―――摩利のと色違いではあるが、それを着て同じ得物を持つアーシュラ。
バニースーツの美少女2人が剣を持ちながら話し合うという奇態な状況に、誰もがツッコみたいのにツッコめないという自縄自縛に陥る。
「使用方法は、
「いいだろう。お前が武芸百般の百戦錬磨であろうと、私にもシュウと、そして多くの―――アドバ流の剣士と磨いてきた矜持がある!! 今度こそ痛い目を見ても知らないんだからな―――!!」
その涙目ながらも気勢を吐きながら迫る摩利の、剣客としての挑戦が始まるのだった。
……20分後……
バニーガール姿の剣士2人が戦い合うという、一昔前のソーシャルゲームでしか見られそうにない戦いは決着を迎えていたのだった。
ヴルカーノ・カリゴランテという鞭剣、蛇腹剣の檻に囚われた渡辺委員長に勝ち目はなかったのだ。
栽培マンに自爆されたような倒れ伏し方をしていた委員長ではあるが……。
「ここまでやられるのか!? というか、お前! 色んな武芸に通じすぎだろ!! ヒジョーに羨ましすぎる!!」
ズタボロであった摩利に、すぐさま追加の霊衣が
ある種の『謎の光』で、見たい部分が見えなくなるような円盤処置というものであった。
「アストルフォセイバーの武技、大体の要領は分かりましたでしょう。あとは実践あるのみですが―――……委員長がプリンセス・ガードに出場するという仮定として、これ着ます? 千葉OB泣きませんかね?」
本題に立ち返ったアーシュラのジト目での質問に対して……。
「むしろこれでシュウを誘う!! そんな安い男じゃないと信じたくても、
鬼気迫る表情で言う摩利に対してアーシュラは何も言わない。そういうからには所詮は他人事でしかないのだ。
「まぁ、そもそも今回のことは意味のない仮定でしょ。結局、委員長だけに用立てたとしても、他の八校から『やんややんや』言われるでしょうし、そもそも
「そ、そうだな……けれど―――」
羨ましかった。女子ならば誰もが憧れる変身ヒロインのような姿で、ズンバラリンと相手を倒していく様子は……。そんな摩利の気持ちを察したのか、アーシュラは嘆息しながら口を開く。
「それはあげます。千葉OBとの情事に使うもよし、ただ、それを使って修練してみてくださいよ。英霊のチカラの一端ぐらいは感じられるはずです」
「……いいのか?」
まさかの『プレゼントフォーユー』に摩利は面食らうも、アーシュラの言葉は鋭い。
「欲しい。羨ましい。妬ましい―――その心から出た剣が、果たしてどういうものになるのかを教えて下さいよ」
でなければ、いつまでも千葉流の看板は返されないし、何より壬生紗耶香との戦いで負った全ての混ぜものを返済できない。
「委員長が、別に山籠りでもして『悟り』を開けるならばいいんですけど、卒業間近の現在で無理でしょうからね。アストルフォセイバーの剣で、少しは他流の剣ってものに触れてくださいよ」
「……ボードの時にも想ったが、本当にお前は私を砕くな……だが、ありがたく貰っておこう」
三高の一色愛梨たちの時にも想ったが、あれだけの質量物をどうやって収納したのか、ペンダントのようなものになって収まるのだった。
それを受け取った後には、用事は済んだとばかりにアーシュラが武場を後にしようとしたときに、武場に入り込む集団……。
その面子は、いわゆる『生徒会役員共』だった。
いきなりな登場に武場全体がざわつく。生徒会役員ではないが、十文字会頭も先頭を歩きながらの行進、特捜最前線か西部警察の刑事たちのような登場だ。
大門部長刑事のような十文字を見つつも、その脇を通り過ぎようとしたアーシュラだったが。
「いや待て、俺達はお前に―――アーシュラに用事があってここに来たんだ」
「あんまりワタシにとって嬉しくない用事でしょうね」
「―――……まぁそうかもしれない。だが、話だけでも聞いてもらうぞ」
態々、公衆の面前で語るべきことなのだろうか? ここには多くの生徒たちがいる中、内緒話ではないとするならば―――。
「七草」
「ええ……まどろっこしく言うことは、アナタを不機嫌にさせると理解しています。だから簡潔に言います。
衛宮アーシュラさん―――アナタには第一高校の生徒会長になっていただきたいと思い、来季の改選生徒会選挙でアナタを次期生徒会長に推薦します」
その言葉に周囲からざわつきが出てきて―――。
それに対して―――。
「断固辞退しましょう」
ここまではワンセット。分かりきったやり取りだ。
だが、少しは乗り気になってくれてもいいんじゃないか? という周囲の無言での声を聞きつつも―――。
「そうね。そう言うと分かっていたわ。だからこそ!! 私は、何が何でも!!!」
今日の七草真由美は並じゃないぜ! と言わんばかりの様子ではある―――しかし、現実は無情だった。
ちゃうちゃうというように、顔の前で立てた手を左右にふるアーシュラは、深い事情を話すのであった。
「いや、そうじゃなくて―――ワタシは、来季から弓道部の『副部長』に就任する要請を、3年の矢場部長から承ったので―――無理です♪」
結論から申せば―――服部副会長を部活連会頭にと要請した十文字克人と同じく、アーシュラもまた既に推薦を受けた身だったのだ。
混迷を極める第一高校、そしてそれをどうにか出来るだろう人間が、相応しい位置に立たない……。