賛否両論、自己解釈ありありです。ご容赦いただければ幸いです。
本日2度目の投稿になります。
夢を見た。ハッキリと『夢』と言い切れる分にはおかしな夢だからね。明晰夢って言うんだっけ。
私たち9人が船に乗っていた。いや、正確には漕いでいたって言うべきなのか。
『壁』の指令かもしれないと思ったけど、それでもおかしなことはあった。
ほとんど陸地に上がらない。それでも船を漕ぐことを止めなかった。
時には喧嘩にもなった。時には塞ぎ込んでしまう子もいた。
それでも宥め、励まし合い、手に手をとって漕ぎ続けた。
もちろん順風満帆とはいかなかった。嵐が起こったり、波が荒れたり、風が全く吹かなくなったり、太陽がジリジリと肌を焼いたり……それでも船を漕ぎ続けた。
急に船に不具合が起きた。でも、次の陸地まで『今のままでは』持つかどうかも分からない。
何を思ったか分からないが、『私が』海に飛び込んだ。
刹那、大きな波が私を呑み込み、船を押しやった。
気がつくと空を見上げていた。
固いものに寝転がっている感覚があった。そして私を覗き込むみんな……どうやら船に引き上げられたらしい。
私が目を覚ましたことに気づいてしがみつき号泣する子、『なんてバカなことをしたんだ』と怒る子、無言で涙を流しつつも私の頬を張り飛ばし、抱き締める子。様々だった。
それでもみんなが私の身を案じてくれたことを思うと、夢だけど痛みを感じた。
またしばらく船を漕ぎ続けた。不思議なことに、あれほど激しく揺られた波でも船はびくともしなかった。見た目はどこも変わらないのに……。
とある港に寄った時、新たに3人が乗船してきた。
1人ははんなり系? ゆるふわ系京美人の女の子。
1人は活発でボーイッシュな女の子。
1人はいわゆるイケイケのギャル。
普通だったら招かれざる客のはずの彼女達を、私を含めて誰1人拒むことがなかった。
まるで最初からそうであることが当たり前だったかのように。
3人増えたはずの船は不思議と狭いと思うことがなかった。
3人を加えて、変わらず船を漕ぎ続けた。もちろん喧嘩はあったし、船酔いだったり、体調不良でダウンした子もいたりしたが、変わらず……むしろ一層絆が深まった気がした。
誰1人欠けることなく、励まし合い、フォローしあいながら色々なところを回った。
全員で上陸したり、数名に別れて上陸したり……まちまちだったけれど、誰1人欠けることはなかった。
「つぼね……やりたいことが出来たの」
ある島に滞在して、そろそろ出港しようとした時のこと。
合流した3人の内の1人、ギャル系の子が口を開いた。
彼女はギャルという偏見を吹き飛ばす位凄まじい子だった。
『死ぬこと以外はかすり傷』と豪語した彼女。怪我を負っても、体力の限界を迎えても、それを口にすることなくひた隠していた。
何も考えていないように見えて、周りの些細なことに気を巡らせていた彼女。私自身、彼女の言葉に救われたこともあった。
「それを一生懸命、やってみたいんだ。だから、みんなとはここでお別れ。あ、でも、絶対絶対絶対! あとで追いかけるから、先に行っててほしいな」
誰も彼女の決意を止めることはなかった。『必ず追いつく』。彼女のその言葉を信じたから。
軽やかなステップと満面の笑みを浮かべて、彼女は船を降りた。
手を振り見送る彼女に手を振り返し、水平線の向こうに見えなくなるまで振り続けた。
彼女と別れてからも船を漕ぎ続けた。『別れ』を迎えたものの、船上に悲しい空気は流れていなかった。
しばらくして立ち寄った島でのこと。
食糧や物資の調達も終え、荷物も積み終わった。
「積みかた終わったよ~、いつでも出発できるよ」
リーダーに報告する。
「そう……」
どこかいつもの彼女と違う雰囲気を感じた。
すると、彼女は船を降りてこちらを向き直る。
「私はここから先に行けない」
「……は?」
冗談かと思ったが、彼女の目を見て本気だと悟る。
「今まで私に着いてきてくれてありがとう」
「……やめてよ」
いつでもみんなを励まし、喧嘩を仲裁してくれたリーダー。
困ったことがあったら相談にのってくれたリーダー。
自分も不安なのに、そんなことをおくびにも出さず、みんなを導いてくれたリーダー。
わりとポンコツで、みんなにいじられることも多かったリーダー。
それでもみんな大好きで、みんなのことも大好きなリーダー。
「もう、私がいなくても大丈夫」
「……」
「元気でね」
そう告げると、彼女はこちらに頭を下げて、いつものように颯爽と歩き出す。
その背中は彼女らしく凛としていて、頼りがいのあるーー
「待って……」
私以外は誰も彼女を止めることがなかった。
彼女も私の声が聞こえないのか、それともあえて聞こえないふりをしているのか、その歩みを止めない。
「待って……待ってよ!」
届かないと分かっていても手を伸ばす
「麗華!!」
*
そこは船の上なんかでも港でもなく、見慣れた私の寝室だった。
「あ……」
そういえば夢を見ていたんだった。妙にリアルだったからまだ混乱しているようだ。
「凛子? 大丈夫?」
「はぇ?」
この部屋にいないはずの人間の声が聞こえた。
「麗華? なんで……」
「いつもの時間になっても起きてこないし、何かあったのかと思って。魘されてたみたいだけど大丈夫?」
時計を見ると、なるほど。いつもより時計の針が1時間も進んでいた。
「あぁ……うん。ちょっとまだ混乱してるかも」
「汗びっしょりよ? シャワー浴びてきなね?」
「麗華……麗華はナナニジ辞めたりしないよね?」
「何よ急に。まだ初ライブしかしてないのよ? まだ脱退する気はないわよ」
「ずっと……ずっと一緒だよね?」
「いいからシャワー浴びてきな。風邪引くわよ」
「あぁ、うん。行ってきます」
彼女の夢が夢のままなのか、正夢になるのか……分かるのはしばらくあとのこと。
頭がごちゃごちゃして、仕事も手につかなくなってしまったので、とりあえず短いながらも整理の意味をかねて投稿。
1日2回投稿は何気に初かも。