22/7 白きリンゴの甘い毒   作:ハマの珍人

26 / 38
アイドルはお好み焼き

(私は今……奇跡を目撃しているのだろうか……)

 

 目の前で起きている事実を現実として受け入れられない。

夢……またはこの後、『ドッキリ大成功!』というプラカードを持って誰かが突入してきた方が納得がいきそうだ。

 

 だってーー

 

「みゃーこの手際がいい……だと……!?」

 

「りんりん、失礼すぎひんか!?」

 

 リズミカルにキャベツを千切りしてる麗華の隣でテキパキと準備を進めていたみゃーこが苦言を呈す。

 

「だって、いつもみゃーこ手伝わないじゃん!」

 

 この間の合宿の時は料理担当ではなかったし。

 

「その言い方だと、河野さんと白雪さんは仕事以外でも一緒にいるように聞こえるのですが?」

 

「おっと、あながち間違いではないないね」

 

 トントンと長ネギを切りつつあかねの質問に答える。

 

「正確には寮にいるメンバーとはそれぞれご飯食べる機会があるからね~。それでだよ」

 

 朝ごはんか夕ごはん。時間が合うメンバーを誘って一緒に食べている。

 

 朝はジュンと絢香を起こしにいってる関係で多いかもしれない。

一方で夕飯は自主練を一緒にすることの多い桜と食べることが多い。

 

「いつも手伝ってないわけやないやん!」

 

「でも積極的に手伝うわけでもないじゃん」

 

 みゃーこと食べる時は大概私がみゃーこの部屋に来るんだけど、夕飯の時だとレッスン疲れでそのままソファーにバタンキュー……というのが大半で、こちらから言わないと手伝ってくれない。

 

「んぐっ! それは……りんりんの手作り料理が食べたいからや~ん」

 

「まぁ、嬉しい。でも、手伝ってくれればもっと早く食べられるのにな~」

 

「んぐっ!」

 

 おだててうやむやにしようとしても、その手には乗らない。

 

「そもそもそこまで手際いいなら1品任せたいのだけど?」

 

「無理やって、うちお好み焼きしか出来へんもん!」

 

「別に難しい料理作れって言ってるわけじゃないよ? サラダとかでもいいわけだし」

 

 他にもカレーとかC○○K D○のシリーズとかならパッケージの裏にレシピ書いてあるしね。

 

「それくらいやったら……」

 

「はい! 言ったね? 言質とったよ!」

 

「ねぇ、そこの2人! 手が止まってる!!」

 

「「すんません……」」

 

 白熱しすぎたせいで作業の手を止めてしまい、麗華に怒られた。

 

 

 

 全員で協力して、いよいよ作業は『タネ』を混ぜる段階へーー

 

「ぐちゃっと混ぜたらあかんで。あくまでさっとや」

 

 河野大先生指導のもと混ぜる。

 

「あ~!そんなんしたらあかん。赤ちゃん!赤ちゃんやと思って~」

 

 

「それじゃ混ぜらんないよ~」

 

 要は優しく、空気を含ませるようにってことなんだろうけど……

 

(赤ちゃんだと思って混ぜろというパワーワードよ……)

 

 当然そんなこと言われたら桜も混ぜるに混ぜられない。

 

「……ぷに」

 

「戸田さん。何ですか?」

 

 一方、ジュンは何を思ったかあかねの頬を指でつついていた。

 

「ぷにったよ」ニコッ

 

(ぷにられたいっ!)

 

 笑顔で『ぷにった』という謎の言葉を告げるジュン。

 

「意味不明です」

 

「ぷに!」

 

 『意味が分からない』と言いながらもけして嫌がることなくされるがままのあかね。

 

「そうですか。これ手伝ってください」

 

「はーい」

 

 素っ気ないように見えるけど、これはこれでアリなのかな?

 

「ぷに、やで」

 

 それを見ていたみゃーこ。おもむろにみうちゃんの頬を『ぷにった』。

 

「……」カァッ

 

 嫌がることなく、されるがままのみうちゃん。あかねと違うのは恥ずかしいからか赤面してるところ。

 

「思てた反応と違う」

 

「何かいけないことをした気分になるね、これ」

 

「ふふっ」

 

 おかしかったのかみうちゃんが笑いをこぼす。

 

「ほら、みゅーみゅーも手伝うてや」

 

「うん!」

 

(あぁ……尊い……)

 

 トントン

 

「ん?」クルッ

 

 肩を叩かれ振り向くとーー

 

「ぷにっ」ニヤァ

 

「……絢香、それ『ぷにって』ない……刺さってる」

 

 ニヤニヤといたずらっ子の様な笑みを浮かべる絢香の指が私の頬に刺さる。なんならグリグリと回転まで加えてくれるオプション付き。違う、そうじゃない。

 

 ちなみにあかねに『ぷにっ』しようとしたら全力で拒否られた。なんでぇ……

 

 

 

「よっしゃー!みんなで焼くでー!」

 

 具材を混ぜ終え、いよいよ焼いていく。

 

「ところで、お好み焼きって関西風と広島風があるけど、どう違うの?」

 

「あ?」ジトー

 

 焼こうとしたタイミングでの麗華の質問に、みゃーこが恐ろしく低い声を出す。

 

(というか、アイドルがしちゃいけないような顔してるし!)

 

 関西ーーというか大阪の人にとってソウルフードであるお好み焼き。そのため、『関西風』と呼ばれることを嫌う大阪の人もいるとかなんとか……ちなみに発祥は意外なことに東京だったりする。

 

「すごいざっくりと説明すると、具材を混ぜて焼くのが『元祖』お好み焼き、具材と薄く焼いた生地をあとから重ねるのが広島風。例えるならホットケーキとミルクレープみたいな感じかなっ」

 

「なるほど」

 

 『関西風』と言わず、『元祖』と言い直したことで機嫌を直したのか、ふんっと気を吐くとみゃーこは生地をホットプレートに広げた。

 

(広島の人……ごめんなさい)

 

 心の中で広島の人に謝った。

 

「あ、ちなみに山形では『どんどん焼き』っていって、薄く焼いたお好み焼きを割り箸に巻いて甘めのソースで食べるのが屋台とかに出たりするよ~」

 

 生地は割ともちもちしてたり、豚肉じゃなくて魚肉ソーセージ使ってたりと違いはあるけどね。

 

「時々飛び出す凛子の地元ネタはなんなの?」

 

「ん~……郷土愛? あと願わくは親善大使とかの依頼が来ないかなぁって」

 

「がめつい!?」

 

 知名度があまり高くないからね。東北の絶対的王者、宮城(仙台)は仕方ないとしても、東北六県を聞いたときに山形が出なかった時には血の涙を流しそうになったよ。新潟は東北ではないです!

 

 

「よっしゃ、ひっくり返すで~! 都ちゃんのヘラ捌き! よう見とき~」

 

「さすがに早いでしょ」

 

「まだ生です」

 

 麗華とあかねの制止の声を振り切り、生地の下にヘラを差し込むと、一気にひっくり返した。

 

「「「お~」」」パチパチ

 

 きれいな焼き色、鮮やかな返しにジュンと桜と感嘆の声と拍手という同じリアクションをしていた。

 

「よっしゃ、じゃんじゃん焼いてくで~!」

 

 みゃーこ指導のもと、焼き手を交換して焼いたりーー

 

「ニコるん、もっとこう形を整えて~」

 

「くっ……」

 

 具材やバリエーションを変えたりーー

 

「モダン焼きにするなら焼きそばもあるよ~?」

 

 それぞれの新たな一面を発見したりーー

 

「ご飯もあるからね~?」

 

「「「ご飯!? いる!?」」」

 

「お好み焼きはおかずやで!!」

 

 うん、みんなの意見はごもっともなんだよね。

ただ、みゃーこに言われて渋々ながら少なめに持ったご飯と一緒に食べたら甘めのソースで割とご飯が進んじゃったんだよね。

……実質ソースご飯じゃんとか言ってはいけない。

 

 

 

 

 

「あ~。おいしかった~」

 

「なかなかいけるわね。何気に初めて食べたかも」

 

「へ~。変わってる~」

 

「あなたに言われたくない」

 

 焼いて、食べて、おしゃべりして……楽しい時間はあっという間に過ぎていた。

 

「ジュン~? 食べてすぐ寝ると牛になるよ~?」

 

 食器を下げつつ、寝転がってるジュンに注意する。

 

「嘘っ!? 角とかはえてない!?」サッ

 

 飛び起きて頭を撫でながら異常がないか確認する。

 

(純粋でかわいいなぁ~)

 

「ジュンちゃん、牛さんになっちゃうの!? Oh my god!」

 

 あ、ここにも純粋さんがいた。

 

「食べてすぐ寝るのは行儀が悪い、という戒めを込めた言い伝えですね。何故牛かというとーー」

 

 あかねさんの解説が入ったので、それをBGMに後片付けをしよっと。

 

「凛子、何か手伝うことある?」

 

「ううん、大丈夫。座ってていいよ~」

 

 手伝いを申し出る麗華にありがたいと思いつつ、やんわりと断る。今回はみゃーこと私がホストみたいなものだしね。

 

「そう? 何か悪いわね……」

 

「お気になさらず~」

 

 先に油汚れやソースをキッチンペーパーで拭き取る。

これをするだけで洗剤の消費を抑えられるしね。

 

「こんなおいしいお好み焼き食べたの久しぶりかも」

 

 いつの間にかあかねの解説も終わったようで、今度はお好み焼き談義を始めたようだ。

 

「いっつもコスパがいいとか言ってお父さんが焼いてくれて」

 

「……」ピタッ

 

 

 

『凛子~、そろそろ焼けるからな~』

 

『おとうさん、りんこがひっくり返したい!』

 

『大丈夫か~?』

 

『できるもんっ!』

 

『よしっ! じゃあ任せた!』

 

『いくよ~! えい!』

 

 

『……ごめんなさい』

 

『いやいや、初めてにしては良かったぞ~? ちゃんと焼けてるし』

 

 

「ーーん、ーーさん、白雪さん」

 

「はえっ!?」

 

 呼ばれて気がつくと隣にあかねが立ってた。

 

「何? どしたの?」

 

「先程から水を出したまま、心ここに在らずといった様子でしたので」

 

 そう言いながら蛇口を閉めて水を止めた。

 

「あ~……本当? ライブで疲れちゃったのかな~?」アハハ

 

「あかねとりんりんもこっち来て~や」

 

「は~い! ほら、あかねも行こ?」

 

「……はい」

 

 あかねが何か言いたげだったけど気づかないフリをした。

 

 

「今から皆さんに格言を言います」

 

 あかねと私が座るのを待ってみゃーこが口を開いた。

 

「格言? 猫も棒から落ちるとか~」ハイッ

 

「それはことわざ。しかも混ざってるし」ピシッ

 

 ジュンの言葉に絢香が手刀を入れつつ突っ込む。

 

「こほん。このキャベツ群馬産」

 

「え?」

 

 みんなの目が点になっている中、なおもみゃーこは続ける。

 

「豚肉鹿児島産、薄力粉北海道、長芋埼玉産、天かす東京都、紅ショウガタイ産、干しエビ静岡産、卵茨城産……」

 

 次々に産地を挙げていくみゃーこ。

 

「みんな生まれも育ちもばらばら。性格や個性もばらばらなメンバーや。最初は息も合わんし喧嘩だってするやろ」

 

「でもな!全部混ぜて焼いてひっくり返しといらたなんとかなんねん!」

 

 

 

「では続いて麗華ちゃんへの質問!」

 

 ITFも2日目。今日もMCパートに差し掛かっていた。

 

「そうね。メンバー間で最近起きた面白い出来事とかありますか?」

 

「はい。昨日みんなでお好み焼きパーティーをしたんですけどそれがとっても楽しくて」

 

 昨日とうってかわって麗華もテンパることなくハキハキと答えられている。

 

(まぁ、取り繕う必要がないからね)

 

「麗華ちゃんのファザコンぶりが明らかになったりとか」

 

「ファ!?ファザ……?」

 

 おっと、絢香がここで特大の爆弾を投下ー!

 

「ファザコンなの?」

 

 当然MCさんも拾って行く~!

 

「ち……違います!」

 

「でも待ち受けはお父さんだよね~」

 

 焦って否定するも、さらにジュンからのキラーパス

効果は抜群だー!

 

「あ~、やば~」

 

 これには絢香も苦笑い。

一方で麗華は顔を紅くしてあたふたし始める。

 

「で……でもそれくらいは普通……」

 

「大丈夫なのそれ?」

 

「問題ないって!」

 

 麗華と絢香のやり取りにお客さんも大爆笑。

これは昨日と違って好印象。

 

「滝川さんは? お好み焼きパーティーどうだった?」

 

「えっと……あの……私、昨日都ちゃんに急にぷにってされて、それですごくびっくりしました」

 

 おぉ、みうちゃんもしっかりしゃべってる……ってそれじゃあなんのことだか分からないと思うの。

 

「ん? ぷに? なにそれ?」

 

 ほらね。MCさんも首をかしげてーー

 

「えっと……これです。ぷに」

 

(何ぃ!? 実演だと!?)

 

 みうちゃんは自分の右手人差し指で自分の頬を押すことで『ぷに』を実践した。

 

「うおおー!!」

 

 少しの静寂の後、爆発が起こったかのような歓声が沸き上がる。

 

「みうちゃんうおー!!」

 

「すこー!!」

 

「ぷにしてぇー!!」

 

 予想以上の反響に、みうちゃんは顔を紅くする。

 

「おぉ、今日一番の盛り上がり。……白雪さんはどうだった?」

 

「そうですねぇ……ちょっとお腹いっぱいだったのか、ジュンちゃんが寝転んでたんですよ。で、『牛になるよ~』って言ったら頭さわりながら角を探しだしちゃって……」

 

「ちょっ!?」

 

 あたふたするジュンにお客さんも大笑い。

 

「それを見た桜ちゃんも一緒になって探してたのが微笑ましかったです」

 

「ジュンちゃんかわいい!」

 

「桜ちゃん、健気ー!」

 

(はい、一丁あがり)ニヤリ

 

 こうやってかわいいアピールしつつ、ファンも増えるという一石二鳥ーー

 

「はいはーい! りんりん、山形のしんぜんたいし? になりたいって言ってました」

 

「ちょっ!? それは言わない約束でしょうがぁ~!!」

 

 お客さんの笑い声と私の絶叫が会場に木霊した。

 

* 本番前

 

「はぁ?」

 

「本当にやるんですか?」

 

 みゃーこの提案にニコるん、あかねは疑問の声をあげる。

 

「今までろくな掛け声なかったしチームワークは形からの部分もあるやろ」

 

「私もみゃーこの意見には賛成なんだけど~? 足並み揃えるって感じするし」

 

 要は昨日、『フェアリーズ』がやってたような円陣と掛け声をやりたい! というもの。

 

「楽しそう!」

 

「私も賛成!」

 

 桜とジュン、みうちゃんも乗り気だ。

 

 

 

「ほないくで!」

 

 円陣を組んで、各々の手を重ね合わせる。

 

「薄力粉!」

 

 まずはみゃーこがーー

 

「豚肉!」

 

 笑顔で桜が続きーー

 

「キャ……キャベツ……」

 

 少し恥ずかしがりながらみうちゃんーー

 

「長芋」

 

 澄ましたように絢香ーー、

 

「天かすー!」

 

 反対に元気良くジュンがーー

 

「べ……べべ……紅しょうが」

 

 恥ずかしさを捨てきれない麗華ーー

 

「干しエビ」

 

 表情を変えずにあかねがーー

 

「……卵」

 

 不本意ながら、と言ったようにニコるんーー

 

「イカ~!」

 

 最後は私。

 

 

「「「「ひっくり返して~……22/7!!」」」」

 

 円陣でお好み焼きの具材を叫ぶアイドルは、先にもあとにも私たちだけかもしれない。

 

 それでも改めて一つになれた気がした。

 

 

 

「忘れ物な~い?」

 

 2日間にわたるITFも全日程が終了。

控え室となったテントから撤収してバスに乗り込み、会社に戻る手筈になっている。

 ちなみに同じテントのフェアリーズさんは私達より先に作業を終えて帰っていった。

実にいい人たちだった。

 

 忘れ物をしないように注意しながらテントを出る。

ところで、こういうところで忘れ物があった場合ってどうなるんだろ?

テントから使ったグループを割り出して、所属事務所に届けられるのかな?

 

 そんなことを考えながらバスまで歩く。

よく見ると、先ほどまで会場にいたであろう観客も、列を成して駅の方へと歩いて行くのが見えた。

 

「っ!」

 

 ふと息を飲む音が聞こえて振り返ると、みゃーこが足を止めてその列を凝視していた。

 

「ん? みゃーこ、どしたん?」

 

「……別人か」ボソッ

 

「?」

 

 何かを呟き、肩を落としたみゃーこ。

 

「都ちゃん、凛子ちゃん……行こ」

 

 先に行ってたみうちゃんが私達に声をかける。

 

「……おぉ!」

 

「は~いよ~」

 

 みうちゃんの呼び掛けにみゃーこが駆け寄る。

 

「バスのセンターは譲らへんでー」

 

「セン……」

 

 ん? ニコるん、今『センター』って単語に反応した?

『落ちる』、『滑る』に反応する受験生じゃあるまいし、気のせいかな。

 

「あははー。志低ー」

 

「言うとけ!」

 

 ジュンに笑われて、噛みつくみゃーこ。 

 

「そもそも真ん中ってどこですか?」

 

「あれかな?最後尾の真ん中とかじゃない?」

 

 大体騒がしいメンツはそこら辺に座るイメージあるし……

 

「私酔うから窓際~」

 

「どこでもいいからちゃんとして」

 

『~~~~♪』

 

「ん?」

 

 と、麗華様から雷が落ちる気配がしたところで何やら着信音が。

 

「誰かスマホ鳴ってない?」

 

「あ、私だ!」

 

 麗華がスマホを取り出しーー

 

「ちょっとゴメン!」

 

 慌ててバスを降りながら電話に出ていた。

 

「どないしたんやろ?」

 

「まさか彼氏~?」

 

「はいはい、気になるのはいいけど、まずは席に座ってね~?」

 

 麗華の慌てぶりにただ事ではない何かを感じつつ、麗華が通話を終えるのを待った。

 

 

 

 会場を出発してからしばらくは騒がしかった車内も、ライブの疲れからか、暫くすると寝息のみが聞こえる静寂なものに変わっていった。

 そんな中でもカタカタとキーボードを叩く音が時折聞こえる。

 

「お隣、いいですか?」

 

 信号待ちのタイミングで声をかけると、先程までパソコンを操作していた人物、合田さんはこちらに視線を向ける。

 

「白雪さん、どうされましたか?」

 

「少し相談がありまして……」

 

 そう言うと、パソコンを閉じて、ささっと荷物を自分の側に寄せて席を開けてくれた。

 

「失礼します」

 

 私が座ったタイミングでちょうど信号が青になったようで、バスが走り出す。

 

「それで、相談というのは?」

 

「実は……合田さんに会ってもらいたい人がいるんです。……お時間いただけませんか?」

 

 この時の私は、ライブの後ということもあって、頭が回ってなかったんだろうね。

 

みんなライブの後だから疲れて寝てるものだと思ってた。

 

 

だから気づかなかったんだ。

 

 

「……」

 

 私達の会話を聞いてた人がいたなんて。

 

 

 

 




 萌ちゃんが復帰!
長かった! でもまだ本調子じゃないだろうから無理しないでほしいな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。