22/7 白きリンゴの甘い毒   作:ハマの珍人

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ナナブンノニジュウニ、南へ 3

 佐藤麗華は1999年5月20日にこの世に生を受けた。

体重は1914グラム……いわゆる未熟児として誕生した彼女は、生死を彷徨っている状態でいつその灯火がかき消えてもおかしくなかった。

加えて母親も体が弱く存命であることが奇跡とも言われた。

 

『自分はどうなっても構わない、これから先良いことが起こらなくてもいい』、『清く正しい素敵な子に育てる。だから麗華を助けてほしい』

 

 かくして、母親の今際の際の願いは通じ、麗華は持ち直した。

 

『清く正しく生きる』。亡き母親との約束を指標に生きてきた麗華。

学業、部活動、委員会活動に加えて家事……どれも手を抜くこと無くーースマートにとはいかないがーーこなしてみせた。

 それを好意的に見る人もいれば、逆に疎ましく思う人もいたが、麗華は気にかけることはなかった。

 

 父一人子一人、裕福とは言えない、むしろかつかつの状態であった。すぐにどうなる、というわけでもないけれど、いつどうなるかも分からない。そんな暮らしを続けていた麗華にある日転機が訪れた。

それが『G.I.P』からの手紙だった。

 麗華自身は胡散臭い程度にしか思っていなかったし、アイドルというのにも興味はまるでなかった。

 

『少しでも社会貢献度の高い仕事に就いて、父を楽させる』

それが麗華の目標だった。

『ファザコン』と言われることもあったが、今の麗華にとっては唯一の肉親なのだから……

 

 しかし、父親は麗華がアイドル活動をすることに大賛成だった。

そこには収入という考えも少しはあったのかもしれない。

それでも、愛する娘の活躍する姿を見たいし、見てもらいたい。そういう考えが大半だった。

 

麗華は尋ねた。

『自分がいなくなっても平気なのか』

と。

自堕落とはいかないが、自分がいなければ朝も起きられず、少し……いや、かなり頼りない父親。

『私が近くにいなければ!』

そういう思いがあった。

 

しかし父親は言った。

『麗華が生きてくれてればそれでいい、それだけでこの世の誰よりも幸せなんだ』と

 

 

 

「ーーなじだ」ボソッ

 

「え?」

 

 凛子が何か呟いたが、聞き取れなかった。

 

「凛子!? 泣いているの?」

 

「え?」

 

 凛子の方を見ると、涙を流していた。

私が指摘するまで自分でも分かっていなかったようで、言われて目元を拭った。

 

「汗が目に入っちゃったみたい……痛いなぁ」グスッ

 

 鼻もすすっているし、明らかに泣いていたのに、必死に隠そうとしている。

 

「……ねぇ、凛子。私はどうするべき?」

 

 正直言えば水着は着たくない。でも、『指令』をこなさないと……その事実の板挟みに加えて、ここにきてリーダーの重圧ものし掛かる。

 凛子は単独の仕事をやっていたし、気持ちを分かってくれると思っての相談だった。

 

「答えは麗華自身が決めることだよ」

 

「……え?」

 

 いつもの凛子なら『しょうがないなぁ』と言いたげな表情を浮かべながら、寄り添うように一緒に考えてくれる。そう思っていた。

それがまるで切り捨てるかのようにあっさりと告げると、荷物を戻して立ち上がる。

 

「私がどうこう言うのは簡単だよ。でも、それで麗華は納得する? 後悔しない?」

 

 いつもとは違う、母親が子供を諭すような優しい言い方ではなく、『現実』というナイフを押しつけてくるような言い方。

優しそうな笑顔は鳴りを潜め、まるで射殺すような真剣な眼差しを私に向けてくる

 

「それは……」

 

「それに、麗華の中で答えは出てるんじゃないかな? 自分で気づかないだけで」

 

「……」

 

 凛子の一言に押し黙るしかなかった。

 

「じゃ、戻るね~」

 

 一瞬にして先程までの剣呑とした雰囲気は霧散していつもの口調に戻った。

 

「待って! 凛子は抵抗ないの!? 大勢の人に肌をさらすことに」

 

「無いよ。慣れてるし」

 

 即答だった。

 

「な、なれ……」

 

「あ、誤解しないでほしいんだけど、夏は海の家でバイトしたことあるし、冬は冬でミニスカサンタのコスプレでケーキの店頭販売したことあるってだけだからね?」

 

「あ、そう」

 

 如何わしいことを想像してしまって申し訳ない気持ちと、予想外だったことで面食らってしまった。

 

「露出は多いけど、その分お金になるからね」

 

「そう……」

 

 何と返していいか分からなかった。

 

「じゃっ」

 

 そう言うと凛子はバスから降りて行ってしまった。

 

 

 

 

 

「っはぁ……」

 

 バスから離れて木にもたれかかると、そのままズルズルとしゃがみこむ。

 

「な~にやってんだろ、アタシ……」

 

 前髪をくしゃりと掴む。

あそこまで言うつもりは無かった。言う必要も無かった。

でも、麗華の境遇が自分に似ていて……

 

『ねぇ、凛子。私はどうするべき?』

 

 麗華が『あの時の自分』に見えてーー

 

「私はどうするべきだったんだろ……」

 

「具合でも悪いのですか?」

 

 声をかけられ視線を上げると、そこには立派なお山が二つーー

 

「あ……あかねか」

 

「……今、何を以て私と認識したか小一時間ほど問い質したいところなのですが?」

 

 それはもちろん、あかねさんの美声ですとも。りんこ、うそつかない。

 

「え? あかねと1時間も話せるの~!? やだ……緊張しちゃう」ポッ

 

 両手を頬に当てて『いやんいやん』と身を捩らせる。

 

「……身の危険を感じたので止めておきます」

 

 表情とか声色に変化は無いものの、どこか嫌悪感? 侮蔑? を感じた気がしなくもない。

 

「あら、残念」

 

「それだけ口が回れば大丈夫そうですね」

 

 言い回しには多少……いや、かなり? トゲがあるものの、心配してくれたんだろうか。

 

「撮影は終わったの?」

 

「はい。私の分は撮り終わりました。白雪さんは何を?」

 

「ん~……飲み物を差し入れに行ったついでに天岩戸をこじ開けに??」

 

 なんちゃって、と笑いながら冗談を返す。

 

「ずいぶんと物騒ですね。押し掛け強盗ですか?」

 

「ひどいなぁ……せめて訪問販売くらいにしてほしいんだけど」タハハ

 

「言い方を変えてもやっていることは変わりませんので」

 

「違いない……まぁ、実際は世間話しただけで終わったんだけどね」

 

「そうですか」

 

 見た目も反応も淡々としてはいるけど、あかねも気にしているのかな?

 

「……説得、行くの?」

 

「いえ、状況を整理しに行くだけです。結局、決めるのは佐藤さんですので」

 

 クイッとメガネを直しつつ答えるあかね。

その仕草がいかにも様になっている。

 

「……違いない」

 

 バスに向かって歩いていくあかねを見送りながら呟いた。

 

 

 

 

 撮影は麗華が来ないことを除いて順調に進んでいった。

順調に進んではいったものの、進むに連れてスタッフさんに焦りが見え始めた。

最初こそ私たちを不安にさせないように笑顔だったものの、今では何人かのスタッフが小声で『大丈夫かよ……』と呟いている姿も見える。

 加えて太陽も西に傾き始めた。

このまま日が沈めば、麗華が来なければどうなるのか……とはいえ、私たちに出来ることは何も残されてない。

 

「麗華ちゃん、無理そう……ですか?」

 

「『壁』は22/7にとって絶対的存在。指令を達成できなければ意味するところは1つ」

 

 不安を隠しきれず尋ねた桜に、合田さんは現実を突きつける。

その重大さにみんな口を開けずにいた。

合田さんのことを直視出来ず、不安げに視線を落とすメンバーもいた。

 

(ん?)

 

 海岸からバスのある駐車場までの道、木々が作り出した木陰で何かが動いた気が……いや、近づいてくる。

 

「あ」

 

 思わず声が漏れた。

一斉に私の方を見て、それから私の視線の先のーー

 

「麗華ちゃん!!」

 

 ようやく麗華が姿を表した。

おみ足が露になっていると言うことは、水着を着たということだけれどーー

 

(ジャージ……だと?)

 

 あかねとの話し合いーーあかねは状況を整理するって言ってたけどーーで水着を着る決心はついたのだろう。

けれども羞恥心は捨てきれずにジャージを羽織ってきたのだろう。でもーー

 

(麗華さん……『チラリズム』ってご存知かなぁ?)

 

 チラリズム……まる見えよりも隠されている分、扇情的かつ背徳感がある様。

分かりやすく言えば、

『見えていけないものが見えるのってドキドキするよね~!』

ということだ。

ついでに言えばソッチの方が需要があったりするとかなんとか……

 

(風紀ってなんだっけ?)

 

風紀の法則が乱れる

 

そんなことを知ってか知らずか(たぶん知らないけど)、麗華はビーチまで歩いてくると、ジャージのファスナーに手をかけた。

 

ジー!

 

バッ!

 

 勢いよくファスナーを下ろし(噛まなくて良かった)、ジャージを脱ぎ捨てた。

露になるナイスバディ。

 

「お~」

 

「おっさんか!」

 

感嘆の声をあげる絢香にみゃーこがすかさず突っ込む。

 

出るところは出て、締まるところは締まっている理想的な身体。同姓の私ですら惚れ惚れする。

そういえば水泳部だっけ……

 

「あれで!?」

 

「こっちもなんやねん!!」

 

 いや、いやいや。水泳する上でアレは明らかに不利だろう。抵抗ハンパないでしょ。

神様どんだけサービスしてんのよ!

『二物を与えない』って嘘にしか思えないんだけど! 風紀を乱してるのは麗華のスタイルだと思うんだけど!?

 

 一方で麗華は脱ぎ捨てたジャージを拾ってきれいに畳むと、椅子に置いた。

 

「ご迷惑おかけして本当に申し訳ありませんでした!」

 

 合田さん、ならびにスタッフさんに頭を下げた。きれいな90°のお辞儀だった。

 

「みんなもごめん……撮影……よろしくお願いします」

 

「待ってたよ~!!」

 

 と、喜びを爆発させてジュンがダイブ!

 

「ちょっ!?」

 

 止める間もなく麗華に勢いよく突っ込み、巻き込むように押し倒した。

 

「いたっ!」

 

「ごめん!」

 

 砂浜で本当に良かった……いや、さすがにアスファルトでやるとは思わないけれども。

 

「いたた……」

 

 身を起こした麗華の前でーー

 

「「ありがたや~」」

 

 参パイするみゃーこと絢香。

いや、絢香は負けず劣らずのモノ持ってるでしょ……

 

「ば、バカじゃないの!」

 

 恥ずかしさで両手と膝で胸を隠しつつ罵る麗華。

だからなんでこの子はニッチな層に刺さりそうなことを無意識にするんだろうか。

 

「勘違いしないで! 形がなんであれ人の期待に答えるのは普通じゃないと思っただけ」

 

 更にツンデレとか……ある種の才能なのか?あれか! 神様の好みを選択したらこうなるのか!?

 

(まぁ、何はともあれ来てくれたのなら良かった……)

 

 私と同じ考えなのか、スタッフさんからも緊迫した空気が消え失せ、安堵の表情がみられる。

 

「よかった。奇数が出たのですね」

 

 麗華に手を差し出し、起こしながらあかねが意味ありげなことを言う。

 

「……うん。ありがとう、あかね」

 

「?」

 

「リーダーとして、ね!」

 

 肩の荷が下りたように、厚手のコートを脱ぎ去ったかのように、晴れやかな顔で麗華が伸びをした。

 

 

「ねぇねぇ、さっきのってどういう意味なの? おせーてー」

 

夕陽が沈むまでの間に撮れるところを撮ろう、ということで麗華単体と、メンバーを絡めて撮影している中、あかねに先程の言葉の真意を聞きにいった。

 

「『奇数が出た』ってなんなの~? いったいあの後バスの中で何してたの~?」ネーネー

 

 あかねは『状況を整理しにいく』と言ってたけど、明らかにバスの中で何かあったよね?

さすがにいかがわしいことは何もないと思うけれど、『奇数が出た』っていったいなんなのか?

 

「特に変わったことはありませんよ?」

 

「ホントに~??」

 

「えぇ」

 

「……」ジー

 

「……」

 

(ダメだ……顔色変えるどころか、視線すら逸らさない……)

 

 これが麗華だったら、顔を赤くしてフイッと視線を逸らすのに、あかねは微動だにしない。人形のようにーーといってもその目は無機質なガラス玉と違って綺麗なのだけれどーーこちらを見据えたままだ。

 

「どうしても……ダメ?」オネガイッ

 

 両手を顔の前で合わせて懇願する。

 

「はぁ……白雪さん、こんな言葉知ってますか?」

 

(お?)

 

 私の懇願が効いたのか、ため息1つついてあかねが口を開く。

 

「『好奇心は猫をm』「はい! すみませんでしたー!!」……分かればいいです」

 

 あかねが言おうとしたことを察知して直ぐ様土下座する。

日が傾いてて良かった。そうじゃなければジュンとみゃーこの二の舞……いや、頭も砂に押しつけてる分、私の方がもっとひどい有り様だっただろう。俗に言う『焼き土下座』ってヤツだ。

 

(ダメだ……あかねに逆らったら大変なことになる……)

 

 実際にあかねがどうこうするつもりは無いんだろうけど、そうだとしてもあかねに敵う気がしなかった。

 

「りんり~ん! なーにやってんのっ」

 

ドーン!

 

「へぶっ!?」

 

 そこに追い討ちをかけるように後ろから元気な声と共に衝撃を受けた。

無防備な背中から受けた衝撃を耐えることも受け流すことも出来なかった私はさらに顔面を砂にめり込ませた。

 

「!? !! !?」ジタバタ

 

 顔を上げようとするも、背中に下手人であるジュンがしがみついたままで思うようにいかない。

必死にもがいて背中に手を伸ばそうとするも、骨格の構造上可動域に限界がある。

 

『子泣きじじいか! おのれは!?』

 

 と突っ込みを入れようと口を開こうものなら、声を発する前に砂が流れ込んでくるだろう。

結果、両手で地面をタップするしかないんだけど……

これが床とかだったら多少なりとも効果があるけど今いるのは砂浜。叩けども叩けども自分の手は砂に沈むだけ……

 

「戸田さん、白雪さんが危険な状態なのですが?」

 

「え? 嘘!? ゴメン!!」

 

 あかねの指摘でようやく事態の重大さに気づいたジュンがどいた。

 

 

 

「砂浜で、溺れるという、めったにない経験を、するとこだったっ……」ゼェーゼェー

 

 背中の重石が無くなり、ようやく動けるようになった私は仰向けにひっくり返った。

暴れたことで消費した酸素を取り込むべく荒い呼吸を繰り返す。

 

 海で溺れる人は毎年出ているけれど、砂浜で溺れる人なんてそうそういないだろう。

やだよ? 死因が砂浜で溺れたことによる窒息死って。

 

「大丈夫ですか?」

 

「アリジゴクに捕まる、アリの気持ちが、分かった気がする……」ゼェーゼェー

 

「それは、なんとも言い難い経験でしたね」

 

 もがいてももがいても、どうしようもなく砂に沈むって怖いね……。

 

「りんりん、ゴメンね」

 

「……」チョイチョイ

 

 しゃがみこみ、謝るジュンを無言で手招きする。

 

「?」ススッ

 

 首を傾げながらジュンは寄ってきてーー

 

「子泣きじじいか、おのれは!!」ギュムッ

 

「ふぁっ!?」

 

 ジュンの鼻を摘まむと、突然のことに驚きの声をあげた。

 

「さっき注意されたばかりでしょ~が~」ギュムムッ

 

ほへんほへん(ゴメンゴメン)ひゅるひへ(許して)~!!」フガフガ

 

「今度からむやみやたらに飛びつかない、約束出来る?」

 

ふる(する)! ふるふぁら(するから)~!!」フガフガ

 

「……ならよし」パッ

 

「ふぇん」

 

 摘まんでいた鼻をはなすと、ジュンが赤くなった鼻を押さえる。

撮影が終わったあとで良かったね。まぁ、夕陽のおかげで気づかれることは無いーー

 

「ジュン、鼻赤くなってるやん!『真っ赤なお鼻のトナカイ』やん!」アハハ

 

 ……こともなかった。

気づいたみゃーこが大爆笑。

 

「……っ!」ワナワナ

 

 言わなきゃ誰も気づかなかったろうに、指摘するもんだからジュンも恥ずかしさで震えて

 

スッ

 

「?」

 

 何故かジュンが両手の人差し指を立てた状態で頭に添えた。

 

「あっ!」

 

 その意図に気づいて止めようとした時にはジュンは走りだしーー

 

「んー!!(>_<)」グサァッ

 

「あいったぁ!!」

 

 ジュンの『角』は、大爆笑してたみゃーこの脇腹に突き刺さった。

 

(あーあ……言わなきゃよかったのに)

 

『雉も鳴かずば撃たれまい』、『藪をつついて蛇を出す』、『口は災いのもと』……先人達が遺したように余計なことをしなければ痛い思いをすることもなかったのに……みゃーこは今それを身をもって体験しているだろう。

 

(みゃーこは犠牲になったのだ)

 

「ってそんな場合じゃない!」

 

 トナカイと化したジュンが両手で角を作ったままみゃーこの脇腹を抉る抉る。

ご丁寧にその状態のまま頭をグリグリとするもんだから更にダメージが入る。

 

「ちょっ、じゅ、ジュン、止めぇ~」

 

「んー!!(>_<)」グリグリ

 

 みゃーこの制止の声も聞かず、ジュンはひたすらドリルと化す。

 

(あれ? じゃれてるわけじゃないよね??)

 

 他のメンバーも止めるべきか、放置すべきか判断に悩んでいるが、ジュンの猛攻は止まらない。

 

「ちょっと! 何騒いで!?」

 

 撮影が終わったのか、はたまた騒ぎを聞きつけ中断したのか、麗華が駆けつける。

 

「ジュン!? 何してるの!」

 

 何が起こったか分からない(見ていた私たちですらちょっと理解が追いつかない)ものの、ジュンを止めるべく、声をかけながら後ろから引き剥がそうと動いた。

 

 でも、タイミングが悪かった。いや良すぎたのか……

 

「んー!!(;>_<;)」クルッ

 

 トナカイモード(仮)のままジュンが振り向きーー

 

もにゅん

 

「「「あ」」」

 

 ジュンの角が麗華の胸にヒットした。

 

「ーーーッ!!」カァッ

 

 

 瞬間、麗華は夕陽に照らされた状態でも分かるぐらいーー自分の髪と同じくらいになるんじゃないか、と思うくらいーーに顔を真っ赤にして震え出す。

 

「ちょ、麗k」

 

「ふんっ!!」ブンッ

 

 ゴツッ!!

 

 私が制止する前に、片手で胸を覆いながら(覆いきれてない、とか言わない)もう片方の手を器用にジュンの脳天に振り下ろす。

 

 これが某国民的アニメなら、お馴染みのSEとともに4文字が画面に映し出され、次の瞬間にはジュンの頭にこぶが出来ていること以外は何事もないのだろう。

 

「きゅぅ……」ドサッ

 

 実際はそうもいかず、ジュンは謎の声を漏らして地に伏せた。

 

「えぇ……」

 

 ジュンの犠牲とともに事態は(微妙な空気を残しつつ)終息したのだった。

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