岩巻さんプロデュースのシュールゲーを二人がやるだけ 作:本之蛆
「玲さん、そっちは今どんな感じ?」
俺は鎌首をもたげくねくねとコードを揺らす。現在俺の体は細長い胴の先に円盤が付いてそこから二本の突起が生えている......まあ要するにコードである。操作はフィーリングでイケた。とりあえず動くこと、それこそが最適解。
「つまり鉄砲玉は尊称っ......!!」
「......? えっと、わたしは多分コンセント、です。動くことは............できない、ですね」
視界内には2つのオブジェクト。プラグと、コンセントである。
要するにこのゲーム三人称視点なのだ。VRと銘打つ以上体を操作させようってのは分かるが、どうせ視点がこうならVRにしなくて良いんじゃねえかな............っとそろそろ進めますか。
「まあ多分こうだよね」
結びに結んだコードを地味に苦戦しつつ解いてコンセントに照準を合わせる。
「あ、あの、楽朗く「そおい!!!!!」」
カチッ
「玲さんどうかした? 大丈夫?」
「 」
大丈夫じゃなさそうだけどなんかもう始まったぞこれ。勝手に進んでいく指......あ、俺が右ね。全身が手のひらになる感覚ってこれもう分かんねえな。手の形は変えられないしお互い人差し指伸ばしてるから............????? 関節の数おかしくないか?
なんかふらふらしてる玲さんフィンガーにちょん。
.........うーん。つむじ触られたみたいな感覚。これ別に長くなった指の感覚でよくね?
気づけば俺は走っていた......頭部はコードプラグ状の頭。胴体はなんかダイコン人間みたいな感じ。なお三人称視点。早く走っても遅く走っても止まってみてもバク転しても3回転半捻りしてもトリプルアクセルしてもなにも起きない。はあ? 壁は......なんかあるな。ふむ、細い一本道なのか。上は............まあまあ高いところに天井がある。
いやそもそも俺はどこから来たんだ?
戻ってみるか。
おっと体がフレーム外に......いやどこ行くねん俺の体ー!!!
あどん。あ起きた。こっから自動進行......あどん。おっ? 新しいダイコン野郎が出てきた。
「もしかして玲さん?」
「そうですよ楽朗くん。私が玲です。ふふふ」
あ、ちがうひとだ。
......
..................
....................................
「この世界観、私達はどういうことなんでしょうね?」
「ぬっっっ......あの、玲さん? これ同じことしても進まないみたいだから一旦考え「えいっ」ぬっっっ............」
交互に並ぶダイコン人間たち。欠けた輪っか状、逆向けたCのように並んでいるそれらはよつん這いで
そして何より問題なのはこのゲームが仮にもVRであることである。そう、感覚があるのだ。「俺側の」ダイコン人間と「玲さん側の」ダイコン人間が交互に並んでおり、自分側の全てのダイコン人間の感覚らしきものが発生している。ダメだ、自分でなに言ってるか分かんなくなってきた。
「あら、進みましたね」
「ソウデスネ」
思えば、最初の時点で玲さんはこの感覚を味わったのだろう。思いっきり突っ込んだし。アレの衝撃で
前回は京ティメットとサイガ-100のミームが入ってたっぽかったが今回はあの時あったお姉さん風のようだ。気を抜くと敬語になりそう。
ようやく地獄が終わったかと思ったら繋がったコードが二組。自分で自分と繋がっているという端的に言って頭おかしい感覚ががが。なお繋がっている感覚が具体的に言ってどんなものであるかは考えないものとする。ええいディプスロ鎮まれ。
「あ引っこ抜けた。凸側は動かせるみたいです......みたいだね。玲さんはどう?」
「私は凹側みたいですね。お互い動かせる方で動かせない方と繋げれば良いのでしょう?」
「まあそうでしょうけど......うっ!?」
「はひゃくしてくだひゃい」
いや玲さんそれわざとでしょ?
これ絶対女友達とやるようなもんじゃないよ......
あー今度は指だーちゃんと手もあるーわー自分じゃ動かせないのかー。
どうせ操作できないんなら感覚とかなくて良くね??????????
「こっちは動かせないね......」
「私も動かせませんね......あ、掴めました」
「......」
「ふふふ」
鎮まれ、鎮まれディプスロッ!!!!!!!!!
ちげーよこれはケジメ的なアレであってそれではなくつまりお前のターンじゃねぇ引っ込んでろ。
「あら」
「おぬん」
精神世界で奴をボコってる間に俺の指がもげていた。
な、何を言っているか分からねえと思うがry。あ、場面変わった。
またもやコンセント。プラグがひとつ刺さっており、その上にはスイッチ。俺はプラグ側っぽいな。抜けた......らそのまま俺の体はいなくなり指を持った手が出現。俺の指ー!!!
「まあ、手も私の担当のようですね。成る程。これを差せば良いのでしょうか?」
手も、ってことはさっきからカチカチ言ってたスイッチも玲さん側なのか......って指は俺側だな?
「おや......?」
「あー..................」
「「..................」」
なんだろう。女友達とゲームやってたらNPCが微妙な猥談振ってきたみたいな............ほぼ変わんねーじゃねえか。
「えい」
「!?!??!!!」
玲さんがスイッチを押すと、俺の指は垂れた。もう一度押される、伸びる。もう一度、垂れる。伸びる。垂れる。伸びる。垂れる。
「............れ、れぃ、すぁん?」
「うふ、うふふふふふふfufufufffffff..................」
スイッチを押される度にやってくるアレな感覚を鉄の意思で捩じ伏せて訊ねた答えへの返答は「私壊れてます」と言わんばかりの笑い声だった。
とりあえずスイッチ押すのだけ止めて貰っても......玲さん、玲さーん!!! うっ。ぬっ。ぬあっ。お、俺は生粋のクソゲーマー、仮初めの感覚などに惑わされるような鍛え方はしておらぬ......伊達に孤島で過ごしてねぇんだよっ............え? 感覚の種類が違う? ハハハそんなドルタナみたいな............うみゅん。
「............あら?」
唐突に表示されたタイトル............え、これ終わったの? 解放された? マジで?
「あー......終わった、みたいだね」
「そうですね............残念。もう少し遊びたかったのですけど」
「マジか」
俺はもう十分かなぁ。というか玲さんいつ帰ってきたの? さっきまで笑い壊れてませんでした貴方。
まあいい。終始理解不能だったがもう終わった話だ。このあと岩巻さんに
「あー......玲さん?」
「はい、どうかしましたか楽朗くん」
落ち着け。できるだけ普通に切り出せ。出でよギャルゲーで培ってきた俺の会話術ッ......!!!! あ、これラブクロックだわ。
「無事......無事? 終わったことだし、今日はそろそろ終わろうか?」
「そう......ですね。今日はとても新鮮な体験が出来ました。また何か二人でやりましょうね」
うふふふ......と玲さんはログアウトしていった。あれいつになったら直るんだろう。
俺もさっさとログアウトして寝よう......いや、こういうテンションの時はマブダチと遊ぶに限る。おーい遊びに来たぜーぐぺえ。へへへそうそうこれだよこれこれ............
翌日、楽朗はマブダチとの戦闘でどうにか忘却した記憶を極力思い出さないよう努めながら、燃え尽きた灰のような状態で登校した。
玲は学校を休んだ。
お読み頂きありがとうございます。前編後編で早めに書くつもりが滅茶苦茶遅くなってしまった.........
次女になっちゃ駄目、次女になっちゃ駄目......と思ってたら長女の電波を受信してしまったヒロインちゃん。なお仙姉さん“風”でしかないため伝家の宝刀既成事実は抜けなかった模様。
お姉さんっぽくなったヒロインちゃんが押すに押してサンラクがたじたじになる微おね○ョタみたいな展開になるはずだったのですが、ヒロインちゃんには難易度高かったですね............
あのあと素に返ったヒロインちゃんはまた仙姉さんに何か言われてどうしてこんなのを参考にしようと思ってしまったのかと悶絶したことでしょう。