不思議の国の■■■   作:Feles

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眠りネズミは言いました。

お茶会はいつまでも終わりません。

何故なら、この世界はずっとこの時間ですから、と。


大樹の空

「白ウサギ、そろそろ行こう」

 

「ん?あぁ、そうだね」

 

「え?急にどうしたんだよ」

 

帽子屋の話を聞き終わり少し気まずく思っていたところに、眠りネズミが唐突にそう言った。

 

「帽子屋さん、ボクらはもう行くね」

 

「そうですか、もう少しお話しをしたかったですが、お別れですね」

 

「うん、またね」

 

そう言って、白ウサギは席を立った。

それに倣い、自分も立ち上がった。

 

「なんだ、もう行くのか?」

 

「ごめんね、そろそろアリスを送らなくっちゃ」

 

「そうか、アリス、元気でな」

 

「うん、バイバイ」

 

帽子屋達に別れを告げ、白ウサギ達に付いて行く。

 

「なぁ、白ウサギ、お茶会の途中で良かったのか?」

 

「しょうがないよ、時間が迫ってるし」

 

「別に、俺は終わるまで居ても…」

 

「お茶会が終わるのは明日だけど、良いの?」

 

先頭を行く眠りネズミはそう言う。

 

「え?」

 

「明日の15時までの予定だけど」

 

「1日まるごとやるのか?!」

 

「そうだよ」

 

そんな馬鹿な。

 

「そんなに居られないでしょ?」

 

「まぁ、確かに」

 

「アリスはお家に帰らないとでしょ?家族が待ってるよ」

 

「そう、だなぁ」

 

家族が待っている、不思議と、そう思えた。

 

「それじゃあ目的地は、ハートランド城だね」

 

「それってさっき話してた、ハートランドって国の?」

 

「そうそう、その国の女王様だけが、アリスを元の世界に帰せるんだ」

 

「えぇー…」

 

一気に帰れる気がしなくなった。

 

「大丈夫さ、ボクが女王様にお願いするから」

 

「白ウサギって何者なんだよ」

 

「ただの友達、かな」

 

不興を買っただけで、死刑宣告されるような女王様と友達とは一体、何があったのだろうか…

 

「到着」

 

そこには、扉の付いた大きな木があった。

 

「ここまで、バイバイ」

 

「うん、ありがとう、ネムくん」

 

「ありがとな」

 

白ウサギは扉を開き、中へと入り込む。

それに続き、中へと入ると広場に辿り着いた。

広場の中心には、大きな鏡が安置されている。

 

「鏡の世界を出るのか?」

 

「鏡の世界?」

 

「違うのか?」

 

「鏡の世界なんて無いよ?」

 

「え?いや、だって最初の家の鏡は…」

 

「あぁ、アレ?あれは鏡を基準に反転させた構造の家を繋いでるだけだよ」

 

「え!そうだったのか…」

 

「お洒落でしょ?」

 

「ははは…」

 

お陰で勘違いしてしまった。

 

「じゃあ、この鏡は何処に繋がってるんだ?」

 

「城下町だよ」

 

「お城じゃないのか」

 

「流石にそんな不用心なことはしないさ」

 

「それもそうか」

 

「じゃあ、はい」

 

白ウサギが手を差し出してきた。

 

「なんだ?」

 

「置いていかないって、約束したからね」

 

「一緒に潜ろ?」

 

「いや、いいよ、恥ずかしい…」

 

「あは、アリスは恥ずかしがり屋さんだね」

 

「ほら」

 

手を取られてしまった。

そのまま、鏡の前まで引っ張られる。

改めて見ると、大きい。

 

「いっせーの、で跳ぶよ?」

 

「…分かった」

 

「いっせーの、で!」

「いっせーの、で!」

 

二人一緒なら、不安は無かった。




鼠は猫が恐かったのです。

しかし、落ちて来たこの世界に猫は居ません。

最初こそ、喜んでいましたが。

鼠は気付いてしまったのです。

猫が掛け替えのない友人だったことに。

帽子屋の言葉を忘れ、寂しさを紛らわせるように、森へと入り込み。

気が付けば、手遅れでした。

けれど、いっそこのまま、そう思った時です。

聞き慣れた声を、見慣れた姿を、見つけたのでした。
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