バトルスピリッツ――Reincarnation―― 作:ショウ.
プロローグ――始まりのバトル
――目をつむれば今でも鮮明に思い出せる。あの時の光景を――。胸打たれた感動を――。
「光龍騎神サジット・アポロドラゴンでブレイヴアタック! アタック時効果で龍の覇王ジーク・ヤマト・フリードに指定アタック!」
歓声止まないフィールドでぶつかり合うスピリットと呼ばれる二体の生き物。
各々の体を――力を――ぶつけ合い両者ともに一歩も譲れない戦いに歓声も更に熱く、大きく盛り上がる。
「フラッシュタイミング、マジック《バーニングサン》! 手札のトレス・ベルーガをノーコストでサジット・アポロドラゴンにダイレクトブレイヴで召喚」
ケンタウルスに似たスピリットの姿が変わり武器だった弓が剣に変化し炎の御剣を振る舞う龍人を圧倒する。
歓声も更に勢いが増し私も眼前で繰り広げられる凄まじいバトルに胸が熱くなった。
初めて感じた竜の翼の旋風――。熱線の熱さ――。相手をねじ伏せたスピリットの雄叫び――。そして大人相手に笑みを浮かべていた自信に満ち溢れた少年の姿――。
――決して忘れることのない感覚と感動。初めて観戦したバトルに私はいつか自分も彼のようなバトルをしてみたい。私もバトルスピリッツをやりたい!
「そう思っていたけどそれも昨日までの話!」
《私立遊志高等学校》と書かれた校門を前に少女はこれから通う校舎を見上げデッキを握る手に力が入る。
「今日から私の新たなスクールライフとバトスピライフが始まるんだ! ん~、わくわくって感じ!」
興奮抑えられぬ少女を祝福するかのように桜の花びらがヒラヒラ舞い降りる。
赤いチェックのスカートに藍色のブレザー、胸元には赤い蝶ネクタイ。中学とは全く違う制服に見を包み、襟元で切り整えたオレンジ色の髪が風で揺れる。
この日のためにしっかり身だしなみ等準備を整えた少女は激闘の日々を過ごすことになる学舎に思いを馳せ校門を潜り抜けた。
校門から玄関までの続く道の左右で大勢の先輩達による部活動勧誘で賑わっており少女達新入生に声をかける。
「ねぇ、そこの一年生。陸上部に入って一緒に風になろ!」
「ごめんなさい。私、走るだけなのは好きじゃないから」
「おーい、そこの新入生。女子力アップのために料理作れるようになりなくなぁい?」
「もう作れるんで大丈夫でーす」
次々と勧誘アタックしてくる先輩達をかわしていくも一番入りたい部活の勧誘はない。
少女もあちこちに目を配らせて探しなするもののそれらしいパネルもなく玄関に近づいていく。
そんな少女の前を一人の先輩が立ち塞ぎ――。
「君、中々センスが良さそうだね。書道部に入ってそのセンスを磨き上げないか!」
「ごめんなさい。私もう入る部は決めてるので」
「あ、そうなの。なんだー決まってたのか……ちなみに何部に入る気なんだい」
部を聞かれた少女はこれはチャンスだと先輩にデッキを見せつけた。
「私、バトスピ部に入りたいんですけど、どこで勧誘とかしてますか?」
先輩の口から待望のバトスピ部の居場所をまだかまだかと待ち続ける少女だが、先輩は怪訝そうな顔をしていた。
その様子に少女は首をかしげると先輩は何も知らない少女にはっきりと事実を伝えた。
「バトスピ部? そんな部二ヶ月程前に廃部になったはずだよ」
「えっ?」
現実は非常なもので少女の夢を、思いを先輩は親切心で容赦なく踏みにじったのだった。
「嘘でしょぉぉぉおおおお!!」