鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
私は時計を確認する。
あと少しで、私たちは勝てる。
既に罠にかかった童磨はもうすぐ倒せる。
「これならどうだ!」
血鬼術 寒烈の白姫
童磨は既に劣勢だ。
ここに来て予定外の智溜乃さんが加わったおかげでより勝つ可能性が見えてきた。
「伊之助くん!カナヲ!智溜乃さん!一気に畳み掛けます!」
「「「はい!」」」
獣の呼吸。弐の牙 切り裂き
花の呼吸。伍の型 徒の芍薬 二十七式
氷の呼吸。壱の型 氷雨
「あ!やばいやられる!な〜んちゃって」
血鬼術 結晶ノ御子
「ちっ、まだそのチビを出せるのか?」
「甘すぎるよ、俺の結晶の御子は沢山出せるからね、それに、君たちの柱が一番大変なことになってるよ」
「な!?」
私は足元を見る。
膝から下が凍らされ、床に貼り付けられている。
「童磨、あなたというやつは!」
「人質だよ。君たちの師範の体の一部を失いたくないなら君たちはただ凍りついて死ぬだけだよ」
童磨はみんなを煽る。
だが、既に私は決めていた。
ここで話すのは少し早い気がするけど。
「童磨、あなたはまだ気づいていないことがある」
「なに?俺は賢いし気づかないわけないじゃないか」
「私は今まで、どちらの手を使っていたか気づかなかったの?」
童磨は少し止まる。
そして汗をかく。
「そんな、そんなはずは」
「そう。私は」
私は羽織をまくり、腕を見せる。
「私の左腕は、既に無いのよ。あなたは既に私の左腕を腹に納めてる。さらに言えば私の体は鬼の大嫌いな藤の毒で満たされている。
つまり、あなたは今まで毒に冒されたまま気づかずに戦ってたのよ。
それに」
童磨は狼狽える。
その姿は自分が馬鹿であることを突きつけられて動揺する万世極楽教の狂信者のようである。
「そんな、俺は…、こうなりゃやるしかない!俺のできる最強の技を!」
血鬼術。霧氷・睡蓮菩薩
床を突き破り、大きな氷の菩薩を出してきた。
「この菩薩は今までよりも遥かに強いからね!俺はもう節操なんてしない。本気でお前たちを殺すから」
氷の菩薩は腕を振り回し、壁や天井、床を砕く。
「次から次へと技を持ってるなんて卑怯よ!」
「そこのチビっ子!俺を初めて怒らせたこと!本気で後悔させてやる!」
童磨を本気にさせればこの血鬼術が出てくることを知っていた。
この技はカナエ姉さんが唯一知らなかった血鬼術だ。
カナエ姉さんはこの技でやられた。
だが、既に相手の血鬼術の種類は出尽くした。
あと1分耐え抜けば。
「ほらほら!逃げ回ったって俺の菩薩で全員カチンコチンに凍らしちゃうよ。そうだな、君たちを凍らしたらかき氷にして全員俺が食べちゃうから…」
「え…俺の目が…俺の目がぁぁぁぁ!」
童磨の顔がズブズブと崩れていく。
やはり毒が回ってきたか。
そう、私の腕一本だけでは童磨を確実に仕留めるための毒の量には確実に足らない。
だからこそ、鈴仙さんの肉体56kg分が必要だった。
彼女は元々万世極楽教に潜入する隠密も行っており、彼女のおかげで支部潰しに一役買っていた。それに気づかずに手元に置いていたという馬鹿教祖こそが童磨だ。
「おのれ!胡蝶しのぶ!謀ったなぁ!!」
「謀るも何も、あなたが毒を食らってじわじわ蝕まれていることに気づくのが遅いのが悪いんですよ。あなたが鈴仙さんを食らった時に既にあなたの負けはほぼ確定していたわけですよ」
「お前を先にぶっ殺してやる!」
「そうはさせねぇぜ!」
獣の呼吸。伍の型 切細裂き
菩薩の手が細かく切り刻まれる。
「あたいだって!あんたみたいなクズ野郎こそさっさと地獄に行きなさい!」
氷の呼吸。肆の型 御神渡り
菩薩の下半身がボロボロに砕かれる。
「お前の目論見もこれまでだ!」
花の呼吸。終の型。彼岸朱眼
童磨は手足が崩れだしているものの、結晶ノ御子はまだいくつか残っている。
だからこそ、避けながら戦わなければならない。
しのぶさんは片腕を犠牲にしたんだ。
私だって右目くらい犠牲にしてでもお前を斬る!
「まだだ!まだ終わりたくない!」
その時、童磨の体に刀が突き刺さる。
そしてその勢いのまま、壁に貼り付けられる。
「師範!」
「とっととくたばれ糞野郎!」
師範は怒りを込めて放った日輪刀、そこにはさらに強い毒が塗られており、童磨の崩壊が一気に加速する。
「「「ここで、終わりだ!」」」
童磨の頸はあっさりと飛んだ。
グズグズとなった頭はもはやブサイクとしかいいようがない。
「死にたくない!俺は!死にたくない!」
「無様ね、極楽を勧めるあなたが一番死を怖がるなんて」
「俺は……もう…」
「最後に言い残すことはありますか?」
「万世極楽教よ!永遠なれ!」
私は左足で童磨の頭を踏み潰した。
終わった。
私の右足首はさっきの投げた時の勢いで取れてしまいもうくっつくことは無い。
でも、私たちは生き残れた。姉の言うことも守れた。
私はこの戦いのために生きてきたのだから。
「師範!」
「カナヲ…」
カナヲは私をおんぶしてくれた。
「師範!無茶しすぎですよ。あいつが憎いとはいえ、私に左腕を落としてなんて言った時は驚きましたよ」
「でも、私はもうすぐ死ぬのかもしれません。私はこの戦いを終えたら鬼殺隊を辞める予定でしたし」
「師範、いえ、姉さん。あなたには生きて欲しい。カナエ姉さんの分も、それに」
「おーーい!みんな〜!応援に駆けつけたぞ!って、もしかして終わったのか?」
「おせぇぞ!ちょっと前に童磨をぶっ倒したぞ!」
「あたいたちのおかげで上弦は残り二体、でもしのぶさんは既にボロボロだから安全なところに」
「そうか」
「愈史郎くん、研究中に私に殺意を覚えたこと、忘れてませんからね」
「あの時はすまなかった、珠世様を取られて嫉妬してたから」
「それじゃ、俺たちはあの無惨という所に行くぜ!」
「師範、私たちが必ずあの鬼の始祖を倒してみせます」
「あたいたちは強いんだから、しのぶさんは頼ってもいいよ!1人で抱え込まずにさぁ!」
そう言って3人は無惨の元へと向かった。
その言葉が何よりも嬉しかった。私は涙を流した。
しのぶさん生き残りましたね。
左腕や右足首を犠牲にしても倒したかった鬼ですからね。
でももう戦えるからだでは無いですから柱引退は確実ですね。