鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
風の呼吸。壱の型 塵旋風・削ぎ
岩の呼吸。壱の型 蛇紋岩・双極
月の呼吸。弐の型 珠華ノ弄月
俺たちは型を放つ。
だがあの鬼の刀は何度も伸びる。
厄介すぎる。
だが相手の服も少しずつ綻び、そこからは血が垂れている。
効いてはいないわけではねぇ。
その時だった。
月の呼吸。伍の型 月魄災渦
まずい、この型は…
俺は避けようと反応するが、間に合わず斬撃の一部を喰らう。
俺の右手の人差し指は根元から落ちた。
だがそれだけなら軽い方だ。
八意さんは…
「ぐはぁ…」
「銀髪の女よ…仲間を庇ったか…」
「当たり前…じゃない…」
八意さんの体は両耳が落ち、右目も潰れ、身体中には傷ができる。
あの一瞬で八意さんは同じ型を放ってくれなきゃ俺までボロボロになっていた。
負傷すればする程動きが鈍くなる。それにあの鬼は本気を出してから稀血の酔いが一切効かねぇ強い鬼にこそ効くはずなのにくそったれめ!
月の呼吸。漆の型 厄鏡・月映え
「ならば私が…」
月の呼吸。捌の型 月龍輪尾
八意さんは相手の型に合わせている。なんて強さだ。
これも、月の呼吸の使い手同士だからこそわかるのか。
手負いとはいえ、さすが技の永琳だ。
月の呼吸 玖の型 降り月・連面
くそ!そんな技まで出してくるのか。
月の呼吸。拾壱の型 上り月明
くっ、八意さんの力が落ちてきている。
俺の背中の滅の文字は斬られる。
「不死川、油断するな!」
「俺に構うな!悲鳴嶼さんは八意さんの援護を」
月の呼吸。拾の型 穿面斬・蘿月
「しまっ…」
その時、俺の体は宙を舞う。
「実弥さん!」
「時透!」
「死なせない!貴方は両腕で刀を振れる。まだ戦いは終わってないんです」
俺は玄弥の所へと引っ張られる。
「実弥さん…聞いてください。あの鬼は上弦の弐です。そしてさっき玄弥があの鬼の髪を食った時、無惨の声が聞こえたんです。上弦の壱に気をつけろ…と」
「!?」
「おそらく上弦の壱は無惨の傘下ではなく、もう一体の鬼の始祖の方のものです。それに、無惨はこうも言ってるんです。鬼狩を片付けたら私を守れ。つまり、上弦の壱は無惨を狙っているからという可能性があるんです」
「本当か…つまりあの鬼は…」
「狙われている側なんですよ。おそらく、まだ一度も情報を出していないあたり、もう一体の鬼の始祖は相当な戦術の手練です」
俺はそれを聞いて笑む。
「どうしたんですか?実弥さん」
「面白ぇじゃねぇか、上弦を倒して無惨も倒してもまだ鬼が存在するとはなぁ!」
十二鬼月そのものが崩壊しかけている上にまだそんな隠し玉がいた事には笑いが止まらなかった。
「ところで玄弥はどうした」
「玄弥は今、あの鬼の折れた刀を食って震えてます。あと3分経てば、玄弥はこの戦いを掌握できます」
「あと3分か…それまでにあの鬼の動きを誘えばいいんだな」
「俺も協力します」
岩の呼吸…
月の呼吸。拾陸の型 月虹・片割れ月
この型は輝夜の型…やはり、技を奪っていたか。
速すぎる。更には攻撃の速さが上回る。
下手すると攻撃動作に入る前から動きを抑え込まれる。
透き通る世界にまで至れない。やはりあの鬼も透き通る世界も発動させているのか。
深く意識を入れるのだ。
「やはりお前も透き通る世界に入るつも…」
月の呼吸。拾伍の型 星海月輪
「私も見えているわよ…。あなたの急所も全部ね…」
八意殿が隙を作ってくれた。
私は深く呼吸をする。
その時、鬼の筋肉や骨の動きが鮮明にみえた。
透き通る世界、やっと入れた。
その鬼には僅かだが、傷がある。
その傷は刀で斬られた傷。だが、それはなにかをなぞるようだった。
内側に、間合いの内側に入れ、少しでも大きな隙があれば緩められる。
俺は片腕を失い。失血も重なり戦闘できる時間は殆どない。まだ動ける内にあの鬼の頸を刎ねて、上弦の壱との戦いまでの余裕をみんなのために作らないと…
「不死川!八意!」
悲鳴嶼さんが呼びかけると動きが思い描いた通りになる。
俺の意図を組んで合わせてくれた。
月の呼吸。拾肆の型 兇変・天満繊月
入れ入れ入れ!抜けろ!間合いの内側に!くぐれ!折り重なった攻撃の隙間をくぐれ!
その時、鬼は少し怯む。
「お前のために道を作るぜ!」
風の呼吸。塵旋風・削ぎ
鬼の技が止まった。更に、悲鳴嶼さんの鉄球で右上半身が吹っ飛んだ。
俺の狙いはただ一つ、血の溜まる場所!
脾臓だ!
鬼の脾臓に見事に突き刺す。だが、まだやることは残っている。
赫刀だ。赫刀を発現させれば、鬼の脾臓も回復に時間がかかる。
決定打にはならないが時間稼ぎには持ってこいだ。
俺は力を全力で刀に込める。
すると、刀がどんどんと赤くなっていく。
そしてもうすぐ、玄弥は覚醒する。
私の眼を謀ったか…透き通る世界を戦いの途中で発動させた。しかもこの子供も…更にはあの風の呼吸のものも透き通る世界を発現していたか…風のものは痣を発動させているからわかるが、何故あの鉄球の男は痣も発動せずに透き通る世界を発動できるのか…。
だが、まだ距離はある。私の頸には届かず、謀りも攪乱もわかってしまえば意味もなし
ドン!ドンドン!
鈍く音がする。
私は瞬時に刀で払おうとする。
しかし、その弾は弾いたにも拘わらず生き物のように曲がって体にめり込んできた。
私はその音の方を見る。
あの姿…!南蛮銃が大きく変形している。私の刀と同じ紋様…もしやこれは…
ついに…黒死牟戦…残りわずかです。