鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
「終わっ…た…」
私は既に限界を超えていた。
血を多く流しすぎた。
私は倒れ込む。
「お姉ちゃん!!」
「こい…し…」
「お姉ちゃん!しっかりして!早く手当を…」
私はこいしの顎に手を当てる。
「こいし…あなたは生きなさい…あなたには無一郎という人がいる…でしょ…彼の人生にあなたは…寄り添いなさい…」
視界がぼやける。
もうこいしとは一緒に過ごせない…私は、弱かった…。
義勇のことを心配してずっとついて行っていたが、私も義勇とほとんど同じ理由である。
姉のくせに力は弱く、妹の強さに必死にしがみついてばかりだった。心が読める力で煽り、相手の隙を作り、不意打ちをすることでしか鬼を倒せない私はなぜ柱に慣れたのかも分からない。
こいしの方が私よりもずっとずっと強い。
私はただそれに追いつきたかっただけだ。
私は結局こいしに追いつくことは出来なかった。
最弱の柱であり、ただ21という歳を重ねていた。
「お姉ちゃん…!死なないで!私はずっとお姉ちゃんを目指して頑張ったのに、お姉ちゃんと一緒に柱になって、お姉ちゃんと柱合会議に出て、お姉ちゃんと合同任務をして、お姉ちゃんと鬼を…」
「こいし…不甲斐なく弱いお姉ちゃんで…ごめんね…」
私は力尽きた。
もうすぐこいしの声も聞こえなくなる。
「お姉ちゃん!」
私は目が覚めるとそこには両親とそして飼っていた赤毛の猫が待っていた。
「さとり…お前が来てしまうなんて…」
「私たちのことはいいから…、はやくこいしの元へ戻りなさい!」
私は言われた、でも私は既に命の火が消えてしまった。
もう戻ることは出来ない。
「お父さん、お母さん…ごめんなさい…。私…お父さんとお母さんの仇をうつためだけに生きてきた…。私は討つことが出来たから…もう…私は思い残すことはないわ…」
「さとり!こいしは!こいしはどうなるんだ!」
「こいしなら、やってくれる。それに、私はこいしに全てを託した。こいしならきっと生き残れる」
私は川の先へと走っていった。
「お姉ちゃん!」
「こいしちゃん、さとりさんは…もう…」
「咲夜!そんなことはもうわかってる…だって私は…お姉ちゃんと同じ力を持っているんだから…。でも…」
私はボロボロと泣いた。お姉ちゃんはもう逝ってしまった。
「あなたもついに終わりね。フランドール・スカーレット」
「フフフ、随分とお高く止まってるねぇ…」
「あなたが死ねばあなたの陣営は日本だとあなたのお姉ちゃんだけよ。あなたが死んだらあなたの姉は無惨様が倒してくれる」
「だけどね…お姉ちゃんは強いよ?今頃城の外で鬼狩と戯れているころよ」
「でも残念ね。あなたたちの狙いでもある禰豆子ちゃんは、あと5分もすれば完全に人間に戻るわ。それに、鬼化していた時の禰豆子ちゃんの血は既に私たちが回収済み、太陽の克服は無惨様に軍配ね」
しかしフランドールの笑みがやまない。
その時だった。
私の肩になにかが突き刺さる。
それを見ると私は焦る。
「私が鶴ならあなたは亀ね。さぁ一緒に命の盃の上から滑りましょう!」
その瞬間、私の体は燃え上がる。
「鳴女ちゃん!」
「鳴女!」
「鳴女殿!」
私は不覚だった。上弦の壱ともなれば死までにはある程度時間を要す。
その間にトドメを刺せばよかった。
私が死ねばこの城もいずれ崩壊する。
このままではみんな生き埋めになる。
私は最後の力を振り絞り、弦を弾く。
「あなたを道連れにすれば、あなたの勢力も無惨ただ1人…。さぁ、地獄から無惨の無惨な最後を見届けましょう!」
フランドールは塵へとかえり、私は骨も残らず蒸発した。
「なんだと!」
突然無惨の様子がおかしくなる。
「無惨!」
無惨は頭を抱える。
「鳴女…お前ってやつは…」
無惨の足元に涙が零れ落ちる。
「もう…私は我慢の限界だ!鬼狩ども、お前ら全員!皆殺しにしてやる!」
その時、城がものすごい音を立てる。
床が揺らぐ。
「まずい!城が崩壊する!」
「今はとにかく、自分のことを優先しろ!無惨に構うのはその次だ!」
「炭治郎!お前が私を見つけて一年が経つ。お前が私に初めて見た時に殺しておけばよかった。そしてお前の死に場所も私は決めておいた。鳴女には感謝するしかないな。最後の戦いの場所は私が用意した!」
「まさか…」
「そう!お前と初めて対面した!浅草でお前たち鬼狩は全員死ぬのだ!」
ものすごい轟音を立てて城そのものがせりあがっていく。
その重力に耐えきれずみんなが床に倒れ込む。
そして数分後、ものすごい音を立てて地上へと城は露出する。
「無惨が城自体を地上へと浮き上がらせました。ですが場所は…市街地!浅草です!」
想定の場所の1つではあった…でも浅草はかなりの市街地。このままでは多くの被害が出てしまう。無惨自身が最後の戦場を選ぶなんて思わなかった。
「ひなき!日の出の時間は!」
「今日は5月18日、推測が正しければ夜明けまではあと55分くらいです」
「まずい!1時間も…無惨の力があれば…帝都は壊滅する。どうにかしてでも無惨を食い止めろ!このままでは鬼殺隊はおろか…この国が終わりかねない」
その時、報せが来る。
「お館様!新産屋敷邸に襲撃してきた鬼は全て片付きました!」
「そうか!みんな、よく頑張った」
「ですが、声を発していた鬼が見当たりません。おそらく、無限城の方へ向かったのでは…」
まずい…禰豆子が無限城にいるということがバレたか…。
みんな、あと55分、どうにかして持ってくれ。
その鬼もろとも、太陽で灼いてこの世から消し去る。
無惨、まさか最後に粋なことをするとは…
そして次回、最終決戦です。