鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
俺は真っ暗な世界の中で後ろを振り返る。
そこには無惨が立っていた。
「レミリアを止めてくれたこと、本当にありがとう。私はお前に感謝してもしきれない。お前がレミリアを止めてくれなければ私は失意のままこの世を去っていただろう」
「無惨…、止められたのは俺だけの力じゃない。魂の記憶、遺伝の記憶、そしてみんながいたからこそ、俺は勝てたんだ」
「炭治郎、お前は優しいんだな。自分だけではなくみんなも評価する。私はそれがほとんど出来なかった。この、レミリアという女が更に壊したせいでな」
無惨の足元で震えながら頭を抱える女の子がいた事に気がつく。
「うーー、まさかあんな強い型が存在してたなんて、私の運命を見る力でも見れなかった。なんでよ、縁壱という最強の剣士さえも負かしたこの私が…」
レミリアは自分を振り返っている。
「お前の敗因はただ一つ、驕って自分の有利な運命しか見ていなかったことだ。もっと広く見ていれば確実に勝てていたはずだ。だが、お前のその幼い精神ではそれに気がつくことは無いと思うが」
「うるさいわね!私だって500年以上生きてるのよ!幼くなんか…」
「私の1100年から比べればまだまだ子供だな」
「その500年くらいの子に吸収されたのはどこのどいつだっけ?」
「うっ……」
無惨とレミリアはお互い言い争いをしているが、
何とも和むのは何故だろう。
「なぜ無惨とレミリアはこの真っ暗な世界にいるんだ?」
「あぁ、実はだな、お前には本当に悪いと思っているのだが、その…、私の思いをお前に受け継いで欲しいのだ」
無惨はそう俺に言う。
「なんだ。俺は死ぬはずの体で受け継いで欲しいというのは」
「その心配はいらない。お前の体は私の僅かな細胞が最後まで働いて治しておいた。完璧とまではいかないが、失った左腕と潰れた右眼はほとんど元通りになっている。それに、お前の寿命も痣のせいで短くなってしまった分は元に戻した。お前は長く生きろ」
「無惨…、じゃあ聞こう。お前の思いはなんだ」
「お前には2つの思いを伝える。まず一つは、青い彼岸花をこの世界から完全に絶滅して欲しい。私やレミリアのような長い時間を生き続ける苦痛はもうコリゴリだ」
青い彼岸花はレミリアがほとんど絶滅させている。
更には無惨が見つけられなかったのであれば日本には存在しない。
「わかった。だが、俺だけの力では無理だと思う。鬼殺隊のみんなにも伝える。そうすれば、いつかは必ず青い彼岸花を絶滅に追い込むことはできるはずだ」
「ありがとう。そしてもう一つは、私だけの願いなのだが……、私は太陽を直接見たことがなくてだな…、お前の眼を通じて一度だけ太陽を見たいのだ!それが果たされれば私はもうこの世に未練はない」
「わかった。だけど俺の体を鬼にするとかそういうのは無しだ。少しだけでいいと言うなら俺の右眼を通して見るんだ。そしてお前たちは地獄へと向かうんだ」
「ありがとう、炭治郎。お前は優しい鬼狩りだ。お前と会えたこと、その運命に感謝するしかないな。まさに優しい鬼狩による鬼退治だな」
「おい!炭治郎の様子がおかしい!」
「何が起きているんだ!」
「よくわかりません!ですが、急速に回復しています」
「それに、左腕まで生えてきたぞ!?どうなってるんだ?」
そして、俺は目を開ける。
そこにはみんなが俺をみんなで囲んで見ていた。
「炭治郎…。良かった……。さっきはどうなることかと思った」
「突然回復して腕まで生えるとか何があったんですか?」
俺は体を起こし空を見る。
そこには太陽があり、青空が広がっていた。
無惨。これがお前の見たがっていた太陽だ。
頭の中に響いてくる。
ありがとう、炭治郎______。
そう聞こえた時右眼の視力が完全に失われた。
「無惨。お前もまた、悲しい生き物だったのだな」
俺はそう呟いて眠りについた。
「炭治郎!起きたのにまたどうした!」
「しーーー!静かに、炭治郎さんは寝息を立ててますよ」
「そうですよ!善逸さん、世界を救ったのですからここは眠らせた方がいいですね」
次回からは後日談的な話になります。
そして本当の最終回まで残りわずかです、