鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
「だいぶ、良くなってきましたね。ではそろそろ機能回復訓練に入りましょうか」
「機能回復訓練ですか。」
蝶屋敷に入院して2週間が経過し、怪我はほぼ治りかけでそろそろ体も鈍ってきたころ、しのぶさんから提案された。
その訓練はまさに俺の鈍りきった体を元に戻すにはかなりきつい訓練だった。
「はい、じゃあまずは、寝たきりで硬くなった身体をほぐします。」
これがかなり痛い。隣の伊之助は悲鳴をあげて涙目になっている。
「いててててててて…何すんじゃこら!」
伊之助はあまりに硬くなっていたのか今までのような柔軟性は欠片もなかった。鼓屋敷の時の隙間抜けをするなどの軟体はどこへやら。
そんな俺もかなり鈍りきっていたので股や背中がかなり痛い。
「次に反射訓練、湯呑みの中には薬湯や苦茶が入っています。お互いにそれを掛け合うのですが、湯呑みを持ち上げる前に、相手から湯呑みを抑えられた場合は、湯呑みを動かせません。」
相手が強すぎるのか、俺が鈍りきっているのか、おそらく後者だろうがなかなかカナヲや咲夜は強い。俺と伊之助と妖夢は1回もかけることが出来ずにびしょ濡れになる。
「最後は全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですが、私アオイ、そして鈴仙、咲夜、カナヲが相手です。」
なかなか捕まらない。しかもそうやって何度触れようとしても上手くかわされるばかり、結局、アオイさんしか捕まえることしか出来なかった。
これを3日遅れで入った善逸は最初は天国のようなとこだと言ってたが、1週間後にカナヲや咲夜に叩きのめされたのか、不貞腐れてた。
そして伊之助と善逸はしばらく訓練場に来なかった。
「お疲れ様でした…」
「お疲れ様でした…」
妖夢と俺はそれでも訓練を続けたがカナヲと咲夜には髪1本たりとも触れない。何があるんだろう。
「炭治郎さん、妖夢さん」
考え込んでて気が付かなかった。
3人の小さな看護師さんが声をかけていた。
「あの…お疲れ様です。手拭いを…」
渡された俺たちは喜んで汗を拭いていると3人は説明をする。
「お二方は、全集中の呼吸を四六時中やっておられますか?」
ん?どういうこと?3人は何を言ってるの?って戸惑う。
「朝も昼も夜も、寝ている間も全集中の呼吸をしてますか?」
「やってないです…やったことないです。そんなことできるの?」
「もしかして、私が最近、うるさい蚊を寝ながら叩き落としているとか?」
「それに近いです。それができるのと出来ないのとでは天地程の差が出るそうです」
「全集中の呼吸は少し使うだけでもかなりきついんだが…それを四六時中か…」
「私も…持って今のところ6時間が限界かな、辛いから2時間余計に寝ちゃうし」
それを言われて差を感じた。俺、もしかして抜かれた?しかも同期の妖夢に。
「できる方々は既にいらっしゃいます。柱の皆さんやカナヲさん、咲夜さん、水柱の所の智溜乃さん、霞柱の所のこいしさん、風柱の所の文さん、恋柱の所のアリスさん、その他にも甲乙の位の方の皆さんも」
「そんなにいるの。なら俺もやってみるよ」
「私も、全力で会得、頑張ります!」
こうして俺と妖夢は特訓することにした。
しかし…
「全集中の呼吸…全然出来ない!」
3分くらいが限界だ。それを越えようとすると、死にそうになる。
肺も耳もあちこちが痛む。
これじゃダメだ。こんな調子じゃ。
困った時は基本に戻れ。
そうして翌日には5分を超えた。走り込みや息止め訓練。それをやったけどこれじゃ短すぎる。
あの妖夢はすでに9時間を超えた。負けられない。
気を引き締めながら自分を鼓舞する。
そして休んでいると、3人の看護師さんが来る。
「瓢箪を吹く?」
「そうです。カナヲさんに稽古をつける時しのぶ様はよく瓢箪を吹かせていました。」
もしかしてそれが訓練方法?音でも鳴らしていたのかな?
「もしかして楽器みたいに吹くとか?」
「いいえ、瓢箪を吹き込んで破裂させてました」
「へぇーーー」
ん?破裂?え?破裂ってどういうこと?
「え?この硬いのを?」
「はい、しかもこの瓢箪は特殊ですから通常の瓢箪よりも2倍以上頑丈です。」
そんな硬いのをあんな華奢な女の子が!?
「だんだんと瓢箪を大きくしていくみたいです。ちなみに今カナヲさんが破裂させている瓢箪をお持ちしますね」
3人がかりで持ってきた瓢箪は大きかった。大きさは俺の背丈くらいある。
「あっちなみに妖夢さんはこの大きさです。だいたい3尺くらいのです」
決めた。俺は妖夢に負けないように頑張ろう!
善逸は現実逃避し、伊之助は不貞腐れてる。これが妖夢と同期というのはどうなんだろうか?お前ら頑張る気は無いのか?落ちこぼれになっても知らないよ?
そうやって俺は屋敷の周りを全力で駆け回り、鱗滝さんの教えを思い出しつつ訓練した。そうして何とか2日間で全集中の呼吸は2時間まで伸びた。一方の妖夢はすでに半日まで来ている。負けてられない。
そうして10日後、かなり体力は戻ってきた。
以前よりも随分と走り込めるし肺が強くなってきたぞ。いい感じ。
瞑想は集中力が上がる。鱗滝さんも言ってた。鱗滝さんも…
あれ、鋼鉄塚さん?
(よくも折ったな!俺の刀を!)
すみません。今刀を打ち直してもらってるけど、ホントに申し訳ないな…
集中だ集中!呼吸に集中!
すると横にしのぶさんがいた。しかも近い。
頑張ってますね。お友達二人はどこかへ言ってしまったのに。1人で寂しくないですか?」
「いえ、できるようになったらやり方を教えてあげるので!それに、妖夢には負けられませんし」
そういうとしのぶさんは微笑む。
「君は心が綺麗ですね」
褒められた。嬉しくなる。でも気になったこともあるし聞いてみる。
「あの、どうして俺たちをここへ連れてきてくれたんですか?」
そういうとしのぶさんは語り出した。
「禰豆子さんの存在は公認となりましたし、君たちは怪我も酷かったですしね。それから君には私の夢を託そうと思って」
「夢?」
「鬼と仲良くする夢です。きっと君なら出来ますからね」
そう言われるがしのぶさんからはそうとは思えない臭いがする。
「怒ってますか?なんだかいつも怒ってる匂いがしていて…ずっと笑顔だけど」
しのぶさんは図星を指されたような顔をする。そうして話し出す。
「そう…そうですね。私はいつも怒っているのかもしれない。鬼に最愛の姉を惨殺された時から、鬼に大切な人を奪われた人々の涙を見る度に、絶望の叫びを聞く度に、私の中には怒りが蓄積され続け膨らんでいく。体のいちばん深いところにどうしようもない嫌悪感がある。他の柱たちもきっと似たようなものです。まぁ今回彼らも人を喰ったことがない禰豆子さんを直接見て気配を覚えたでしょうし、お館様の意向もあり誰も手出しすることは無いと思いますが」
そう言うとなにか深いものを思い出すように俯く。
「私の姉も君のように優しい人だった。鬼に同情していた。自分が死ぬ間際ですら鬼を哀れんでいました。私はそんなふうに思えなかった。人を殺しておいて可哀想?そんな馬鹿な話は無いです。でもそれが姉の想いだったなら私が継がなければ、哀れな鬼を斬らなくて済む方法があるなら考え続けなければ、姉が好きだと言ってくれた笑顔を絶やすことなく。だけど少し…疲れまして…」
それを聞くと悲しくなる。
「鬼は嘘ばかり言う。自分の保身のため、理性も無くし、剥き出しの本能のまま人を殺す。炭治郎君頑張ってくださいね。同期の禰豆子さんを守り抜いてね。自分の代わりに君が頑張ってくれていると思うと私は安心する。気持ちが楽になる。」
しのぶさんのことを聞き俺も頑張ろうと思った。
禰豆子は守る。何としても。
「全集中の呼吸が止まってますよ。」
そう言われて、また集中する。
そんな時だった、
「胡蝶様!永遠屋敷の近くで鬼が現れました!その鬼はこちらに向かっております。」
「なんですか。この近くに鬼ですって!炭治郎君、全集中の呼吸、少し長めに使う特別訓練として私と来てください」
鬼が現れたしかもこの近くに鬼なんて、
そう思った俺はしのぶさんと鬼のいる所へ向かった。
機能回復訓練、やはりすごく大事なところですね。
私も全集中の呼吸で仕事したいです。
大正コソコソプロフィール
十六夜咲夜
1898年3月9日生まれ
身長163cm
体重55kg
出身地は群馬県勢多郡富士見村時沢(現在の前橋市)
スリーサイズは87-57-83
田舎からでてきた剣士で実家は豪農だったものの鬼により家族失う。
上野駅で育手と出会いそして弟子入りする。
姉弟子もいてその姉弟子が柱になったと喜ぶが、
そのしばらく後に訃報を告げられ
私も強くなりたいと数年かけて修行し
最終選別に合格する。
ちなみに最終選別の合格者の中では実は最高齢(誕生日の都合、次点は栗花落カナヲ)