鬼滅の東刃〜Another of Slayer〜 作:トーニオン
「お前はなぜ話さない、そのお前はそう無口なのか。はっきりいったらどうなんだ。」
「お前のような者は、生まれてさえ来ないでくれ」
「お前が存在していると、この世の理が狂うのだ」
俺の前で俺に向かって泣きながら怒鳴る男がいる。
「なぜ、お前は特別なんだ。教えてくれ」
「お前のせいで、お前の…」
涙を流しながらうつ伏せになる。
「俺は兄だ。弟よ、兄は強くなければならない。それなのに、なぜ俺よりも腕が立つ」
また場面が変わり、その男は少し背が伸びていた。
「俺の技は、…………だ。お前に負けないくらい、必死に修行したというのに」
男は悔しがりながら、刀を握る。
「俺も強くなりたい。だが、なぜこの差は埋まらない。それに、俺には時間が無い」
なぜ時間が無い。そう思う。
「お前とはもう会いたくない。今後一切、俺の前に顔を見せるな」
「久々だなぁ、お前と手合わせできるとは思わなかった」
その男は髪が長くなり後ろを向いている。
「お労しや」
「うわぁ!はぁ、はぁ、」
目が覚める。身体が汗ばんでいる。不思議な夢を見た。
「お、炭治郎、突然倒れたから心配したんだぞ」
「文さん、ここはどこですか?」
「ここは、箱根の藤の花の屋敷。それに、お前は16時間も寝てたんだぞ?」
「そんなに寝てたんですか!」
俺はあの後カナヲに背負われて、藤の花の屋敷に担ぎ込まれたと説明された。
「それにさぁ、あたし達の隊服もあの蜘蛛鬼のせいでボロボロになったから、隊服が戻るまで2泊することになったんだ。あ、それとなぁ、炭治郎は1人だけでこの部屋に泊まること、あたし達は女だから別部屋にいる」
俺はホッとする、もしこれで同じ部屋ですって言われてたらおそらく肩身が狭かったかもしれない。
隣の部屋には女の子たちが会話をしている。仕切られているのは襖1枚のみ。
ドキドキはする、しかし見てはいけない。理性が勝たなければならない。
そう自分に言い聞かせた。
ここにいても仕方ない。よし、風呂に入ろう。
俺は風呂へと向かった。
この藤の花の屋敷は前にお世話になった場所よりも広く、そして風呂も温泉の露天風呂だった。
「ふぅ、生き返る生き返る〜」
俺は広い露天風呂を独り占めしている。そんな支配感のような気持ちになる。
だが、落ち着いて深呼吸をすると、臭いがする。女の子の臭い。
「もしかして…カナヲ?」
湯けむりが風が吹いて晴れると岩の後ろに女の子がいる。
「カナヲ?」
カナヲは恥ずかしがって出てこない。
「なんかおか…」
パチン
「み…見ないで」
カナヲは俺の両目に手を強く当てがった。
「あ…うん」
臭いでわかった。カナヲは人生で初めて同じ年頃の男に裸を見られた、そうカナヲは臭いで語りかけてきた。
「目をつむって、後ろを向いて」
「わかった」
俺は両目を瞑り、静かにカナヲに背を向ける。
「炭治郎、もしかして、裸、見た?」
「見…少しだけ見えた」
少しだけだがカナヲの胸から上が見えただけで全部は見えてない。
「私、しのぶさんに引き取られてから、男とあまり関わらなくて、それで、ごめん」
「俺もごめん。鈍感で」
俺は反省する思いで俯く。
そんな時カナヲは昔話をする。
「私、小さい頃、親に虐待されてた。お腹がすいた。悲しい、虚しい、苦しい、寂しい、そんな日々ただ生きていた。そしてある時、なにかがプツンとなって何も辛くなくなった。貧しい暮らしの中で兄弟達もどんどん売られて、最後に私が売られた時でさえ、悲しく無くなってた。そんな時、私はカナエさんとしのぶさんに助けてもらった。
だけど、私は何も選べない、何も自分から動かない。そんな私にカナエさんは銅貨をくれた。私は硬貨を投げて表か裏かで決めるよう教えられた」
「なるほど、あの時硬貨を投げていたのはそういうことか」
「それから私は硬貨の表裏で全ての選択を決めていた。稽古を受けるのもそう、料理を作るのも、最終選別に行くのも硬貨で決めてた。そんな時に炭治郎が心のままに生きる。それに、裏が出たら表が出るまで投げ続ける。その言葉に私は心に温かさを感じた。炭治郎が変えてくれなかったら、私は心の殻に閉じこもっていた」
「カナヲの心に、俺の思いが届いていたんだな」
「それから私は、自分でお手伝いもする。任務も率先してやる。そして、カナエさんを死に追いやった鬼を必ず滅する。そのためにも、私は強くなる。そう心に誓った」
「カナヲは十分強いよ、俺でさえ、まだまだなんだし、カナヲに負けないくらい、俺も強くなる。そうしていつか、みんなが鬼に怯えない、そんな世界になったらなぁ、なんて、今の俺じゃ高すぎる目標かな」
「ありがとう、私のこと、聞いてくれて」
カナヲは俺にそう伝えた。さ
「俺の方こそ、さっきはほんとごめん。それに、俺よく小さい頃から弟や妹のお風呂で体を洗ってたりしてたから、気にせず話しかけちゃって」
「炭治郎って、禰豆子ちゃん以外に兄妹いたんだ」
「あぁ、俺も2年半くらい前までは禰豆子以外にも弟妹がいたんだ。でも、あの日、俺が家へ帰ると、鬼に家を襲われ、家族は禰豆子以外は既に息絶えてた。その禰豆子も鬼の血を傷口に浴びて、それで鬼になった。俺がもしあのことがなければ、今ごろ家族みんなと父さんの墓参りにでも行ってたんだろうなぁ。そう思うと、胸が苦しくなる。でもこうして、善逸、伊之助、妖夢、アリス、咲夜、そしてカナヲに会えたこと、そう思うと、この運命も、ありだと思うんだ」
「フフフ、この運命がどんなものになろうと、私は炭治郎のおかげ、ありがとう」
「俺もだよ、カナヲ」
「私はそろそろ失礼します。話していると逆上せそうだから」
「じゃ、俺はもう少し入っているよ」
「では、また」
カナヲはそう言って風呂をあがった。
「カナヲは随分と心のままに成長してるなぁ」
俺はカナヲのことを思う。すると、少しドキドキしてきた。
おかしいのかな、初めての違和感を感じた。
それから翌日、隊服が届けられた俺たちはすぐに蝶屋敷へと帰った。
「あら、皆さん任務ご苦労さま、芦ノ湖はどうでした?」
「鬼が強い上にからくりが難解だった!それに、いいとこ全部最後に持ってった人がいたわ」
「文は何回も引っかかりすぎ、あれはそんなに難しい仕掛けじゃないのに」
「あの鬼結構強かったなぁ、しかも下弦の伍だし」
「私の隊服をボロボロにしたアイツは許さない」
「ただいま戻りました」
全員数日の休養が与えられた。俺に至っては刀の3分の1が溶けたせいで鋼鐡塚にまた打ってもらう。
「おのれ、刀を溶かすとはどういう料簡だ貴様ァァァァァ!万死に値する!」
「すみません!ほんとにごめんなさい!」
鋼鐡塚さんはいくつもの包丁を身につけて襲ってきた。
それからしばらく鋼鐡塚さんが気が済むまで俺は追い回された。
原作にはない恋愛フラグ
軽く回収していきましたね。
そして炭治郎はなんの夢を見ていたのでしょう。